著者
鈴木 敏正
出版者
日本環境教育学会
雑誌
環境教育 = Environmental education (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.29-40, 2010-03-31

Adult and Community Education is the practice to support and organize the activities of self-directed education for widening and deepening cultural reasons based on real life. It is composed of enjoying human culture and learning of living/environment, act/cooperation, production/distribution, and self-governing/policy. Environmental Education is to promote living/environment learning as learning to be, and to form Environmental Reason, through realizing the mutual relationship between human individuals and their environment.   Environmental Education has to be based on the theory of 'Conscientization' proposed by Paulo Freire, and 'Learning Network' proposed by Ivan Illich. It is real as Community Development Education that needs Illich's ideas of Conviviality, Subsistence and Commons, and Freire's Ideas for 'Pedagogy of Hope' However, if we are to regenerate those theories and ideas in Environmental Education, we must critically analyze them and clarify their meanings and limits.   The article will discuss, firstly, Illich's criticism against modern technique and institution, and Freire's understandings of human praxis, secondly, Freire's pedagogy towards environmental education, thirdly, Illich's idea of Learning Network towards Education for Sustainable Community Development Education (ESCD). Lastly, it will propose Community Environmental Education (CEE) to structurize the learnings (1) to conscientize nature, (2) to self-conscientize one's own life, (3) to realize the relationship between nature and human being, and (4) to empower the people by themselves for regenerating the environment.
著者
鈴木 敏紀
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.207-229, 1996

貨幣の諸機能については,マルクスが『資本論』 において価値尺度,流通手段,蓄蔵手段,支払手段,世界貨幣という順でかなり詳細に分析している。マルクス経済学においては,この貨幣機能論が基本をなしている。しかしこの貨幣機能論の解釈は必ずしも一致して理解されているわけではない。例えば,世界貨幣は貨幣機能の範疇に入るものなのかどうか。また蓄蔵手段の機能から支払手段の機能への機能的発展はどのような論理内容で展開されなければならないのか。価値と価格との乖離の問題と貨幣の機能との矛盾はどのような論理で解決されるべきか。そもそも貨幣とは何か。これらの諸問題に対して多くの研究がなされてきたのであるが,岩井克人の 『貨幣論』 はこれまでの研究の成果に非論理的で非科学的な見過ごすことのできない論理をもってマルクス貨幣論を批判している。岩井は価値形態論における貨幣の必然性についても貨幣機能論においても「宙吊りの無限の循環論法」なる論法でマルクスの貨幣の必然性と貨幣の機能論とを一刀両断しているのであるが,岩井が循環論的貨幣機能論を展開すればするだけ,その非論理性と非実証性が明らかになるのである。本論文は,マルクス貨幣論が基本的に正しいことを追加的な概念装置を使って論証することを目的とする。貨幣機能の追加的概念装置とは,価値実現手段としての貨幣,使用価値実現手段としての貨幣,価値擬制手段としての貨幣および「信用の二重性」である。とくに「信用の二重性」とは,「本来的信用」と「擬制的信用」という信用の二重構造を意味する。「本来的信用」とは,貸付信用,商業信用,及び銀行信用における信用を実体とするものであり,その形態は商業手形およびそれから発展した「究換銀行券」を含む「信用貨幣」である。「擬制的信用」とは,国家の「法の支配」による「法的権威」を信用の実体とする「権威的信用」であり,その形態は「不換紙幣」であるところの「不換銀行券」と「政府紙幣」である。岩井が強調する「薄汚れた紙切れ」であるこの「不換紙幣」が永続的に流通する「秘密」を解くカギは,「宙吊りの無限の循環論法」が錯綜する宇宙にあるのではなく,「信用の二重性」が錯綜する現実の場に隠されているのである。本論文はこれを明らかにする。Karl Marx analyzed the functions of money in his "Das Kapital" in great detail. They are measure of money, means of circulation, means of hoard, means of payment, and world money. Marxist economics is based on this theroy of money. But we have some interpretations of this theory of money. For example, is world money included or not in the category of functions of money? What is the logic of the development that means of hoard switch over to means of payment? What is the logic which solves the contradictions that price estranges itself from value? What on earth is money? We have the outcome of many years of the study. But Katsuhito Iwai critisises the Marxist theory of money with his preposterous logic that we cannot pass over. Iwai cuts the necessity of money in the forms of value and the functions of money in hanging in two with a single stroke of the sword with the logic of "infinite circular argument hanging in midair"; however, his logic is not logicaly and positive definitely. The purpose of this paper is to demonstrate with the device of added conceptions that Marxist theory of money is correct basically. The added conceptions are means of realization of value, means of realization of value of use , means of fiction of value, and duality of credit. The last conception i. e. duality of credit means dual struture of credit in which "primary credit" and "fictitious credit" exist. Primary credit means the credit which is based on the relations of credit. The money which circulates in the place of the relations of credit is "credit money" which have developed from commercial papers. Fictitious credit means "authoritative credit" which is based on the credit of "a legal authority" which originates from "the cotrol of the law" by the state. The money which circulates in the place of the relations with "authoritative credit" is "inconvertible notes" which are represented by inconvertible notes of bank and notes of government. The key to the solution of the "secrecy" that the inconvertible notes which are "filthy papers" emphasized by Iwai circulate perpetually does not exist in the space of "infinite circular argument hanging in midair", but in the real place of "duality of credit".
著者
多田 耕太郎 小泉 亮輔 寺島 晃也 中村 優 鈴木 敏郎 鈴木 敏郎
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.167-174, 2012-12-14
被引用文献数
1

