著者
永島 利明
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.27-35, 1972-12-01 (Released:2017-07-28)

Before modern society the handicapped was often confined in the room or watch by people. The midget was worked for the governing class as comedian in ancient China and Japan. Some Chinese philosopher, for example, Confucius blamed dwarf for reason why politician was corupted by them. As a result, shogun or the military caste could not go to show-booth during Tokugawa period which was greatly influenced by Confucian scholar. It was specially in the later fudal society when there were many handicapped who were played as actor for citizen. They had 74 kind of the handicapped showman. Why did they bocome showman? For the first place, they were sold and bought by merchant of person. Secondly, the sin of their father are visited on the children. The retribution was a kind of moral educatin in Japan. Meiji Goverment often prohibited peopile to watch cripple showman after 1868 in order to reform unequal treaty between foreign countries and the Tokugawa Shogunate, but had no policy of social welfare for the handicapped. So they had to continue working as a player. They were not actor and actress until goverment gave pulic support to them after the Second World War. Owing to the Law of Social Welfare for Child in 1947, for The Physically Handicapped in 1949 and The Livelihood Protection Law in 1950, they can manage to keep without playing.
著者
瀬尾 政雄
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-13, 1982-07-24 (Released:2017-07-28)

点字を常用する視覚障害者は、日本語が漢字仮名交り文を正書法とするため漢字・漢語の理解特に同音異義語の理解に困難がある。点字使用者のこの不利を明らかにするため同音異義の漢字を想起させてその結果を比較した。被験者は一般学生28名、弱視学生39名、点字使用学生28名。想起数の平均値を点字群と漢字群とで検定した結果0.1%水準で有意差が認められたが各群内の正眼と弱視、先天盲と後天盲では有意差は認められなかった。しかし、漢字群(正眼≒弱視)〉点字群(後天盲〉先天盲)の関係がすべての結果においてみられた。想起された漢字の出現順位は使用文字に関係なく、漢字使用経験の有無にも関係なく一致した傾向にあった。特に漢字経験のない先天盲グループの漢字の理解度も解答頻度から十分に理解したうえで解答していることが確認された。なお漢字・漢語の理解度は今後に予定している文脈における理解力の程度とその影響に関する調査により更に正確なものとすることが今後の課題である。
著者
東 正
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.1-11, 1972-03-01 (Released:2017-07-28)

Studies of the application of operant principle for modifying the behavior of the mentally retarded were reviewed historically, and the following informations were pointed out. (1) Fuller (1949) presented the first study in which the principles of operant conditioning were applied to the mentally retarded. (2) Although Gardner and Watson (1969) reported that over 70% of the articles in the area have appeared within the last 3 years, we could to find the same trend at present too. (3) In general, the majority of studies have been concerned with training the severely and profoundly retarded. (4) Operant techniques have been used mainly in the areas of simple behaviors such as self-dressing, self-grooming and toileting etc. (5) However, more recently some investigators have begun to apply the principle to academic behavior such as reading, writing and arithmetic. (6) Many of researchers reported successful results in their experiments, and they have had a conviction that the failure is with the techniques, not with the principle. (7) Token system has become increasingly popular since Birnbrauer introduced it in his experiment (1964). (8) In Japan, Yamaguchi (1967) published his first paper in which examples of research being conducted in the United States with the application of operant principle to deviant children, especially the retarded were introduced. (9) The application of operant principle to the mentally retarded is likely to be farther developed in the future, and seems to offer greater posibilities for education and research in the field of the mentally retarded.
著者
村田 敏彰 青山 眞二
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.35-45, 2016
被引用文献数
1

本研究では、特別支援教育コーディネーターによる連絡調整上の工夫の具体的方法を明らかにするため、関係者間の連絡調整に苦慮した30事例を、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した。その結果、認識のずれや感情トラブル等の現状を認識したコーディネーターはさまざまな葛藤を経て、対象児童や保護者、担任の言動の意図を言語化したり、誤解の可能性がある表現を理解・受容しやすい言葉に変換するなど、伝達方法を工夫することで、関係性を改善させたり対象児童を向上させるなどの成果をもたらす、というプロセスが示された。苦慮の背景には、関係者間の齟齬や支援の行き詰まりなど、切迫・混沌とした状況があった。これらの事態を打開するキーポイントとして、「苦慮する原因や背景の本質を見極めながら、それに応じた具体的な伝達方法を選択すること」を挙げることができる。M-GTAにおけるコアカテゴリー生成にあたり、この伝達方法の工夫をコーディネーターによる「翻訳」と命名した。
著者
黒田 吉孝
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.61-67, 1987
被引用文献数
2

