著者
上野 健一 細川 葵 橋本 諭 及川 寛 柴原 裕亮 松嶋 良次 渡邊 龍一 内田 肇 鈴木敏 之
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.85-93, 2021-06-25 (Released:2021-07-02)
参考文献数
32
被引用文献数
1

二枚貝の麻痺性貝毒(PSTs)はマウス毒性試験(MBA)で検査されているが,動物愛護に対する社会的関心の高まりとともに高感度・高精度なPSTs分析法も開発され,動物実験代替法の利用が可能となった.本研究では,PSTsのモノクローナル抗体を利用したイムノクロマトキットによるスクリーニング法の開発を試みた.食品衛生法規制値(4 MU/g)を下回る2 MU/gをスクリーニング基準として試験液の希釈倍率を80倍とした条件で試験した.目視に加え,画像解析判定も併せて検証した.MBA 2 MU/g以上の20試験品はすべて本キットで陽性を示し,偽陰性はなかった.また,2 MU/g未満の327試験品のうち偽陽性は3%であった.以上のように,本法は高い正確度を示し,迅速・簡便なPSTsスクリーニング法として有用であることが示された.
著者
畠山 直一郎 伊豆 肇 高橋 修二 与斎 和博 鈴木 敏規
出版者
日本家畜臨床学会
雑誌
東北家畜臨床研究会誌 (ISSN:09167579)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-9, 1997-07-15 (Released:2009-04-22)
参考文献数
8

サルファ剤を過剰投与された子牛の腎臓にサルファ剤結晶を認めた。このようなことから、下痢などによる脱水や乏尿を呈する子牛の症例に対して、サルファ剤を投与する場合には投与量を遵守するとともに脱水を改善した後に投与すべきと考えられた。
著者
兼松 大和 徳久 謙太郎 宇都 いづみ 鈴木 敏裕 大成 愛 三好 卓宏 藤村 純矢 高取 克彦 庄本 康治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0680, 2007

【はじめに】<BR>ファンクショナルリーチ(FR)テストは臨床や研究場面、介護予防事業などで広く用いられている動的バランスの臨床評価指標である。先行研究によると健常成人や高齢者におけるFRテストの再現性は良好であると報告されている。しかし、脳卒中片麻痺患者においてその再現性を検討した報告は少ない。また、一症例の継時的な動的バランス変化の有無を評価する際には、測定値にどの程度の測定誤差が生じるかを知ることは有用である。本研究の目的は、脳卒中片麻痺患者におけるFRテストの検者内再現性と測定誤差を明らかにし、実際の臨床での評価場面において有用な情報を提供することである。<BR>【対象及び方法】<BR>対象は2施設に入院中の脳卒中片麻痺患者のうち、立位保持が20秒以上可能で、指示理解良好な者31名(男20名・女11名、平均年齢69.2±10.8歳)である。FRはハンガーラックにメジャーを貼り付けて作成した自作の測定器にて測定した。靴を履いた状態で測定すること、肩峰の位置から前方リーチによる最大到達点までの距離を測定し、上肢長を引いてFR算出すること以外はDuncan等による原著の方法に従った。測定は同一検者により行われ、2回の練習後、3回の測定を1セッションとし、2セッション実施した。セッション間隔は1~2日とした。<BR>【分析】<BR>検者内再現性の検討には、異なるセッションの測定値間の級内相関係数(ICC)を求めた。測定誤差の分析は一般化可能性理論により行った。セッションと反復を要因とする2要因完全クロス計画の下、主効果と交互作用の分散成分推定量を求めた。この情報を基にセッション回数や反復回数を変更した測定条件下での測定の標準誤差standard error of measurement(SEM)および最小検知変化minimal detectable change(MDC)を求めた。<BR>【結果】<BR>異なるセッションの測定値間のICC(1,1)は0.975であった。SEMとMDCは1回の測定では1.7cmと4.8cmであり、測定反復回数を変更すると2回の平均値では1.4cmと4.0cm、3回の平均値では1.3cmと3.7cmに減少した。測定セッション回数を変更すると、2回の平均値では1.4cmと3.8cmに減少した。<BR>【考察・まとめ】<BR>異なるセッションの測定値間において優秀な級内相関が得られたことから、脳卒中片麻痺患者のFRテストの検者内再現性は良好であるといえる。原著の方法と同じく2回の練習後、3回測定の平均値を使用した場合、1.3cmのSEMが生じることが明らかになった。MDCは一症例のFRを継時的に測定し、その変化が統計学的に有意と認められる最小の値であり、原著の方法では3.7cm以上の変化がないと真の変化(改善・悪化)とは言えず、測定誤差範囲内であることが示唆された。<BR>
著者
矢田 幸博 永嶋 義直 鈴木 めぐみ 鈴木 敏幸
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.310, 2006 (Released:2008-02-28)

