著者
田尻 智計 板橋 豊
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.667-674, 2002-09-05
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

高速液体クロマトグラフィーと質量分析法を用いて,生体膜の主要構成成分であるホスファチジルコリン (PC) の分子種の詳細を明らかにする高感度で簡便な方法を確立した.植物油及び魚油から分離した PC を逆相 HPLC とエレクトロスプレーイオン化質量分析法 (HPLC/ESI-MS) により分析した.HPLC 分析では,粒径 4μm の ODS 充填剤を含むカラム (25 cm×4 mm i.d.) と少量の塩基を添加した移動相{メタノール-アセトニトリル-トリエチルアミン (90 : 10 : 0.1, v/v/v)}を用いることによって,高度不飽和酸を含む種々の分子種が明りょうに分離された.HPLC/ESI-MS では, [M + H]^+と [M + Na]^+の強い分子量関連イオンと [M - RCO + 2Na]^+のフラグメントイオンが得られた.これらのイオンを利用して各分子種を同定した.
著者
金 景勲 片山 佐一
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.29-36, 1971

(Bi<SUB>1-<I>x</I></SUB>Sb<SUB><I>x</I></SUB>)<SUB>2</SUB>(Te<SUB>1-<I>y</I></SUB>Se<SUB><I>y</I></SUB>)<SUB>3</SUB> 系において,重量パーセントでビスマス(0~63.46),アンチモン(0~50.33),テルル(0~61.47),セレン(0~49.67)をそれぞれの広い組成の範囲内において,けい光X線による非破壊定量分析を行なった.分析に用いたけい光X線は,BiL<SUB>α</SUB>,L<SUB>β</SUB>;SbK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>;TeK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>;SeK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>である.ビスマステルライドを基盤にし,ビスマスの代わりにアンチモン,テルルの代わりにセレンをそれぞれ原子比で20(%)刻みに置きかえた36種の標準試料を作り,まず係数αを定め,それを用い各元素のけい光X線の相対強度と元素の重量パーセントとの関係を示す連立方程式を解き重量パーセントを求めた.解析はK<SUB>α</SUB>,L<SUB>α</SUB>線とK<SUB>β</SUB>,L<SUB>β</SUB>線について.それぞれ別に用いた.その結果は次のとおりである.K<SUB>α</SUB>とL<SUB>α</SUB>線のけい光X線を用いた際の誤差と変動率はそれぞれ±1.15%と±4.3%である.同様に,K<SUB>β</SUB>とL<SUB>β</SUB>線については±0.9%と±3.7%である.
著者
笹本 なみ 阿部 善也 高久 雄一 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.591-597, 2017-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
18
被引用文献数
2

For the characterization of Japanese sake, the trace-element composition and isotope ratio of the light elements of the sake (rice wine) were analyzed by means of an inductively coupled plasma atomic emission spectroscopy/mass spectrometry and isotope ratio mass spectrometry with the aim of chemical characterization of sake related to their origins and grades. The origin of trace elements in sake was investigated by comparing the trace-element composition between sake and water for brewing sake. It was found that the hydrogen stable isotope ratio of sake shows a latitude effect, which is related to that of the river water and groundwater of the surrounding area. Certain trace elements, such as V and Sr, were related to the geological origin of the water source, indicating the region of the brewery. We have discovered that certain trace elements are related to the rise polishing ratio, which determines the quality of Japanese sake, which is hence useful for evaluating the sake’s grade. Specially designated sake (Tokutei meisho-shu) and regular sake (Futsu-shu) could be distinguished by combining the use of the isotope ratios of hydrogen and carbon. Consequently, the present study has demonstrated the effectiveness of trace-element composition and isotope ratio of light elements for the chemical discrimination of factors directly linked to the sales price of Japanese sake, i.e., the rice-polishing ratio, the region of breweries and the addition of brewing alcohol into sake.
著者
石井 裕子 滝山 一善
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.145-149, 1990-03-05 (Released:2009-06-19)
参考文献数
17
被引用文献数
10 4

