著者
新実 彰男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1565-1577, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

3 0 0 0 OA 1.治療の変遷

著者
田中 明彦 足立 満
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1327-1332, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

喘息に対する薬物療法の歴史は,吸入ステロイド(ICS:inhaled corticoteroids)出現前と出現後に大きく2つに分けられる.ICS出現前は,β2受容体刺激薬や抗コリン薬やテオフィリン薬などの気管支拡張薬が薬物療法の中心であった.その後,1978年に初めてICSが上市され,徐々にその有効性と安全性が認められ,ヨーロッパに続いて北米においては1980年代,我が国においては1990年代に薬物療法の中心として位置づけられ現在に至っている.本稿では喘息の病態概念と,これらの薬剤を中心に薬物療法の歴史的変遷について述べる.
著者
安井 昌之 向山 昌邦 横井 風児 足立 皓岑 若山 育郎 三谷 和男 八瀬 善郎 吉田 博信 吉益 文夫 大田 喜一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.85-86, 1989-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

孤発性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)6例,神経学的に正常な対照5例の中枢神経組織(CNS)26部位について放射化分析法でアルミニウム(A1)を測定し, 2例のALSで高Al含有量を認めた.症例Iで136.5±99.3μg/g dry weight (Mean±SD),症例IIは88.3±52.0μg/g,他のALS4例で28.0±14.3μg/g,対照群は25.8±8.1μg/gであった.孤発性ALSのCNS内に高Alが沈着した2例を報告した.
著者
高木 康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.2892-2896, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
1

臨床検査値は,検査時ばかりでなく,検体サンプリング(1)検体採取のタイミング,(2)検体採取時の条件,(3)検体保存,などにより大きく変動する.検査値の些細な変動を観察する特定診断ばかりでなく,日常診療でも診断を左右する場合も少なくない.感染症診断での偽陰性は患者の予後を左右することもある.臨床検査の検査前変動を正しく理解することが,誤診を防ぐ上で重要である.
著者
阿南 英明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.168-173, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
藤島 正敏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.553-558, 1991-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

脳卒中の急性期・慢性期の血圧管理は次の点に留意する. (1)急性期の血圧上昇は自然降圧する.したがって脳出血の一部を除き降圧治療は行わない. (2)慢性期(発症1ヵ月以降)の高血圧は再発防止のために降圧治療を行う.降圧目標レベルは病型・重症度・年齢を考慮し,高齢者の血圧は高めに保つ.目標レベルまでは2ヵ月以上かけ降圧は緩徐に行う. (3)脳循環に悪影響のない降圧薬を選び,必要に応じて脳血管拡張薬・抗血小板薬を併用する.
著者
橋本 喬史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1096-1099, 1995-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

過粘稠度症候群の原因疾患の大部分は原発性マクログロブリン血症と多発性骨髄腫である.過粘稠度症候群の主要症状は出血,神経症状,眼症状であり,重篤化しやすく,症状発現時には速やかな対応が必要になる.悪性免疫グロブリン異常症における過粘稠度症候群の治療には,二重濾過血漿交換療法を中心とする血漿交換によりM蛋白を除去すると,迅速な症状軽快が持たらされるが,効果は一時的であり,化学療法との併用が必要である.
著者
岩田 恵輔 原田 靖彦 吉岡 知輝 倉田 久嗣 平賀 潤二 鏡味 良豊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1633-1640, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
8

