著者
高橋 大介
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.1918-1921, 2000-06-15

本論文では,Fibonacci数を高速に計算する方法について述べる.Fibonacci数 $F_n$ を計算するには,Lucas数の積に基づくアルゴリズムが,最もビット演算量が少ないことが知られている.このアルゴリズムにおいて,多倍長数の乗算を多倍長数の自乗計算に置き換えることで,さらに演算量を減らすことができることを示す.
著者
瀬川 典久 村山 優子 権藤広海 山根 信二 宮崎 正俊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.815-824, 2002-03-15

WWW(World Wide Web)上で動作するコミュニケーションシステムの1つである電子掲示板システムは様々なシステムに搭載され幅広い人たちに利用されている.これらのシステムの多くは,文字情報の交換を基本としている.そのため,情報の受け手と送り手とであらかじめ使用する文字コードについて合意する必要があり,さらに,図などを用いることができない.本研究では,文字コードによらないエンターテイメントコミュニケーションのための手書き伝言板システム「戸口伝言板」をWWW上に実装した.戸口伝言板とは,学生寮などで個人の部屋の扉に設置した伝言板のことである.実装したプロトタイプシステムでは,ユーザがマウスなどを用いて手書きでメッセージを作成する.このようなシステムでは自由で活発なコミュニケーションのために匿名性が必要となる.従来の電子掲示板のメッセージは,利用者自身が明らかにしない場合,匿名性が保証される.戸口伝言板では,利用者が手書きのメッセージを伝言板に残すため,筆跡から書き手を特定される恐れがある.本論文では,戸口伝言板のような手書きのメディアにおけるメッセージの匿名化について報告する.筆跡から書き手を特定できないようにするためには,書き手の筆跡の癖をその筆跡から取り除くことが必要であるが,同時に筆跡を取り除いた後のメッセージは読める形でなければならない.本論文では,筆跡における匿名化アルゴリズムを提案し,実装した.ユーザによる利用実験により匿名化アルゴリズムの評価を行い,その有効性を確認した.
著者
一森 哲男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.3127-3135, 2009-12-15

人口に比例して議員定数を配分することは一見簡単な問題と思えるが,実は意外と難しい.この問題はアメリカ合衆国憲法に記載されているが,200年以上にわたり議論が続いており,解くことのできない問題ともいわれている.しかしながら,現時点では,この問題はヒル方式かウェブスター方式で解かれると考えられている.両方式間の最大の争点は,大州と小州間の配分議席数による偏りである.どちらの配分方式がより小さな偏りを与えるのか.本論文では,従来の考え方の矛盾点を明らかにし,新しい考え方により,ヒル方式だけでなくウェブスター方式も絶対的に小州に有利なこと,さらに,従来の定説どおり,ヒル方式がウェブスター方式より相対的に小州に有利なことを示し,ウェブスター方式の優位性を与えた.
著者
稲村 雄 本郷節之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1823-1832, 2004-08-15

SSL,SSH,IPSec等のいわゆるセキュアプロトコルを利用することにより,インターネット等の公衆ネットワークを介してプライバシ保護の必要な情報を安全にやりとりすることは,現在では十分現実的なオプションとなっている.しかし,そのようなネットワークの末端となる個々の計算機の内部実行環境を見ると,プライバシを要するデータの機密性/完全性を保護する機構はほとんど用意されていない.そのため,今後はこの内部実行環境に存在する脆弱性を突いた形でプライバシ情報を含む機密データを奪取するという形の攻撃に対する防御が重要性を増すと考えられる.本稿ではそのような計算機内部の実行環境を改善するための一方式として,暗号コプロセッサ等を持たない一般的な計算機ハードウェア(H/W)およびソフトウェア(S/W)で実装可能な“暗号化メモリシステム”なる手法を提案する.
著者
宗森 純 増野 宏一 伊藤 淳子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.527-537, 2019-02-15