食用のほうれん草,野草のベゴニア,すいば,あかざなどは葉や茎にシュウ酸カルシウム結晶を含んでいる.植物体では代謝の最終産物で不用有害なシュウ酸をカルシウム塩として固定して無害にしている.これらの結晶に一水和物と二水和物があることを見いだし,結晶の形態から両者を区別することができた.ベゴニアには二水和物が,すいば,あかざには一水和物が,ほうれん草には大部分が二水和物で約20%の一水和物が存在していた.シュウ酸とカルシウムの種々の濃度の溶液を種々のpHで室温で反応してシュウ酸カルシウム沈殿を生成した.試薬濃度と,pHを変化させて生成した場合,更にクエン酸,リンゴ酸,コハク酸などを共存させた場合に粒子の形態に特徴ある,長い六角形板状の一水和物及び八面体を基本とする二水和物の結晶が析出した.これらのことから植物中のシュウ酸カルシウム結晶の一水和物と二水和物の生成条件の一部が解明できた.
著者
片岡 由行 河野 久征 河原 直樹 越智 寛友 西埜 誠 中村 秀樹
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7.8, pp.363-371, 2020-07-05 (Released:2020-11-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1

蛍光X線分析におけるファンダメンタルパラメータ法(FP法)は,理論的に蛍光X線強度を計算して定量分析に利用する方法である.FP法を搭載した波長分散型蛍光X線分析装置は,1980年代後半に国内X線機器メーカーであるリガクと島津製作所が世界に先駆けて開発し,エネルギー分散型装置への適用を含め機能拡張と改良を重ね,その応用範囲も拡大し一般的に使用されるようになった.FP法の代表的な応用例として標準試料を必要としないスタンダードレス分析があるが,電子材料やめっき分析に使用される薄膜FP法,また,従来の検量線法におけるマトリックス補正係数に,FP法を利用して求めた係数を使用する方法も,各種材料のJISやISOの分析規格として採用されている.また,蛍光X線に加え,散乱線強度を含めたFP法も開発し,ポリマーや生体試料の分析や不定形試料の分析にも応用されており,著者らが開発したFP法は,蛍光X線分析の応用範囲の拡大に大きく貢献することができたと考えている.
著者
富山 眞吾 上田 晃 北井 亜希子 葵 守一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.131-142, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
31
被引用文献数
4 5 2

食品原材料となる地下水の品質管理の問題が起きており,地下水の起源について水質特徴などの科学的根拠に基づいて判別する技術が必要とされている.本研究は,埼玉県狭山市にある株式会社フードケミファ新埼玉工場の井戸で採水している地下水と周辺河川水を対象に,水素・酸素安定同位体比等の地球化学的手法と3次元数値モデルによる地下水流動解析を用いて地下水の起源や流れを予測した.地下水の水質は関東平野西縁辺部の河川水と同様の重炭酸カルシウム型であり,河川水と比較してNa+とHCO3−に富む傾向にある.水素・酸素同位体比から,地下水の起源は入間川上流等の平野縁辺の河川にあることが推定される.数値モデルによる地下水流動解析では入間川上流域から新埼玉工場に向かう地下水の流れが予測され,主要陽・陰イオン濃度や水素・酸素安定同位体比から推定される地下水流動と整合的である.地球化学的手法と数値解析により得られた結果は従来の知見と矛盾せず,地下水起源の判別法としての可能性が示唆された.
著者
豊島 学 蒋 緒光 小川 覚之 廣川 信隆 吉川 武男
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10.11, pp.531-537, 2020-10-05 (Released:2020-10-17)
参考文献数
46

統合失調症は約100人に1人が発症する比較的頻度の高い精神疾患である.幻覚・妄想などの特徴的な症状に加えて,意欲が低下し感情が鈍麻する,認知機能が障害されるなどの症状があり,社会生活に支障が出ることが多い.統合失調症の病因・病態には,複数の遺伝的要因と環境要因の関与が考えられているが,分子メカニズムにはいまだ不明な部分が多い.近年,統合失調症の病因・病態に酸化ストレス(カルボニルストレス)や小胞体ストレスの関与が示唆さており,それらストレスによるタンパク質の「質」の低下(凝集化などによる機能低下)が注目されようになった.本稿では,統合失調症の基礎知識から研究方法について紹介したのち,細胞内ストレスに注目して,統合失調症で見られるタンパク質の「質」の変化について概説する.
著者
小野﨑 晴佳 阿部 善也 中井 泉 足立 光司 五十嵐 康人 大浦 泰嗣 海老原 充 宮坂 貴文 中村 尚 末木 啓介 鶴田 治雄 森口 祐一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.757-768, 2019-10-05 (Released:2019-11-07)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

