著者
戸塚 米太郎 大津 金光 中里 学 秋葉 智弘 松本 尚 平木 敬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1652-1661, 1995-07-15

多くの大規模実用アプリケーションは、並列度の抽出が容易に可能な部分と困難な部分を含む。粗粒度により並列実行可能な部分はプロセッサの台数効果によりスピードアップが可能であるが、粗粒度並列化が困難な部分がボトルネックとなる。並列化が困難な部分にも高速化を達成するために細粒度の並列性の活用が不可欠である。しかし、従来のバス結合型マルチプロセッサでは低オーバヘッドの通信・同期機構が備わっていなかったため、命令レベルの並列性を利用する細粒度並列処理を効率良く行うことは不可能であった。我々が開発したお茶の水1号は市販の高性能マイクロプロセッサを用いた共有メモリ共有バス型のマルチプロセッサである。お茶の水1号は効率的な細粒度並列処理を達成するために、低オーバヘッドで通信・同期を実現するための細粒度支援機構を備えている。細粒度支援機構には共有バスを使用せず極めて小さいオーバヘッドで同期を実現する大域同期機構・メモリベースの通信・同期を融合したデータ駆動同期機構、大規模な配列データを効率的にフェッチする大域構造体先行フェッチ機構、および、最適なスヌープ・プロトコルに動的に切替え可能なスヌープキャッシュ制御機構、等を備えている。本論文ではお茶の水1号におけるこれらの細粒度支援機構の構成について述べ、並列アプリケーションを用いたシミュレーションによる性能を示す。また、お茶の水1号上でプログラムを実行した結果を述べる。
著者
平井 聡 山本 昌生 佐藤充 成瀬 彰 久門 耕一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.1018-1027, 2002-04-15
被引用文献数
1

本論文では,NUMA(Non Uniform Memory Access)マシンでCommercial Workloadを実行する際のLinuxカーネルの最適化実験について述べる.評価システムには,2ノード4プロセッサの小規模なNUMAマシンの実機を使用し,性能の検証にはWEBサーバとアプリケーションサーバをモデル化した2種類のベンチマークを用いた.また,カーネルプロファイラによるOS動作の関数レベルでの実測,およびハードウェア・バストレーサによるメモリアクセスの実測を行い,動作分析を行った.実験の結果,これらのベンチマークプログラムではNUMAマシンのオーバヘッドは主にOS部に依存していることが分かり,メモリアクセス局所化によりOS実行時間を18%?20%削減し,NUMAオーバヘッドを1/3?2/3に削減した.In this paper,we describe the experimental optimization of Linux kernel on a NUMA machine for commercial workloads.For the evaluation,we used a small-scale NUMA machine which consists of two nodes total of four processors.Two kinds of benchmark programs were used for the measurements,each models WEB server execution or application server execution.We measured the OS function execution timings by a kernel profiler and also measured the memory access statistics by a hardware bus tracer.By using these data, we analyzed the execution characteristics of the programs.The experimental results showed the overhead of the NUMA machine is mainly in OS,and the OS execution time can be reduced 18%--20% by the memory access localization for these benchmark programs.
著者
阪本 英男 加藤 敏春 岸本 和一郎 多田 幸生 村上 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1151-1157, 1988-12-15
被引用文献数
1

靴はそのデザインに多様な形状が要求される.近年においては デザインに対する仕様の変化する期間が短くなっているため このような需要動向に即応できることが望まれる靴の製造工程においても靴CADシステムが導入されているが 三次元でのデザインを作成するための機能については不十分である.筆者らは 靴用CADシステムにおいて靴のデザイナによるデザインの作成作業を支援するための三次元カーソル機能の開発を行い 三次元のグラフィックディスプレイ上で実現した.本報告では 作業の対象であるラストの曲面形状をその三次元形状測定点から創成する過程 三次元カーソルの動きをモデリング曲面上のみに拘束するための処理手順 システムのハードウェア構成について述べるまた 実際に三次元カーソルを用いてデザイン曲線を作成した例を挙げる.
著者
喜連川 優 津高 新一郎 中野 美由紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.1019-1030, 1993-05-15
被引用文献数
2

