著者
下鶴 幸宏 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.149-158, 2008
参考文献数
5

講義を行っている教員方は後方の座席にいる人ほど「集中力がない」、「やる気が感じられない」と言われることをよく耳にする。一般的に前方の座席の学生は学習意欲が高く、後方の座席の学生は学習意欲が低いと言えるのであろうか.そこで、勉学意識と座席の位置には何らか因果関係があるのかを確かめるために質問紙調査を行い、統計学的に調査し、数量的に比較した.その結果、座席が前方の学生は、座席が後方の学生よりも学習意欲が高く、講義中も講義に関係した私語が多く、講義にも関心を持って取り組んでいる学生が多い.しかし、学習意欲が高いものの、講義のために予習や復習をするといった事前学習を行う学生が少なく、講義に取り組む姿勢があまりできていない.一方、座席が後方の学生は、講義には上の空の学生が多く、講義時間を退屈に感じたり、講義時間を過ぎて講義室に入室してきたり、教員に対して厳しい評価を行っている学生が多いことかわかった.また、現在着いている座席の位置は、学生自らが希望している座席であり、入学してからは座席が固定されていて、講義の度に座席移動は行っていないことがわかった.
著者
松尾 康弘 吉田 秀樹
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.61-68, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
25

近年、脳の認知機能研究が進み、リハビリテーションへの応用が多くみられるようになってきた。その認知機能の基盤である注意機能改善に対するModified attention process training(以下M-APT)が紹介され、その効果として、注意機能のみならず、社会的外向性等の改善までみられた報告がなされている。本研究はそのような背景から、注意機能が言語機能、コミュニケーション能力および知的機能に与える影響について検討した。方法は脳血管障害患者8名にM-APTを実施し、その前後において、注意機能検査、言語機能検査、コミュニケーション能力検査、知能検査を行った。その結果、知的機能検査以外の各検査結果が有意に向上した。以上から、注意機能向上は、言語課題の遂行・処理を促進させ、コミュニケーション能力の向上へ良い影響を与える可能性が示唆された。
著者
竹内 皓紀 川﨑 聡大 中川 雅文 川田 拓
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.79-86, 2019-05-28 (Released:2021-03-15)

クロノタイプが課題遂行に及ぼす影響を明らかにするため,大学生224 名を対象に日本語版朝型-夜型質問紙 (日本語版MEQ) を用いてクロノタイプを測定し,さらに夜型傾向者 15 名・朝型傾向者15 名に対して朝・夕の2 つの時間帯においてそれぞれstroop 課題を実施 した.本研究ではクロノタイプ不一致条件下における課題適応段階および疲労蓄積段階での課題遂行を観測するため,朝課題遂行条件下での夜型傾向者の課題初頭における行動的 (課題遂行状況) , 心理的 (主観的ワークロード) ,生理的 (自律神経反応・f-NIRS) 指標を測定した.また課題経過に伴う各指標の変動についても計測を行った.結果,クロノタイプ不一致条件下における行動・心理指標の変動においては有意差が認められなかったが,自律神経活動で一部仮説を支持する結果が得られた.また課題初頭では行動指標ならびに生理指標(f-NIRS) において急速な代償的適応過程を示唆する知見が認められた.
著者
松浦 弘幸 野田 信雄 小井手 一晴 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.159-165, 2006-10-20
被引用文献数
1

我々は,都道府県別衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間などの増加よりも効果が大である.
著者
北條 暉幸
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-5, 2005-10-20
被引用文献数
1

日本人肩甲骨の計測学的研究結果に基づき徳川将軍集団とアイヌ集団の肩甲骨について主成分分析を行い、おおまかにタイプ分類し、徳川将軍集団と江戸時代などの庶民集団との差を検討した。計測項目は、肩甲骨の形態長(幅)と棘上窩幅(前後幅)で、前者は肩幅、後者は肩の筋肉の盛り上がりを表し、さらに徳川将軍集団と同時代江戸時代庶民の肩甲骨の高さ(背筋が弱いと低い可能性)を比較した。縄文時代集団は最も肩幅が広いが、肩の前後幅は比較的狭く(胸郭が薄い)、筋肉質であり(タイプI)、徳川将軍集団は、肩幅が狭くなで肩、肩甲骨は後代に高くなるが江戸時代庶民より低く、筋肉が最も弱いタイプIV、室町時代集団はがっちりした肩、筋肉も強く、いかり肩のタイプII、江戸時代集団はこの集団に近くタイプIIIである。現代人集団もやや弱い傾向のタイプIIIを示した。室町、江戸両時代集団は特異な徳川将軍集団より頑丈な形状であり、アイヌ集団は比較的がっちりしたタイプIを示し、以上4タイプの大まか分類、肩甲骨のライフスタイルの変化への適応も論じられた。
著者
根本 哲也 島本 聡 野方 文雄 松浦 弘幸 野田 信雄 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.137-142, 2005-10-20

