著者
中村 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.605, pp.217-230, 1998-10-21
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

本論では, 地中構造物の各部材の損傷及び構造物の終局状態等の耐震性能の照査を, 保有変形能と呼ぶ構造物の各部材の損傷と関連づけられた層間変形と構造物の地震応答層間変形の比較に基づいて行う耐震設計手法の提案を行った. この手法の大きな特徴は, 構造物の応答変形である層間変形が各部材の損傷モードを関連づけられていることから, その比較が耐力照査も満足するという点である. ここで提案する手法における各評価項目のモデル化は兵庫県南部地震により被災した神戸高速鉄道・大開駅, 高速長田駅の一般駅部および大開駅と新開地駅間の駅間トンネル部の3つの構造物モデルを用いて行った. さらに, それら構造物へ本手法を適用し, 本手法の有用性を明らかにした.
著者
豊福 俊泰 三嶋 信雄 田中 久士
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.658, pp.141-152, 2000-09-20
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

近年, 気泡混合軽量土を用いた軽量盛土工法を採用する施工事例が, 急激に増加している. 気泡混合軽量土の配合設計法としては, 暫定配合表から使用する原料土 (砂質土) ごとに補正計算によって配合を決定する方法が, 日常管理試験法としては, 早期品質判定のため材齢7日の供試体による方法がとられているのが現状である. 使用される原料土は多岐に渡ることからも, 合理的な品質管理法の確立が急務となっている. そこで, 本研究は, 気泡混合軽量土の主要な要求性能であるフロー値, 湿潤密度および一軸圧縮強さに対して, 影響する要因を, 多数の試験結果の回帰分析によって解明するとともに, 実際の工事の管理データで実用性を検証することにより, 気泡混合軽量土の品質管理法を提案したものである.
著者
土屋 智史 古家 義信 金益 賢 岡村 甫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.662, pp.1-15, 2000-11-20
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

多方向入力の影響と材料強度のばらつきが耐震性能に及ぼす影響に着目して, 3次元非線形動的解析手法を用いて, 中層梁を有しないRC鉄道ラーメン高架橋の耐震性能の評価を行った. その際, 柱部材には Fiber モデルを適用し簡略化を行っている. その結果, 構造物の地震時挙動を推定するには多方向入力の影響を直接取り入れることのできる3次元解析が必要不可欠であることを明らかにし, 材料強度として特に鉄筋の降伏強度について注意する必要があることを再確認した. 本解析手法は, 現在の技術力を有効に活用したものであり, 工学的判断を付加することで, 地震被害分析を妥当に行うことができる.
著者
有尾 一郎 池田 清宏 鳥居 邦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.513, pp.169-178, 1995-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13

近年構造物の対称性の利用法としてブロック対角化法が提案されている. 本研究はこの手法を減衰を持つ対称構造物の動的問題に適用するものである. 系の幾何学的特性に基づく座標変換を用いて, 剛性行列, 減衰行列, 質量行列, 制御系の行列等を同時にブロック対角化することにより, 運動方程式を複数の独立な式に分解する. 従来の方法と異なり, 対称構造物であれば任意の減衰行列に対して適用できる点がこの手法の大きな長所である. 数値解析例として各種の軸対称構造物を取り上げ本手法の数値解析効率と収束安定性の高さを示す.
著者
秦 健作 辰巳 正明 大倉 幸三 大西 悦郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.279-289, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1

明石海峡大橋の主塔は海面からの高さが約300mにも達し, 風によって生じる振動の対策が設計上の重要な課題の1つであった. 主塔の空力特性を確認するため実施した風洞試験の結果から, 塔柱断面には耐風性を考慮して高さ方向に隅切幅の変化するテーパー隅切断面を採用するとともに, 架設系のみならず完成系においても設計風速以下の風で生じる渦励振に対して機械的な減衰を付加する制振対策を施した. 本稿では, 主塔架設時から吊橋完成時に至る主塔の制振対策について, その検討内容と対策の概要について述べる.
著者
小林 潔司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.449, pp.27-36, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
74
被引用文献数
1
著者
永井 泉治 吉武 勇 中村 秀明 浜田 純夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.665, pp.183-188, 2000-12-20
参考文献数
2
被引用文献数
3