豆乳生産時の副産物であるオカラを添加して冷凍ソーセージの解凍後の品質評価を行った。塩漬肉の5,10および15%をオカラで置換した冷凍ソーセージを製造し,その解凍後の品質を検討した。すなわち,真空包装したソーセージを-20℃で7日間冷凍保存した後に解凍した。その結果,オカラ無添加のソーセージは冷解凍後に多量のドリップ流出がみられたのに対し,オカラを添加したソーセージは冷解凍後のドリップ流出が顕著に抑制され,歩留まりが向上した。さらに冷解凍後にオカラ無添加ソーセージのテクスチャーは顕著に低下したが,オカラを10%まで添加することにより低下が抑制された。官能評価では,オカラ無添加の冷凍ソーセージは低評価になったのに対し,オカラ10%添加の冷凍ソーセージはオカラ無添加の非冷凍ソーセージと同等の高評価を得た。オカラを15%添加したソーセージは冷凍の有無にかかわらず官能評価は低かった。これらのことから,冷凍ソーセージにオカラを添加することで食物繊維を含有させ,保水性を向上させることができた。また,10%程度のオカラ添加が良好な品質を備えた冷凍ソーセージを加工する上で適当であることが明らかになった。
著者
鈴木 敏 安藤 広志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1291-1300, 1996-07-25
被引用文献数
11

