著者
松浦 弘幸 小井手 一晴 野田 信雄
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.167-172, 2006-10-20

前の論文では,都道府県の衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.その結果,この説明変数を含む重回帰式を得た.しかし,説明変数の特質を調べるために,主成分分析や因子分析を行った.この過程で年間平均気温と平均雪日のように,重回帰式の符号と異なる効果を持つ変数が存在している.共稼ぎと学歴がその代表的な変数である.これらの説明変数を用いてクラスター分析を行うと,都道府県は概ね4つのグループに分割される.しかし,東京都,沖縄,そして北海道は,時に,他のグループのどれにも属さない.こ3つの都道府県には,特殊な事情」が存在しているのかもしれない.
著者
持田 信治
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.31-36, 2003-08-31
被引用文献数
1

人が知識を獲得する過程は、まず、五感により得た断片的な情報を収集した場所や時間に従って1つの情報集合体として記憶した後、この情報集合体を取捨選択して、ある筋書きに従って整理することにより知識や経験を獲得していると考えられる。そこでこの情報集合体の中で有用なものを低位な知識と定義して、低位な知識を1つの目的に沿って整理した知識群を高度な知識と定義した。本研究では低位な知識をXML形式で登録するシステムの開発を行い、蓄積した低位な知識を統合して高度な知識を獲得する実験を行った。その結果、低位な知識から高度な知識を得るためには低位な知識を統一的に取り扱う知識操作技術が必要であることが明らかになった。従って今後の課題は有効な知識を集めるための収集方法と知識操作に関する研究である。
著者
森 幸男 佐巻 優太 多田 大希 渡邉 志 白濱 成希 中谷 直史 冨田 雅史
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-72, 2017 (Released:2020-11-04)

本論文では, 1/f ゆらぎがもたらす自律神経活動への影響を明らかにするため, 超音波領域(40kHz)の正弦波をベースとして, 振幅に1/f ゆらぎを与えた場合と与えない場合の音源提示による自律神経活動の相違を検討する. その結果, 1/f ゆらぎを与えた場合と与えない場合で被験者のLF/HF 指標の値のばらつきに差があることを示す. これは, 1/f ゆらぎによって, 被験者の自律神経活動を制御できる可能性があることを意味する. 本研究により, 従来曖昧であった1/f ゆらぎ独自の効果を客観的事実によって証明できたと考えている.
著者
中野正博 松浦弘幸 玉川雅章 行正 徹 石川耕介 山中 真
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.87-99, 2017-12-28 (Released:2021-03-15)

転倒などで生じる複数の損傷が及ぼす深刻度を示すための総合評価指数を提案し,その指数を用いて転倒の保護防具の有効性を示す.転倒実験は,衝突試験用人体模型(人体ダミー)を用いて,日本自動車研究所(JARI)において行った.人体ダミーは,頭部,胸部,腰部に加速度センサが,首部には,力とモーメントの計測センサが設置されており,転倒時に計測された物理量のデータに基づいて分析を行う.これらの物理量のデータは連続量であり,これをもとに,連続量の身体各部の損傷の程度(AIS)を連続関数として定義し,それらを総合する評価指数としての生存確率Ps をより精密な指標として系統的に計算できるように拡張した.生存確率Ps を各種のヘルメットやジャケットなどの保護防具を着て転倒した場合で計算し,保護防具の有効性を示した.
著者
大坪 正和 吉田 香
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.31-39, 2016 (Released:2020-11-04)