Three radioactive microparticles were separated from particles on filter tape samples collected hourly at a suspended particulate matter (SPM) monitoring site located at ∼25 km north of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP), after the hydrogen explosion of reactor 1 on 12th March 2011. The 134Cs/137Cs radioactivity ratios of the three radioactive aerosol particles showed that they were derived from the FDNPP reactor 1, rather than reactors 2 or 3. The physical characteristics of these particles with < 10 μm in diameter and non-uniform shape are clearly different from those of radioactive particles generated by the hydrogen explosion of the FDNPP reactor 1. A significant amount of Cl was detected by energy dispaersive X-ray spectrometery. Synchrosron radiation microbeam (SR-μ-) X-ray fluoresence (XRF) analysis showed that these particles contain a series of heavy elements related to the nuclear fules and their fission products with a non-homogeneous distribution within the particles. In addition, the SR-μ-XRF identified trace amounts of Br in these particles; the element has firstly been found in radioactive particles derived by the FDNPP accident. In contrast to the hydrogen explosion-generated radioactive particles containing Sr and Ba, both of which are easily volatile under a reduction atmosphere, these elements were not rich in the particles found in this study. By the SR-μ-X-ray absorption near edge structure analysis and SR-μ-X-ray powder diffraction, it was found that these particles consist of an amorphous (or low crystalline) matrix containing metal elements with chemical states in a comparatively high state of oxidation or chloride. Based on these physical and chemical characteristics and a trajectory analysis of air parcels that passed over the SPM monitoring site, we concluded that these radioactive particles were generated and emitted into the atomosphere at the time of seawater injection for cooling the reactor after the hydrogen explosion.
著者
菊田 真也 山上 基行 河野 浩 堂井 真
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.463-470, 2020-09-05 (Released:2020-11-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

全反射蛍光X線(TXRF)分析はX線を極めて低角度で試料に入射させることで試料表面の微量元素を高感度に分析する手法である.TXRFは半導体製造工程管理に広く用いられており,Siウェーハ上の汚染評価を行うことができる.半導体デバイスの微細化,高性能化の要求から半導体製造工程は年々複雑になっており,汚染評価の重要性が高まるのに伴い,TXRF測定装置の高感度化,高機能化に向けた装置開発を行っている.本稿では,データ分析の観点からTXRF分析に機械学習を応用した取り組みについて紹介する.TXRF測定で得られた約9000個のデータを教師データとして,畳み込み層が1層,隠れ層が4層のニューラルネットワークモデルに投入し,波形プロファイルと含まれる元素,含有量の関係を学習させた.その後,波形プロファイルのみを投入することで含まれる元素と含有量を推定させた.その結果,短時間測定において従来のピークフィットによる手法では見逃していた元素を検出することができ,長時間測定と同等の結果が得られた.本稿ではTXRFにおける機械学習による高感度化の可能性について論じた.
著者
岩田 祐子 桑山 健次 辻川 健治 金森 達之 井上 博之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.221-231, 2014-03-05 (Released:2014-03-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

我が国で最も乱用されているmethamphetamineの塩酸塩について,押収されるまでの薬物の起源と履歴(原料,合成ルート,製造方法等)が反映されている薬物プロファイルを明らかにする薬物プロファイリングのこれまでの研究成果を報告する.アルカリ性下で有機溶媒を用いて微量成分を抽出しガスクロマトグラフィーを行う微量成分分析では,微量成分をよく検出・分離する条件を決定し,複数の内部標準物質を添加することにより,保持時間の補正精度を高めた.また,キャピラリー電気泳動法によるキラル分析では,覚醒剤や覚醒剤原料等のアンフェタミン型興奮剤9種を良好に分析する方法を確立し,methamphetamineに微量に含まれる原料ephedrine等もキラル分離して検出することが可能となった.さらに,methamphetamineの安定同位体比質量分析において,資料の関連性の評価基準を設定し,結晶ごとの測定の有効性を示した.各分析により,より詳細なプロファイルが得られ,異同識別や起源と履歴の推定に,より多くの情報が得られるようになっている.
著者
八井田 朱音 大塚 理子 山田 安咲紀 中野 和彦 松井 久美 関本 征史 稲葉 一穂 伊藤 彰英
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7.8, pp.341-350, 2020-07-05 (Released:2020-11-07)
参考文献数
25
被引用文献数
2