本論文では2次元射影像のみから複数の3次元物体の認識・類別を行う神経回路モデルを提案する. 本モデルは複数のモジュールからなり, モジュール間で競合を行いながらそれぞれのモジュールで入力射影像の圧縮・復元を学習する. その結果, 各モジュールはそれぞれ一つの物体の射影像のみを復元できるようになり, その復元精度から物体の類別を行うことが可能となる. この過程では物体のラベル等の教師信号は不要である. 更に, 本モデルでは入力特徴を限定していない. すなわち, 入力情報を画像濃淡値としても, 各特徴点の座標としても同様のネットワーク構造で扱うことができる. 本論文では本モデルの詳細を説明すると共に, 計算機実験の結果も併せて提示する. この実験結果は, 視点方向によらない3次元物体の認識が教師信号なしに可能であり, 各モジュールの内部表現 (圧縮表現) は視点方向に等価であることを示している. これは2次元情報のみからの3次元情報の推定を意味している. また, 脳内の神経結合と比較して, 情報の圧縮・復元過程は二つの視覚領野間の双方向結合に, モジュール間の競合は視覚領野内の水平方向の結合に対応づけて考えることができる.
著者
鈴木 敏和
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1202, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】現在日本国では平均在院日数の短縮に伴い,退院後の管理を担う地域リハビリテーションが注目されるようになってきた。2011年4月に日本理学療法士協会が行った「日本理学療法士協会会員所属施設調査」では,介護保険施設所属会員は,医療施設所属会員の75%に対し,12%と非常に少なかった。日本理学療法士協会では,今後増加すると思われる多くの資格取得者の活躍の場として,地域リハビリテーション分野が注目されるようになったのだが,H24年度末に厚生労働省により行われた介護保険施設へのアンケート調査では,機能訓練指導員(理学療法士等)の確保が,非常に困難であるとの調査結果が出されており,理学療法士の介護保険施設への就職意欲の低さが伺える結果となっている。H24年,本研究者は介護保険施設への就職動機を調査するため,研究者の所属する法人内の介護保険施設所属理学療法士に対しアンケート調査を行い,要因分析を行った。結果は,“自分をスキルアップできる場所”として介護保険施設を選んだ要因が大きいことが明らかとなった。しかし,前回の調査は法人の特色に大きく作用された可能性が高く,介護保険施設への就職動機の要因分析には不確実性があった。今回,より広範囲の施設に協力をお願いし,再調査を行うことにより,再度介護保険施設への就職動機の分析を行った。【方法】介護保険施設に就職した理学療法士を対象に,アンケート調査を行った。対象には,新卒,中途採用を問わなかったが,経営者となる者と主な収入源が介護保険施設以外にある者は,対象外とした。公募及び回答は,研究者所属法人のホームページ上にて行い,所属施設情報,介護保険施設への就職動機を自由記載として回答をいただいた。但し所属情報に関しては,介護保険施設就職者としての同意を頂き,施設名の回答は自由意志とした。アンケート結果は,介護保険施設就職動機を計量テキスト分析ソフトKHcoder(Ver2.beta.29e)にて,計量テキスト分析を行い,10回以上出現するワードを就職要因に関する項目として判別した。但し,量の多さと動機の強さとの因果関係は証明されていないため,本調査では動機としての要因として,考えられるか否かを判断した。【倫理的配慮】本調査研究は,医療法人社団新和会倫理委員会の定める倫理規定に則り,同倫理委員会より承認を受け,対象者には書面をもって説明し,署名にて同意を得た。また説明を必要とする者には,相談窓口を設置し対応した。【結果】介護保険施設就職者のアンケート回答者は46名(有効回答率93%)であった。所属施設数は自由回答であり,不明となっている。介護保険施設就職動機を計量分析した結果,要因ワードは“地域リハビリテーション”“地域医療”“退院後”等「地域リハビリテーションに関する要因」,“産休”“休暇・休日”“勤務時間”等の「福利厚生に関する要因」,そして「中間ワード」の3つに大別された。また,個別の分析ワードは,中間ワードと,どちらか一方の要因に全て含まれていた。【考察】今回の調査では,前回の調査で就職動機要因としてあげた「スキルアップ」とは異なる結果となった。前回は法人の特色が顕著に出た結果で,今回の調査が広範囲の施設を対象にした事により,介護保険施設全体の標準データに近づいたと考えられる。今回の調査結果は,非常に綺麗に二分された。更に,両方の要因を含む回答者が無かった事は,どちらか一方に偏った動機で就職先を決定していると考えられた。一方は,退院後の地域リハビリテーションの必要性を感じ,自分が携わりたいと思う要因。もう一方は,福利厚生面が就職するにあたり自分の希望に即しているという点が要因にあげられた。今後,介護保険施設への就職動機を高める為には,地域リハビリテーションの必要性のアピールと福利厚生面の充実が効果的と考えられる。今回の調査では明らかにできないが,調査結果は,年齢(経験年数),性別の要因も関与していると考えられ,今後必要に応じては,この要素を含めた調査も必要となる可能性も示唆された。【研究意義】今回,調査範囲を広げた事により,より標準的な結果を得る事ができたと考えている。今回得られた結果を,有効にアピール,活用する事により,機能訓練指導員が不足していると言われる介護保険施設への就職促進効果を期待していきたい。
著者
京泉 秀明 伊藤 光哉 山田 純嗣 鈴木 敏光 久光 久
出版者
特定非営利法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.639-647, 2008-12-31
被引用文献数
1

