著者
長谷川 正哉
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.17-23, 2016-03-31 (Released:2018-02-16)

靴は地面と足を隔てる外的環境であり、杖や装具よりも使用頻度が高い日用品である。また、 靴は立位や歩行に影響をおよぼすことから、それらを介入対象としてあつかう理学療法士は靴に関する知識を持つ必要がある。本稿では高齢者の足部機能を補助する一般的な靴についてふれ、靴の選択方法および環境設定、着用方法について概説した。 高齢者に対し「歩行」を目的とした靴を選ぶ際にはヒール、ソール、アッパー部分の構造を確認する必要がある。一方、高齢者では靴の着脱動作が困難な場合があり、また、靴の選択基準として靴着脱の容易さや足当たりを重視するため、オーバーサイズの靴を選択する傾向がある。 そのため、理学療法士は足と靴に関する知識を持ち、足部評価、着脱動作を容易にする環境設定、足と靴に対する情報提供、靴の着用指導を行う必要がある。
著者
宮下 広大 金井 秀作 長谷川 正哉 積山 和加子 高宮 尚美
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0655, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】患者の動作・運動指導において言語教示の重要性が唱えられている一方で,運動を促す際の指導者と学習者の言語認識の一貫性については,今日のリハビリテーション分野での研究は十分であるとは言えない状況にある。そこで,本研究では異なる言語表現が筋収縮に与える影響と言語を用いた筋収縮感覚を他者と共有可能であるか調査する。【方法】健常男性12名を対象とした。2人1組とし両者をフィットネスチューブの両端を把持した状態で向き合わせ,言語教示を提示し,肘関節屈曲運動を5秒間行う牽引側,閉眼にて開始肢位を保つ受け手側とした。教示内容は形容詞表現「速く・強く」,「遅く・強く」,擬態語表現「びゅんっと」,「ぎゅーっと」,比喩的表現「綱引きでピストルの合図と同時に綱を引くように(以下,綱引き)」,「何とか持ち上がるくらいの重いダンベルを手前に引くように(以下,ダンベル)」の6種類とした。各施行終了後,速度・強度を(Visual analogue scale:VAS)を用いて主観的感覚を調査した。また受け手側には9種類の教示を提示し,筋運動感覚から牽引側の教示内容を予測させた。なお,表面筋電図の測定は右上腕二頭筋,右上腕三頭筋長頭,右上腕三頭筋外側頭とした。統計解析は,各教示間における筋出力の比較にKruskal-Wallis testを用いた。有意差を認めた場合にSteel-Dwass testによる多重比較を行った。比較する際の教示は受け手側の予測に合わせて牽引側,受け手側それぞれ行った。【結果】受け手が回答した予測教示について,一致した正答率は「綱引き」の67%が最も高く,対照的に「びゅんっと」の25%が最も低かった。各教示間のVAS速度,VAS強度,上腕二頭筋平均振幅の牽引側においては,VAS速度で各教示間に多くの有意差が認められたが,VAS強度において,有意差は認められなかった。また,客観的指標である上腕二頭筋平均振幅においては,「遅く強く」「綱引き」間,「ぎゅーっと」「綱引き」間でのみ有意差が認められた(p<0.01,p<0.05)。受け手側においては,VAS速度に,「びゅんっと」「綱引き」間,「びゅんっと」「ダンベル」間を除き,牽引側と同様の有意差が認められた。VAS強度においては,形容詞・擬態語間,擬態語・比喩間に有意差が認められたが,形容詞・比喩間で有意差は認められなかった。上腕二頭筋平均振幅においては,「綱引き」「ダンベル」間で有意差が認められた(p<0.05)。【結論】治療意図による言語の使い分けの必要性が示唆された。また適切な比喩的表現は牽引側,受け手側,両者にとって最も統一した筋収縮活動を起こした。このことから,運動指導を担う理学療法士には他者と共有しうる多彩な比喩表現の必要性が示唆された。
著者
長谷川 正哉 島谷 康司 金井 秀作 沖 貞明 清水 ミシェルアイズマン 六車 晶子 大塚 彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.437-441, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
32
被引用文献数
6 2

〔目的〕浮き趾が歩行中の足底圧に与える影響について調べることを目的とした。〔対象〕健常成人女性104名に対し静止立位時の足趾接地状態の評価を行った結果から,浮き趾群20名および完全接地群15名を実験対象として抽出した。〔方法〕浮き趾群および完全接地群に対し歩行中の足底圧の計測を行い,足趾および前足部の荷重量,足底圧軌跡の軌跡長を抽出し比較検討した。また軌跡の特徴を分類し比較検討した。〔結果〕完全接地群と比較し浮き趾群では,足底圧軌跡長,足趾荷重量が小さく,足底圧軌跡が足趾まで到達しないことが確認された。〔結語〕浮き趾群では足趾による安定した支持基底面の形成ができず,歩行中の重心の前方移動が困難であること,および中足骨頭部に荷重が集中し,足部のアライメント異常につながる可能性があることが示唆された。