キレート固相抽出法を併用するICP-MS法により,多摩川の中流域から河口域までの15地点で採水した河川水試料を分析し,Sc,Y及びPmを除く14元素の希土類元素を定量した.分析結果をPAAS(Post-Archean Australian Average Shale)で規格化して希土類元素存在度パターン(希土パターン)を作成して考察したところ,多摩川では中流域の下水処理放流水合流地点から河口域までの試料で,Gdの存在度が隣接する他の希土類元素よりも明らかに高いGdの濃度異常が定常的に確認された.この濃度異常は,MRI造影剤として人体に投与されたGd化合物により引き起こされることが確認されており,Gd濃度を約20〜25年前の文献値と比べると,中流域と河口域の2地点について,それぞれ2〜4倍,3〜4倍の濃度であった.したがって近年,多摩川河川水においてはGd濃度が上昇していることが明らかになった.さらに,Gdの濃度異常について国内外の他の文献値と比較するために,Gdの濃度異常をGd異常度として数値化し,多摩川の潜在的人為汚染の現状を評価した.その結果,本研究で分析した多摩川中流域河川水のGd濃度及びGd異常度の最大値は,これまでの国内河川水の文献値と比較して最も高く,国外河川水のすべての報告値を含めて比較しても,ドイツのハベル川に次いで高いことが明らかになった.
著者
阿部 善也 権代 紘志 竹内 翔吾 白瀧 絢子 内田 篤呉 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.477-487, 2011 (Released:2011-07-11)
参考文献数
7
被引用文献数
3 5

国宝 紅白梅図屏風(尾形光琳作)は,先行研究でその金地が金箔製ではない可能性が指摘され,社会的に注目された.その一方で,金地が金泥で描かれたものであると判断するに足る科学的根拠は得られておらず,金地の製法に関して疑問が残されていた.本研究では最先端の可搬型分析装置を用いたオンサイト非接触複合分析により,金地の製法解明を図った.特に金箔の延伸過程で生じる金結晶の配向現象に着目し,新規の手法として粉末X線回折法を導入し,金箔・金泥の判定を行った.粉末X線回折測定により屏風金地を分析した結果,屏風の金地部分では金結晶がa軸方向に選択配向していることが明らかとなった.この結果は屏風に先立って分析された現代の金箔の結果と一致した.さらに屏風の金地全体に格子状に浮き上がって見える部分については,金の厚みが2倍以上になっていることが蛍光X線装置による線分析によって示され,2枚の金箔が重なった箔足部分であることが判明した.以上の結果より,屏風の金地は金泥ではなく,金箔であることが明らかとなった.
著者
藤崎 渉 澤木 佑介 横山 哲也 山本 伸次 丸山 茂徳
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.341-348, 2015-05-05 (Released:2015-06-09)
参考文献数
33
被引用文献数
3

顕生代に起きたとされる5度の大量絶滅の原因を明らかにすることは生命と地球の共進化を明らかにする上で非常に重要な課題である.特に約2億年前のトリアス紀─ジュラ紀境界(T-J境界)で起きた大量絶滅の原因として,隕石衝突説や大規模火成活動説の相反する2説が主張されてきた.本研究ではこの大量絶滅事変の原因を特定するため,T-J境界前後の遠洋深海層状チャートの間に挟まれている頁岩を採取し,その内の28試料を用いて高精度白金族元素濃度測定を行った.Pd/Pt比とIr/Pt比の関係性,及び白金族元素濃度パターンから,T-J境界前後の白金族元素の濃集は大規模火成活動に伴う玄武岩からの混入によって説明できることが明らかになった.また化石記録と比較すると,白金族元素濃度(OsとPd)の最大濃集層はジュラ紀放散虫が出現するチャート層の1層準上位の頁岩層であることも明らかになった.これらのことは,T-J境界絶滅前後において大規模火成活動の寄与が大きかったことを示す.
著者
中野 和彦 水田 完 山崎 良 宮下 広海 片田 徹 中村 正巳 青山 繁俊
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.605-611, 2012-07-05 (Released:2012-07-27)
参考文献数
14