本研究ではスマート端末からのユーザの状況情報(位置情報,心拍情報,歩行数)がある条件を満たした場合,小型冷蔵庫に飲料があるかどうかを確認し,ある場合は自動的にスイッチが入りユーザに知らせるIoTシステム“KADEN”を提案する.“KADEN”はスマートウォッチとスマートフォンのセンサにより各種状況情報を取得する.また小型冷蔵庫に飲み物があるかどうかもセンサにより自動的に検出できる.各種センサを用いて自動的に冷蔵庫を制御する場合と手動で制御する実験を行った.実験を行った結果以下のことが分かった.(1)システム全体の評価では状況情報を用いて自動的に小型冷蔵庫を制御する場合と手動で制御する場合では有意差はなかった.(2)状況情報で必要と思われるのは位置情報,歩行数,心拍情報の順である.(3)スマートウォッチのユーザビリティの評価は高かった.(4)飲み物があるかどうかが自動的に分かることの評価が必要性と便利さの面で高かった.
著者
柳田 智也 サクテイ サクリアニ 中村 哲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.1149-1158, 2022-04-15

同時音声通訳システムは,話者の発話中に翻訳を行い音声を生成する.その実現のために,文より短いテキストから,音声を生成する逐次音声合成が必要である.本論文は,同時音声通訳システムの実現を目指して,日本語における逐次音声合成の提案を目的とする.先行研究は,逐次音声合成のために使用する言語特徴を制限し,合成範囲を単語としている.しかし,日本語音声合成は,アクセント句と呼ばれる単位が重要であり,単語の逐次音声合成が,音声品質と遅延のトレードオフとして適さない可能性がある.本論文では,日本語逐次音声合成のため,逐次音声合成の言語特徴を提案する.そして,言語特徴の組合せから,遅延と音声品質に最適な合成範囲を決定する.実験結果より,アクセント句から呼気段落の合成範囲が音声の品質を保持するために必要であることを示した.さらに,遅延評価を通して,アクセント句が日本語の逐次音声合成へ適することを示した.
著者
柴田 知秀 加藤紀雄 黒橋 禎夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1451-1464, 2008-03-15

近年の計算機・ネットワーク環境の進歩により,膨大な映像アーカイブが蓄積されるようになった.本研究では作業教示映像である料理映像を具体的題材とし,料理映像に現れる食材の物体モデルを自動学習し,それを用いて物体認識を行う手法を提案する.まず,物体がアップになっている画像を抽出し,その画像における注目領域を決定する.次に,画像の周辺の発話から重要な単語をキーワードとして抽出し,注目領域と対応付ける.このような注目領域とキーワードのペアを大量に収集することにより,物体モデルを構築する.物体モデルが構築された後,物体モデルの色情報と談話構造に基づく単語の重要度を考慮することにより,物体認識を行う.2 つの料理番組,計約96 時間分の映像から物体モデルを構築したところ,約100 食材の物体モデルが構築でき,その精度は77.8%であった.また,そのモデルを利用して物体の認識を行ったところ,精度はF 値で0.727 であった.
著者
松原 克弥 林 友佳 雫石 卓耶 川谷 知寛
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.1249-1263, 2022-05-15

日常生活のなかで実践が求められているCOVID-19感染対策の1つに,行動履歴の管理がある.COVID-19感染者の行動履歴は,感染経路や接触者の特定につながる重要な情報源となる.しかし,記憶のみを頼りとした滞在履歴の想起は精度に課題があり,自治体などから推奨されている帳票による行動履歴記録も普及していない.本研究では,特に大学キャンパス滞在時における行動履歴の記録を支援することを目的として,キャンパス内に設置したBLEビーコンと入構者が所有するスマートフォンを用いて,手間や負担の少ない高精度な滞在履歴記録を実現する.これまでの他の接触確認システムと異なり,データ収集管理を行うサーバを必要とせず,スマートフォンのみに滞在履歴を記録する本システムは,行動監視や情報漏えいに対するシステム利用者の不安と導入時のシステム構築や情報管理に対する負担の両方を軽減できる.本論文では,実装システム導入後の対象学生に対するアンケートと被験者実験の結果から,個人情報保護に配慮した本システム設計の正当性,および,日常の行動履歴記録に対する意識向上と想起できる滞在履歴の精度向上に対する本システムの貢献を確認できた.
著者
江原 知志 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.1082-1093, 2022-04-15

