著者
佐伯 顕治 田端 利宏 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.23-30, 2007-04-05
参考文献数
5

OS の処理の中でも、プロセスを生成する fork と exec 処理の負荷は大きく、サービスの処理性能への影響は小さくない。そこで、我々は、分散指向永続オペレーティングシステム Tender において、OS の構成資源を再利用することによるプロセスの生成と消滅の高速化を実現している。Tender では、他 OS 用のプログラム実行のため、UNIX 系 OS である BSD/OS のインタフェースを実現している。本論文では、資源再利用機能を利用して、fork と exec システムコール処理を高速化する手法を述べ、再利用する資源の種類ごとに行った評価結果について報告する。また、Apache web サーバでの評価を行うことで、実 AP での資源再利用機能による fork と exec システムコール処理の高速化の効果を示す。また、他の OS と比べることで、資源再利用機能の有効性を示す。The cost of process creation is high in the processing of OS. The costs degrade the performance of program execution. To solve this problem, we have implemented fast process creation and disappearance by recycling process resource in Tender. Tender has BSD/OS interface for program execution of the BSD/OS. In this paper, we describe the method of speed-up of fork and exec system-call by recycling resource in Tender, and evaluate fork and exec system-call by recycling each resource. Moreover, we report the effect of recycling resource by using Apache web server.
著者
浅野 一成 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.83, pp.87-94, 2007-08-03
被引用文献数
2

本報告では, Microperl を用いた PerlOS の試作とその評価について述べる. Microperl を拡張し,I/Oポートや実メモリへアクセスを行う機構を取り入れ,Perl メソッドコールのAPI を使うことで, Perl で割込み処理やデバイスドライバが記述できることを示す.今回は試作段階として,デバイスドライバと割込み処理を扱った.ドライバと割込み処理の実装は,キーボードについて行った.評価では,I/Oポートの入出力時間と割込みハンドラの起動時間について, C と Perl での実行時間を比較した.その結果, C に対する Perl のI/O ポート入出力時間は,最大で85%,割込みハンドラの起動時間は17%の性能比となった.各種ドライバやファイルシステムの実装・評価が,今後の課題である.This paper describes a design and evaluation for perl interpreter running on a bare machine.We propose that Extented-Microperl can access to I/O port and physical memory, and that perl program provieds device drivers and interrupt handlers using Perl method call API. This time, the updated interpreter provides device drivers and interrupt handlers. Keyboard driver and handler has been implemented. In evaluation, we have compared access time to I/O port and uptime to interrupt handler with C. As a result, each performance is 85 percent and 17 percent as fast as C code. Other device drivers and file systems are prospected.
著者
河場 基行 志村 浩也 木村 康則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.33, pp.23-30, 1998-05-07

JIT (Just In Time)コンパイル技術の進歩に伴い,Java処理系が高速化が進んでいる.このためGC(ガベージコレクション)を含むメモリ管理が,全実行時間に占める割合が多くなってきている.Java処理系の高速化は,GCの高速化が鍵となっている.我々は,GCの高速化手法として3つの方式(Allocation History GC Hasty Compaction Segregated Memory Management)を提案する.これら3方式の中でメモリコンパクションを取り除いたGC方式であるSegregated Memory Managementはとくに有効であった.javacを実行した場合,総実行時間を48.0%,GCに要する時間を67.2%短縮することが可能となった.For the sake of JIT(Just-In-Time) compiler, the Java virtual machine has worked faster. Garbage collecting becomes the critical part of Java virtual machine. It is significant to improve garbage collecting for total speedup. In this paper, we present three strategies for garbage collection (Allocation History GC, Hasty compaction, Segregated memory management). We have designed and implemented the strategies on JDK1.2beta3. The segregated memory management, which is a kind of GC without heap compaction, appears the best strategy among them. It can reduce 48.0% of total execution time and 67.2% of the cost of garbage collecting for the javac benchmark.
著者
横関 隆 岡野 裕之 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.49, pp.1-8, 1990-06-08

本報告では,我々が研究・開発を行っているOS/omicron第3版のファイルシステム内部アーキテクチャ「ソフトウェアバス」について述べる.ソフトウェアバスはハードウェアのコモンバスシステムを参考に考案したもので,OS内部をモジュール化し各モジュールの呼び出しを,バスと呼ばれる仲介手続きを通して行うものである.この結果,OSを構成する各モジュールの独立性を高め,保守・拡張を容易に行うことができる。ソフトウェアバスを導入し,OS/omicronファイルシステムでは,モジュールの交換・単体デバッグが容易に行え,OSのプロトタイピング環境の基礎を実現した.また複数のファイルシステムが共存できるマルチファイルシステムの環境を整えた.This paper describes a "Software Bus" architecture on which OS kernel is constructed with independent modules. The idea of this architecture is based on common bus systems hardware architectures. Each module is accessed through a common bus by internal procedures and it manages many resources uniformly. We have implemented this software bus architecture on a file system of OS/omicron V3, which is designed for super personal computing and Japanese information processing.
著者
多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.16, pp.25-32, 2005-02-22
参考文献数
6