本研究は, 山岳トンネル坑口部の橋梁における車輌の積雪スリップ事故防止策として, 山岳トンネル特有の湧水を利用した温水パイプ式ロードヒーティング実験を実施し, 検討を試みたものである. またその基礎実験として, 熱伝導特性の異なるコンクリートについて熱伝導試験を行うとともに, その融雪効果を調べた. トンネル湧水を用いた現場実験より29cm/dayの降雪量に対しても, 無雪状態にすることができたため, 温水パイプ式ロードヒーティングへのトンネル湧水適用の有効性が確認できた.
著者
原田 隆典 田中 剛 田村 好文
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.209-217, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

確率過程理論に基づく強震動のシミュレーションモデルでは, 強震動の振動数特性や非定常性はパワースペクトル密度関数やその時間的変化を表わす関数によってモデル化される. 本研究では, 地震の物理に基づく理論的方法によってこれらの関数をモデル化する. 小地震による地震動モデルでは地震の物理に基づく理論的方法と経験的方法を併用してモデル化している. 大地震による強震動モデルでは地震断層を含む地盤における波動場の定式化に基づき, 地震断層の破壊伝播や観測点との幾何学的関係が考慮される. 計算例により, 強震記録が希薄な地域での強震動の予測に本研究のモデルを適用する方法を説明するとともに, 本研究のモデルの特徴を示す.
著者
井伊 博行 平田 健正 松尾 宏 田瀬 則雄 西川 雅高
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.594, pp.57-63, 1998-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

茶畑からの湧水には肥料からの硝酸イオン, 硫酸イオンなどの酸性物質と共にアルミニウムイオン, リンなどが多量に含まれている. 湧水が池に入ると, 光合成, 脱窒, 硫酸還元によって, 中和され, 場合によっては, アルカリ性にもなる. 池内での短期間のpHの大きな変化には, 窒素, リンによる池の富栄養化に伴って起こる光合成が大きく貢献していた. 年間通じての硝酸イオンの池内での消失には, 脱窒が関与していたと考えられる. 池の水が中和されることで, 湧水に含まれていたアルミニウムイオンは水酸化物として沈殿し, 硫酸還元によって硫酸イオンも池から除去されたと考えられる. リンは生物 (有機物) として池内に貯蔵された. 池内で, 有害なアルミニウムイオンや硝酸イオンの濃度が下がるため, 池の存在は重要と考えられる.
著者
鈴木 猛康 田村 重四郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.525, pp.275-285, 1995-10-21
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

1985年ミチョアカン地震の際, メキシコ市でシールドトンネル軸方向の引張およびねじり変形に起因する被害が発生した. このような軸方向変形に対しては, シールドトンネルの覆工体とその外周の地盤の間に免震層を形成し免震構造とした場合, 地震時に覆工体に生じるひずみを大きく軽減させることができる. 本論文では, シールドトンネルの免震構造の免震効果を評価する方法として, 軸対称有限要素を用いた簡易モデルによる数値解析法を提案するとともに, パラメトリック・スタディーによりひずみの低下率によって免震効果を定量的に示している. また静的安定解析により, 0.5に近いボアソン比を有する免震層とすることが, 地表面沈下を抑制する意味から重要であることを示している.
著者
西川 肇 藤井 壽生 工藤 勝輝 露木 延夫 近藤 勉 田原 達人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.706, pp.77-85, 2002-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

河川流域における森林が緑のダムとして大きく評価されるようになってきている. 森林の保水機能を軸とした沿水・利水の対策が求めはじめられた今日, 河川流域を単位とした森林の生育状況からその保水機能を定量的に評価することが河川管理上で重要なキーポイントとなる. 本研究は, 東京都民の水瓶である多摩川小河内ダム上流域を対象に, ランドサットデータで判読した森林の生育状況と林地土壌の理学的性質との相関性を定量的に分析し, 流域の持つ森林機能について解析した.
著者
島岡 明生 谷口 守 松中 亮治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.135-144, 2005-04-20
被引用文献数
6 2

今後わが国は今までに経験のない人口減少状況の中で交通環境の改善, 都心部の活性化などの課題に対応することが求められる. そのための都市づくりのコンセプトとしてコンパクトシティが着目されているが, 実証的な観点にたつ都市の具体的な撤退戦略については展望がない. 本研究では, 地方中心都市を対象に, 人口減少をどのような分布と構成で受け入れる必要があるかを実データに基づき, 詳細な地区レベルで検討した. ガソリン消費量などのサステイナビリティに関連する多様な指標で評価を行った結果, ただ単に都市構造をインフラ面からコンパクトにするだけでは改善は望めず, 抜本的な行動変容の促進とあわせた政策パッケージの導入必要性が示された.
著者
丸山 喜久 山崎 文雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.787, pp.177-186, 2005-04-21
被引用文献数
9 1

