著者
高橋 明彦
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.69-80, 2005-11-10 (Released:2017-08-01)

楳図かずおが「恐怖」をどのように描いてきたかを検証した。「恐怖マンガ」という言葉を作ったのは楳図であるが(一九六一年)、まず、それ以前の作品の特徴を民俗性、怪奇性、幻想性の三点において検証した。ついで、これらを統合して恐怖マンガという語彙が獲得され、「怪奇」と区別しうる「恐怖」という概念が成立する。ついで、一般に言われる、楳図の描く恐怖モチーフが「怪奇」から「恐怖」へ変遷したとする説を再検討した。「怪奇」と「恐怖」とは変遷可能な同位対立的関係にはなく、「恐怖」とは「怪奇」を包摂する根本概念なのである。また、その包摂関係を成立させているのが、楳図における認識論的な遠近法主義である。加えて、神を描く存在論的な在り方についても論じた。
著者
高橋 明善
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.8, pp.1-35, 2016-06-30 (Released:2017-05-22)
参考文献数
119

Farming Family typical of Japanese tradition was stem family. It had the system of patriarch and primogeniture. The eldest son continued to live after marriage in the same house with his parents. The family continues over generations. This was the Japanese family, ‘ie’; ‘In some case, younger sons established branch families (called bunke=分家) . Main family they left was called ‘honke’(本家). Honke and bunke keep intimate cooperative relation in daily lives from generation to generation. Ariga established theory of “ie“ and mura(Japanese village community) in the sociological study of Japanese rural society. In principal work, he insisted as follows. There were two types of rural village. ① Village developed by one powerful stem family. There appeared the group consisting of main family and branch families (Douzok=同族)., including the relation of master and servant ②Village developed by plural families in equal status. Then, there were two types of relation among “ie”. One is vertical(upper ‐lower) one and another is horizontal (equal)one. The former relation appeared as the group of blood relatives’(called douzoku(同族), consisting of main family and branch family. Second type also easily changed to the honke-bunke relation, if there appeared vertical relation. In Japan, Generally, vertical relation become to such kindred -like or patron -client relation. The upper had legitimacy of “publicness”, the lower’s activities were private, and the person on upper status initiate the social relation. The cooperation of Japanese become stronger in vertical relation, and weaker in horizontal one. This is the nationality (national characteristics) of Japan proper, Ariga insisted. After the World Ⅱ, Ariga did not strongly insisted Japanese nationality . His theory concentrate on the study of ‘ie’ .He argued ie and honke-bunke group(同族) were originated to get life-security of group members. This was indispensable in the lacking circumstances of political assistance for life- security. Late in life, Ariga developed the thought of integrate cultural sphere of nation. On behalf of insisting the persistence of cultural tradition in his young days, he thought that this sphere of japan had been gradually changed through the creative activities of Japanese and exchanging with other cultures outside, but on the base of national tradition, Japanese ‘ie’ culture also is changing.
著者
玉置 豊美 赤羽 明 所澤 潤 高橋 明 滝沢 俊治
出版者
株式会社数理設計研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

群馬県の明治初・中期の科学教育を群馬県師範学校史料・明治期教科書・『上野教育会雑誌』・県内個人資料などから研究した。群馬県と新潟県で発見された『物理筆記』を中心に後藤牧太らの『小学校生徒用物理書』の使用状況を探った。明治中期の群馬県科学教育に貢献したのは、群馬県師範学校で滝沢菊太郎ら第一世代の薫陶を受けた、第二世代の教師群、小林晋吉・根岸福弥などであった。彼らは東京高等師範学校に進み、後藤牧太の教えも受けている。後藤牧太らの簡易実験を中心に国際会議で発表し好評を得た。群馬県女子師範学校生徒の残した郷土研究論文の整理・調査をした。明治45年から昭和25年まで、621通が現存している。
著者
森山 俊介 高橋 明義 天野 勝文 内田 勝久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、成長ホルモン遺伝子が無脊椎動物に起源する仮説およびサケ成長ホルモンがエゾアワビ稚貝の成長を促進する発見に基づいて、軟骨魚類と無顎類の成長促進に関与するホルモン受容体を同定した。また、アワビの脳神経節にサケの成長ホルモン抗体に対する免疫反応陽性細胞群を検出し、その組織から成長促進因子および遺伝子を単離するとともに成長促進因子受容体を探索した
著者
小泉 典章 出澤 聡子 高橋 明日香
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.65-70, 2009-02
被引用文献数
2

目的:わが国の自殺をめぐる状況は、10年連続で3万人を超え、長野県でも毎年500人前後の人が自殺している。これまで、その背景をさぐる分析は長野県では行われていない。そこで長野県警察の協力を得て、平成19年の県内の自殺者の傾向を分析することを目的とした。方法:平成19年に警察庁が発表した「平成19年中における自殺の概要について」とともに、長野県警察から長野県内分のデータの提供を今回初めて受けた。長野県の自殺者の傾向を年齢別、原因別、職業別等から分析した。結果・考察:近年の自殺者数は2年連続で減少し、平成19年は全国で9番目に低い自殺率となっている。男性が、全国では全体の70.9% を占め、長野県でも367人で全体の69%を占めている。年代別の自殺者数でも男女共に全国と同様の傾向がうかがえた。自殺の原因別では、どの世代でも健康問題が1番に上がっているが、健康問題の詳細では、55歳以下の世代では精神科領域の病気が、65歳以上では身体疾患が多くを占めていた。青年層、働き盛り、高齢者等ライフサイクルを考慮した自殺対策が求められている。
著者
西野 貴裕 上野 孝司 高橋 明宏 高澤 嘉一 柴田 康行 仲摩 翔太 北野 大
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.177-186, 2013 (Released:2014-06-20)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

