著者
木村 大介 塩津 裕康 備前 宏紀 今井 あい子 冨山 直輝
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.491-500, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
27

本研究では,16名のアルツハイマー型認知症高齢者の心理的ウェルビーイングが高値傾向および低値傾向を示した場合の行動パターンと,その特徴を示すことを目的とした.分析では,心理的ウェルビーイングの中央値で対象者を高値傾向群と低値傾向群に分類,各群の対象者に装着したウェアラブル型センサーで収集した位置情報にグラフ理論に基づくネットワーク解析を実施し,行動パターンを可視化,加えて各群のクラスタリング係数を算出した.その結果,心理的ウェルビーイングが高い傾向にある者は「ハブ」となる行動の中心が存在していることが特徴であり,心理的ウェルビーイングが低い傾向にある者は行動の中心がないことが特徴と考えられた.
著者
阿部 真理奈 渡部 喬之 迫 力太郎 小笹 佳史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.485-490, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
10

大脳性運動失調により,日常生活で左上肢の使用が困難となった50歳代男性に対し,視覚遮断を用いた訓練を実施したため報告する.症例は右前頭葉から頭頂連合野の皮質下出血により左片麻痺,高次脳機能障害を呈し,特に視認下で左上肢の運動失調が増悪した.視認下での運動失調の増悪は,運動前野の損傷による影響が大きいと推論し,視覚遮断を用いた身体ポインティングや把持動作の作業療法を開始した.その結果,左上肢機能は改善し,日常生活でも麻痺側上肢で茶碗を把持することが可能となった.大脳性運動失調症例への視覚遮断を用いた作業療法は,上肢機能改善や日常生活での麻痺側上肢の使用頻度の向上に寄与する可能性が示唆された.
著者
今井 忠則 赤塚 望
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.469-477, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
22

作業的公正の視点から労働者の健康と職場環境を是正する支援は,産業保健分野における作業療法の新しい役割と期待されるが,そのニーズは不明である.精神科医療・福祉従事者における作業的不公正の統計的実態と職業性ストレスとの関係性を明らかにすることを目的に,北関東のある医療法人の全職員466名に質問紙調査を実施した.測定は作業的公正質問紙と新職業性ストレス簡易調査票を使用した.385名が回答し,各不公正状態を明確に感じている人は0.5割~1割程度,軽度まで含めると2~3割程度が存在すること,また不公正は職業性ストレスの多くの側面と相関し,不公正状態が強い人ほど職業性ストレスも全般的に不良の傾向が見られた.
著者
清水 雅裕 小口 和代 後藤 進一郎 太田 有人 渡邉 郁人
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.446-451, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
22

CI療法原法は療法士の時間を集中的に使用するため,実施に限界があった.そこで,時間的コスト軽減を図ったmCI療法(自主練習を併用し,1日3時間2名ペアで実施)を考案し,脳卒中発症後180日以内の回復期症例31名に対して実施した.実施前,実施後,6ヵ月後に評価し,推移を観察したところ,STEF,FMA-UE,MAL-AOUの平均値は,実施後,6ヵ月後共に有意に改善.変化量は,MAL-AOUは実施後にMCIDを上回り,FMA-UEは6ヵ月後にMCIDを上回った.mCI療法はペアの難易度調整が随時可能という利点がある.ペアで実施することにより,対象者間で会話が生まれ,動機づけの向上や心理的な支援につながる可能性が示唆された.
著者
重田 優子 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.426-434, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
32

【背景と方法】我が国の地域在住脳卒中者は社会参加の機会に乏しく,男性高齢者の社会参加・交流には特に課題が多いとされる.そこで,男性脳卒中者が社会参加を経験するプロセスを複線径路等至性アプローチに基づいて分析した.【結果】3名の参加者は,入院中も途切れることなく社会参加を継続し,発症による様々な変化に向き合う中で『ありたい自分のイメージ』という価値に基づき,その価値観を体現できる社会参加という行為を選択していくプロセスを語った.【結論】男性脳卒中者の社会参加促進には,その人の持っている価値観を捉え,その価値観に依拠して将来の見通しを持つことができるよう支援することの重要性が示唆された.
著者
濱田 匠 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.416-425, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

医療機関に所属する作業療法士が,重症心身障害児の自立活動に対してコンサルテーションを実施する場合の,作業療法士の専門性を学校教諭と共有するための方略について,混合研究法の説明的順次デザインで検討した.まず,作業療法士と学校教諭に同一の質問項目による調査を実施した.結果,「身体の動き」で共通認識が,「自立活動6区分を包括する支援」で認識の相違が認められた(研究1).研究1の結果から質問項目を設定し,熟練の作業療法士を対象に半構造化インタビューを実施し,SCATによる分析を行った.結果,学校の文化や制度の視点を考慮した,学校教諭との認識の相違に留意した協働のプロセスが示唆された(研究2).
著者
学術誌編集委員会
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.413-415, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)