著者らは地震時の車両走行安定性に関して, 数値解析とドライビングシミュレータを用いた走行実験を行い定量的な検討を行ってきている. その結果, 地表面地震動の計測震度が6.0程度に達した場合, 震動の影響で走行車線をはみ出す被験者が多く見られ, 周囲の交通状況によっては他車との接触事故を起こす可能性があることが示された. そこで, 本研究では, 気象庁などが導入を検討している地震動早期警報である緊急地震速報の高速道路ネットワークへの応用を目指し, 運転者に地震動早期警報が与える影響をドライビングシミュレータを用いた走行実験で検討した.
著者
中川 大 波床 正敏 加藤 義彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.482, pp.47-56, 1994-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
18
被引用文献数
6 3

本研究は, 交通網整備によってもたらされる都市間の交流可能性の変遷を計測する方法について論じるとともに, 実際にわが国の都市間を対象としてその計測を行ったものである. 計測にあたっては,「滞在可能時間」とこれを用いたアクセシビリティを指標として採用し, 明治以降の5時点において全国の都道府県庁所在都市を対象に交流可能性を求めた. また, その結果を分析することによって, 高度な交通機関の整備の途上期において交流可能性の地域間格差が広がる期間があることなどわが国の交通整備による交流可能性の変遷の特徴を明らかにしている.
著者
星谷 勝 山本 欣弥
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.355-366, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

ライフラインネットワークやトラス構造物といった現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており,構成要素の部分的な被害がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannon の情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 次に, 古くから扱われている並列システムを例題として, 信頼性 (reliability) と冗長性 (redundancy) の持つ意味について詳しく検討している. さらに, 簡単なネットワークモデルを用いてシステムの形状, リンクの破壊確率とシステムの信頼性および冗長性について検討を行った. 本研究で示した冗長性指数は, De, Kammchandani and Comell によって定義された冗長性指数と比べて, 優れた特長を有していることがわかった.
著者
林 良嗣 冨田 安夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.395, pp.85-94, 1988-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
34
被引用文献数
3 8

This study is an attempt to develop a forecasting method of population attributes by zone in a metropolitan area. Random utility models are used to formulate each event of household related to individual's life cycle and residential relocations. As the forecasting method, a micro-simulation technique, which can chase individuals' behaviours and can provide flexible aggregation, is employed. The validity test and policy tests proved the advantages of the model, compared with existing models.
著者
宮本 和明 安藤 淳 清水 英範
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.365, pp.79-88, 1986-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 6

A model to forecast total demand for housing by its type is built for a metropolitan area. The model is built based on disaggregate behavioral analyses using nested logit models. The nested logit models describe locational behaviors of households, that is, choice between remaining at the present house and moving to a new house, and choice of housing type. They have enough variables to explain these locational behaviors, and the parameters are estimated with good fitness. This study also discusses the way to estimate the numbers of different types of households, which is indispensable in forecasting total demand of housing in the area. It is proved that the forecasting model based on the above mentioned approach can estimate housing demand for the period from 1975 to 1980 in Tokyo metropolitan area with good fitness.
著者
亀山 修一 川端 伸一郎 豊田 邦男 川村 彰 笠原 篤
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.742, pp.51-60, 2003-09-20
被引用文献数
1 1

1999年8月~2000年4月にかけて道東自動車道 (芽室I.C~池田I.C.) の縦断プロファイルを測定した. 特に, 2000年2~4月の期間中は測定を毎週実施し, 冬期間における国際ラフネス指数 (IRI) の変動について解析した. 切土の占める割合が大きいセグメントでは, IRIが冬季になると増加し, 春季になると減少する傾向が見られた. 推定された凍結深さが調査期間中に凍上性材料の路床に達したことに加え, 凍結指数の増加とともにIRIが増加し, 春になるとIRIが冬季前のレベルに回復する傾向が見られたことから, 凍上によって冬季の平坦性が悪化することが分かった. また, 冬季のIRIは, 盛土部や橋梁部よりも切土部において大きく増加し, 局所的に秋季の約5倍に達した.