レジンセメントで合着したコンポジットレジンインレーの物理的性質や審美性を改善するため,フロアブルレジンの合着材としての可能性について検討している.本研究の目的は,フロアブルレジンの被膜厚さおよびインレーを通過した照射光によるフロアブルレジンの重合状態について検討することにある.試験材料として11種類のフロアブルレジン,1種類のラミネートベニア合着用レジンおよび比較材料として1種類のレジンセメントを使用した.各材料を2枚のガラス板の間に挟み,3種類の温度環境下(4,23,37℃)においてそれぞれ150Nで10分間加圧した.光照射後,材料の被膜厚さを測定した.また,接着材料の厚みも弱圧(0.05MPa)および強圧(0.10MPa)によるエアーブロー後,光照射し,それぞれ測定した.フロアブルレジンの重合状態は,0から5mmまでの厚みのコンポジットレジンインレーブロックを通して40秒間光照射した試験材料の表面硬さを測定することにより評価した.その結果,次の結論を得た.1.環境温度が上がると試験材料の被膜厚さは低下する傾向が認められた.2.試験材料の被膜厚さと強圧でエアーブローした接着材料の厚みの合計は,37℃において1種類のフロアブルレジンを除くすべての材料で合着用セメントの規格である25μm以下を満たしていた.3.コンポジットレジンインレーの厚みが2mmを超えると,試験材料の表面硬さが次第に減少する傾向が認められた.
著者
鈴木 敏和
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満は不妊の一要因である。本研究では、高脂肪食マウス肥満モデルにおける雄性不妊の機構を解析した。また、雄性不妊の改善に効果が期待されている栄養素L-カルニチンの効果についても調べた。肥満に伴って、精子運動能の低下と交配させた雌マウスの妊娠率の低下が見られた。L-カルニチンによる肥満雄マウスの妊孕能改善はみられなかった。精巣上体尾部の遺伝子発現解析の結果、肥満マウスでは精子成熟の過程でDNA損傷が引き起こされていること、その一部にpiRNAが関与していることが示唆さされた。
著者
田中 一朗 戸田 保幸 松村 清重 鈴木 敏夫
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

船首尾部で発生する3次元剥離の発生機構及びその船型要素との関係を明らかにするとともに、これらの影響を考慮した船体まわりの流場、船体に働く流体力の計算法を開発することを目的とする。以下に調査法とその結果について述べる。1.通常船型を横断面積分布、偏平度分布、へこみ度分布を用いて表し、この船体が斜航する場合の流場の計算法を示した。この結果、剥離渦の強さ及び剥離線はへこみ度分布に強く依存することがわかった。2.上記計算法には剥離渦の発生初期の形状を必要とする。これを得るために、剥離渦を伴う円錐まわりの自己相似流場について調査し、剥離線近傍の剥離渦の形状を摂動法により求めた。この解はレイノルズ数が無限大の時に起きる剥離構造を示すことがわかった。しかし、この解析解は渦の端が無限遠方で渦の巻き込みを表せないため、この解を元に渦の局所的流速を用いて解を大局化させる反復法による計算法を示した。この結果、渦層は円錐からあまり離れず、有限レイノルズ数の渦層形状とはかなり異ることが明らかとなった。3.厚い境界層理論と簡易プロペラ理論を用いてプロペラ作動時の実用船型まわりの流場の計算法を開発した。その結果、プロペラ作動時においても計算結果は実験結果とよい一致を示すことがわかり、また、プロペラ作動時の方が船体表面圧力分布に及ぼす粘性影響が小さいことがわかった。また船体横断面形状をフレアーを持つように変形することで粘性圧力抵抗が軽減されることがわかった。4.船首砕波する流場を低フルード数という仮定で解析的に求めた。その結果、渦を伴っていない局所波は実験で得た波形によく似た形状となることがわかった。
著者
鈴木 敏正 大沼 義彦 宮崎 隆 椎名 恒 木村 純 YOSHIHIKO Ohnuma シャナハン ピーター クィールド ジョン
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

いわゆる「第三の道」をめざしてヨーロッパ諸国の生涯学習政策は、社会的排除を克服し社会的結合を推進しようとし、とくに辺境地域におけるプロジェクトを強化している。本協同研究では、ヨーロッパと日本の辺境である北アイルランドと北海道を対象とした実証的研究をとおして、「社会的に排除された人々とともにある教育」としての「地域社会発展教育または地域づくり教育community development education」の実態と課題を明らかにした。第1に、現段階の日英両国における生涯学習政策の比較検討とイギリス・北アイルランドにおけるその展開、革新的な地域社会教育の国際的・歴史的発展と諸モデル、成人教育の資源としての「社会的資本social capital」の役割を明らかにし、新たなモデルとしての「エンパワーメントのための地域社会発展教育」を提起した。第2に、北アイルランドを中心として、アイルランド北西部で展開されている地域社会発展とそれにかかわる成人教育の実践分析をした。それは、地域社会とアルスター大学のパートナーシップ活動、コミュニティケア、「社会的経済」、女性グループ活動、内発的スポーツ、農村地域社会発展、ヨーロッパ11大学協同による地域活動家・関連諸専門職の教育訓練プロジェクト、の諸領域にわたる。第3に、上記と比較した北海道における地域調査研究であり、不安定就労者・失業者の統計的検討、労働者協同組合活動、市民演劇活動とくに対人関係職員・労働者に対するワークショップ、および市民活動としての環境保護運動の展開過程の分析、そして地域づくりにかかわる大学の役割の解明をした。