生物の機能に学ぶバイオミメティクスは,従来の技術では解決できなかった問題をブレークスルーする方法として近年注目されている.クマムシ(Tardigrada)は極限状態下での生息が確認されており,その機能発現には,トレハロースによる組織安定化等の化学的な作用と体の構造を変化させる等の物理的な作用によると考えられている.本報ではクマムシを極限状態下に晒した場合に見られるtun状態とよばれる特殊な収縮状態へ移行する過程を観察した結果を報告する.その結果,クマムシがtun状態に至る過程で見られる外殻の構造変化,粒状の内容物の変化等の諸現象について観察することができた.
著者
行正 徹
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.37-42, 2010-05-11 (Released:2017-09-02)
参考文献数
10

量子力学にはその成立の時期から確率解釈や観測の問題という原理的な問題が付きまとっている。特に観測の問題は深刻であり、現在尚議論が尽きない状況である。量子力学的な状態は通常は因果的に時間発展するが、観測時のみ予測できない非因果的な変化をする。この変化を波束の収縮と呼んでいる。観測とは何か、観測時に何が起こっているのか、興味深い問題である。全ての現象に量子力学を適用できると考えると確率解釈とも絡んで、一種の自己撞着に陥る。一方、精神現象、特に「意識」の問題を科学的・学問的に考察する場合に原理的な問題が生じる。意識を考察するということは、そのこと自身、意識の働きであり、精神現象である。つまり、自己が自己自身を対象化し、考察することである。対象化した瞬間に別の意識状態に変わっているはずである。この意味では、意識以外の客観的なものを対象化して研究する他の諸科学とは根本的に性質を異にしている。ここには量子力学における観測の問題と同様の論理構造が存在する。
著者
持田 信治 川上 匡也 白土 竜一 矢鳴 虎夫
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.25-31, 2004-10-20

インターネット上のWWW(World Wide Web)からHTML文書を収集するプログラムをWEBクローラと呼ぶ。通常WEBクローラにより回収されたHTML文書はインデックスを付加された後サーチエンジンにより公開されている。しかし一般的なサーチエンジンを検索して得られる情報は研究用としては精度が低い、そこで本研究では研究活動に有効な情報を自動的に登録、蓄積してWEB技術により情報を公開する研究支援用WEBクローラとそのネットワークの基本的な考え方を提案する。本研究で提案するWEBクローラは研究目的に従い情報を自動収集してXML文書(Extensible Markup Language)として蓄積する。そして収集した情報を全文検索機能により研究者に提供する。本WEBクローラネットワークが実現すれば、各研究者は様々な研究場面で適切な情報の提供を受けることにより判断時間の短縮と正確な判断が可能となり、研究の効率化と各自の専門を超えた広範囲な研究成果の創出が可能となる。
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.
著者
下鶴 幸宏 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.149-158, 2008-10-05 (Released:2017-09-04)
参考文献数
5
被引用文献数
1

講義を行っている教員方は後方の座席にいる人ほど「集中力がない」、「やる気が感じられない」と言われることをよく耳にする。一般的に前方の座席の学生は学習意欲が高く、後方の座席の学生は学習意欲が低いと言えるのであろうか.そこで、勉学意識と座席の位置には何らか因果関係があるのかを確かめるために質問紙調査を行い、統計学的に調査し、数量的に比較した.その結果、座席が前方の学生は、座席が後方の学生よりも学習意欲が高く、講義中も講義に関係した私語が多く、講義にも関心を持って取り組んでいる学生が多い.しかし、学習意欲が高いものの、講義のために予習や復習をするといった事前学習を行う学生が少なく、講義に取り組む姿勢があまりできていない.一方、座席が後方の学生は、講義には上の空の学生が多く、講義時間を退屈に感じたり、講義時間を過ぎて講義室に入室してきたり、教員に対して厳しい評価を行っている学生が多いことかわかった.また、現在着いている座席の位置は、学生自らが希望している座席であり、入学してからは座席が固定されていて、講義の度に座席移動は行っていないことがわかった.
著者
坂本 宗司 大嶽 真人 橋口 泰一 伊佐野 龍司 菅野 慎太郎 橋口 泰武
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.59-66, 2015-12-23