自閉症の言語未獲得に対してその発達と障害によりいくつかのタイプに分類されることが指摘されている。本研究では言語未獲得の中でも自閉性障害が重篤で、伝達意図が発達しないタイプに属する事例(小学6年、女児)を対象にし、コミュニケーション活動に視点をあて、その特徴を明らかにするなかで言語獲得の困難性を検討した。コミュニケーション活動は、語の実用論的立場と場面毎の状態を分析する条件分析の立場から検討した。コミュニケーション活動はいくつかの機能カテゴリィにしたがって検討した。本児の場合、「道具的機能」は比較的容易に獲得されたが、他の機能は5年間の指導をとおしても獲得されず、コミュニケーション機能獲得の偏りがみられた。また、コミュニケーション手段としての身振り・指さしなどの自発的表現も獲得が困難であり、象徴機能とコミュニケーション機能との関係を検討する必要があると思われる。
著者
烏雲 畢力格 柘植 雅義
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.11-24, 2021

<p>本研究は、知的障害者95名を対象として、目標志向性と就労における自己調整方略および職務満足感の関連を検討した。因子分析の結果、目標志向性として「マスター目標志向性」と「パフォーマンス目標志向性」が、職務満足感として「外在的職務満足」と「内在的職務満足」が、それぞれ抽出された。パス解析の結果、(1)メタ認知的方略の「柔軟的調整」が行動・環境の調整方略を規定することが示唆された。(2)目標志向性と就労における自己調整方略の関連について、マスター目標志向性は「目標設定」と「柔軟的調整」及び「作業方略」と正の関連を有するほかは、「柔軟的調整」を媒介して間接的に行動・環境の調整方略を予測していると考えられる。(3)就労における自己調整方略と職務満足感の関連について、「援助要請」と「作業方略」は職務満足感と正の関連を有していた。また、目標志向性は職務満足感と正の関連を有するほかは、「援助要請」と「作業方略」を介して間接的に職務満足感を予測していると考えられる。したがって、知的障害者の職務満足感の向上に向けて、就労における自己調整方略に対する支援の重要性が示唆された。</p>
著者
飯田 貞雄
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.62-75, 1974

本研究は、筆者の助言のもとに試みられた一小学校におけるresource-room方式による軽度精神薄弱児および学業遅滞児指導の実践の効果を検討しようとしたものである。方法は2群比較対照法と事例研究法を併用した。対象児として、通級児群9名(resource-roomに通級し、1年間特別指導を受けた小学校1年在学の該当児)と対照児群10名(通級児とほぼ同質であるが、特別指導を受けないもの)を選び、知能検査(3回施行)、2種の学力検査(2回施行)、ソシオメトリックテスト、通知票等を用いて評価を行なった。また、事例研究にあたっては生育歴、学校における諸記録などの資料の提供をうけた。結果の概要は次のとおりである。1. 1年間におけるIQの変動をみると、通級児では、全員がその差+5以上の上昇を示した。また、群としてみた場合には、通級児群の平均IQは大きく変化して、その差は+15.1であった。これに対して、対照児群の方にはほとんど変化はみられなかった。2.学力面については、言語テストの結果において、通級児群の方がより大きな進歩を示した。3.社会的適応の状況は、両群ともに、孤立児が目立つが、一方の教育組織が部分的分離であるにもかかわらず、両群間にはほとんど差はみられない。4.事例研究を通しては、通級児の2名がその後好転を示し、中途から通級指導不要となったことが確められた。以上を総括すると、今回の評価期間はわずか1年を満たないものであったが、本実践の効果をわれわれはここに認めることができよう。また、本研究をとおして、実践活動に対するいくつかの重要な示唆が得られた。なお、今後の継続的かつ包括的な研究にまたなければ明確な傾向を得ることができない点も多く残されている。
著者
高橋 正泰 大野 博之
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.329-340, 2005-01-31 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
2 2