著者
長谷川 正哉 金井 秀作 清水 ミシェルアイズマン 島谷 康司 田中 聡 沖 貞明 大塚 彰
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.75-80, 2007-03-22 (Released:2010-09-09)
参考文献数
29
被引用文献数
5

靴着用が原因と考えられる扁平足、外反母趾等の障害が増加している。これら足部障害の予防には、靴等の環境要因の改善および足部内在筋強化等の身体要因の改善が重要である。本研究では履物着用中の歩行が足部に及ぼす影響について調査し、その中で下駄着用歩行の有効性について検討する事を目的とした。実験は裸足、靴着用、下駄着用の3条件とし、足趾MP関節運動及び内側縦アーチの動態を計測した。関節角度の計測には三次元動作解析装置であるOxford Metrics社製VICON512を用いた。結果、裸足と比較して靴着用中におけるMP関節運動範囲、Arch運動範囲が有意に減少した。また、靴着用中と比較して下駄着用時にはMP関節運動範囲、Arch運動範囲が改善する傾向が認められた。足趾の積極的な使用が足部障害発生予防に有効であると報告されており、下駄着用による歩行の有効性が示唆された。
著者
長谷川 正木
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.102-108, 1970-02-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
37
被引用文献数
1

最近,光化学反応に関する基礎面での活発な研究に伴い,それらを利用した数々の感光性樹脂が開発されている。光重合の一般的性質,種々の開始系についてカルボニル化合物を中心に述べ,さらに最近見出された結晶状態での一連の光重合反応を概説した。最後に光重合の応用例のいくつかについて述べた。光重合による硬化はかなり厚みのあるものまで行なえるので,レリーフ型の画像を形成させることも可能で,現在,印刷用凸版材料などとしての用途が注目されている。レリーフ型感光性樹脂の二三について,おもに組成,反応性の面
著者
佐藤 俊明 長谷川 正幸
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
vol.414, pp.55-69, 1990-08-30 (Released:2017-12-25)
被引用文献数
1 1

This paper presents a new method to calculate theoretical seismograms for earth structures considering the layered strata and local soil conditions surrounding an observation point. The reciprocal relationship of Green's functions is employed in the formulation, and the Green's functions are obtained in the frequency domain by combining of the three-dimensional thin layer elements developed by Waas, Kausel and Tajimi and the axisymmetric finite elements. The results in the time domain are obtained by the FFT algorithm. Therefore, the proposed method is called the thin layer finite element (TLFE) method in this paper. The accuracy of this method is examined by comparing its results with wavenumber integral solutions for a buried point source in an elastic halfspace. As a numerical example, theoretical seismograms on the idealized sedimentary basin model are calculated in order to illustrate the effect of local soil conditions surrounding the observation point.