本研究は,ロンドン2012パラリンピックに出場したブラインドサッカー上位4か国のシュート角度および距離に着目し,各国の違いを明らかにするとともに,日本代表の競技力向上につながる一資料となることを目的とした.シュートエリアの分析では,左サイド31-60°におけるシュートが多いことがわかった(33.8%).シュート位置(距離,角度)では,右サイドよりも左サイドからの攻撃が多いことがわかった.上位国は,左サイドからシュートに至る攻撃スタイルを持っていることが示唆された.これらのことから,ブラインドサッカーではゴール正面からのシュートよりも角度のあるシュートの有用性が示唆された.また,ゴールまでの距離が近いほど枠内の確率が高くなることから,6m以内のシュートの重要性を裏付ける結果であった.
著者
松浦 弘幸 野田 信雄 小井手 一晴 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.159-165, 2006-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
10

我々は,都道府県別衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間などの増加よりも効果が大である.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
中野 正博 松浦 弘幸 魚住 裕介 巨 東英 木村 真三 牧野 健一 金 政浩 野田 信雄 小井手 一晴 辺 培 今村 稔
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.115-121, 2006-10-20
被引用文献数
5

ナノ磁石の生体内中での振る舞いは全く分かっておらず、直接的な観測を行ってその相互作用の情報を得る必要がある。そこで大型放射光施設SPring8を用いて、色々な媒質中に置かれたナノ磁石の集合体に対して外部磁場を印加し、その条件下でのナノ磁石密度分布の時間変化をSPring8の放射光で観察し追跡することを目的として、本実験を行った。ナノ磁性体は、今回のビームラインでは、約30〜50μm程度の小さな凝集体まで観測できたこと、さらに、ナノ磁性体の凝集体を、外部磁場で誘導できることが結論できる。さらに、キャノーラ油液中で0.5mmの磁性クラスタの外部磁場による移動の観測から、それにかかる力と速度、さらには磁価の推定までを行い、実際の使用時の大きさの条件を明らかにした。
著者
齋藤 大輔 斎藤 恵一 納富 一宏 東 吉彦 斎藤 正男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.91-96, 2014-04-25

ウェブのアクセシビリティは,インターネットのユーザにとって必要であり,特に視覚要素は非常に重要な要因である.我々は,健常若年者およびシミュレーションフィルタを用いた模擬高齢者および模擬色覚障碍者について,無彩色における視認性評価を行った.さらに,RGB値を用いた明度差および色差を用いて重回帰分析による視認性予測を行ってきた.そこで本論文では,これまでに得た白色背景と黒色背景の視認性予測結果を総合的に評価した.その結果,明度差および色差により視認性判定は明確に分類でき,明度差(L)がL<152.7のとき色差(E)がE≦65.8L-9593,明度差が152.7≦L<153.0とき色差がE≦16.0L-1989,明度差がL≧153.0のとき色差がE≦8.77L-883.1を満たす背景色と文字色の明度差および色差で無彩色背景においては背景色に関係なく視認性が高いと判定できることが示された.
著者
尾崎 恵美 高尾 純子 鶴川 まどか 西 美由紀 前田 智奈 中野 正博 高松 三穂子
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.41-52, 2009-10-02

妊娠・出産を控えた若い女性が持っている分娩体位の知識と分娩台に対するイメージとの関連を明らかにする目的で、看護学生2年生77名、看護学生3年生75名、助産学生165名を対象にアンケート調査を行った。その結果、1)各分娩体位の認知度は看護学生と助産学生の間に大きな差が見られる(p値=0.000)。2)看護学生と比較して知識点の高い助産学生ほど明るいイメージ・主体性に関わるイメージは低く、逆に暗いイメージは高くなっていた。3)"普通だ""当たり前である"(ともにp値=0.000)、"一般的だ"(p値=0.012)の項目で看護学生と助産学生の間に有意差が見られ、知識点が低いほど分娩台で産むことを当然であるという意識があると考えられることが明らかとなった。
著者
斎藤 恵一 星 裕之 川澄 正史 斎藤 正男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.93-98, 2006
参考文献数
10
被引用文献数
1