このたび,「学術誌『作業療法』掲載論文の表彰に関する規程」に基づいて,学術誌編集委員会が厳正・公平に選考し,同委員会の推薦を受け会長に承認された第9回の受賞論文が決定したので,以下に掲示する.
著者
田中 克一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.617-622, 2019-10-15 (Released:2019-10-15)
参考文献数
10

作業療法の介入では,人生観や生活観をふまえた興味・価値に基づく作業の提供の重要性が強調される.特に,自らがどうあることに価値をおいているのかという信念を反映する「自分らしい作業」への支援は,活き活きとした生活の再構築には重要な視点である.しかし重度失語症者の場合,それらをインタビューにて捉えることが難しい.今回,重度失語症のある事例A氏の訪問作業療法で,A氏から「手記(手帳)」を手渡された.そして「手記(手帳)」を分析することにより,A氏の人生観・生活観を理解し,「A氏らしい作業」への支援を行うことができた.
著者
西 聡太 當利 賢一 宮部 伸子 大久保 智明 野尻 晋一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.369-376, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
19

通所リハビリテーションにおいて脳血管障害を呈した利用者に,MTDLPを用い,復職を支援した.MTDLPと生活行為向上リハビリテーション加算の制度を活用した訪問を組み合わせた支援により,関連事業所との情報集約と伝達が円滑に行われた.復職支援のように,企業との連携や,職場に出向くことが必要な目標の達成には,MTDLPと生活行為向上リハビリテーション加算を併用した通所リハビリテーションによる介入の有効性が示唆された.
著者
山元 直道 古賀 誠 村田 雄一 森田 三佳子 松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.391-397, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

筆者らは地域生活を送る,薬物や処方・市販薬の物質使用障害者を対象とした作業療法プログラム「Real生活プログラム(以下,リア活)」を開始した.本研究の目的は,リア活に参加した対象者のケアニーズや生活上の目標をテキストマイニングの手法で分析し,本プログラムの今後の方向性を検討することである.リア活参加者30名の分析の結果,共起ネットワークでは8個のサブグラフが検出され,人とのつながりや社会復帰,薬物への欲求対処,生活の改善・安定,就労準備に分類できた.リア活は,複雑な背景や症状を抱える物質使用障害に対するテーラーメイドの治療の役割を果たし,参加者が新たに人-作業-場所とつながるきっかけとなる.
著者
大東 真紀 森本 美智子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.328-336, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
15

脳卒中右片麻痺者の左手書字練習初期の習熟に対する主観的評価の様相を明らかにするため,半構造化インタビューを実施した.15名(男性6名,女性9名,平均年齢69.7(SD9.3)歳)の内容分析の結果,【文字イメージの復活・文字を整斉する能力の向上・文字を整列する能力の向上・筆記具の操作性の向上・書字の実用性の向上・左手特有の書きにくさへの対処・筆記具の持ち方の工夫・紙の固定方法の工夫・書字に対する肯定的な気持ちへの変化】の9カテゴリ,《認知機能の改善・能力の向上・対処方略の獲得・気持ちの変化》の4分類に集約された.本結果は当該書字練習における支援方法や評価指標の開発に有益な示唆を与えると考える.
著者
本田 拓也 谷村 厚子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.299-308, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
19

本研究の目的は,作業療法効果の測定に適切と考えられるアウトカム指標とその選択理由を,グループインタビュー技法を用いて検討し,合意形成されたものを高齢者の急性期作業療法発展の資料として提示することである.対象は急性期病院に従事した経験のある作業療法士8名で,分析はノミナルグループテクニックと質的統合法を用いた.結果,30項目のアウトカム指標が採択された.定量的なものからは握力など,定性的なものからは生活行為に関わる質的な改善などが採択された.高齢者を対象とした急性期作業療法では,対象や環境の特性を踏まえた上で生活行為に焦点を当てた支援の効果を測定することができるアウトカム指標が重要と考えられた.
著者
宮本 礼子 藤本 泰成 井上 薫 伊藤 祐子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.289-298, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22

本研究は右利き者の筆順に着目した際の左右手の運筆機能の相違を解明することを目的とした.20名の健常右利き男女を対象に,日本語の字体的特徴を含む図形4種に筆順条件を付加した課題を実施した.収集したデータは 図形を要素に分解し,描画時間・筆圧・仰角・方位角・筆跡躍度・筆跡一致率に関する左右手データを比較した.結果,多くの要素で右手での筆圧が高く,仰角と方位角は要素毎に特徴的な左右差を示した.一方筆跡躍度と筆跡一致率に左右の有意差はなかった.今回筆順条件を加えたことで左右手の運筆機能の違いを示すことができた.非利き手では筆順の影響に伴う不自然な運動方向となり,筆圧がかかりにくいことが明らかとなった.
著者
備前 宏紀 木村 大介 村松 歩 山本 祐輔 原地 絢斗 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.270-278, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
32