デュアルエナジー型X線検査装置を用いた覚醒剤(メタンフェタミン)の自動判定システムについて検討を行った.デュアルエナジー型X線検査装置の物質識別能力の理論計算は,高エネルギーのX線及び低エネルギーのX線を照射した場合のX線の吸収差の違いを利用したα-curve modelにより算出した.メタンフェタミンを含む11種類の物質について理論計算を行った結果,メタンフェタミンと有機物,無機物及び金属を識別する可能性が示唆された.市販のデュアルエナジー型X線検査装置を用いて,6種類の実試料(メタンフェタミン,砂糖,うま味調味料,シリカゲル,アルミニウム粉末,鉄粉)の識別を検討した結果,メタンフェタミンと他の物質を迅速に識別することができ,理論計算による結果とほぼ一致した.本手法は,手荷物や郵便物内に隠匿された不正薬物の迅速スクリーニングへの応用が期待できる.
著者
杉田 和俊 松本 真理子 稲葉 洋平 遠藤 治 内山 茂久 欅田 尚樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.253-257, 2013-03-05 (Released:2013-04-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

This research examined gas chromatograph/mass spectrometer (GC/MS) measurements for nicotine and 4-ethenylpyridine, which are passive smoking markers of environmental tobacco smoke. Since the object ingredient was a polar compound, a comparison examination was performed using both a non-polar column (DB-5) and a mid-polar column (DB-17) for analysis. Of the two columns, as a result of comparing the peak shape, sensitivity, and linearity, it was found that DB-17 is suitable for measuring nicotine and 4-ethenylpyridine, which is a substitute compound of 3-ethenylpyridine. When the nicotine concentration determined by the GC/MS method was compared with that of the GC/FID method, which was the regulating method, the concentration as determined by the GC/MS method was about 30% lower than that of the GC/FID method. It was suggested that measurements by GC/FID include other organic components. When tobacco smoke (the gaseous and particle components of mainstream smoke and sidestream smoke) was measured using this GC/MS condition, nicotine was detected in all samples, except for the gaseous component of the mainstream smoke, and 3-ethenylpyridine was only detected in the gaseous component of sidestream smoke.
著者
田中 美穂 渡辺 靖之 大野 慎介 田丸 貴臣 手嶋 紀雄 酒井 忠雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.291-296, 2004 (Released:2004-09-13)
参考文献数
20

コバルト(II)による鉄(III)の還元反応は,2-(5-ニトロ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール(nitro-PAPS)の共存下,pH 3.5の条件で進行する.この反応の生成物である鉄(II)-nitro-PAPSキレートは,790 nmに鉄(II)キレート特有の吸収極大を有する.したがって,この錯体の吸光度を測定することにより,コバルト(II)の吸光光度定量が可能である.この酸化還元反応を2流路のフローシステムに導入したところ,コバルト(II)2.5×10-7~1.0×10-5 Mの範囲で直線性の良い検量線が得られた.コバルト(II)の検出限界(S/N=3)は1.0×10-7 Mであり,2.5×10-6 Mのコバルト(II)を10回繰り返して測定した際の相対標準偏差は0.3% であった.1時間当たり約70検体のサンプル処理が可能である.本法は,コバルト合金(NIST SMR 862; High Temperature Alloy L 605)及びリョウブ(NIES標準試料No. 1)中のコバルトの定量に応用され,良好な結果が得られた.更に本法により市販医薬品中のコバルトを定量し,間接的にビタミンB12を測定することができた.
著者
今井 弘 荒井 善一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.143-147, 1991-03-05 (Released:2010-01-18)
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