覗き見攻撃は携帯端末での個人認証において現実的に起こりうる脅威の1つである.この脅威に対する対策手法として,携帯端末の振動機能を利用した個人認証手法が複数提案されている.しかしそれらの手法には認証に時間がかかるという実用面の課題がある.そこで本研究では,振動機能を利用した既存手法の1つに対し,ユーザインタフェース改良を図ることによって,覗き見攻撃に対する安全性を維持しながら既存手法より認証時間を短縮することを試みた.1つは入力操作に必要な情報の取得時間を短縮させるものであり,もう1つは直感的な入力操作方法の導入である.この提案に基づく認証システムをAndroidアプリケーションとして実装し,実験参加者による評価実験を行った.実験結果から,改良対象となったシステムとの比較で認証時間を平均6秒短縮することに成功した.また安全性についても想定脅威に対して同等程度の安全性が維持されることが確認された.さらに,振動を利用した他の既存認証手法とも比較議論を行い,提案手法が先行研究の手法よりも操作負担が低く,安全性を危殆化させうる問題点が少ない手法であることを示した.
著者
洲崎 誠一 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2381-2393, 2002-08-15

インターネットのビジネス利用が進むなかで,電子署名技術の重要性が高まっている.電子署名技術は,あるエンティティの電子署名を生成できるのが署名生成鍵を知っている本人だけであるという仮定に基づいている.しかし,署名生成鍵の物理的な盗難や暗号解読技術の進展などといったさまざまな要因によってこのような仮定が成り立たなくなる恐れもある(我々はこれを暗号ブレイクと呼ぶ).そのような環境下では,不正者は他エンティティの電子署名を容易に偽造することが可能となるため,電子署名技術に期待される相手確認機能や改ざん検知機能が適正に働かなくなってしまう.このような課題に対し,従来よりいくつかの対策技術が提案されているが,それらは我々が想定する暗号ブレイクのすべてをカバーするものではない.そこで,我々は,暗号ブレイクに対処可能な「電子署名アリバイ実現機構」を提案する.本電子署名アリバイ実現機構を利用することにより,各エンティティは,自分が生成した覚えのない電子署名付きメッセージを提示された場合においても,当該電子署名付きメッセージを生成していないこと,すなわち「電子署名アリバイ」を調停者などに証明することができる.本稿では,電子署名アリバイ実現機構の基本的な考え方を示すとともに,その証拠性を高めるために我々が採用した「ヒステリシス署名」と「履歴交差」と呼ぶ2つのコンセプト,ならびにその具体的な実現例について述べる.
著者
岡田 崇 牧野 義樹 キム ジュンスー 中田 潤也 丹 康雄
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.365-378, 2012-01-15
被引用文献数
1

