著者
森口 弘美 井口 高志 太田 啓子 松本 理沙 モリグチ ヒロミ イグチ タカシ オオタ ケイコ マツモト リサ Moriguchi Hiromi Iguchi Takashi Ohta Keiko Matsumoto Risa
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.123, pp.83-99, 2017-12

研究ノート(Note)本稿では,知的障害者と一緒に取り組んだ調査活動を紹介し,インクルーシブリサーチの観点から検討を加えた。その観点とは,1)言語だけに頼らない多様な方法を用いること,2)知的障害者のポジティブな変化,3)障害のない人の変化である.今後我が国においては,知的障害者が自らの権利や差別といった問題をテーマとした調査研究にアクセスしたり,そのプロセスに参加したりできる状況を作っていく必要がある.In this paper, we introduce the research activity "What kind of cafeteria everyone likes to go?" in which we tried to research with people with intellectual disabilities, and reconsider the research activity in some aspects related to Inclusive Research. The aspects are 1) Various methods not limited to languages, 2) positive change of people with intellectual disabilities, 3) change of people without disabilities. In Japan, few inclusive research has been done. It is necessary to make people with intellectual disabilities to be able to access and participate in researches on their own rights or discrimination.
著者
塩田 祥子 谷口 雄哉 シオタ ショウコ タニグチ ユウヤ Shiota Shoko Taniguchi Yuya
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.129, pp.29-43, 2019-05-31

論文(Article)高齢者虐待の被養護者の大半が、要介護認定を受けているにもかかわらず、ケアマネジャーから、地域包括支援センター(以下、包括)へ相談、連絡に至る件数は十分ではない。その理由を追及し、今後の高齢者虐待対応に活かしていく必要がある。そのため、実際、高齢者虐待対応にあたっている社会福祉士と、包括の外部スーパーバイザーがケアマネジャーから、これまで相談、連絡があった高齢者虐待事例を振り返る作業を行った。その結果、養護者、被養護者の特性、また、置かれている状況に応じて、ケアマネジャーの高齢者虐待の捉え方に差異があった。さらに、ケアマネジャーへのインタビューからは、地域包括支援センターの虐待対応等の動きが「見えにくい」という指摘があった。以上のことを踏まえて、日頃のケアマネジャーからの包括への信頼が、高齢者虐待対応にリンクしていることが分かった。それゆえに、包括の役割である「権利擁護の実践」と「ケアマネジャーへの後方支援」の円滑な連動が求められることを再認識した。さらに、社会福祉士自身が、ケアマネジャーを「同じ相談援助の専門職」として捉えきれているのかといった「ケアマネジャーへの視点」を確認していく必要性を感じ、そのことが日頃の「ケアマネジャーへの後方支援」の振り返りになると同時に、「権利擁護の実践」につながることがわかった。
著者
沼田 潤
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.107, pp.55-74, 2014-01

論文(Article)本研究は,どのような視点取得課題が外国人への共感を高めるのかを明らかにすることを目的としている。日系ブラジル人の解雇問題を取り上げ,その問題に関する二種類の文章と視点取得課題の有無によって,実験参加者(466名)は,4群に分けられた。本研究の結果から,外国人である日系ブラジル人の視点から書かれた文章を読み,日系ブラジル人の視点を取得する課題に取り組んだ群が,最も高い日系ブラジル人に対する平均共感得点を示した。また,少数派に無関心な者や保守的な考えをあまり有していない者も日系ブラジル人の視点を取得させる課題によって,外国人である日系ブラジル人に対する共感が高まった。
著者
俣野 裕美
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.79-103, 2013-05

本論文は,1990年代の米国製テレビドラマ,Twin Peaks,ER,Ally McBealに登場するアジア系女性の表象形態を分析し,グラムシの主張したヘゲモニー理論に基づいて,その社会的機能を明らかにするものである。アジア系女性はドラマの中で,米国社会で理想とされる価値観を身に着けた白人に,望ましくない状況から救い出される人物として描かれていた。このような表象には,白人権力者がアジア系女性達に対して行った圧政的な歴史を合理化し,彼女達を彼らの利益に沿うように操作することを容易にする社会的機能が内包されていると考えられる。
著者
小山 隆
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.1-18, 2006-11

論文(Article)ソーシャルワーク研究を進めていくために、社会のあり方に関する規範理論研究が必要となってくる。一方で、実証研究特にエビデンスベーストプラクティスの重要性も近年強調されている。両者の概要ともつ意味について本論文では検討する。In recent years, Evidence-Based Social Work is beginning to attract attention in the field of social work research. On the other hand, the recognition about the importance of social norm theory is beginning to increase further. In this paper, I make the comparative study of these two theories.
著者
郭 芳 田中 弘美 任 セア 史 邁 カク ホウ タナカ ヒロミ イム セア シ マイ Kaku Hou Tanaka Hiromi Lim Saeah Shi Mai
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.126, pp.15-32, 2018-09