著者
森田 明理 新谷 洋一 長谷川 正規 加藤 正也 西尾 栄一 細川 裕子 辻 卓夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.1229-1236, 2001-07-20 (Released:2014-12-27)

Narrow-band UVBは,311 nmにピークを持つきわめて狭い波長(311±2 nm)の紫外線光源であり,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎などにヨーロッパでは一般的に用いられている.乾癬でbroad-band UVB療法より優れ,PUVA療法とはほぼ同等とされる.今回,明らかにステロイド外用,ビタミンD外用で皮疹のコントロールのできない難治な尋常性乾癬23名(平均PASI 28.6)を対象としてnarrow-band UVB療法を行った.Narrow-bandUVB療法には,TL 01ランプ10本装着したM-DMR-LH型を使用した.照射率の測定はIL 1700を用いた.照射方法は,ヨーロッパで一般的に用いられているstandard regimenを用い,入院では週に5回,外来では週に3回の照射を行った.治療終了時の皮疹評価は,寛解15例,改善4例,やや軽快1例であり,寛解導入率65.2%,改善以上は82.6%であった.また,3例では,増量に伴うケブネル現象がみられたため,増量が難しく,不変もしくは悪化し中止とした.それ以外,水疱などの高度の急性副作用を起こすことなく照射が可能であった.
著者
海野 宏至 長谷川 正裕 鈴木 慶亮 松井 佑梨世 湏藤 啓広 今中(吉田) 恭子 吉田 利通
出版者
日本関節病学会
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.131-136, 2016 (Released:2017-07-31)
参考文献数
16

Objective: Tenascin-C (TNC) is an extracellular matrix glycoprotein. In this study, we examined the effects of full-length TNC on joint cartilage protection in murine osteoarthritis (OA) models and on synovial inflammation in OA joints. In addition, we performed an in vitro study to reveal the mechanism of repairing cartilage using full-length TNC.Methods: In this in vivo study, fourteen male BALB/c strain mice (8-weeks-old) were used. Both knee joints were exposed and the anterior cruciate ligament and medial collateral ligament were transected. 10 μg/mL of TNC were injected into the knee joint (group Ⅰ). The control group had injection of phosphate buffered saline (PBS) (group Ⅱ). Mice were sacrificed at 4 days, 2 weeks, and 4 weeks postoperatively. Cartilage was evaluated using the Mankin score, and synovitis was evaluated using the Synovitis score. An in vitro study was also performed on human cartilage specimens, which were obtained from patients who underwent total knee arthroplasty for the treatment of OA. Chondrocytes were isolated and cultured, and they were treated with 0, 1, or 10 μg/mL of TNC. We also compared the expression of many kinds of messenger RNA after exposure at each dose by real-time polymerase chain reaction. We evaluated the expression of TNC, inflammatory cytokines [TNF-α, IL-1β, NFκB], anabolic factors [TGFβ, TIMP3, bFGF], and catabolic factors [ADAMTS-4, -5, and MMP-3, -13].Results: With the in vivo study, the average Mankin scores were significantly better in group Ⅰ than group Ⅱ at 4 weeks (group Ⅰ; 1.1, group Ⅱ; 3.2 (P<0.05)). At 4 days and 2 weeks, no development of OA was found in either of the two groups. Low-grade synovitis occurred in both groups at 4 days, 2 weeks, and 4 weeks. There were no significant differences in average synovitis scores between two groups at 4 days, 2 weeks, and 4 weeks. The in vitro study revealed that TNC upregulated the expression of endogenous TNC, TNFα, IL-1β, NFκB, TGFβ, TIMP3 and ADAMTS-4, MMP-3, and MMP-13. But 10 μg/mL of TNC downregulated the expression of ADAMTS-5.Conclusion: This study has demonstrated that 10 μg/mL of full-length TNC can prevent articular cartilage degeneration for 4 weeks without promoting synovitis. The in vitro study demonstrated that TNC upregulates itself and anabolic factors. However, TNC also downregulated the expression of ADAMTS-5 which contributed to cartilage degradation.