温室効果ガス排出量の削減や非常時,災害時におけるエネルギー確保を実現するため,エネルギーマネジメントはわが国の重要な課題である.近年,情報家電の普及にともない宅内にホームネットワーク(HN)が構築され,スマートハウス構想の実現に向け,HEMS(Home Energy Management System)やDSM(Demand Side Management)に対する期待が高まっている.新しいHEMS技術の有効性の検証には,実証実験かシミュレーションによる手法が用いられる.しかし,実証実験は時間やコストがかかり,実験規模,実験期間,網羅的な検証が困難であるという利便性に欠ける問題がある.一方シミュレーションは,HNの多様性,複雑性という性質からモデルの精度に関する問題がある.これらの問題に対し本論文では,実証的ホームシミュレータを提案し,その精度の評価およびHEMSアプリケーション例の効果を検証する.本シミュレータは,HNの要素を住宅,家電,環境,電力,人間の5要素に切り分け,要素間で相互作用する現象を再現可能とした.また実世界とのインタフェースを持ち実システムと同時に実時間で動作することで高い精度のシミュレーション結果を得ることができる.さらに統計情報やパターンを指定し異なるパラメータの実験を繰り返し実行することや,実世界と接続しない場合は複数の計算機を用い多数の世帯を高速にシミュレート可能である.評価として,本シミュレータの環境要素の精度を実験住宅iHouseで計測した実実験のデータとその再現実験のシミュレーション結果より検証した.検証のパターンとして,季節,天候,また窓閉め時,窓開け時,エアコン動作時の3シナリオについて検証を行い,結果から約5%の相対誤差内で環境の再現が可能であることを確認した.さらに実住宅の実消費電力量データとシミュレーション結果の比較を行い,その再現性を確認した.また住宅の効率的なカーテン開閉による消費電力量削減効果をシミュレータにより検証し,約8%の削減効果が見込めることを確認した.Energy management is an important issue for our country to fulfill reducing CO$_2$ emission or saving energy in emergency or disaster situation. Recently, due to the popularization of Home network (HN) comprised by smart home appliance, the need for HEMS (Home Energy Management System) or DSM (Demand Side Management) is stronger than ever. A field trial or a simulation method is adopted to evaluate the efficiency of new HEMS technology. But a field trial is associated with problems such as lack of convenience, time, cost, scaling difficulty, duration and exhaustive verification. On the other hand, a simulation has accuracy problems stemming from the diversity and complexity of HN. In this paper, we propose an experimental home simulator solving these problems. Furthermore, we evaluate the accuracy of the simulator and verify the effects of HEMS application. The simulator classifies elements of HN into categories such as house, appliance, environment, power consumption and human. It allows the reproduction of interactions between them. It can generate simulation results with high accuracy by having interfaces to real world and being executed in real-time. Moreover it has the functionality of a repetition of the experiment with statistics or parameters. If it does not connect to real world, it can simulate large-scale houses with high speed execution by using multiple computers. As the evaluations, we verify the accuracy of the environment simulation from the comparison between real experimental results and the simulation. The verification parameters are season, weather and user scenarios (window opening, window closing, air conditioner). We confirm that the simulator can accurately reproduce the environment with a five percent relative error. In addition, the reproducibility of power consumption simulation is confirmed by comparing the energy consumption measured in a real house with the simulation. Finally, as an example of HEMS application, we simulate an intelligent curtain control application and confirm eight percent reduction of energy consumption.
著者
山本 正信 ピエール・ボランジャー アンジェロ・ベラルディン マーク・リュウ ジャック・ドメイ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.1129-1141, 1991-09-15
被引用文献数
13

本論文は距離動画像を用いて非剛体物体の運動を解析する手法を述べている本手法は画像間の対応付け操作を必要とすることなく 線形連立方程式を解くことにより物体の運動パラメータを推定することができるこの推定式はヤコビ行列による非剛体運動の表現式を距離動画像用に拡張した時空間勾配拘束式に代入することにより得られるわれわれは既にピデオレートで距離動画像が得られるレンジファインダを開発している。このレンジファインダを使って 実際に紙や布 皮膚やゴム風船などに代表される幾つかの非剛体物体の動きを解析したさらに 距離動画像と同時に得られる濃淡動画像も併用することにより 動きの解釈時に起こる曖昧さの解消が可能になることを示した
著者
平田 哲彦 横山 達也 水谷 美加 寺田 松昭 三巻 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.234-242, 1992-02-15
参考文献数
13
被引用文献数
3

光伝送技術の発達によるLAN伝送速度の高速化に伴い 通信制御処理の高速化が求められている本論文では 国際標準であるOSI通信プロトコルのレイヤ4以下を対象に 高速LAN用通信制御装置の構成方式の提案と 試作システムによる実験的評価結果を述べる提案方式の特徴は (1)プロトコル高速処理装置によるOSI通信プロトコルの高速処理 (2)マルチプロセッサ構成による計算機本体インタフェース部 プロトコル処理部 LAN-LSI ドライバ部のパイプライン処理 (3)プロセッサ間FIFOによるマルチプロセッサ構成時のプロセッサ間オーバヘッドの削減 にある提案方式をFDDIに適用した実験システムを構築し 評価した結果 (1)計算機本体と通信制御装置間のデータコピーを行うDMAの性能が16MB/秒のとき 伝送速度に対する実効スループット率が06程度であること (2)プロトコル高速処理装置の導入により データコピー時間や伝送時間を除く通信制御処理時間中に占める通信プロトコル処理時間の割合が3割弱に低減できること (3)プロトコル高速処理装置によって通信プロトコル処理時間を低減した結果 通信制御処理時間の7割以上が計算機本体インタフェース処理やLAN-LSI ドライバ処理となり 各々に汎用マイクロプロセッサを配置し マルチプロセッサ構成とした提案方式が有効であること の3点を明らかにした
著者
磯崎 眞 廣野哲郎 三浦 広久
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.291-298, 1987-03-15

