著者
中島 俊典
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.560-573, 1972-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
100

Various methods of vibration analysis using holography, that is, time average method, stroboscopic method and other modified methods are reviewed. Characteristic features and practical problems of each method are discussed and several reconstructed images of vibrating objects with interference fringes which are the contour lines of the amplitude of vibration are shown. Holographic technique enables us to visualize vibration pattern on a rough surface of any shape without touching it. The distribution of vibration amplitudes from a fraction of one wavelength to more than 25 wavelengths of the light can be obtained. Relative phases of vibration between various object points can also be measured by some modified methods. These unique advantages over conventional methods of vibration analysis make holography an indispensable technique for practical vibration analysis.
著者
外村 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.222-231, 1994-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
63

電子は光の10万分の1という短1い波長をもっている.その位相情報を活用すれば,まさに極微の物体の観察.計測が可能になる.筆者らの20年以上にわたる開発によって,従来とは比較にならぬほど明るく干渉性のよい電子線が得られるようになった.このため,電子線ホログラフィーを使って電子の位相変化を1/100波長という高精度で測定したり,さらにピントをはずした電子顕微鏡像の形で,極微の位相物体を動的に観察することが可能になった.これらの手法を使って,これまで不可能だった超伝導体中の個々の磁束量子の磁場分布や,磁束量子の動的挙動の観察が初めて可能になり,高温超伝導体のミクロな磁気的挙動などの未解の問題を明らかにする有力なツールとして期待がかけられている.
著者
外村 彰 松田 強 遠藤 潤二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1094-1100, 1979-11-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Electron holography has recently made a remarkable progress due to the high coherence of an electron beam generated in a newly developed field emission electron microscope and almost reached the stage of practical reality. This review describes firstly the objectives of electron holography: the improvement of electron microscope resolution and the development of new functions that have never been possible with conventional electron microscopes. Secondly three technical advances of electron holography are also described: generation of the electron beam with high coherence, improvement of the electron hologram formation method and compensation of the spherical aberration of electron lens. Furthermore interference microscopy was realized which gives information on thickness and magnetization distribution of specimen.
著者
菅田 栄治 文 道平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1024-1031, 1969-11-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The FEM W-tip which initially has the shape of a needle (the radii of curvature 5×10-6_??_1.510-5 cm) was inserted into a special specimen chamber of an electron microscope and the changes of shape by heating were observed over a wide range of temperatures (1600°K_??_2800°K) either continuously or intermittently. The receding rate by the blunting of the tip was determined by an application of Herring's theory on transport phenomena in solid to field emission cathode. It was found from the experimental results that the receding rate of the tip depended on the cone angle. Furthermore, the process of typical changes in the shape of the tip was established, and why a neck formed in the region near the tip could be explained.
著者
板谷 謹悟
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.844-848, 2000-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

表面科学の研究は,これまで超高真空装置 (UHV) を用いるのが常識であり,清浄かつ原子スケールで規定された金属あるいは半導体表面の幾何学的構造,表面電子状態などの研究が行われてきた.しかし,電気化学走査型トンネル顕微鏡 (STM) の開発とそれを用いた実験法は,水溶液中でも原子的に規定された表面が存在することを実証し,しかも原子のスケールで直接観察できる非常に強力な手段となった.液体中では表面上でさまざまな物理,化学反応が起こる.これらの諸過程を個々の分子,原子レベルで解析可能となった.この画期的な装置と,それによって明らかにされた興味ある結果の数例を解説する.
著者
生駒 俊明 森塚 宏平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.205-209, 1982-02-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
12
被引用文献数
4

電子線超音波顕微鏡は,電子ビーム照射により発生する超音波を用いて像を得る新しい顕微鏡である.試料の弾性的性質や熱的性質がとらえられるので,電子線超音波顕微鏡は,半導体材料やデバイスの評価手段として有望である.特に集積回路等の内部構造を観察できるので,今後種々の応用が期待される.ここでは,筆者らの研究結果を基に動作原理,観察例を解説している.
著者
魚住 清彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.1481-1487, 1989-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
13

走査型トンネル顕微鏡 (STM) は試料表面を実空間で原子分解能を持って観察することを可能にしたが,試料に電流が流れる必要がある.一方,非導電性試料表面をも観察可能にした原子間力顕微鏡 (AFM) も原子分解能を持つことが報告され, AIM と STM を同時に可能とする試みがなされている.われわれは, STM の課針に超音波パルスを加え,探針先端の機械的な接触を検出することにより, STM も同時に可能な新しいタイプの顕微鏡を作成できる可能性を示す実験結果を得たので紹分する.
著者
新田 淳作
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.296-299, 2001-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
18

スピン偏極電界効果トランジスタ(スピンFET)の動作原理と,実現するうえでの問題点について概説する.デバイス原理としてユニークな点は,スピン軌道相互作用によって二次元電子ガス中に注入されたスピン偏極した電子の向きを回転させる,というところにある. Rashbaスピン軌道相互作用が重要となる狭ギャツプ半導体において,ゲート電圧によりスピン軌道相互作用の制御が可能であることを示した.スピンFETのデバイスとしての可能性は,強磁性体電極から半導体チャネルへのスピン注入効率にかかっている.