【目的】冷え症状の愁訴と生理状態との関連性を明らかにすることを目的に冷え性意識を有する日本人女性の性格特性の調査と自律神経系評価計測を行った。【方法】東京近郊在住で冷え性意識のない女性群(健常群:20_から_60代)および本人愁訴とともに質問紙にて冷え性と判定された女性群(冷え性群:20_から_60代)を選択した。ストレス、疲労、性格特性および神経症を調査するためSCL30、CFSI、STAIの各質問紙およびCMI健康調査表を用いた。生理評価は、心拍変動解析、手掌部のペルチェ素子による温熱負荷時の血管反応性の周波数解析を行った。【結果】健常群のストレス得点に比して冷え性群の得点は、全年代で高く、ストレス得点が高くなるほど冷え性群の占有率が高かった。疲労感調査では、冷え性群で一般疲労、気力の減退が顕著であった。STAIおよびCMIによる性格特性、神経症調査では、冷え症群で特性不安が高い傾向が認められたとともに神経症の重症頻度が有意に高かった。一方、自律神経系計測では、冷え性群でRR間隔の有意な低値が認められた。また、温熱負荷時の血流周波数解析から冷え性群で血管拡張が起こりにくいことが示唆された。以上の結果から、冷え性意識のある女性は、生理心理両面において緊張状態にあり、冷え性の症状の発現や悪化につながっている事が示唆された。
著者
安達 登 梅津 和夫 米田 穣 鈴木 敏彦 奈良 貴史
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.157-166, 2014

青森県尻労安部洞窟より出土した2本の遊離歯について,理化学分析に基づいた個人識別をおこなった。これら2本の歯は1つが下顎左第三あるいは第二大臼歯,もう1つが上顎右第二大臼歯と同定され,重複はなかった。これらの試料の炭素・窒素安定同位体比は非常に近似しており,同一人物に由来すると考えて矛盾しない結果であった。また,較正放射性炭素年代はそれぞれ4286–4080 calBP(68.2%)および4280–4080 calBP(68.2%)と測定され,同時代のものと考えて矛盾しなかった。ミトコンドアリアDNA(mtDNA)解析の結果,これらの試料は解析した範囲で塩基配列が一致し,ハプログループは北海道縄文時代人およびアムール川下流域の先住民・ウリチにみられるD4h2と判定された。mtDNA解析の成功を踏まえて,より個人識別能力の高い核DNAのShort Tandem Repeat(STR)解析をおこなったところ,解析した座位の全てで正確な判定が可能であり,その判定結果は完全に一致した。上記の分析結果から,この2本の大臼歯は同一人物に由来する可能性が極めて高いものと考えられた。本研究は,遺跡から解剖学的位置関係を保たずに出土した,相互に接合しない複数の縄文時代人骨試料が同一人物に由来することを,理化学分析によって証明した最初の事例である。
著者
[鈴木敏述]
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1888
著者
佐伯 史子 萩原 康雄 奈良 貴史 安達 登 米田 穣 鈴木 敏彦 澤田 純明 角田 恒雄 増山 琴香 尾嵜 大真 大森 貴之
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.124, no.1, pp.1-17, 2016
被引用文献数
2

岩手県大船渡市野々前貝塚から出土した縄文時代晩期の熟年男性1体(1号),胎児ないし新生児1体(2号),壮年後半から熟年前半の女性1体(3号),熟年女性1体(4号),3歳程度の幼児1体(5号)の計5体について,形態人類学的および理化学的分析を実施した。人骨の年代は放射性炭素年代測定により3150~3000年前(cal BP)と推定された。形態学的検討およびDNA分析の双方から,野々前貝塚人骨が縄文時代人に一般的な形質を有することが明らかとなった。ミトコンドリアDNAのハプログループが判明した3体(1号N9b1,4号N9b*,5号M7a2)に母系の血縁関係は認められなかった。特筆すべき古病理学的所見として,出土成人3体全ての外耳道に明瞭な外耳道骨腫が確認された。これは,野々前貝塚の人々が水中(潜水)ないし水面域での漁撈活動に従事していた可能性を示唆するものである。炭素・窒素同位体比の分析では海産物を多く摂取していた食性が提示されており,外耳道骨腫の多発との関連がうかがわれた。また,出土成人3体全ての頸椎に重度の椎間関節炎が生じており,野々前貝塚の人々が頸椎に強い負荷のかかる生活環境にあったことが想起された。
著者
奈良 貴史 鈴木 敏彦
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