フレキシブルディスクヘの記録フォーマットはフレキシブルディスク装置(FDD)のヘッドR/W-E間寸法や回転精度等と密接な関係がある.その関係を定量的に整理し わかりやすい形で作表する方法について述べ FDD小形・高密度化に際しての新しい媒体標準の検討や装置設計の参考とする.さらに従来の記録フォーマットを維持しながら小形・高密度化するときに厳しくなる上記ヘッド寸法を緩和する方法として 書込時の消去遅延時間をトラック位置によって切り換える方法について述べ その具体的計算方法を示す.これを90mm高密度タイプについて例示し 13262ftprad (アンフォーマット1.6Mバイト形)で遅延時間切換えなしでR/W-E寸法0.4mmのところ 切り換えれば246バイト/セクタで0.5mm 512バイト/セクタでは0.7mmも可能であることがわかる.512バイト/セクタは回転精度が良い場合には有利である.
著者
廣澤 龍典 上原 哲太郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1859-1870, 2020-12-15

インターネットやスマートフォンの普及により,オンラインサービスにおいてゲームや懸賞などにおける抽選の機会が増えている.しかし,抽選に用いられる乱数の生成手法は非公開であることが多く,抽選結果もその乱数の生成結果を正しく反映しているか確認は難しい.そのため,ユーザは抽選の結果に納得できない場合がある.そこで我々は,ブロックチェーンを用いた透明性のある抽選システムを提案する.スマートコントラクトによって乱数の生成手法は公開され,乱数の生成結果としての賞品などの対応付けはブロックチェーン上に記録・公開されるため,ユーザは抽選の正当性を確認することが可能となる.Ethereum上に実装したプロトタイプシステムによって,本提案手法が実用的な時間およびコストで実装可能であることを示した.
著者
若井 一樹 佐々木 良一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1817-1825, 2015-09-15

Twitterにおけるスパム行為となりすまし行為の検知手法を提案する.これらの検知手法はスパム行為となりすまし行為の様々な特徴から検知対象であるか判定する項目を複数個作成し,それらの項目を数量化理論の適用によって最適な項目の組合せを選定することによって検知するものである.またこれらの手法を実装するとともに,検知結果をユーザに分かりやすく提示するようTwitterの表示系を強化したアプリケーションLookUpperの開発と評価を行った.この結果,本検知手法ではスパム行為となりすまし行為どちらも90%以上の的中率で検知することが可能であった.LookUpperの開発と評価について,本検知手法を実装し検知結果を分かりやすく表示する機能を開発し,被験者10人によってなされたLookUpperのユーザビリティに関する実験結果から全体的に高い評価を得るとともに,今後LookUpperの改良を行っていくためのアイディアを導く種々のコメントが寄せられた.
著者
高橋 麻美 根路銘 崇 沼尾 雅之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.1711-1720, 2012-07-15
被引用文献数
1