関係データベースの各種の処理の中で特に2つのリレーションを動的に結合する結合演算は処理負荷が重く、数々のアルゴリズムが開発されてきたが、中でもハッシュ法に基づくアルゴリズムが現時点で最も有望と考えられている。また近年、並列計算機システムが一般化しつつあり、並列アーキテクチャの採用による並列関係データベースシステムの性能向上が注目されている。このような背景から、我々はハッシュに基づく結合演算方式としてGRACEハッシュ結合演算技法を取り上げ、シンメトリS81共有メモリ型マルチプロセッサ上に実装を行い、結合演算の性能評価を詳細に行い、理想的な並列台数効果を確認するとともに、その有効性を明らかにした。本論文ではGRACEハッシュ結合演算技法の並列化手法について検討するとともに、その実装化について考察し、更に実装システムの性能評価により、関係データベースの共有メモリ型並列プロセッサによる性能向上の有効性について明確化する。
著者
岩切 宗利 松井 甲子雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1254-1262, 2001-05-15

本論文では,高品質デジタル音楽ソフトの可聴帯域に除去可能な音声透かしを,また20? [Hz]以下の低周波帯域に秘匿透かしを埋め込む手法を提案する.インターネットを活用した音楽コンテンツのオンライン配信は,市場を拡大する手段の1つとして期待されている.本研究では除去可能な音声透かしを音楽データに埋め込むことを考える.この方法によれば,透かしメッセージを混入させたままのノイジーな試聴用音楽ソフトをオンラインで配信できる.このコンテンツに対してユーザの要求により対価の支払いと交換に透かしメッセージを不可聴に抑圧し,同時に知覚できない秘匿透かし信号を低周波帯域に埋め込むことが可能である.本方式により再配布するわずらわしさもなく,高品質な音楽データを利用者に提供できる.一方,音声透かしを除去したコンテンツを不正に横流された場合には,不可聴な透かしが検証情報として利用できる仕組みになっている.本手法を用いてオンライン用透かしシステムを試作し,MP3による高能率圧縮方式のもとで実験した.それらの結果を考察し,本手法の特徴を述べる.In this paper,we propose a watermarking technique for digital audio data to embed both audible and inaudible messages.The former is a variable watermark,and the latter is a secret watermark that consists of 20 or less Hz.Some customers wish to take a chance of hearing a music in advance on the network when buying it.For this purpose, we embed two kinds of watermarks which prevent malicious users from copying and distributing the contents illegally.The variable watermark is necessary to present a sample version and is deleted from the sample version via authorized procedures under contract.The secret watermark remains permanently in the contents but it would not be found except authorized key.Under this circumstances we can save time and money to re-distribute the contents for customers.It is shown that the watermarks stand against lossy MP3 compression algorithm on our experiments.
著者
山本 秀樹 田川 忠道 宮崎 敏彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.1967-1981, 1993-09-15
被引用文献数
23

近年、英語を母国語とする人と実際に会話をしているような環境の撮供を目的とした環境型のCAIシステムが開発されている。しかし、これらのシステムは英会話の教育において重要な音声こよる会話文の入力機能を持たないため、十分な臨揚感を学習者に提供できていない。またこれらのシステムのいくつかは会話の目的や状況を理解していない学習者を対象としていない。そこで、本諭文では、音声による会話文の入カ機能とビデオを魅話的こ操作する機能の両方を持つこと1こより、会話の臨場感を高めること、および会話の目的や状況を理解していない学習者をも対象とすることを可能にした英会話用知的CAIシステムについて述ぺる。まず対話的に操作可能なビデオと音声による対話機能により、目標のある会話を行う際こ必要な英会譜能力を段階的こ習得可能な指導方法を提案する。次に、音声による会話のシミュレーションを実現するために、音声認識システムをどのようにシステムに統合したかについて述ぺる。さらに教材の作成が容易な会話の知識表現を提案する。本システムは、ワークステーション上に実装されており十分な速度で音声による会話を可能としている。本諭文で述ぺた方式は他の音声対話システムにも応用可能である。
著者
植田 護 橋本 周司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.146-157, 1997-01-15
被引用文献数
17