アバクチ洞穴遺跡出土人骨は東北地方において初めての保存状態良好な弥生時代幼児人骨である。我々は、日本列島の人類史を解明する重要な手がかりになると思われるこの人骨の人類学的位置付けを早急に行わなければならないと判断し研究を着手した。弥生時代の日本列島には縄文人的な特徴を持つ人骨とアジア大陸からの渡来系の要素が強いとされる人骨の2系統が少なくとも存在していたことがこれまでの研究で判明している。研究分担者の鈴木の歯冠計測値による予備的な分析では、この人骨が渡来系弥生人に近いことが示された。これを踏まえて、その他の特徴においてもこの人骨に渡来系弥生人的な形質が認められるかどうかに主眼を置き、詳細な計測値および非計測的形質の記録を頭蓋骨、乳歯について行なった。また札幌医科大学、東北歴史資料館、東京大学、国立科学博物館、国立歴史民俗博物館、及び京都大学で比較対象となる縄文・弥生時代幼児人骨の計測、X線規格写真撮影等を行い、比較資料を収集した。その結果、眼窩ならびに鼻根部の形態および乳歯の非計測的な形質の一部に弥生人的な要素がみられることを確認し、弥生時代中期に、既に東北地方に縄文人以外の形質を持つ人々が流入していた可能性が示唆された。昨年11月に筑波大学で開催された第51回日本人類学会大会で、これまでの研究結果を「岩手県アバクチ洞穴遺跡出土弥生時代幼児人骨の形態学的検討」として発表した。来年度は縄文人と弥生人とでは四肢骨のプロポーションが違うとされていることから、アバクチ幼児人骨の四肢骨の計測を行ない、どの様な四肢のプロポーションを示したのかを明らかにする。また、顎骨内から摘出された形成途上の永久歯に関して、既知の縄文・弥生人の同様の幼若永久歯を用い、咬耗が進行した成人人骨の永久歯とは異なる視点からの比較を試みる。最終的に2年間で得られたデータの更なる統計学的検討を行う。
著者
鈴木敏夫編
出版者
大修館書店
巻号頁・発行日
1977
著者
山田 美砂子 鈴木 敏子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.13, 2011

【研究の目的】 2009年改訂の高等学校学習指導要領では、必修家庭科に「共生社会と福祉」という項目が設けられた。家庭科において家族や地域社会などで、多様な人たちが共に助け合って生きていくという「人と人との関係性」がより強調されるようになったと思われる。本研究対象の高校生はその成長過程で、生活上の困難さや孤立感を味わいながら成長してきている。障害者としての彼らは「共生社会や福祉」という言葉を、「健常者とは違う自分たち」が健常者と言われる人たちから支援を受けるという面から受け止めてきた。多様な人たちが共に支え合う「共生社会」とはどのような社会か。「福祉」といわれる用語の中に込められた本来の意味は何か。支援を受け続けてきた当事者からの視点で、生徒と共に「共生社会や福祉」の意味を見直したい。題材として「子どもを生み育てる」授業の中で、「児童虐待」「赤ちゃんポスト」に関する報道を取り上げ、彼らと共にその意味を考える授業を構築することを目的とする。<BR>【研究方法】 授業実践校では必修家庭科は「家庭基礎」を各学年1単位ずつの計3単位行っている。現在、改訂学習指導要領の「共生社会と福祉」の視点から各学年のカリキュラムを作りつつある。本報告は2010年度の3年生(12名)の後半に行った「『子どもを生み育てる』ことの意義を考える授業」である。<BR>・題材として「児童虐待」と「赤ちゃんポスト」に関する以下の3点の報道を取り上げた。(1)児童相談所の児童虐待相談対応件数の推移(厚生労働省発表)の新聞報道(朝日新聞2010年7月28日)、(2)2010年7月末に発覚した「大阪の2児放置死事件」報道(朝日新聞2010年8月22日)、(3)熊本の慈恵病院の「赤ちゃんポスト」の番組「アレ今どうなった?」(NHK2009年6月1日深夜)<BR>・新聞記事やテレビ番組のビデオを見ながら自由に討論させ、出された意見を記録し論点をまとめていく。「赤ちゃんポスト」についての授業では、Y国立大学生10名が参加し意見を交換した。<BR>【研究の結果】 (1)の虐待相談対応件数の推移では、望まない妊娠や育児放棄など、親となることに責任を持てない大人達を批判する意見が多く出された。(2)の「大阪での2児放置死事件」の報道に対しては、初めは母親としての無責任さを痛烈に批判する意見が出されたが、一面的な批判に終わらせないために論点を次の3つに絞り話し合わせた。1.若くして子どもを生むことについて、2.母親だから責任を持てということについて、3.離婚し育児は母親一人が背負うことについて、である。ポイントを整理することによって、母親の状況を考える視点が出てきた。3の離婚することによる母親の負担に関しては、多様な家庭背景を持つ生徒たちから様々な意見が出された。(3)の「赤ちゃんポスト」についてのまとめの授業では、聾高校生と大学生に「設置に賛成か反対か」を敢えて決めさせ、意見を発表させた。聾高校生は賛成・反対が全く半数ずつに分かれたが、大学生は賛成:反対が9:1であった。賛成者の意見は、設置によって子どもの命が救われるからということであったが、聾高校生の反対の意見は親に捨てられてしまう子どもの気持ちが考えられていないと言うものであった。これまで設置の賛否が論じられるとき、子どもからの視点、特に「困難な子育て」状況に置かれてきた当事者の視点から考えられることは少なかった。困難な成長過程を経験してきた生徒達の発言にはその視点があった。この授業を経て障害者として感じてきた18年間の思いを「自分史」という形で綴らせた。一般社会の中で共に歩むことへの疑問を感じながら、生徒達は障害者も含めた多様な人たちが共に支え合う「共生社会」への構想を描きつつある。さらに実践を重ね生徒と共に目指すべき「共生社会」の意味を探っていきたい。