著者
長谷川 正哉 金井 秀作 島谷 康司 大田尾 浩 小野 武也 沖 貞明 大塚 彰 田中 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101851, 2013

【はじめに,目的】転倒予防や足部障害の発生予防,パフォーマンスの維持・向上には適切な靴選びが重要である.一般的な靴選びは,まず自覚する足長や靴のサイズに基づき靴を選び,着用感により最終的な判断を行うものと考える.しかし,加齢による足部形態の変化や過去の靴着用経験などから,着用者が自身の足長を正確に把握していない可能性が推測される.また,靴の選択基準はサイズや着用感以外にも,デザイン,着脱のしやすさ,変形や疼痛の有無など様々であることから,自覚している靴サイズと実際の着用サイズが異なる可能性が考えられる.そこで,本研究では地域在住の中高齢者を対象とし,自覚する靴サイズおよび実際に着用している靴サイズ,足長や足幅の実測値から抽出したJIS規格による靴の適正サイズを調査し,比較検討することを目的とした.【方法】独歩可能な中高齢者68名(男性20名,女性48名,平均年齢64.0±6.5歳)を対象とした.調査項目は左右の足長および足幅の実測値,足幅/足長の比率,実測値を基に抽出したJIS規格による左右別の適正サイズ,2Eや3Eなどで表わされる適正ウィズ,自覚する靴サイズ(以下,自覚サイズ),および現在着用中の靴の表示サイズ(以下,着用サイズ)とした.なお,各項目間の比較にはフリードマン検定およびScheffe法による多重比較を行い,統計学的有意水準は5%とした.また,自覚サイズと着用サイズの一致率,適正サイズと着用サイズの一致率,および適正サイズおよび適正ウィズの左右の一致率を求めた.【倫理的配慮、説明と同意】実験前に書面と口頭による実験概要の説明を行い,同意と署名を得た後に実験を実施した.なお,本研究は全てヘルシンキ宣言に基づいて実施した.【結果】左右足型の実測値は右足足長22.6cm (21.8-23.85),左足足長22.7cm (21.75-23.7),右足足幅9.5cm (9.0-9.9),左足足幅9.3cm (8.9-9.9)であり,足幅/足長比率は右足41.5%(39.8 -42.5),左足41.0%(39.5-42.6)であった.また, JIS規格により抽出した右足適正サイズは22.5cm (22.0-24.0),左足適正サイズ22.5cm (21.5-23.5)であったのに対し,自覚サイズは23.5cm(22.5-24.5),着用サイズは23.5cm (23.0-25.0)となった(結果は全て中央値および四分位範囲).着用サイズおよび自覚サイズと比較し左右適正サイズ(p<0.001),左右足長実測値は(p<0.001)は有意に小さい結果となった.次に各項目の一致率について,まず自覚サイズと着用サイズの一致率は37%であり,被験者の63%は自身で認識する足サイズとは異なる靴サイズを選択し着用していた.また同様に,右足適正サイズと着用サイズの一致率は7%,左足適正サイズと着用サイズの一致率は4%と極めて低い結果となった.なお,適正サイズの左右の一致率は52%であり,これに適正ウィズの結果をふまえた場合,左右の靴の一致率は4%に低下した.【考察】中高齢者が実際に着用している靴サイズおよび自覚する足のサイズは,JIS規格に基づく適正サイズや足長の実測値より大きいことが確認された.また,自覚サイズと着用サイズ,適正サイズと着用サイズの一致率が極めて低く,中高齢者では自身の足の大きさを自覚していないだけではなく,自覚する足サイズに基づく靴選びをしていないものと考えられた.中高齢者の靴の選択基準には装着感や着脱の容易さ,デザインなど複数の要因が関与することが過去に報告されており,本研究でもこれらが影響した可能性が示唆される.次に,実測値から抽出した左右の靴適正サイズの一致率が極めて低いことが確認された.これは,左右同一サイズの靴を購入した場合,いずれか一方の靴が足と適合しないことを意味している.先行研究により靴の固定性の低下が動作時の不安定性や靴内での足のすべりを増加させ運動パフォーマンスの低下を引き起こすことが報告されており,靴の不適合が中高齢者の転倒リスクを増加させる可能性が示唆された。これらの靴の不適合に対し,靴内部での補正や靴紐などによるウィズの調整,片足づつ販売する靴を選択するなどの対応が必要になるものと考える.また,本研究の被験者の多くが自身の足サイズについて適切に認識しておらず,正しい評価や知識に基づく靴選びが重要と考える.【理学療法学研究としての意義】適切な靴の選択は転倒予防や障害発生予防,パフォーマンスの維持・向上を考える際に重要である.また,インソールの処方時や内部障害者のフットケアなどの場面では適切な靴の着用が原則となる.そのため理学療法士は対象者の足型と靴のフィッティングについて理解を深め,適切な靴の着用について啓発していく必要がある.