音源分離問題は 複数の音源の音響信号が重畳した混合音からそれぞれの音源の音響信号を分離抽出する問題である.この問題を計算機上で解決することは 近年さかんに研究されている音環境理解システムにとって不可欠な課題である.本稿は それぞれの音源に関する情報は最小限にとどめ 混合音の情報のみから分離するブラインドデコンポジション問題として音源分離問題を検討する.人間の音源分離機能が 各音源に固有な情報を必ずしも必要としないブラインド状態で分離が可能なことから 人間に近い音源分離システムの構築に応用性が高いと考えられる.ここでは 音源の短時間パワースペクトルの加法性と時間方向の相似性などを仮定して 分離アルゴリズムを理論的に考察した.シミュレーションデータおよび 実音の分離を試み 本手法の妥当性 応用 性を確認した.また 実音の分離において問題となる雑音に対するシステムのロバスト 性の問題に対して ブラインド状態でシステムの分離結果の信頼度を評価する手法を考案し これにより システムパラーメータの最適化を行うことも試みた.This paper describes a signal-processing approach designed to segregate concurrent sounds without using information that is particular to each sound source. The information that is particular to each sound source (such as sound models or localization of sound sources, etc.)may he useful to solve the sound source separation problem. But such information is not always necessary for human performance in the task related to the segregation sounds. In this regard, it is interesting to consider the sound source separation problem on a blind condition. In this paper, we regard the sound source separation problem as a blind decomposition problem. The blind decomposition problem involves the estimation of the constituents by observing only their superposition. Although the blind decomposition problem may be impossible to solve without any constraints, we can solve it under some adequate and practical conditions which are common to most sounds. In this paper, we describe the necessary conditions and a simple and effective algorithm for the blind decomposition of monaural concurrent sounds in the case when two sound sources are presented simultaneously. The experimental system based on this algorithm was constructed and tested. The results of experiments us
著者
寺田 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1610-1617, 1993-07-15
被引用文献数
2

ユーザとの対話を直接担当するプログラムのように多様な処理を長時間にわたり行う場合、利用されなくなった情報(関数定義など)を捨てることが重要になってくる。しかし通常のごみ集め(gC)では、到達可能なデータ(すなわち、少しでも再利用の可能性のあるもの)は回収できない。ここで注目したのが、いくつかのLispにあるWeak Pointer(wp)というデータ型である。wpは単独では参照先をgcから保護しないという特徴を特つ。この機能を拡張し記憶管理のために利用しようというのが本研究である。拡張点は3点ある:捨てた後のポインタの値の個別指定、段階的なデータ保持能カ、減衰によるデータ解放である。この拡張により、データの重要性や利用頻度に対応した保持期間などを設定できる、また、捨てた後での再ロードも容易に実現できるようになる。本論文では、拡張Wpの実現方式について、gCアルゴリズムの変更も含めて考察する。さらに拡張wpをUnix上でのLisp処理系に実装し、アプリケーションを作成して効果やオーバヘッドについて評価を行い、実用性を立証する。
著者
中島 秀之 上田 和紀 戸村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.745-753, 1983-11-15

Prologに代表される述語論理型言語は プログラムを その仕様に近い形で記述できることを大きな特徴とする.しかし入出力に関しては 命令型言語と同様 副作用を通じて行うことが多かった.本論文では 述語ではなく変数を通じた 副作用によらないPrologの入出力を論じる.また従来の多くの言語の入出力は データの転送と 内外部表現間の変換を まとまった機能として提供していた.本論文では 入出力はたんなる文字列の転送ととらえ 変換操作は 言語に文字列操作機能を用意し それを用いて記述するようにした.これらの工夫により 入出力の概念が単純でわかりやすいものになり しかもその扱いが柔軟になったと考える.順アクセス媒体との入出力は たんなる文字列変数を通じて行えばよいが データ構造の工夫により 窓構造をもったディスプレイヘの出力も扱える.文字列操作は Prologのパターンマッチング機能を用いて簡潔に記述できる.実行可能パターンの考え方をとりいれてパターンと述語とを統一的に扱うので 文字列に導入した基本操作が連結のみであるにもかかわらず パターンの記述能力は強力である.提案する機能はProIog/KR上に作成中であるが さらに効率のよい作成技法にもふれる.残された課題には 複雑なパターンマッチングにおけるバックトラックの制御などがある.
著者
菅谷史昭 竹澤 寿幸 隅田 英一郎 匂坂 芳典 山本 誠一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.2230-2241, 2002-07-15
被引用文献数
12