本研究の目的は,視覚情報を用いてパーソナルコンピュータのユーザーを満足させることである.パーソナルコンピュータのアプリケーションでは,時間評価に関係する動作が多く存在する.多くの研究は,ユーザーを満足させるために処理速度に焦点を当てている.我々は,ユーザーを満足させるためのアプリケーションインターフェースに着目し,知覚心理学の知見を用いてインターフェースが時間評価に及ぼす影響を調査する.具体的には,グラフィカルインターフェースの一つであるプログレスバーに着目し,プログレスバーの形状が時間評価に及ぼす影響を調査するために主観評価実験を行った.主観評価実験では,異なる10 種類の形状のプログレスバーを実験参加者に提示し,プログレスバーの動作が完了するまでの時間を答えさせた.動作時間は10 秒,12 秒,14 秒の3 種類とした.実験結果より,中心角が90 度のリング型のプログレスバーが時間を一番短く感じさせることが分かった.また,ファイル解凍ソフトを模したアプリケーションを作成し,結果が再現されることを確かめた.今後,より長い時間やより短い時間の処理を待つ場合でも同様の結果が得られるか調査する必要がある.
著者
山田 健一朗 納富 一宏 斎藤 恵一
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.41-48, 2014-04-25 (Released:2017-09-02)
被引用文献数
1

近年,スマートフォンやタブレット端末が急速的に普及しており,今後もさらに増え続けると予測されている.スマートフォンやタブレット端末は,携帯電話では持ち運ぶことが困難であった高度な情報を手軽に持ち運ぶことが可能となっているため,セキュリティ対策は重要となっているが,覗き見攻撃等によってパスワードが解除されてしまう危険性がある.一度パスワードを解除することができれば,その後は誰でも自由に操作可能になるため,重要情報が盗まれてしまう危険性がある.そこで,本稿では,パスワード解除後の個人識別手法として,フリック操作やタッチジェスチャー時の行動的特徴量を用いた個人識別手法を提案する.本手法は,スマートフォン操作時の加速度や画面操作の癖を自己組織化マップにより学習することで認証を行う手法である.実験では,フリック操作とタッチジェスチャーを用いて認証精度の検証を行った.その結果,最高98.01%の認証精度が確認された.認証精度の向上には,操作の再現性が重要であること分かった.今後は,本手法の実装に向けて,実環境を想定した検証実験を行う予定である.
著者
牧 祥 本間 善之 土屋 英俊 田中 一成 青木 滋 武岡 元 三木 猛生 大島 博 山本 雅文 森本 泰夫 小川 康恭 向井 千秋
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-18, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
16

地上の1/6の重力環境(1/6G)の気相中における浮遊粒子状物質(SPM)の挙動を調べるため、パラボリックフライトによる擬似弱重力環境下で模擬月砂粒子(シュミラント)を実際にチャンバー内で拡散させた。エルトリエータのカットオフ値が1/6Gでは√<6>倍に増加することを利用し、気相中の浮遊粒子状物質(SPM)の重力影響を検証した。その結果、気相中の弱重力環境下を浮遊するSPMの沈降速度がストークスの式を使って表せることを明らかにするとともに、浮遊時間が重力の逆数に比例することを示した。SPMの粒径別濃度変化を数値計算した結果、重力が低く、天井が高い屋内ほど粒子が長時間残留することが示唆された。これは月面上でダストが屋内に侵入した場合、その除染作業に多くの時間がかかることを意味している。浮遊時間が粒径により異なるため、ばく露の危険性も粒径で異なっていると考えられる。ばく露の危険性がSPMの浮遊時間の長さにのみ依存すると考えるのであれば、粒径1.0μm以下の微細粒子や10μm以上の大形粒子には、重力差の影響を考慮した対策は必要ない。一方、粒径2.5〜10μmの粒子は、地上では浮遊時間が比較的短いが、月面上ではやや長時間浮遊する。この範囲の大きさのSPMに対しては、安全基準を厳格化などの新たな対策が必要であると考える。
著者
西尾 美登里 坂梨 左織 木村 裕美 久木原 博子 緒方 久美子 古賀 佳代子
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.23-28, 2018-05-19 (Released:2021-03-15)