著者
原田 和雄 松川 正樹 吉野 正巳 犀川 政稔 佐藤 公法 林 慶一 長谷川 正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.316-330, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
24

The research activities that scientists perform routinely were analyzed and divided into stages. The research process of inquiry-based science in school was developed on the basis of the results of the analysis of scientists’ research activities. Two possible approaches were considered in the research process of inquiry-based science. Pathway 1 starts from the first stage of the inquiry-based science, which is the stage of having interest, curiosity or questioning. Pathway 2 starts just from the stage of defining the problem after presentation of a problem to students from a teacher or an advisor. Pathways 1 and 2 are the same after the problem defining stage, because a concrete inquiry activity starts after defining the problem. The main stages after defining the problem are developing a strategy for problem solving, observations or experiments, summarization of results, discussion and reaching conclusion. The scientific ability to be developed at each stage of the inquiry-based science was defined on the basis of the activities of researchers at the corresponding stage of scientific research. The activity at each stage was analyzed and defined as “Science Activity” and “Remarks on the Activity” and the results were summarized.
著者
桜井 英幸 高橋 満弘 鈴木 義行 清原 浩樹 斉藤 淳一 石川 仁 原島 浩一 北本 佳住 秋元 哲夫 中山 優子 長谷川 正俊 中野 隆史
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.187-191, 2003-09-25 (Released:2011-07-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【目的】子宮頸癌放射線治療後の性生活の変化について, 調査を行ったので報告する.【対象と方法】子宮頸癌の告知後に放射線治療を受け, かつ治療当時パートナーを有していた33例を対象とした. 治療時の年齢鮮平均50.5歳 (26.1~80.5), 調査時の年齢は平均54.3歳 (31.3~80.9) であった.子宮頸癌の病期は, I期8例, II期14例, III期9綱, IV期2例であった. 放射線単独例は20例, 術後照射例13例であった。【結果】治療前の性交の頻度は, 治療前から全くなしと答えた5例を除いた場合, 性交頻度が減少したのは21例, 頻度が変わらないのは5例, 増加したのは2例であった.治療法別では, 放財線単独群で減少例が多い傾向がみられた. 子宮癌になったことで精神的に性交がいやになったと回答したのは21例 (65.6%) であった.パートナーが性交を嫌がっている, または遠慮していると回答したのは9例 (31.0%) で, パートナーのために我慢して性交に応じていると回答した症例は, 9例 (32.1%) であった.また, 17例 (63.0%) が, 治療後に挿入困難となったと回答していた. 性交による出血が心配であると回答した症例も, 24例.(75.0%) と高頻度に認められた. 性交痛に関しては, 17例 (63.0%) が疼痛ありと回答していたが, 我慢できない痛みであると答えたのは3例のみであった. 性交によって治療前よりも快感が得られなくなつたと回答したのは13例 (52.0%) であった.【結語】子宮頸癌放射線治療後には性交頻度が減少する例が多く, その理由は, 挿入困難, 出血, 性交痛などの器質的障害だけでなく, 子宮頸癌を経験したことによる性交への意欲の喪失であった.