1,1,3,3-テトラメトキシプロパン(TMP)の加水分解と,その生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)をチオバルビツール酸(TBA)法によって吸光光度定量する条件を検討した. TMPはpH 1にした水溶液中で25℃, 5時間放置すると,完全に加水分解した.その速度定数は2.78×10-4s-1であった.得られたMDAはpH 0~2においてTBAと定量的に反応し, 532nmに吸収極大をもつトリメチン色素が生成した. MDAが0.5×10-6Mから6.5×10-6Mまでの範囲で,濃度と吸光度との間に比例関係が認められ,そのモル吸光係数は532nmの波長で1.4×105l mol-1cm-1であった.
著者
木羽 敏泰 大橋 茂 柴田 村治 水辺 忠昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.361-363, 1954-08-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

Tunney fishes on board the No.5 Fukuryu Maru were Shipped from Yaizu to Kanazawa in March 1954. The radioactive substance adhered on the surface of tunney was collected and investigated with the following result.The strongest radioactivity was found in portion collected from epidermis and it showed 205 c/m per cm2(estimated on March 18 by use of Nuclear Type D-34, G.M.Counter Tube);larger part of radioactive substances were found to be adhered on scales and they were in the form of difficultly:soluble in water. Only the surface of scales was treated with hydrochloric acid in order to dissolve larger part of adioactive substance, the solution was concentrated and the contents were detected by paper chromatography.Four solvents were consisted of (A) EtOH: BuOH:10%aq.soln.of NH4SCN (5:5:2);(B)BuOH satd.with 3 NHCl;(C)Me2CO:BuOH: concd.HCl(5:2:1), and(D)MeOH:BuOH(3:1).The result of estimation indicated the presence of Ba140, Sr89 or Sr90 and Te132, radioactive Zr (Zr95) and the other radioactive rare earths andU237 were also considered to be present.
著者
山本 貴士 安原 昭夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.443-447, 0001-01-01 (Released:2001-06-29)
参考文献数
19
被引用文献数
10 15

ビスフェノールA(BPA)は,エストロゲン活性を示すことから内分泌撹乱化学物質と疑われている物質であり,社会的にも注目を集めている。この物質はポリカーボネート(PC)やエポキシ樹脂等の原料であることから,このような製品からの溶出について多くの関心が払われてきた。しかし,著者らが廃プラスチックからのBPAの溶出について検討したところ,塩化ビニル(PVC)製品からの溶出量が極めて大きいということが分かった。家庭において,よく水にさらされるPVC製品にホースがある。これらPVC製ホースからのBPAの溶出を調べたところ,実験に供した9製品すべてから溶出が確認され,濃度範囲は4.0~1730μg/lであった。製品の一つについて,水との接触時間を24時間まで変えて溶出濃度を求めたところ,最大558μg/lであった。単に水を通過させただけでも8.7μg/lのBPAが溶出した。これは,PC製品からの溶出濃度に相当する。
著者
中野 浩司 佐藤 真弘 津田 綾子 關谷 悠 森 勝伸 板橋 英之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.829-837, 2010 (Released:2010-11-11)
参考文献数
39
被引用文献数
3 6 3

The speciations of heavy metals (Cu, Zn, Pb, Cd and Cr) in bottom sediment soils collected from Kusaki dam-lake in Gunma Prefecture were considered to be in the solubility with the type of ligands, by a sequential extraction procedure with five fractionations. Through these procedures, a large amount of Cu in Kusaki dam-lake sediment was in a fraction bound to organic matter ; those of Zn and Pb were in an oxide fraction bound to iron and manganese oxides, and those of Cd and Cr were in the exchangeable fraction and in the residual fraction, respectively. The composition of species in a heavy metal was almost the same without any regard to the collection periods for two and a half years, the particle size of the sediment soils and the collection points. The total concentrations of heavy metals in the sediment soil at Kusaki dam-lake was still high at this stage, compared with those at Kanto loam and Black soil (Kurobokudo). From the distributions of each fraction for analyte heavy metals, the ratios of heavy metals with long-term leaching were estimated.