64歳,女性.急性肝・腎不全の精査目的で入院した後,心室細動を繰り返した.尿中M蛋白を認め,骨髄穿刺にて多発性骨髄腫を確認し,組織生検にて糸球体,肝実質,心筋にκ鎖型軽鎖沈着を認め,軽鎖沈着症(light chain deposition disease:LCDD)と診断した.血液透析,除細動器植込み,ボルテゾミブを含む化学療法を実施したが,原疾患増悪のため死亡した.LCDDはALアミロイドーシスと共に鑑別すべき病態であり,各種組織生検と集学的治療が重要である.
著者
大草 敏史 小井戸 薫雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.42-47, 2015-01-10 (Released:2016-01-10)
参考文献数
18

fecal microbiota transplantation(FMT)は中国や欧米で昔から行われていた.最近になり,腸内細菌叢のDNA解析によって腸内細菌叢の乱れ,すなわちdysbiosisが消化器疾患をはじめ,種々の疾患に関与しているということがわかってきた.そのdysbiosisを是正する目的で,FMTがClostridium difficile感染症をはじめとして,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD),過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS),慢性便秘,肥満などのメタボリック症候群に施行されてきている.

3 0 0 0 OA IV.敗血症

著者
志馬 伸朗
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.2252-2260, 2018-11-10 (Released:2019-11-10)
参考文献数
35

敗血症は,感染に起因した制御されない炎症反応に関連して急性臓器障害を呈する重症病態を指す定義である.敗血症患者は増加しており,その致死率は30%程度と高いため,早期の認識と介入による予後改善に努める必要性が高い.乳酸値を測定し,血液培養検査を行った後,抗菌薬の投与と30 ml/kgの等張晶質液の急速投与を1時間以内に行う.敗血症の概念を一般市民にまで広く普及させる活動が全世界で行われている.
著者
野崎(岡田) 侑衣 谷津 翔一朗 安田 健太郎 竹内 充裕 園田 健人 和田 英樹 塩澤 知之 荻田 学 諏訪 哲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.802-809, 2021-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
10

56歳,男性.イカとサバを摂取した後に全身の膨疹及び胸部絞扼感が出現し,救急要請となった.心電図で前胸部誘導のST上昇を認め,急性冠症候群を疑い,冠動脈造影を行ったところ,左前下行枝に90%狭窄を認めた.硝酸イソソルビドの冠動脈投与により,狭窄は改善を認めた.アニサキス特異的IgE(immunoglobulin E)抗体価が高値であり,アニサキスアレルギーに伴うKounis症候群と診断された.アレルギー治療により胸部症状は改善し,退院となった.
著者
下妻 晃二郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1203-1209, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
要 伸也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.938-947, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
12

体内で産生される酸は過不足なく腎臓から排泄され,そのための尿酸性化のメカニズムが存在する.したがって,腎臓の様々な異常により酸の排泄が障害され,代謝性アシドーシスが現れる.一方,最近,代謝性アシドーシスが骨や蛋白代謝だけでなく,腎機能にも影響を与えることが明らかになっており,酸血症の補正が重要なCKD(chronic kidney disease)対策の1つとなっている.このような観点から,腎臓と酸塩基代謝異常の関連について概説する.
著者
和田 渚 永井 聡 重沢 郁美 枝川 幸子 半田 喬久 鬼頭 健一 吉岡 成人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.794-801, 2021-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
6

71歳,男性.左肺扁平上皮癌に対し,抗PD-1(programmed cell death-1)抗体であるペムブロリズマブを4回投与され,初回投与4カ月後に免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)としてのACTH(adrenocorticotropic hormone)単独欠損症を発症した.ACTH単独欠損症は,重篤化すると副腎不全となり,生命を脅かすため,早期発見が求められる.しかし,免疫チェックポイント阻害薬投薬時における本疾患の効果的なスクリーニング法は確立されておらず,定期的な臨床検査及び臨床症状からの総合的判断力が求められる.
著者
井坂 円香 當別當 洋平 大谷 龍治 日浅 芳一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.2324-2330, 2018-11-10 (Released:2019-11-10)
参考文献数
7

27歳,男性.心肺停止蘇生後に入院した.経過中に38℃台の発熱があり,その際の心電図でV1-2誘導に典型的なcoved型ST上昇を認め,Brugada症候群と診断した.Brugada症候群はJ波症候群に含まれるが,J波は日内変動や日差変動,体温に伴う変動等を認め,Brugada型心電図は,時に発熱で顕著になる.入院時に有意な心電図変化を認めていなくても,心肺停止蘇生例では心電図記録を繰り返し行うことが重要である.
著者
内田 信之 岡山 健次 半田 祐一 崎村 恭也 倉根 理一 小久江 浅二 横田 修 山根 清美 小林 逸郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.48-53, 1985-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