著者
長谷川 正裕
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.422, 2020-05-01

金属アレルギー陽性例は2007~2008年の欧州でのサーベイランスでは,ニッケル(Ni)が12~27%で,コバルト(Co)が5~14%であった.わが国におけるジャパニーズスタンダードアレルゲンは2008年の集計において,Ni 12%,Co 6%,クロム(Cr)7%であり,欧州と同等であった.2012年はNi 16%,Co 9%,Cr 8%に増加している.Niアレルギーが一番多い.人工股関節全置換術(THA),人工膝関節全置換術(TKA)にはチタン合金,CoCr合金,ステンレス鋼が用いられているが,後二者は少量のNiを含んでいる.
著者
長谷川 正義
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.93-106, 1969-04-15 (Released:2009-05-25)
参考文献数
30
著者
長谷川 正哉 金井 秀作 尾前 千寿 大塚 彰 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A1031, 2005

【はじめに】<BR>足底圧(以下COP)や足底圧軌跡(以下COP軌跡)に関する研究は計測機器の発展により容易に可能になった.中村らによると裸足歩行では立脚期におけるCOPは踵部中央から出発して足底のやや外側に片寄って小趾球に達し,ここから内側に向かって母趾球を通り母趾に抜けるとされている.さらにCOPやCOP軌跡は杖の使用や,靴の着用により変化する事が多く報告されている.しかし,健常人の裸足歩行におけるCOPの研究においても,正常パターンから逸脱したものを散見する.そこで本研究では,健常人のCOPに影響を及ぼす因子を検討する.第一報として足趾機能および歩行速度がCOP,特に母趾荷重量に及ぼす影響を報告する.<BR>【方法】<BR>対象は足趾や足部に既往の無い健常成人12名とした.足趾機能の評価には足趾によるジャンケン(グー=全趾屈曲・チョキ=母趾と他趾の独立した運動・パー=外転)を指標として用い,全て可能なものをN群,一つでも不可能なものをP群とした.10mの歩行路を通常速・高速にて歩行させ,Nitta社製F-scanを使用しCOPの計測を行った.母趾部分のCOPピーク値を計測し,歩行速度およびN群P群における比較を行った.また歩行中の重複歩距離,歩行速度,歩数をデジタルビデオカメラにより計測し,各群間における比較を行った。<BR>【結果】<BR>N群における母趾荷重量は通常速時9.69±4.78kgf,高速時15.4±7.64kgfとなり,P群における母趾荷重量は通常速時10.07±3.67kgf,高速時11.53±4.71kgfとなった.歩行速度の上昇に伴いN群における母趾荷重量に有意な増加を認めた.P群における有意差は認められなかった.N群およびP群における比較では有意差は見られなかったが,高速時における母趾荷重量に増加傾向を認めた.重複歩距離は通常速時に比べN群では平均130%,P群では平均107%増加した.歩数および歩行速度における有意差は認められなかった.<BR>【考察・まとめ】<BR>P群では歩行速度が増加しても母趾荷重量はわずかな増加しか認められなかったが,N群では顕著な増加が認められた.母趾荷重量のピーク値はいずれも踵離地以降に計測されており,母趾荷重が蹴り出しに影響を及ぼす可能性が示唆された.加えて,母趾荷重量の増減が重複歩距離に影響を及ぼす可能性が考えられた.牧川らは蹴り出し時の母趾の重要性を指摘しており,今回の実験においても同様の結果が得られたと考えられる.N群では母趾荷重量に増加傾向を認めており,その結果大幅な重複歩距離の延長につながったと考えられる.一方,P群では蹴り出し期の母趾荷重が不十分な為に,強い蹴り出しが行えずN群より重複歩距離の伸び率が少ないと考えられた.足趾機能が踏み返し期の母趾荷重量を通して重複歩距離に影響を与えるというメカニズムが考えられた.