13 kind of Perfluorinated compounds (PFCs) in the mainstream of Tamagawa River and its inflows (tributaries, and effluents from Sewage Treatment Plants) were analyzed, and the loads of PFOS, PFOA and other 4 compounds were evaluated. The concentrations of PFOS and PFOA were found to be much lower than those of 2005 since 2009. This result indicates that the Stockholm Convention on Persisitent Organic Pollutants (POPs) and 2010/2015 PFOA Stewardship Program are effective. The cumulative load of PFCs that was accumulated in the inflows sequentially from Nagata Bridge, as the uppermost point in this study, closely resembled the measured load at each sampling point in Tamagawa River. These results indicate that PFCs were scarcely degraded, volatilized, during flow down the river. The ratio of PFCs with longer chain length such as PFUnDA and PFTrDA in sediment samples were much higher than those of water ones.
著者
中野 雅史 佐藤 整尚 高橋 明彦 高橋 聡一郎
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.2-30, 2017-01-01 (Released:2022-01-25)
参考文献数
32

本稿では,粒子フィルタを活用したポートフォリオ構築の新しい手法を提案する.特に,モンテカルロ・フィルタに基づく資産の期待リターンとボラティリティの推定により,平均分散ポートフォリオのパフォーマンスが飛躍的に向上することを示す. 我々は,状態空間モデルの枠組みにおいて,非対称性を持つボラティリティに加え,期待リターンに関する状態変数も確率過程として取り込むことにより,ボラティリティの時間変化と整合的なリターンを予測する.その結果,一般的な移動平均・分散に基づく平均分散ポートフォリオのみならず,等ウェイト(Equal Weight),最小分散,リスクパリティ(Risk Parity)などのリターン予測に依拠しない手法を凌駕する運用成果が実現可能なことを明らかにする. また,投資対象としては,国内外の株式・債券に加えリート(REIT)を組み入れ,空売り禁止条項や取引費用,投資比率制約も考慮することで,より現実的な国際分散投資を考察する.さらに,ポートフォリオのパフォーマンス指標として,複利リターンやシャープ・レシオに加え,実務的には重要な指標であるソルティノ・レシオや最大ドローダウンも採用し,多角的に評価することにより,我々の提案する手法の有効性及び頑健性を確認する.
著者
高橋 明子 石田 敏郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_69-I_79, 2011 (Released:2012-03-30)
参考文献数
18

建設業での死亡災害事例を分析した先行研究により,建設作業現場におけるコミュニケーションエラーの発生パターンは記号化・メッセージ型,媒体型,理解型に分類された.これらの結果を基とし,本研究では建設作業従事者を対象とした質問紙調査を実施することにより,建設作業従事者のコミュニケーションエラーのリスクの程度に関する認識と職位間の認識の差異の検討を行った(n=811,管理者149名,職長208名,作業員454名).その結果,管理者はコミュニケーションエラーの全パターンのリスクを比較的高く評価した.一方,職長及び作業員は比較的類似した評価をし,パターンによってリスクの評価が異なった.また,コミュニケーションエラーの背後要因に関しては,「作業前の打ち合わせ不十分」「確認不足」が全パターンに共通して回答率が高く,職位間に認識の差異は見られなかった.さらに,職位間で回答率に有意差の見られた複数の背後要因について作業員の認識の低さが指摘された.建設作業現場における労働災害防止に役立てるためには,管理者がコミュニケーションエラーのリスクに関して職位間で認識が異なることを理解し,コミュニケーションエラー防止対策を検討する必要性がある.
著者
我妻 則義 小野寺 恭一 星 豪 大塚 洋一 小高 信子 堀込 智之 佐藤 昌孝 志摩 茂郎 永井 哲 高橋 明 文屋 優 笹野 義則 奥田 光直 久保 素幸 進藤 典夫 野呂 茂樹 阪路 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.95-100, 1998

大雪の影響が残る大学入試センター試験初日の1月17日,宮城県工業高校を会場に東北支部座談会が行われました。急な呼び掛けにも関わらず,小中高大の関係者者3名,書面提出5名の参加によって,「中間まとめ」に対する活発な意見交換が行われました。午後2時より開始された座談会では3時間に亘り熱心な討議が展開されました。
著者
高橋 明彦
出版者
上智大学大学院STUFE刊行委員会
雑誌
Stufe (ISSN:02852551)
巻号頁・発行日
no.4, pp.33-48, 1984-10-01
著者
高橋 明
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.822-828, 1996 (Released:2007-07-09)
参考文献数
3
著者
久貝 克弥 高橋 明太郎 松本 勇樹
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
近畿大学工業高等専門学校研究紀要 = Research reports Kindai University Technical College (ISSN:18824374)
巻号頁・発行日
no.12, pp.11-17, 2019-03-15

The swimming motion of Tuna type fishes has excellent ability for its speed and efficiency. And some studies have been reported about the most efficient swimming motion by using numerical analysis on 2-joint bending mechanism model. And several fish type robots are developed based on these studies. But almost all robots have spring held caudal fin, so they cannot confirm theoretical result by experimental way. Therefore, we developed a fish type robot which has caudal fin angle actuating mechanism and tail oscillating mechanism. We made some experiments about the relationship between the swimming motion scheme and the swimming speed.