アルコール性肝硬変症の41才,男性に,突然両下肢の著明な筋力低下と筋痛が出現した. Creatine phosphokinase(CPK)はじめ血清酵素値の高度の上昇と,筋生検にて著明な筋細胞の壊死が認められ,本症例を横紋筋崩壊壊死(rhabdomyolysis)を伴う急性型アルコール性筋症と診断した.アルコール性筋症の臨床病型は,急性型,慢性型および潜在型に分類されており, rhabdomyolysisを伴う急性型は,最も重症で比較的稀とされている.本症例では, CPKの異常高値や独歩可能となるまでに10週以上を要したことより,これまでの報告例に比し, rhabdomyolysisが高度であつた希な症例と考えられた.また今回この症例に阻血試験(ischemicexercise test)を施行し,本症の発生機序に解糖系酵素の活性低下が関与している可能性を推察し,文献的考察を加えた.
著者
天野 隆弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.659-662, 1996-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1

脳髄膜meningesは硬膜dura materとその直ぐ下のくも膜arachnoidea,脳表の薄膜である軟膜pia materからなる.臨床や病理学ではくも膜と狭義の軟膜pia meterを一緒にした1eptomeninxを軟膜と呼んでいる.髄膜炎meningitisは広義の軟膜の炎症である軟膜炎leptomeningitisをいう.日本語では名称が混乱しやすい.脳室脈絡叢で産生された髄液は脳脊髄の表面を流れ,大部分は静脈洞のくも膜顆粒から吸収され,一部は静脈洞や脊髄神経節近くにあるくも膜絨毛から吸収される.髄膜炎の後遺症として時に脊髄循環の障害が起き水頭症が生じる.脳血液関門は脳血管が解剖学的に一般血管と異なり内皮細胞同士がtight junctionをなすこと,さらにpinocytotic vesicleが極めて少なくまた小窓fenestrationがないことから説明される.
著者
西岡 里香 祖父江 理 大西 啓右 藤田 拓朗 尾崎 太郎 守時 政宏 西島 陽子 今滝 修 串田 吉生 南野 哲男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.1191-1198, 2017-06-10 (Released:2018-06-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

14歳,男児.剣道の練習後に肉眼的血尿と尿蛋白を認め,受診した.部活動後に限定された肉眼的血尿というエピソードや溶血所見より,剣道にて誘発された行軍ヘモグロビン尿症候群の診断に至った.腎炎合併を否定するため施行された腎生検では近位尿細管への鉄沈着を認めた.若年者の運動後に検尿異常を認めた場合,運動歴の聴取が診断には必須である.予防により血管内溶血を軽減させることが可能であるため,予防策の提示も重要である.
著者
石井 均
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.2356-2364, 2000-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
16

ライフスタイルの歪みが関与する慢性疾患の増加は,日本人の健康状態に大きい影響を与えている.慢性疾患ならびに合併症の発症進展予防は重大な課題であり,そのためには患者の行動が健康維持のために望ましいものへと変化していく必要がある.患者の行動に影響を与える要因としては,外的(環境),内的(心理的),および結果(強化)要因がある.外的要因として,医師の影響力は大きい.患者の考えや感情を確かめ,情報を提供し,治療目標を相談して設定するという患者中心のアプローチが効果的である.心理的要因としては,感情やヘルスビリーフが重要な要因である.また,行動の結果生じる,検査所見やQOLへの影響も行動レベルを修飾する.行動変化に介入するためには,患者の準備状態に合わせた援助が有効で,その指針を与えるのが変化ステージモデルである.これらを適用して患者の行動変化を援助することが医師に望まれている.