ジャンルの異なる3種類のテレビゲームをしているときの脳活動を,機能的MRIを用いて計測し比較した.被験者(10名)にプリズム眼鏡を装着させ仰臥して足元先のスクリーンに映し出された画面を見ながらゲームを行わせた.ゲーム中の脳活動を計測し,統計処理により有意な賦活反応を標準脳に描出した.前頭前野に着目すると,複雑なプランニングが必要なマージャンでは左右両側が,リアルタイム応答が必要なカーレースでは右側だけが賦活した.一方,プランニングがほとんど必要ない単純な条件反射に近いリズムアクションゲームでは前頭前野の賦活はみられなかった.必要なスキルの違いによってゲームごとに賦活部位に違いがあることが示された.
著者
渡邉 志 高上 僚一
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.41-48, 2006-10-20
被引用文献数
3

吹奏楽曲である「スポーツ・ショー行進曲」(小関裕而作曲)を複数の健康人(男2名,女3名)に対して同時に聴取させ,その間の心拍変動を連続測定することを試みた.心拍変動(HRV)については,耳たぶより採取した脈波情報からR-R間隔を抽出し,線形補間を行うことにより100ms毎の時系列データとした.そのようにして得られたデータについて,聴取前・聴取中・聴取後に分け,心拍変動係数(CV-RR)の平均値を求めたところ,増減しながら変化していき,[聴取前のCV-RR<聴取後のCV-RR]であることがわかった,更に,HRV時系列データを高速フーリエ変換により,0.04〜0.15Hz成分を低周波数領域(LF),0.15〜0.4Hz成分を高周波数領域(HF)のように抽出した結果,交感神経活動と関係する指標とされているLF成分とHF成分との比については,[聴取中<聴取前<聴取後]となることがわかった.また,LF成分についても同様な結果が得られた.
著者
佐藤 肇展 田中 佑季 永松 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.41-48, 2011-06-30
参考文献数
3

カメラ動画像を用いて移動物体を追跡するには,様々な雑音や遮蔽に対して安定に対象の位置を推定することが必要となる.この追跡に対して,対象の動きの非線形性が高くても,実装が容易で高い追跡性能を示す粒子フィルタが近年良く用いられる.しかしながら,追跡対象が複数である場合,各粒子にすべての物体の情報を持たせると各粒子が持つ情報の次元が高くなり多数の粒子が必要になる.従って,大きい計算パワーを要することになる.本論文では,複数の移動物体が複雑で高速ではあるが複数の定型的な移動パターンを繰り返すような場合に対して,モーションサンプルと窓と呼ばれるものを用いることにより,少ない粒子数でより正確な追跡が可能となる手法を提案する.モーションサンプルとは,前述のような複数移動物体の典型的な移動パターンのことであり,粒子フィルタの予測フェーズにモーションサンプル群を用いることにより,より正確な予測を可能にする.このことにより,各粒子の持つ情報の次元が高くなっても少ない粒子数で追跡が可能になる.また,窓とはモーションサンプルを記述する際に各対象物体の位置をその窓の中での相対座標で記述するものである.このことによりカメラのパン・チルト・ズームが行われても,それに対応した窓の位置を推定することにより,モーションサンプルを用いた予測が可能となる.窓の位置の情報も各粒子に持たせることにより,その推定も粒子フィルタで行うことが可能である.提案手法の有効性を,ジャグリングされている5つの同色同形のボールの追跡により確認した.
著者
中山 亮介 納富 一宏 斎藤 恵一
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-34, 2011-06-30

近年,インターネット利用者やサービス数の増加により,さまざまなサービスにおいて個人認証が用いられるようになった.IDとパスワードによって認証を行う方式が主流であるが,パスワードを他人に知られた場合に安全性を失ってしまう.個人情報をはじめとしたセキュリティ確保のため,より安全性の高い認証方法が求められている.そこで,本稿では,行動的特徴量を用いたバイオメトリクス認証のひとつであるジェスチャー認証手法を提案する.本手法は,加速度センサにより計測されたジェスチャーにおける個人の癖を自己組織化マップにより学習することで認証を行う方式である.また,実験では,複数マップによる多人数対応と認証精度の変化について検証を行った.その結果,90%以上の認証精度が得られたが,1マップあたりの登録ユーザ数が適切でない場合,精度の低下がみられた.しかし,マップサイズや人数を調整することで精度の改善が期待できる.今後は,さまざまなマップサイズや登録人数,経年変化についてさらに検証していく予定である.