論文(Article)本研究では「京都子ども調査」を分析することにより,子どもの自己肯定感に及ぼす要因を確認し,それらの要因の自己肯定感への影響の程度について,実証的に検証した。その結果,自己肯定感に影響を与える要因には「性別」「経済的要因」「関係的要因」があることが実証された。また,経済的要因の自己肯定感への影響はある一方で,「親・親戚との関係」「学校での生活」「友人の有無」という関係的要因のいずれもが自己肯定感に影響していることが明らかになった。By a factor analysis and hierarchical multiple regression analysis on the "Children's Survey in Kyoto", this study is confirming the influence factors of self-affirmation of the children and figuring their varying degree. As a result, influencing factors including "Gender", "Economic factors", and "Relationship factors" are empirically verified. Beside "Economic factors", the "Relationship factors" such as "Trust to the parents and relatives", "School life" and "Presence or absence of friends" also have remarkable influence.
著者
河崎 吉紀
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-14, 2011-01

論文(Article)19世紀のイギリスでは、ジャーナリストは職業としてあいまいであり、主として高級なジャーナリストとレポーターに分かれていた。前者は学識ある人々に知的なコラムを提供し、後者はゴシップやニュースを集める下層階級であった。新聞社の規模が拡大し、ジャーナリストに需要が生じると、参入者が増え組織化の機運が生まれた。1884年に誕生したジャーナリスト連合は資格を定め、取材の技能を中心に専門職として確立することを目指した。そこでは「記述的」に書くことが求められ、意見よりニュースが優先される。しかし、教養を重視する高級なジャーナリストは自由放任を主張し、レポーターは労働条件や賃金の改善を先に求めた。後者は1907年、ジャーナリスト組合を結成し、自らを労働ジャーナリストと位置づけるようになる。The definition of journalists in nineteenth-century England was rather ambiguous. They were roughly divided into two categories: writers and reporters. The former contributed articles targeted at intellectuals, while the latter wrote gossip columns and covered events for the masses. Triggered by the growth of the newspaper industry, when the demand for journalists rose, there was a need for the establishment of a professional organization for journalists. Consequently, the National Association of Journalists, established in 1884, sought the status of journalism as a profession. It focused on compilation of news rather than personal opinions of journalists, and emphasized descriptive writing skills. However, writers in higher positions continued following the laissez-faire approach, while low-ranking reporters were considered as working journalists after the inception of the National Union of Journalists in 1907.
著者
今井 涼 呉 懿軒 イマイ リョウ ウ イシュエン Imai Ryo Wu Ihsuan
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.121, pp.37-54, 2017-05

論文(Article)本稿では日本の児童虐待対応機関たる児童相談所と、台湾の家庭内暴力及性的侵害防止治療センターとを比較分析している。結果、日本では児童虐待を児童福祉の問題の一として、台湾では家庭内の暴力の一として位置付けていることがわかった。両国共通の課題としては地域機関との連携の困難が確認された。日本の課題としては業務の膨大さ、保護者以外からの虐待の見えにくさが、台湾の課題としては虐待の法的定義の曖昧さ、虐待死の把握が困難なことが確認された。This research purpose is to compare with child guidance center in Japan with child protection institutions in Taiwan. As result, we found out following things. In Japan, child abuse is regarded as part of the welfare problem surrounding children. In Taiwan, child abuse is regarded as one of the violence that occurs in the home. And then, the following problems were confirmed. As a common problem, both of child guidance center in Japan and child protection institution in Taiwan have difficulties of working with other organizations. And there are two unique problems in each of the Japanese child guidance center and Taiwan child protection institution.
著者
小室 昌志
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.61-87, 2012-11

本稿では,私立大学という組織・機関の特徴を概観しつつ,私立大学職員に対する人事制度,とりわけ人事評価制度に焦点を当て考察を行った。考察の結果,まずは次の4点を指摘した。(1)私立大学は,「評価」に極めて不慣れであり,「評価文化」が未発達であること。評価結果を踏まえた自発的なPDCAサイクルが欠落しており,方針管理もできていない状況にあること。(2)職員に人事評価制度を導入している私立大学は少なくはないが,その結果を賃金に反映させる査定を実施しているところは少数派であること。(3)人事評価制度は,人材育成を大きな目的としていること。(4)人事評価の結果をダイレクトに賃金へ反映させることは少なく,賃金は依然として昇進・昇格によって決められていること。その上で,私立大学3校を対象にした事例分析に基づく考察を行った。考察の結果,人事評価制度においても方針管理がなされていないことを指摘し,この指摘を踏まえ,人事評価制度の目的・意義について,筆者なりの見解を示した。
著者
千田 忠男
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.1-17, 2005-10

