- 著者
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中川 幹子
江崎 かおり
宮崎 寛子
手嶋 泰士
油布 邦夫
高橋 尚彦
犀川 哲典
- 出版者
- 一般社団法人 日本不整脈心電学会
- 雑誌
- 心電図 (ISSN:02851660)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.3, pp.292-299, 2012 (Released:2015-07-16)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
-
3
早期再分極に見られる心電図所見の特徴は,J点の上昇およびJ波(QRS終末部に見られるノッチもしくはスラー)の存在である.J点上昇とJ波では出現頻度や出現誘導が異なっており,臨床的意義は同一ではないと考えられる.すなわち,健常若年男性に見られるJ点上昇はV2~V4誘導で高率に認められるのに対し,J波は主に下壁誘導とV4~V6誘導に出現する.われわれの検討では,J波は男性の12.0%,女性の9.3%に認められ,若年群と高齢群にピークを有する2峰性パターンを示した.ホルター心電図を用いた検討によると,健常人においてもJ波は夜間に増高する日内変動を示し,心拍数や自律神経活動に影響を受けることが示された.加算平均心電図を用いた検討では,J波はQRS内部に含まれていた.また,心エコー図上,左室内に心室中隔から乳頭筋に付着する偽腱索をもつ症例では,J波の合併率が有意に高く,これらの心室内構造物がJ波や不整脈の発生と関連がある可能性が示唆された.