福岡市の高齢者における地域の災害避難場所の認知について, 実態調査を行い, 独居高齢者への災害支援のありかたについて検討した. 地域包括ケアシステムと介護の啓発を目的とした集会の参加者258 名を分析対象とし, 基本属性, フォーマルな相談窓口の認知と活用の有無, 活用している相談窓口数, 地域の避難場所の認知, 楽しみの有無, 情緒的支援, 自尊感情尺度について調査した. 分析は同居群と独居群の2群の差のカテゴリ変数にはχ2 検定, 連続変数にはMann–Whitney U 検定行い群間差を検定した. その結果, 独居高齢者は同居者がいる高齢者より有意に高齢で, 公の相談窓口を知らず, 相談談窓口数が少なく, 避難場所を知らず, 楽しみを有さず, 情的支援を受けていなかった. 都市部における高齢者への災害支援を充実させるためには, 特に独居高齢者が情的な交流のある生活の中で, 楽しみながら社会活動ができる場づくりを行う必要がある. また, 災害支援の情報提供は,社会活動ができる場で行うことが有益であることが示唆された.
著者
齋藤 大輔 斎藤 恵一 納富 一宏 斎藤 正男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.59-65, 2005-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
13
被引用文献数
2

インターネットの急速な普及により,Webアクセシビリティの実現が重要課題となった.特に,Webサイトでの情報提供は,文字情報が中心であることから,前景色と背景色の視認性が重要である.これまで,白色背景においてWebセーフカラーの視認性を検討したところ,Blue系色が年代に関係なく視認性が高いことがわかった.このBlueは未訪問の標準リンク色に使用されており,Webユーザビリティの観点からはリンクの色と下線の組合せは変えないように推奨している.そこで本論文では,この標準リンク色がどのような背景色で有効であるかを124色の背景色について一対比較法を用いて検討した.その結果,標準リンク色と背景色のコントラストが1.37以上になると視認性が高くなることがわかった.
著者
本馬 周淳
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.65-70, 2012
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:胆嚢摘出術において鏡視下手術群(L群)と開腹手術群(O群)の術前後の唾液アミラーゼ値から両手術のストレス度の違いを比較検討した。対象:2007年8月から2008年8月に、全身麻酔下(全麻)または全身麻酔+硬膜外麻酔(全麻+硬膜外)併用で胆嚢摘出術を施行した20例。L群:13例(男性7、女性6;平均年齢65歳)、O群:7例(男4、女3;平均年齢68歳)。方法:手術当日朝、手術翌日朝に唾液アミラーゼ値(KU/L)を測定した。測定機器にはCocolo Meter(ニプロ)を使用した。術後の症状、訴えは口答で聞き取りを行った。結果:手術前後ともにL群の唾液アミラーゼ値が低値であったが両群間に有意差はなかった。両群の唾液アミラーゼの平均値は、L群では術後に低下したが、O群では術後に上昇傾向を示した。L群の13例中仰臥位による腰痛や口渇を強く訴えた3例のみ術後アミラーゼ値が著明に上昇した。O群では全麻の3例が上昇、全麻+硬膜外麻酔の4例中2例は低下した。考察:鏡視下胆嚢摘出術は開腹術と比較してストレス度の低い手術であると思われた。唾液アミラーゼ値は術前不安および術後創痛の程度を反映していると考えられた。
著者
秋永 和之 梅﨑 節子 柴山 薫 野中 良恵 高橋 公一
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.27-36, 2019