著者
島谷 康司 島 圭介 菴原 亮太 長谷川 正哉 金井 秀作 田中 聡 小野 武也 沖 貞明 大塚 彰 Psiche Giannoni Pietoro Morasso Paolo Moretti
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1228, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】我々は,初期歩行直後の乳幼児にヘリウムガス入り風船(浮力:約2g)の紐を把持させると歩行時の身体動揺が減少し,そのために歩行距離が延長することを報告した。この現象は,Jekaらが報告した「指尖でカーテンに軽く触れることによって姿勢制御に有効に働くこと(Light Touch Contact)」に類似していると考えた。本研究では,初期歩行期の乳幼児に対してヘリウムガス入り風船の紐を把持(以下,風船把持)させることにより姿勢制御を最適化する支援方法を提案するために,まず風船把持の静止立位姿勢制御について検証することを目的とした。【方法】対象は,健常成人60名(男性:30名 女性:30名)であった。重心動揺計測には,アニマ社製重心動揺計(GP-6000)を使用した。また,全対象者のうち無作為に抽出した30名に対して頭部,風船を把持した右手部,仮想身体重心を想定した腹部の位置関係を検証するために,KINECT for Windowsを用いて3次元画像解析を行った。計測条件は,何も把持しない条件(以下,把持なし条件),風船を右手で把持する条件(以下,風船条件)の2条件を設定し,被験者ごとにランダム化して60秒間の計測を行い,データを比較した。計測肢位は閉眼タンデム立位とし,把持なし条件の右上肢はあたかも風船を把持しているかのような肢位とした。計測は被験者が十分に安定したと感じた際に「はい」と合図をさせて開始した。統計処理には,総軌跡長,実効値面積(以下,RMS),外周面積,左右軌跡長,前後軌跡長について,把持なし条件と風船条件の2群間で対応のあるt検定を行った。また,頭部・右手部・腹部の3次元座標から変動係数を算出し,2群間比較には対応のあるt検定を,群内比較にはKruskal Wallis検定および多重比較にはSteel-Dwass検定を行った。なお,有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に則り,対象者には本研究の趣旨を十分に説明し,書面にて同意を得た後に実験を行った。【結果】重心動揺については,把持なし条件と比較して風船条件は,総軌跡長(p<0.01),左右軌跡長(p<0.01),前後軌跡長(p<0.01),RMS(p<0.05)で有意に低値を示した。外周面積に有意差は見られなかった。各身体部位の変動のばらつきについては,把持なし条件・風船条件ともに頭部と右手部は腹部よりも有意にばらつきが大きく,頭部と右手部に有意差は見られなかった。また,把持なし条件と風船条件の群間比較をした結果,すべての身体部位間に有意差は見られなかった。【考察】本研究の結果,風船把持によって前後・左右の重心動揺速度が減少し,動揺のばらつきを抑えて身体重心を一定範囲内に収めていることが示唆された。しかし,風船の有無によって身体部位の位置関係に有意差が見られなかったことから,風船把持による静止立位姿勢制御の機序までは明らかにすることができなかった。しかし,山本らは,ヒトは各身体部位を前後・左右に微妙に動かしながら立位姿勢を制御すると述べており,本研究では風船把持によってフィードバック制御を賦活し,各身体部位を微動させることによって,より重心動揺を減少させる立位姿勢制御が行われているものと推察した。風船把持の立位姿勢制御が固定点に指尖で軽く触れるLight Touch Contactとは異なるため,今後は風船特有の揺らぎが静止立位姿勢制御に与える影響について詳しく解析し,初期歩行期の乳幼児に対する歩行支援の可能性について検証していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】現在,初期歩行発達遅延の乳幼児に対する確立した歩行支援方法はない。風船は口頭指示が難しい乳幼児にとって歩行練習を行う動機づけに有用な歩行支援用具となりうる可能性があり,健常成人においては,風船把持による静止立位姿勢制御が重心動揺を減少させることが示唆された。