発達の早期から他者に対する自発的なかかわり行動が乏しく、目線が合わないなどの特徴を有し、自閉症が疑われた男児に対して早期介入を行った。本事例においては、フリー・オペラント技法を適用し、自発的に他者へ働きかける行動の形成を目指した。従来の技法に、構造化および強化遅延手続きを加えることによって、自発的なかかわり行動の頻度は増加し、セッション中に他者と相互交渉をもって過ごす時間が長くなった。また、自発的な働きかけ行動の質に関しても分析を行った結果、セッション開始時には物や物に関連する行為の要求がほとんどであったが、セッションの進行にしたがって、他者との身体接触や身体接触を通した遊びの要求へと変化していった。また、このような自発的なかかわり行動の増加に伴い、自閉的な特徴に関しても変化がみられた。これらの結果から、フリー・オペラント技法を用いた早期介入の効果、自閉症的特徴の変化に影響を及ぼす要因について検討を加えた。
著者
海塚 敏郎 釘宮 正次
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.89-94, 1994

教科学習の遅れが著しい小学校2年生の男児に対して感覚統合療法の原理に基づいて治療を行った。本児は学力の遅れの背景に視知覚、視覚-運動協応能力の問題、筋緊張の低下とそれに伴う微細な運動能力の著しい低下を示した。感覚統合的視点から、前庭覚-固有覚-視覚の統合を目的として、約8か月にわたり原則として週1回(1回60分)の治療を18回行った。結果は、動作性と言語性の知的能力の有意な差異が解消した。また行動的には視覚認知,目と手の協応運動に改善がみられ、筋緊張の増強が観察された。それに伴って粗大運動も滑らかになると共に、運動課題への取り組みも積極的になっている。学校での学習もこれと平行するように改善している。読み・書きの障害への対応として、今後、認知訓練へ治療の重点が移っていくことが予想される。
著者
鈴木 徹 平野 幹雄 北 洋輔 郷右近 歩 野口 和人 細川 徹
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.105-113, 2013 (Released:2015-02-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1

従来、自閉症児の対人相互交渉の困難は、他者理解の困難が背景要因として指摘されてきた。しかしながら、心の理論課題の結果と日常生活の様相について実証的な研究は行われてこなかった。本研究では、高機能自閉症の一事例を対象に、心の理論課題の実施と実際の様相、とりわけ自身の言動と他者の言動の因果関係の理解の様相から対人相互交渉の困難の要因について検討を行った。その結果、心の理論課題を通過した対象児は、対人相互交渉において、過去の他者の言動と現在の状態との因果関係について適切な解釈を行っていた。一方、過去の自身の言動と現在の状態の因果関係について誤った解釈を行うことが多かった。このことから、対人相互交渉の困難を招く一因として、自己の言動の認識の困難という可能性について論じた。
著者
小川 克正
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.59-66, 1995

特殊教育の最初の用語例は、明治14(1881)年改正の文部省事務取扱規則に見られるが、その意味については従来、何を意味するか明らかでないとされてきた。従前の諸説を吟味し、この用語が使われている規程条文ならびに関連資料を分析し、専門学校ならびに実業学校及びに「盲唖院」を含む各種学校の教育を総称する概念として使用されていることを明らかにした。ほぼ同じ時期に文部省から刊行された翻訳辞典の『教育辞林』には類似の「特別教育」の用語が見られ、その用語法は特殊教育の用語例とも一致すること、この場合の原語はスペシャル・インストラクション(special instruction)であることを確認した。この新しい用語が文部省の事務分掌規程に導入された背景には、新設の農商務省との間に学校の監督権をめぐる係争があり、農業・商業・工業等の諸学校と専門学校ならびに各種学校の教育を総称する用語が必要であったことを併せて考察した。
著者
小笠原 恵
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.31-39, 1999-09-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