ATR音声翻訳通信研究所(ITL)が研究開発した音声翻訳システムATR-MATRIXのシステム概要,コーパス収集,評価結果などについて,研究開始当初の目標や研究経緯に則して述べる.コーパスベースの技術を全面的に取り入れたATR-MATRIXの要素技術の詳細については文献を参照し,システムに特徴的な技術について本論で述べる.対話実験による総合評価を実施し,利用分野は限定されるものの,タスク達成率が90%となることを確認した.また,対話実験において実験を重ねるに従って,同一タスクに対する性能が向上するなど,ATR-MATRIXを介した対話実験結果について述べる.ATR-MATRIX speech translation system was developed at ATR Interpreting Telecommunications Research Laboratories (ATR-ITL).In this paper we explain the system's outline and its development process including the initial objective, corpus collection and its overall evaluation.Each of three major components of the system: speech recognition, language translation, and speech synthesis, introduced an innovative corpus-based technology.In the paper, however the explanation is focused to major topics in the overall system, while rendering appropriate references to detail explanations of specific technology.We also explain some experimental results: additional sessions improve the performance of the same task.
著者
榮樂恒太郎 新城 靖 板野 肯三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1690-1701, 2002-06-15
被引用文献数
8

著者らは,Unixにおいてシステム・コールのレベルでアクセス制御の機能を強化する仕組み SysGuard を実現した.SysGuard では,ガードと呼ばれる,デバイス・ドライバと同様にカーネル内に組み込むモジュールを利用する.各ガードは,システム・コール処理の実行の前後で,付加的にアクセス権をチェックする.SysGuard の設計の特徴は,ガードが適用されるスコープを柔軟に設定できる点にある.SysGuard の実現の特徴は,カーネルの修正個所が少ないこと,および,ポータビリティが高いガードの開発を支援していることである.また,ガード開発キットを用いることにより,ユーザ空間内で簡単に開発やデバッグを行うことができる.SysGuard は,現在,Intel x86プロセッサ版,および,DEC Alphaプロセッサ版のLinuxカーネル2.2で利用可能になっている.The authors have implemented a mechanism called SysGuard which improves the access control facility of Unix at thesystem call level.SysGuard uses modules called guards that work in a kernellike device drivers.Guards are called before or after the processing of systemcalls, and provide additional access control.One of the main features of the SysGuard design isflexible setting of guard scope.The features of the SysGuard implementation are fewmodifications against the kernel, and the support fordeveloping portable guards.Moreover, by using the guard development kit, thedevelopment and debugging of guards can be easily performedin the user space, and the developed guard can be registeredeasily to the kernel.SysGuard has been available in the Linux kernel 2.2 on anIntel x86 processor and a DEC Alpha processor.
著者
宇津宮 孝一 園田 修司 凍田和美 吉田 和幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1172-1176, 1992-09-15
被引用文献数
3

複数のワークステーション上で 数人のグループメンバによる協同執筆や即時の協同作業を支援するために 既存のテキストエディタそのものには全く手を加えないで これをグループエディタ化するシステムGEE(Group Editor with Existing editors)をXウィンドウシステムを用いて実現した.GEEは グループウェアとしてのグループエディタの導入 使い慣れた既存エディタ機能の従来どおりの活用 およびグループでの共有文書の編集や協同作業を容易にする.本論文では GEEの設計と実現について述べる.
著者
田村 陽介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.1376-1387, 2004-05-15
被引用文献数
2

MANET の基盤技術となっているパケットのフラッディングは到達可能なホストすべてにパケットを伝達することを保証する.到達性を重要視するルーティングプロトコルにおいてフラッディングは非常に有効であり,未知ホストの発見などの重要な役割を担っている.一方,フラッディングはアドレス割当てにおいても利用されている.しかしその多くは,フラッディングの到達可能なホストにしかパケットを伝達できないという特徴を受け継いでいるため,アドレス割当てにおいて最も重要である唯一性を保証する機構が十分ではない.本稿ではアドレス割当てにおいてフラッディングを利用することが唯一性を保証できないことを問題点とし,またネットワークの規模が大きくなるほど,パケット数が二乗に比例して増加しネットワーク資源だけでなく消費電力の観点でも非効率的であることを指摘する.本稿で提案するAmeba はアドレスをブロック単位で割り当てることにより,特定のサーバを持たずに分散的にアドレスを割り当てることが可能となる.またフラッディングを利用しないため,大規模ネットワークにおいてはフラッディングを利用した従来方式と比較してアドレス割当てに利用するパケット数を大幅に減少させることが可能となる.Most techniques for address allocation in MANET use random address selection by a mobile node. In order to ask whether or not the address is already used by other nodes, the node floods a packet into the network. However, packet flooding can not guarantees the reachability to all nodes, Thus, it can be possible to conflict the address to the node which temporary disconnect to the network. Moreover, packet-flooding wastes the network resource as the network becomes larger. In our proposal scheme, called Ameba, a mobile node is assigned an address block that contains valid address space. The node allocated the block becomes possible to assign the address to other nodes. As a result, Ameba can guarantee address uniqueness without packet flooding. By comparing Ameba to flooding-based schemes, the number of packets used in address assignment is extremely decreased in Ameba.
著者
片峯 恵一 廣田 豊彦 周能法 長澤 勲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.1130-1137, 1996-06-15
被引用文献数
4