<p>大規模災害等で行われている情報伝達は,相手が目の前にいることは少なく「通信機器を用いての情報伝達が多い」「災害の規模が大きいほど情報の混乱が起きる」「本人の思い込み」などの理由から,情報伝達がうまく機能しないことが研究報告等で指摘されている.今回,394 名の看護学生を対象に,通信機器をメインとした時の情報伝達の際,どのような情報を収集し,どのように相手に伝えると情報伝達がうまくいくのかについて,犬と猫の写真を用い,2 群の比較(それぞれの写真を見た群)を行った.送り手の自由記載の結果より,「情報は細かく収集し詳細に伝えるほうがよい」「イメージの共通認識には知識やお互いの確認が必要」「細かく収集した情報でも,お互いに共通認識の用語でなければ伝えるのは困難」という内容が得られた.送り手から聞いた情報が受け手のイメージしたこととあっていたかどうかについては,両群とも受け手は有意な差はなかった.また,送り手に関しては犬の写真を見た送り手よりも,猫の写真を見た送り手の方が伝えることが出来たと感じていた(p=0.005).送り手が収集した情報が相手に伝わるには,送り手,受け手それぞれが共通認識できる知識やイメージ,表現がなければ,伝わりにくいということが考えられた.</p>
著者
今村 律子 乾 眞寛 徳島 了 花沢 明俊 坂元 瑞貴 山本 勝昭 磯貝 浩久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.105-116, 2014-04-25 (Released:2017-09-02)

本研究では,サッカー選手を対象とし,有効視野の範囲110°と生理的視野180°の広範囲で視覚刺激が呈示された場合に,視覚情報の獲得がどのように行われているのかを注視点距離から検討することを目的とした.対象者から3mの半円上にモニターを設置し,正面,有効視野110°位置,生理的視野180°の3つの視覚刺激条件において,指押し課題と全身反応課題の2つの反応形態の測定を実施した.その結果,呈示条件における注視点距離に差は見られなかった.しかし,反応時間と注視点距離の関係を検討した結果,反応形態において,全身反応課題では,注視点が長いと反応時間が速いという関連が見られた.また,指導者によるサッカー選手としてのパフォーマンス評価の順位は,全身反応課題においてすべての条件に注視点距離と有意な相関が見られたため,注視点距離が長い選手は「周りが良く見えている選手」として評価されている可能性があることが示唆された.
著者
前田 康成
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-19, 2020

<p>近年,株価予測について多く研究されている.従来研究では予測対象銘柄の学習データが利用されている.しかし,現実には予測対象銘柄の学習データが存在しないことも多い.そこで,本研究ではベイズ統計に基づいて予測対象銘柄以外の既存データを学習データとして利用する.従来研究では全結合ニューラルネットワークを用いた深層学習を株価予測に適用している.本研究では,ベイズ統計に基づく全結合ニューラルネットワークを用いた深層学習を株価予測に適用する.本研究は従来研究のベイズ統計の視点による拡張研究の一種である.新しい予測方法を提案し,株価予測実験と投資シミュレーションの結果を紹介する.投資シミュレーションの結果に基づいて提案方法の有効性を確認する.</p>
著者
政田 佳之 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.115-119, 2011
参考文献数
10

ハンドボールは,人間の基本動作である「走る」・「投げる」・「跳ぶ」を用いた競技である.このことが評価されて新学習指導要領に盛り込まれ注目を集め始めてきた.しかし,日本のハンドボールは,近年の世界大会において結果を出すことが出来なかった.日本ハンドボール協会は,このような状況に危機感を感じ,NTS(National Training System)を立ち上げて人材発掘・育成・強化を図り始めました.このような現状から様々な分析などが行われてきたが,ハンドボールの試合を科学的に分析されることはなかった.本研究では,アジアでもトップレベルの韓国チームと福岡県学生選抜との試合を調査した.そして,重回帰分析でゲームの中で得点を得るために特徴的なプレイや技術が存在するか分析することにした.その結果,得点は,突破方法や突破位置,反則やパスの回数などに関係することがわかった.これによって経験よって示されていた戦略が定量的に表され,2国間の異なる戦略を定量的に表すことが出来た.
著者
行正 徹
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.37-42, 2010
参考文献数
10