単一脳領域と脳内ネットワークの2つの視点から,運動学習過程における脳機能変化と運動学習の遅速の違いによる脳機能変化の差異を解明し,運動学習を作業療法に応用するための基礎資料を得ることを目的に,賦活量と媒介中心性を運動学習前後で比較検討した.その結果,運動学習後に右背外側前頭前野,左前頭眼窩,左右前頭極の賦活量は減少し,左背外側前頭前野の媒介中心性は上昇した.また,運動学習の遅速による脳機能変化の差異では,右背外側前頭前野の媒介中心性の変化に違いを認めた.これらの領域をモニタリングすることは,作業療法の実践歴に加え脳機能の観点からも,対象者に合わせた作業療法介入を検討する上での基礎資料になりうる.
著者
瀬川 大
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.348-354, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
8

小脳出血により右上肢の運動失調を呈する事例に対して,箸操作の自立を目標に作業療法を実施した.事例は,麻痺側右手に過剰に力が入った状態で,箸を握り込むように把持していた.そして,右手の揺れを止めようとして箸の握り込みが強まり,操作対象からの感覚情報とその変化を知覚することが困難な状態にあった.手指の目的的な活動を促通するために,手全体で物品を握るおよび扱う活動で,手指の屈曲・伸展を連続的に誘導した.その後,切る,混ぜる,つまみ上げる,の3つの工程に分けた箸操作を実施し,箸先を整える動作を誘導した.その結果,事例は実用的に箸を使用することが可能となった.
著者
中山 淳 砂川 耕作 岡 久雄 田野 確郎
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.89-94, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
19

近年,リウマチ手に対して局所の安静を確保することは,関節痛を軽減すると報告されている.また,拘縮手に対する運動療法の一つとしてダーツスロー運動の有効性が報告されている.そこで我々は,固定機能と矯正機能を兼ね備えた新しい人工筋型動的牽引スプリント(DTSaM)を考案した.DTSaMは,これまでの矯正部分の力源にマッキベン型空気圧ゴム人工筋を取り入れ,ダーツスロー運動と固定機能を併存させたスプリントである.今回我々は,本スプリントをリウマチ患者に適応したところ,装着開始8週経過時に可動域,疼痛および握力も改善した症例を経験した.本スプリントは疼痛軽減にも有効な福祉用具となりえる可能性がある.
著者
池内 克馬 西田 征治
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.431-438, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
31

要旨:地域や在宅領域でのがん生存者に対する生活の質(以下,QOL)を高めるための効果的な作業療法プログラムの明確化を目的に,システマティックレビューを実施した.Pubmed,EBOSCOhost,医学中央雑誌を用いてQOL改善を目指した作業療法のランダム化比較試験を検索し,包含基準を満たした6論文を採用した.更にCochraneのバイアスリスク改訂版により論文の質を評価した.採用した論文のうち,成果指標に有意な改善を認めた4論文から,がん生存者と専門家やピアが協働するプログラムが参加者の高いモチベーションや日常生活活動能力を維持し,精神的な安らぎを与え,QOL や健康関連 QOL の改善に有用であることが示された.
著者
阿瀬 寛幸 髙木 辰哉 藤原 俊之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.633-640, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
17

乳がん転移性胸椎腫瘍により切迫麻痺を認めた症例に対し,最小侵襲脊椎安定術前後の入院作業療法を実施した.当初,背部疼痛や神経症状に加え,家事や子育てが行えないことによる精神的・社会的苦痛を認めていた.術前安静時から生活行為の評価を行い,術後の動作指導を円滑に行うことで術後8日目に退院し,家事と子育てに復帰した.術後1年が経過し,役割を変えることなく生活を送っている.乳がんは骨転移後も放射線や化学療法の併用により長期予後が見込めることが多い.術前・術後の症状や生活行為を他職種とともに評価し,骨転移部に対する愛護的な動作指導や環境調整,社会資源の提案など退院後の生活に向けた支援が有効であったと考えられた.
著者
勝山 このみ 髙島 千敬 奥 結季恵 阿部 和夫
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.135-140, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
29

本研究の目的は,パーキンソン病患者の認知機能・前頭葉機能が転倒に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は当院で入院加療したPD患者81例,Hoehn&Yahr重症度分類Stage2~4の患者であった.転倒回数により3群に分類し,MMSEおよびFABの総点数との関係について多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した.また,Yahr分類とMMSEおよびFAB総点との関係は,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した.非転倒群と複数回転倒群のMMSEおよびFABの総点数との間に有意な相関を認め,FABの総点数は,転倒予測因子として抽出され,前頭葉機能低下が転倒と相関していることが示唆された.
著者
穴田 麻紀 甘井 努 新舎 規由
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.60-67, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
21

回復期リハビリテーション病棟へ入院した大腿骨近位部骨折術後患者130例(女性105例,平均年齢82.1±7.8歳)において,退院時の夜間の排泄関連動作の自立の可否とその関連要因を調査した.その結果,退院時に夜間排泄関連動作が自立した者は96例(73.8%)で,自立の可否にてロジスティック回帰分析をおこない,入院時において日常生活活動動作,認知機能,バランス能力が高いこと,失禁を有さないことが有意な因子として抽出された.入院時点で退院時の夜間排泄関連動作の自立の可否を予測することで,機能回復だけでなく介助指導の必要性やタイミングを検討し,早期からの円滑な在宅移行支援が可能になると考えられた.