1 0 0 0 OA MOSメモリ

著者
垂井 康夫 林 豊 小柳 理正
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.495-503, 1969-05-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
15

1 0 0 0 OA 超LSI技術

著者
垂井 康夫 鳳 紘一郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.381-390, 1977-04-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
53
著者
佐々木 成朗 塚田 捷
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1370-1375, 1998-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
33

最近,摩擦力顕微鏡 (FFM) によって,ナノメートルスケールの探針-表面間隙に現れる摩擦現象が原子尺度で測定されるようになり,ナノトライボロジーとでもいうべき新しい研究分野が開かれつつある.しかし測定結果を解釈するには,「FFMがいかなる物理量を測定しているのか?」という問題を理論的観点から解決する必要がある,本講義では,数値シミュレーションと解析的手法に基づく実験結果の理論的解釈方法を紹介し,測定像の明暗パターンの物理的意味と,原子尺度の摩擦の素過程の諸性質を明らかにする.
著者
矢野 和男 石井 智之 橋本 孝司 小林 孝 村井 二三夫 関 浩一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1248-1251, 1994-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

室温において単一電子メモリーおよび単一電子トランジスタの動作に初めて成功した.これを可能にしたのは,3.4nmという超薄膜ポリシリコン中に自然に形成される,量子細線と量子ドットとを用いた点にある.このポリシリコンをチャネルとした薄膜トランジスタ構造では,ゲート電圧をしきい値近傍に設定すると単一電子トランジスタとして動作し,明確なクー日ン階段を示した.ゲート電圧をしきい値よりも大きく設定すると単一電子メモリーとして働き,量子化されたしぎい電圧の変化を示した.単一電子メモリーは従来のフラッシュメモリーの限界を突破する高速で不揮発なメモリーの可能性を秘めている.
著者
蔡 兆申 中村 泰信 阪本 利司
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1232-1238, 1994-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
43

トンネル素子の微細化を進めると,ある時点で系の静電エネルギーが十分大きくなり,熱ゆらぎや量子ゆらぎに対して無視できない量になる.このような素子にひとつ余分に電子を出したり入れたりするのには,ある決まった量の余分なエネルギーが必要である.このような物理を利用した回路技術がシングルエレクトロニクスであり,例えば一素ゲート電荷 (Qgate=e) のみにより,電流のオンオフやひいては単一電子の輸送の制御などのことができる.本文ではわれわれがAl接合により作製した単一電子電荷計,電子箱,電子トラップなど各種回路の動作実験を中心に,シングルエレクトロニクスの研究動向および将来の展望を考察する.

1 0 0 0 OA Franz-Keldysh効果

著者
青木 昌治 福家 俊郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.422-435, 1967 (Released:2009-02-20)
参考文献数
76
被引用文献数
1

Different theories on the Franz-Keldysh effect are briefly described with the experimental results on the electro-absorption effect for GaAs, Si and other materials, and the experimental results are compared with the theories. The experiments and the analysis of the electro-reflectance effect are also introduced. The practical applications of the Franz-Keldysh effect such as a modulating device of light intensity, a light deflection device and a light-activated negative registance device are discussed. According to the authors' work on the electro-absorption effect in CdS crystals, 90_??_95%' modulation has been obtained under a modulating field of 0.95×105 V/cm, using a specimen of 100μm thick and wavelength of 5120Ä. The frequency response of the effect has been concluded to be flat up to 107 Hz from the result in an application of a pulsed voltage.
著者
松永 是
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.1488-1492, 1989-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
10

菌体内にマグネタイトの磁気微粒子を合成する走磁性細菌は,地磁気を感知する能力をもつ微好気性の細菌であり,磁場の向きにより,その運動方向が決まる.走磁性細菌が合成する磁気微粒子は,単磁区構造を示し,その大きさも約100nmと小さく,さらにそのまわりは脂質を主成分とする有機薄膜で覆われていることが確認された.酵素・抗体固定化担体として,この磁気微粒子を利用したところ,酵素・抗体固定化量は人工の磁気微粒子に比べ多いことが示された.また,磁気微粒子は赤血球・白血球などへ導入可能であった.さらに,走磁性細菌をマイクロ磁気センサーへ応用し隕石のつくる磁力線の方向の測定を行った.
著者
長 康雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.327-331, 1998-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3

強誘電材料の永久分極の状態や結晶性を評価する新しい原理に基づく走査型の顕微鏡システムを開発した.最低次の非線形誘電率は線形誘電率とは異なり自発分極の正負や結罷性に大きく依存する性質をもっており,本顕微鏡はその非線形誘電率のミク灘な分布を計測する装置である.本報告はこの原理について述べ,これを用いた強誘電材料の残留分極分布の計測を行った結果について述べる.