量子力学にはその成立の時期から確率解釈や観測の問題という原理的な問題が付きまとっている。特に観測の問題は深刻であり、現在尚議論が尽きない状況である。量子力学的な状態は通常は因果的に時間発展するが、観測時のみ予測できない非因果的な変化をする。この変化を波束の収縮と呼んでいる。観測とは何か、観測時に何が起こっているのか、興味深い問題である。全ての現象に量子力学を適用できると考えると確率解釈とも絡んで、一種の自己撞着に陥る。一方、精神現象、特に「意識」の問題を科学的・学問的に考察する場合に原理的な問題が生じる。意識を考察するということは、そのこと自身、意識の働きであり、精神現象である。つまり、自己が自己自身を対象化し、考察することである。対象化した瞬間に別の意識状態に変わっているはずである。この意味では、意識以外の客観的なものを対象化して研究する他の諸科学とは根本的に性質を異にしている。ここには量子力学における観測の問題と同様の論理構造が存在する。
著者
齋藤 大輔 斎藤 恵一 納富 一宏 東 吉彦 犬井 正男 斎藤 正男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.53-58, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
13

我々はWebアクセシビリティを考慮するために,視認性予測を行ってきた.これまでは,若年者,高齢者および色覚障碍者それぞれの群についての検討であった.しかし,Webアクセシビリティを考慮するためには,視認性予測式を一つにする必要がある.そこで今回は,一つの予測式で視認性を予測するために,色覚モデルの変換を用いて色覚障碍者の視認性予測を試みた.その結果,P型色覚障碍者およびD型色覚障碍者の視認性予測結果と実測値との間に大きな差は確認されなかった.しかし,D型色覚障碍者の視認性予測結果は赤成分を多く含む色で視認性が低く判定される傾向がみられた.以上のことから,本手法を用いて視認性予測を行える可能性が示された.
著者
北條 暉幸
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-5, 2005-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

日本人肩甲骨の計測学的研究結果に基づき徳川将軍集団とアイヌ集団の肩甲骨について主成分分析を行い、おおまかにタイプ分類し、徳川将軍集団と江戸時代などの庶民集団との差を検討した。計測項目は、肩甲骨の形態長(幅)と棘上窩幅(前後幅)で、前者は肩幅、後者は肩の筋肉の盛り上がりを表し、さらに徳川将軍集団と同時代江戸時代庶民の肩甲骨の高さ(背筋が弱いと低い可能性)を比較した。縄文時代集団は最も肩幅が広いが、肩の前後幅は比較的狭く(胸郭が薄い)、筋肉質であり(タイプI)、徳川将軍集団は、肩幅が狭くなで肩、肩甲骨は後代に高くなるが江戸時代庶民より低く、筋肉が最も弱いタイプIV、室町時代集団はがっちりした肩、筋肉も強く、いかり肩のタイプII、江戸時代集団はこの集団に近くタイプIIIである。現代人集団もやや弱い傾向のタイプIIIを示した。室町、江戸両時代集団は特異な徳川将軍集団より頑丈な形状であり、アイヌ集団は比較的がっちりしたタイプIを示し、以上4タイプの大まか分類、肩甲骨のライフスタイルの変化への適応も論じられた。
著者
松浦 弘幸 伊藤 安海 根本 哲也 西井 匠 久保田 怜 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.53-62, 2011-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
9

人が日常的にロボットと共存する場面では,ロボットとの不用意な接触が原因とする力学的人体損傷が発生する.人に加えられる撃力のエネルギーは同じでも,人の部位により重篤となる撃力波形が異なり事から,身体部位ごとに損傷評価基準が異なる.我々は損傷評価モデルとして,人の転倒機序の分析モデルを提案した.人の転倒過程は(回転+自由落下運動)と仮定して,頭部,胸部,腹部,そして大腿部の損傷程度を見積もった.転倒モデルによる致命傷は,頭部骨折,胸部骨折,そして,腹腔内実質臓器の裂傷であり,その後の予後を大きく左右する.特に,頭部の損傷を評価する指標のHICは重要な概念であるが,他の部位には他の指標を用いた.さらに,撃力の吸収には,伸筋と屈筋が交互に振動をするように収縮・弛緩を繰り返し,あたかも,一個の粘弾性体の如く運動を行う.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.