ドメインの知識を記述するための言語処理系のプロトタイプ用言語には 1)言語処理系の開発に適していて 理解性 保守性にすぐれている 2)実際に運用可能な性能を実現できる 3)移植性にすぐれている などの要件がある.そのような要件を満たす言語として著者らはβ-Prologの開発を進めている.本研究では 決定的な述語をCへ変換することによって β-Prologのいっそうの高速化を目指した.具体的な変換手順は 1)β-Prologコンパイラの中間データである照合木を入力とする 2)照合木を抽象機械NTOAMの命令系列へ展開する 3) NTOAMの各命令をCの文へ変換する となる.このようにしてCへ変換された決定的な述語は NTOAM上で解釈される非決定的な述語と組み合わせて実行することができる.実行性能を評価した結果 非決定性を含む8-queenのような問題であっても SICStusのネイティブコード・コンパイラよりも高い性能を示した.人手でCプログラムヘ変換することによってさらに性能を向上させることが可能であるが そのためには膨大な労力を要し しかも理解性や保守性が低下する.したがって 本論文で提案した手法は 実用的なプロトタイプの開発にきわめて有用であると考えられる.The requirements for a language to be a good implementation language for knowledge representation languages include: 1) be suitable for developing language processors, and have good understandability and maintainability, 2) have fair performance tolerable for practical uses, and 3) have good portability. We have been developing β-Prolog to satisfy the above requirements. In this research, we have aimed to improve the performance of β-Prolog by translating determinate predicates to C. Our translation procedure works as follows: 1) input the matching trees which are intermediate data of the β-Prolog compiler, 2) flatten the matching trees into a sequence of NTOAM instructions, 3) convert each NTOAM instruction to C statements. The C program translated from determinate predicates can be linked with nondeterminate predicates which are interpreted by NTOAM. Our evaluation result shows that our method is superior in performance to SICStus native code compiler even when a program has nondeterminism like 8-queen. Manual translation to C program might improve the performance further, but it would take enormous efforts and degrade the understandability and maintainability. We think that our method is much effective for developing practical prototype systems.
著者
阪井 誠 中道 上 島 和之 中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2575-2586, 2003-11-15
被引用文献数
11

WebTracerはWebサイトをブラウズするユーザの視線と操作の記録,再生,分析を支援するユーザビリティ評価環境である.WebTracerは,ユーザがどこを注視しつつ操作を行ったかをコンパクトに記録することが可能である.評価実験の結果,WebTracerは既存のビデオ圧縮方式であるMPEG-2やMPEG-4に比べ1/10から1/20のデータサイズで,Web操作画面を記録し再生することができた.また,Webページのメニューが2カ所に分かれている場合は注視点の移動速度が速かったなど,視線とユーザビリティが関連している可能性が示された.WebTracerを用いれば,ユーザビリティの共同研究や,ユーザビリティ評価者と開発者の間でデータ交換することが可能になる.また,視線データを利用して問題のあるページを容易に探せるなど,ユーザビリティ評価を効率的に支援できる可能性がある.WebTracer is a new usability evaluation environment which supports record, reproduction,and analysis of a gazing point and operation while a user is browsing a website.WebTracer can record a user's gazing point and operation compactly.Results of an experimental evaluation showed that the size of the operation history taken by WebTracer was from 1/10 to 1/20 of the size of data recorded by an MPEG-2 and MPEG-4 format.Thus, with its compact form,the result of usability testing with the gazing point can be efficiently shared.It is expected that we can easily share empirical data between researchers.Also,evaluators can easily send the testing results as a feedback to the developers.Moreover, the results shows that a possibility that gazing points related to usability.For example, if the menu of a Web page is divided into two panes,gazing points moved quickly.It seems that WebTracer improves usability evaluation efficiently,since gazing point data helps to find out problems from Web page.
著者
平野 亮太 田中 譲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1684-1693, 2001-06-15