本研究で対象とされた自閉症児は、本研究開始以前に即時性エコラリアと機能的に等価な援助要求語が形成され、エコラリアの消失には成功した。しかし、援助要求語が過剰般化し、不適切な場面でも高頻度で出現した。これは、質問が提示されたとき、その内容に自分の知識が対応するか点検した上で、援助が必要であるのか否かを決定する、モニターを本児が行っていなかったためであると考えられた。本児の場合、(1)モニタースキルはもっているが、指導者から質問されると援助を要求するという行動連鎖が強固であったために、モニターする機会が剥奪されていたか、(2)モニタースキルに障害があったか、このいずれかが援助要求語の不適切な場面への過剰般化の原因として仮定された。そこで、指導1において援助要求語が出現した際に、モニターする機会を新たに設定した。しかしながら、この手続きでは、援助要求語は機能的に使用されなかった。指導2において、課題の難易度によって、出現した援助要求語の強化の随伴性に差をつけ、本児がわかるものとわからないものを識別するための手がかりを提示した。その結果、本児は適切な場面で援助を要求することが可能となった。これらの結果より、本研究の手続きが、機能等価性を再構成したことが示唆された。
著者
雨貝 太郎 園山 繁樹
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-55, 2015

本研究は広汎性発達障害の診断を受けた11歳の男児1名を対象に、サイコロトークを実施し、いくつかの条件を設定し、発話促進の効果について検証した。初めに「聞く行動」について指導した後、「話す行動」を指導した。「話す行動」の指導においては、「終了モデルの提示」「話すテーマの事前提示」「考える時間の提供」「テーマの選択」「テーマの自由選択」という5つの条件の中で、話す時間と話す文章の量の変化を測定した。その結果、より長い文章を話させる課題を行う際は(1)会話の終わり方のモデルを示すこと、(2)前もって話す内容について考える時間を十分に与えること、(3)話す内容について選択肢を与えること、が効果的であった。また、より長い時間会話をさせる課題を行う際には(1)どのようなことについて話せばいいのか事前に伝えておくこと、(2)選択肢を与えずに自分の話したいことを自由に話させること、が効果的であった。
著者
高橋 ゆう子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.231-240, 2008
被引用文献数
1

本研究では、歩行が安定しない重度の知的障害児2名に動作法を適用し、身体への気づきが促され、過度な緊張の弛緩や適度な緊張が獲得されるプロセスにおいて、日常行為がどのように変容するか、特に母親との関係の中でとらえられる子どもの変容に着目して検討を行った。分析にあたっては、動作法適用の経過、日常生活での様子、さらに発達検査の項目に関する母親の自由記述を資料とした。その結果、日常行為の変容過程における特徴として、(1)日常行為での身体の気づきが高まる、(2)周囲への注意が変化する、(3)試行的な動きが生じる、(4)情緒不安定さが軽減する、というプロセスがとらえられた。そこから身体の操作性と日常行為との関連、日常行為の変容に関する母親の気づきについて考察を行った。
著者
吉井 秀樹 吉松 靖文
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.217-226, 2003-07-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
5 1

この10年間、数多くの研究が自閉性障害児者における心の理論の障害を指摘してきた。一方で、自閉性障害児者が感情理解や自己理解に困難をもつことを示す研究もある。しかし、自己理解と他者理解(心の理論)、感情理解の関係性を明らかにした研究はない。本研究では、年長の自閉性障害児と精神遅滞児に対し、自己理解課題、他者理解課題、感情理解課題を実施した。その結果、自閉性障害児は精神遅滞児に比べいずれの課題においても有意に成績が劣るものの、自己理解の成績が高い自閉性障害児は成績が低い自閉性障害児に比べて他者理解課題の得点が有意に高いことを見いだした。これらの結果は、年長自閉性障害児が他者の心の理解だけでなく自己の理解や感情の理解にも困難をもつこと、また、自己の理解の能力が他者の心の理解の能力と関係があることを示唆している。
著者
尾崎 康子 小林 真 水内 豊和 阿部 美穂子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.335-345, 2013 (Released:2015-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

保育者が発達障害児や発達が気になる子どもを評価するスクリーニング尺度として、幼児用発達障害チェックリスト(CHEDY)を作成した。CHEDYは、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害を測定する3尺度で構成されている。PDDはADHDや知的障害との合併が認められることがあるが、CHEDYはこれら3つの障害を一度に調べることにより、子どもの様子を的確に把握し、保育指導に生かすために開発された。PDD群(682名)、ADHD群(48名)、知的障害群(267名)、定型発達群(897名)について調べたところ、これら3尺度には十分な内部一貫性が示され、また群間の有意な区別がなされたことから、信頼性と妥当性をもったスクリーニング尺度であることが示された。さらに、定型発達群との識別性を調べたところ、各障害の識別に有用であることが示された。