論文(Article)
著者
田島 悠来 タジマ ユウキ Tajima Yuki
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.116, pp.15-40, 2016-03

論文(Article)本稿は、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)が、ロケ地である岩手県久慈市においてどのように受容されていたのかを現地調査に基づいて探り、ドラマ放送やそれを機に起こったツーリズムにより地域側にどのような効果がもたらされたのか、それがどのような意味を持っていったと言えるのかを考察した。その結果、『あまちゃん』の受容によって、地域側に観光客増加等の経済的な効果がもたらされたことに加え、自らの地域に関心や愛着を持ち、文化意識を高める機会を得たと考えられる。そして、放送終了後も『あまちゃん』を生かした発展的なまちづくりを継続して行うことで、「久慈市=『あまちゃん』」というイメージを一層強化させていっている。This study explores the reception of the 88th NHK morning TV drama Amachan(2013) in Kuji, Iwate prefecture where is the main location of this drama, through participatory observation and semi-structured interview. This article discusses the effects of this drama for featured location's residents from the perspective of the economic aspect and enhancement of intangible value in the host community, negative aspects. Results show the positive economic impact on the destination due to attracting tourists. In addition, it is argued that contents tourism provides the opportunities for the local residents to be concerned with their community and their own culture. Moreover, efforts at regional revitalization using Amachan are expanding in Kuji after this drama.
著者
綾 高徳
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.107, pp.95-116, 2014-01

論文(Article)本論では介護職員(介護保険施設)の1人当たり付加価値労働生産性を430万円(2010年)と試算した。これは製造業の760万円に対して56.6%,非製造業の641万円に対して67.1%と,およそ4~5割低い水準にある。加えて事業収支計算書の構造から介護職員の付加価値労働生産性に影響する収入・支出・利益面の指標から改善施策を考察した。改善施策は大別して公定価格等の制度として決められるものと人員配置や利益配分といった個別法人がある程度コントロールできる施策に分けられる。特に介護報酬を設定する前提である人員基準(入所者3人につき介護職員1人)に対して実際の配置人員が1.5倍になっており,付加価値労働生産性向上の余地があるため人員配置の改善が最も効果を期待できる施策であることを確認した。そのためには介護職員の人員数を減らしても高い水準の介護ができるように,技術革新を通じた付加価値労働生産性の改善及び人材マネジメントによる職員の質の更なる向上等が求められる。In this report, the value-added labor productivity of care workers (at welfare facilities) is estimated at 4.3 million Yen per worker(2010). This number is about 40% - 50% lower than that of manufacturing industry which is 56.6% of 7.6 million Yen per worker , or that of non-manufacturing industry which is 67.1% of 6.41 million Yen per worker. The reason for this low labor productivity of care workers is identified in the situation that the actual number of workers is 1.5 times higher than that of the minimum number of workers stipulated by the law qualified for acknowledged nursing-care institutions. To maintain nursing care at high level with less care workers, improvement of value-added labor productivity and enhancement of quality levels of care workers through human resource management is required.
著者
加藤 泰子
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.35-62, 2014-07

米国の大都市では1990年代になされた都心環境の改善政策が要因の1つとなって人口の都心回帰が生じた。本稿では都心回帰の現象に伴って起こった米国のジェントリフィケーションの過程をたどり,その要因について検討したのち,ジェントリフィケーションの主体としてのジェントリファイヤーに注目する。一般的な言説では都心に社会的階層の高い人々が流入することによる中低所得者の「追い出し」という側面が強調されるが,ここではジェントリファイヤーたちの社会参加活動の状況をシカゴ市都心のマンションで行った都心回帰高齢者への事例調査から検討し,特に彼らが都心の地域社会で行っている貢献的活動からジェントリファイヤーの社会的役割を考察した。
著者
尹 靖水 百瀬 英樹 黒木 保博 中嶋 和夫
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.1-18, 2011-03