部品の再利用と,組立て方式によるアプリケーション開発では,アプリケーションの仕様をいくつかの部分的な仕様に分解し,個々の部分的仕様を満たす部品を合成部品に組み立てることで,目的のアプリケーションを構築することができる.こうしたアプリケーション開発を支援するには,分解,再合成可能なアプリケーションの仕様記述法が必要である.また,大量のソフトウェア部品を管理し,仕様の類似性に基づく部品検索を実現する必要がある.本論では,著者らが提案した部品の抽象的な仕様記述を,部品の型記述として利用した類似部品検索の実現方式について述べる.部品の管理手法は,部品の型記述における半順序関係の定義を行い,その関係を表す一般化階層構造(束)を利用するものを提案する.また,ハッシュ法を用いることで,部品検索の高速化を図る.In our previous research, we introduced a component--pattern description method, based on IntelligentPad architecture, to describe the interface and the abstract behavior of each component. In this paper, we apply component--pattern descriptions to the search for desired components within a component library. The characteristics of component--pattern description method are the establishment of methods for composition and decomposition of patterns, and the use of the same form both for individual components and composites. Consequently, we can decompose a pattern into subpatterns, and later assemble the components that match those subpatterns to form composite results. For managing patterns, we propose a lattice structure representing the partial order over the patterns. We also introduce a coding method for pattern descriptions, and a hashing method for improving the efficiency of pattern search.
著者
竹内 孔一 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2679-2689, 1999-06-15
被引用文献数
13

近年 インターネットの普及により OCRを用いたテキストの電子化がますます重要な課題となってきた. 日本語におけるOCR誤り訂正の先行研究には OCRの文字候補と品詞タグ付きコーパスを利用した研究がある. しかしながら 分野が異なれば単語の出現分布などが変わることから 誤り訂正を行う分野と同分野のタグ付きコーパスを用意する必要があり それには大変コストがかかる. また 分野によっては統計学習に必要な電子化テキストデータがない場合も多い. そこで まず我々は学習用として電子化された大量テキストデータを仮定したOCR誤り訂正システムを構築し ランダムに生成された文字置換誤りテキストに対する訂正実験を行った. 次に 電子化テキストがない分野に対して OCR処理された誤りを含むテキストを学習に利用するシステムを作成し評価を行った. システムは 文字trigram 統計的形態素解析システム 単語trigramを用いた. 大量テキストを仮定したシステムでは 90%の文字読み取り精度のテキストを92.9%まで改善し 95%の精度のテキストを96.4%にまで改善した. また 電子化テキストデータがない場合について 実際のOCR処理されたテキストに対する訂正実験を行い その有効性を示す.In recent years, OCR error correction is getting more and more important for the purpose of converting printed texts into electronic ones on computers. As a previous work, there exists a study of OCR post processing which uses OCR's character candidates and a morphological analyzer trained on part-of-speech-tagged corpus. However, too much cost is required to prepare pos-tagged corpus for each domain. In this paper, we present an OCR error correction method which uses stochastic language models trained on large texts. We also construct an OCR error correction system which uses OCR's output texts in a domain in which no large scale training text exists. Our system consists of the models of character trigram, a stochastic morphological analyzer and word trigram. We show that the models trained on large texts improve a text of 90% correct character rate into that of 92.9% correct rate and a 95% correct text into a 96.4% correct one. We also show how the models trained on OCR's output texts correct errors in the OCR's output texts.
著者
高林 哲 増井 俊之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2608-2616, 2003-11-15
被引用文献数
4

メールは1対1の情報交換だけでなく,メーリングリストを使ったグループコミュニケーションの手段としても活用されている.しかし,従来のメーリングリストは作成および管理に多くの手間がかかるため,気軽な用途には使いにくかった.本論文では,従来のメーリングリストの問題を解決し,メールを送るだけで手軽にメーリングリストを運営できるシステムQuickMLを提案する.QuickMLを利用することにより,いつでも・どこでも・誰でも手軽にグループコミュニケーションを行える.A number of people are exchanging email messages everyday using mobile phones and PDAs as well as PCs.Email is useful not only for one-to-one communication but group communication through mailing lists.However, conventional mailing lists are not as widely used as they should be,because creating and maintaining a mailing list is not an easy task.We propose a simple and powerful mailing list service system called textit{QuickML},with which people can easily create a mailing list and control the member account only by sending email messages.With QuickML, people can enjoy group communication at any place,at any time, and by anyone.
著者
森本 和伸 林 貴宏 尾内 理紀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1171-1180, 2006-04-15
被引用文献数
3