節電がますます重要視される中,企業や家庭では,一般的な節電対策として経験的かつ試行錯誤的に節電に対する取り組みが実施されている.一方で,節電効果の向上を目的として,従来のブレーカ単位・月単位での測定に対し,より詳細に把握するために電化製品や部屋単位で測定する技術が登場してきている.我々は,電化製品と利用者の関係を整理するために,サービスインタフェースモデルを用いて,電化製品の特徴に基づく利用状況を分析した.本論文では,電化製品の消費電力量を利用者単位で測定する手法に加えて,節電のための指標となる節電KPIの計算方法について述べる.また,提案する手法に対する実験と評価について述べ,有効性を検証する.Electric power saving efforts is getting more important not only from the regional view point but also from the earth level view point. In order to improve the power saving, enterprises and homes are trying to reduce power consumption by ad-hoc try-and-error approach and based on empirical information. Thus, it is highly expected to establish the technologies and infrastructure for monitoring the power consumption by appliance level or finer location level. We proposed an approach to evaluate the user-level power consumption by converting from the appliance-level power consumption. In order to do that, we analyzed the relationship between appliances and users by using service interface model. In this paper, we described a method for allocating power consumption which measured by appliance level to user. In addition, we defined KPI (Key Performance Indicator) for saving power consumption and evaluate our approach.
著者
大友 翔一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.733-741, 2022-03-15

近年,人工衛星やビッグデータ,リモートセンシング技術の発達が目覚ましく,これら技術の経済分野への応用も急速に拡大している.特に,人工衛星が撮像した夜間光の強度と,国内総生産,雇用,人口,教育などの様々な経済・社会指標と相関関係にあることが明らかになってきた.そこで本稿では,まず初めに夜間光画像にラスタ処理を行い,センシングの際の夜間光画像の特徴に関して述べる.次に,観光地としての新潟県魚沼郡湯沢町スキー場および周辺エリアを事例に,経済・社会データを確認する.そして,夜間光と湯沢町における観光客数や各種統計データとの関連性について時間・地理空間の両面から論述する.また既存のマクロ経済指標だけでは,同一市区町村内の地域経済に関して読み取ることは難しいが,夜間光を使用することで,これらをより詳細に検討できる可能に関して言及する.
著者
青山 幹雄 村瀬 珠美 鈴木 香予 中道 上
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.3018-3029, 2009-12-15

形式概念分析に基づき,複数ステークホルダが提起するゴールを階層的に構造化するためのゴールラティスモデルと,それを用いたゴール整合方法を提案する.ステークホルダのゴール,サブゴールに対し属性に基づき半順序構造をゴールラティスとして生成し,ゴールを階層的に構造化する.提案方法に基づき,あるステークホルダ群の共通ゴールやあるゴール群を満たすサブゴール群の抽出などを視覚的に分析する方法を提案する.抽出したゴール群の妥当性評価尺度としてゴール拡散率とゴール縮約率を定義した.提案方法を大型スーパーマーケットのセルフレジシステムへ適用し,提案方法の妥当性と効果を示す.This article proposes a method of structuring and reconciling goals among multiple stakeholders based on the FCA (Formal Concept Analysis), and demonstrates the effectiveness of the proposed method by applying the method to the requirements acquisition of self-checkout systems in supermarkets. We propose the goal lattice model which is a semantic extension of FCA, a formalism based on the lattice theory, to model goals. With the goal lattice, the method enables to identify the relations among goals, sub-goals and stakeholders, and structure the goals independently required by multiple stakeholders, and reduce the complexity of the goals and their dependencies by reconciliation.
著者
森 信介 山地 治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.2191-2199, 1997-11-15

本論文では,形態素単位のn?gramモデル(1〓n〓16)による日本語の情報量の上限の推定方法とその結果を示す.各n?gramモデルは,データスパースネスの問題に対応するため,低次のn?gramモデルとの補間を行ってある.補間係数は,最も有効であると考えられている削除補間法により求める.実験ではEDRコーパスの約9割からモデルのパラメータを推定し,残りの1割に対して情報量を計算した.その結果,n=16のときに1文字あたりの情報量は最小の4.30330ビットであった.また,学習コーパスの大きさとモデルの次数による情報量の変化を調べた結果,モデルの次数を上げることによる情報量の減少量は微小であるが,学習コーパスを大きくすることによる情報量の減少量はかなりあるということが分かった.さらに,パラメータ数とエントロピーの関係についても議論する.これは,実際の日本語処理にn?gramモデルを応用する際に,適切にnの値を選ぶ指標となる.