本調査研究は,台湾の多文化家族の夫が日常生活の中で妻から受けるHusband Abuseの頻度(潜在的ストレッサー)と夫の妻に対する否定的感情(ストレス認知)との関連性を明らかにすることを目的とした。調査には,台北市,高雄市,台北県,桃園県に在住する多文化家族の夫が参加した。調査内容は,属性(夫の現在と結婚時の年齢,宗教,学歴,収入,家族構成,結婚継続期間,妻の現在と結婚時の年齢,国籍,宗教,コミュニケーション能力),夫が妻から被る虐待(Husband Abuse)の頻度,妻に対する否定的な感情で構成した。回収された186人のデータ(回収率93.0%)を基礎に,多文化家族の夫が妻から被る虐待(7因子)を独立変数,夫の妻に対する否定的感情を従属変数とする因果関係モデルのデータへの適合性を,構造方程式モデリングで解析した。このとき,統制変数として夫の収入と妻のコミュニケーション能力を投入した。その結果,前期の因子別に検討した因果関係モデルはそれぞれデータに適合した。また,前記Husband Abuseの妻に対する否定的感情に対するパス係数は,「性的虐待」が0.704,「社会的虐待」が0.641,「心理的虐待」が0.597,「言語的暴力」が0.576,「身体的虐待」が0.496,「経済的虐待」が0.412,「ネグレクト」が0.358となっていた。潜在的ストレッサーがストレス認知に影響するというラザルスのストレス認知理論を前提にするなら,多文化家族のHusband Abuse問題を,社会福祉学的な生活ニーズと位置づけ,積極的に解消することの必要性が示唆された。
著者
鯵坂 学 上野 淳子 堤 圭史郎 丸山 真央
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.1-78, 2013-05

日本の大都市では,1990年代後半から都心部の人口が減少から増加に転じる「都心回帰」現象が起きている。本研究では,2つの方向から人口の都心回帰が大都市の都心コミュニティにもたらす変化を探った。(1)既存研究が少ない札幌市,福岡市,名古屋市を対象として,自治体等へのイン タビュー調査と行政資料の分析を行った。その結果,3都市ともに都心回帰を経験しているが都心回帰の担い手や都心を取り巻く状況は異なることが明らかになった。都市自治体の対応は都市計画分野に限定されており,都心コミュニティの再編に直接対応する制度がないため,地域住民組織は対応に苦慮している。(2)札幌市と福岡市に絞った都心マンション住民へのアンケート調査からは,東京や大阪における都心回帰の担い手と相違点が示された。また,マンション内外の付き合い方は住居の所有形態,世帯構成,年齢による違いが大きいとともに,都心による違いがあることが分かった。
著者
鯵坂 学 アジサカ マナブ Ajisaka Manabu
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.101, pp.85-135, 2012-06-15

資料(Material)日本の近代化の中で明治以降、農山漁村や地方小都市から都市への大量の移住が生じ、その多くの移住者は大都市圏や太平洋ベルト地帯の都市、最寄りの地方大都市に移り住んだ。戦前期には、これら都市に移住した人々は、移住した都市における就労や住居の確保、生活面での情報や援助を得るために家族や親族のネットワークを利用するとともに、同郷的な「つて」を頼って、厳しい都市での生活を生き抜いていった。戦後も、農山漁村からの多くの移住者は都市に定住していったが、都市での就業や住居の確保、配偶者の紹介、厳しい都市生活の中での安らぎや親睦、アイデンティティを得るために、同郷であることを契機として様々な同郷団体・同郷会を形成していった。本稿では、筆者が1995年~1997年に全国の市区町村の役場・役所に対しておこなった全国市区町村調査により析出された1,890の「同郷団体」について公表し、都市-農村関係におけるその歴史的な普遍性を明らかにすることを目的とする。In the process of Japan's urbanization caused by industrialization and modernization since the 1880's, large amounts of the population moved from rural areas to the cities. Focal points of migration are the three metropolitan areas of Tokyo, Keihanshin (Kyoto, Osaka, Kobe) and Nagoya, as well as local prefectural capitals. People from the lower middle class and the lower class, especially people from villages created communities of people from the same hometown (Hometown- Based Associations, called "Dokyo-Kai" in Japanese) that helped and supported one another. I found 1890 hometown-based associations at the end of 20 century in my research. The majority of those were connected to rural areas such as Hokkaido, Tohoku, Hokuriku, Sannin, South-Shikoku , South-Kyushu and Okinawa.
著者
山村 りつ
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.81-96, 2010-09

論文(Article)障害者自立支援法や障害者雇用率への算定など、精神障害者の就労と就労支援を取り巻く環境が大きく変化している。これらの制度上の改革は、多くの課題をもつ一方で、精神障害者の就労支援実践におけるさまざまな変化や活発化の一つのきっかけとなっている。それでは実際の精神障害者の就労・雇用の状況には、どのような変化が起きているのであろうか、実際に精神障害者の就労は増えているのか。本稿ではそれを明らかにするために政府統計を中心とした統計データの検討と考察を行っている。Employment of parson with psychiatric disabilities and its environment have changed recently, for example, the enforcement of "Services and Supports for Persons with Disabilities Act" or the start of applying the employment rate rule to person with psychiatric disabilities. Those changes have some problems, however, it trigger to gather attention for job support for person with disabilities, and to lead the changes and activation in that field. And then, what kinds of changes have been occurred in actual status of employment of person with psychiatric disabilities? As the most direct interest, have the number of employment of them increased? This question is the background of this study, and this article describes that investigation and consideration of government statistics about employment of parson with disabilities.