本稿では,ユーザが書いたblog 記事をもとに,ユーザの新たな興味につながる可能性のある他人のblog 記事を推薦するシステムMineBlog について述べる.MineBlog では,あらかじめウェブクローラを利用してblog 記事をウェブから収集しデータベース化しておく.データベース中のblog 記事から推薦記事を決定するために,関連性,相違性,話題性の3 つの尺度を用いてblog 記事を評価する.3 つの尺度は順に,ユーザが書いた記事とどの程度関連する話題を含んでいるかを測る尺度,ユーザが書いた記事とどの程度異なる話題を含んでいるかを測る尺度,一時期頻繁に話題にされた内容を記事中にどの程度含んでいるかを測る尺度である.これら3 つの尺度を定量化し,関連度,相違度,話題度を定義する.3 つの尺度によりblog 記事をスコアリングし,上位を推薦記事としてユーザに提示する.MineBlog の有効性評価を目的とした実験により,推薦した記事の約2 つに1 つはユーザの新たな興味につながる推薦記事であるという結果を得た.This paper reports on MineBlog: a recommender system of blogs. Posting a blog-article to the system, the system produces attractive blog-articles to the user and supports the user to discover his/her new interests. The system extracts some blog-articles for recommendation from a database by scoring with three kinds of criteria 窶髏 relevance, difference and topicality. Relevance is a criterion for measuring similarity between an article registered in a database and the user's posted article. Difference is a criterion for measuring dissimilarity between the articles. Topicality is a criterion for measuring whether an article mentions current topics. We experimentally examine the performance of MineBlog. Experimental results show that one of two recommended articles arouse user's new interests.
著者
重野 寛 本田 新九郎 大澤隆治 永野 豊 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1922-1932, 2001-07-15
被引用文献数
19

本稿では,3次元仮想空間をより実感することを可能にする仮想空間システムFriend Parkについて述べる.Friend Parkは3DCGで構築された空間や物体を特徴付ける香りをユーザに提供することや,ユーザが自然な振舞いで利用することのできる入力インタフェースによって,仮想空間の実感を高めるシステムである.人間の五感のうち嗅覚においては,他の感覚器では得ることのできない情報を取得し,物事を実感するうえでその効果は大きいと考えられる.そこで,仮想空間内の嗅覚情報を表現するために,「アロマ」という概念,およびアロマの伝達される範囲を表した「アロマオーラ」を定義し,アロマオーラ内にいるユーザにアロマの伝達を行った.実際に香りを発生させる方法としては,コンピュータ制御可能な芳香発生装置を利用し,香りの発生を行った.また,より自然な振舞いで利用できる入力インタフェースを実現するため,人間の「息を吹きかける」という動作に注目し,専用の風力センサを作成した.ユーザ側にはデバイスによる負荷を与えたり,過度に意識させることなく,ディスプレイに表示されている仮想空間において,息を吹きかけるという動作による直接的なオブジェクトの操作を可能にした.評価を行った結果,香りの伝達および風力センサを利用した入力インタフェースによる仮想空間の実感について,良好な結果を得た.In this paper,we describe a 3D virtual space system named ``Frien Park'' that gives users a more definite sense of reality.Users can get riality by using Friend Park taht provides the information of the sence of smell in virtual space and the input device which user can use by the natural behavior.Human percept the important infomation through tne sense of smell that cannot be perceiced through other senses.So we propose the general idea of ``Aroma'', the area of ``aroma aura''. and the method of transmitting the actual smell from a virtual space to real world.By entering the aroma aura, the user can attain the aroma.In addition, to perform a natural way of input in virtual space,we focused on the action of ``blowing''.we propose the techniqu of operating the virtual object by blowing onto the screen and measuring a force of the wind with a special device.we design a special device that can set below the display,thus the user can naturally make direct input without being too aware of the device.The system evaluation demonstrated that we have gained a better result on transmitting olfactory infomation,input device, and whether users can get riality by them.