本文章では、裸のIBM-PC上で稼働するUtiLisp処理系について議論する。汎用計算機上にLisp Machineのような専用処理系を動かすことにより、a) OSのオーバヘッドを無くし高速の処理系を作成する、b) Lispを中心とした汎用のOSを構築する、ことが最終目標である。今回の発表では、取り敢えずヨタヨタと動き出したLisp処理系の構築法、並びに、裸の計算機上で動かすために要した作業を総括し、報告する。In this paper, we discuss a UtiLisp interpreter which runs on a bare IBM-PC machine. The final goal of the research is going to make 1) a fast interpreter without the overheads of operating system, and 2) a Lisp-based operating system such as the Symbolics Lisp Machine. This time, we present the current status of our implementation, especially the porting methodology from a Unix to a bare machine environment.
著者
高橋 雅彦 菅原 智義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.63, pp.29-36, 2004-06-17
参考文献数
11
被引用文献数
1

24時間365日運用可能なサービスを実現するためには、サービスを実行しているサーバの定期メンテナンスなどのときにサービスを透過的に移動できなければならない。そこで我々は、TCPセッションが切断されないプロセスマイグレーション方式を提案する。提案方式はオーバヘッドが低く、クライアント側のOSやアプリケーションの改造を必要としない方式である。したがって、既存のサービスにそのまま適用でき、透過的なサービス移動が実現出来る。これを実現するために、プロセスマイグレーションを同一サブネット内に特化し、OSレベルのプロセスマイグレーション実装と、プロセスごとに割り当てられた仮想IPアドレスを用いた。本方式を実装し、仮想IPアドレスを使用することによるオーバヘッドを測定したところ、約0.15%と極めて低いことを確認した。更に、ApacheやHelixDNAServerといった実アプリケーションも、クライアントとの通信が切断されることなく移動可能であり、実用性を検証した。To improve a service availability operating 24 hours a day for 365 days a year, it is important to support a service continuity mechanism independent on execution hardware and network environment. To achieve it, we propose a method of process migration with TCP session continuity. A Virtual IP address is provided for each service process, and is also migrated when the process is migrated to another computer. Since our method enables a server process migration without changing its communication address, there is no need to modify client-side sisters. Our prototype's overhead on usual network communications is extremely low about 0.15% with additional 19 virtual IP address on a NIC. Furthermore, we have validated that real applications such as Apache and HelixDNAServer are able to be migarated without lost connections.
著者
越塚 登 高田 広章 坂村 健
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.73(1991-OS-052), pp.1-8, 1991-09-06

本稿はGUIプログラミングの労力の軽減を目的とした、BTRONの新しいウィンドウシステムについて述べる。そのアーキテクチャやプログラミングインタフェースは、グループウェアや、カット&ペースト機能、付箋を使ったバッチ処理メタファなどのような、新しい対話スタイルのGUIのプログラミングがサポートできるように設計されている。とのGUIプログラミングモデルのベースとして、本稿では始めに対話モデルを提案する。そして、その対話モデルに基づいた、プログラミングインタフェースモデルである、Abstract Event/Window Callセットを提案する。そして、この、Abstract Event/Window Callセットを実際に実現するソフトウェアである、Window Shared Data Pool()についても述べる。また、本稿ではWSDPのプロトタイプバージョン上に、このブログラミングインタフェースを生かして、分散共有黒システムを少ないソースコード量で実装できたことも加えて報告する。"
著者
岡坂 史紀 上野球
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.1-8, 2007-01-30

アプリケーション,サーバー,カーネルの開発に統一のプログラミング環境を提供することによって容易に拡張可能なコンポーネントオペレーティングシステムを構築する手法として,システムコールおよびアップコールをC++言語の純粋仮想関数呼出しに基づいて定義し,それらをオペレーティングシステムのカーネルがリフレクションを使って処理する手法を提案する.また,この手法によって,ファイルサブシステムやTCP/IPプロトコルスタックを特定のオペレーティングシステムに依存しないアプリケーションプログラムとして開発した事例について報告する.We propose an extensible component operating system architecture in which an operating system kernel uses reflection to process C++ pure virtual function based system calls and upcalls to provide a unified programming environment for application, server, and kernel development. We found that we could even develop file subsystems and a TCP/IP protocol stack on an existing operating system based on this architecture.
著者
多田 好克 寺田 実
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.84(1986-OS-033), pp.1-7, 1986-12-12

本稿では,Unixの一ユーザプロセス上で動く「小さなプロセス」実現法を説明する.この方法を使えば,Unixのプログラミング環境下でスケジューリングやプロセス間通信等の実験を行うことができる.本実現法では,言語Cの一部の関数がプロセスのように振舞う.また,それらはCPU横取りによって継続的な実行を制限される.これらの仕組みは言語Cのみで記述されており,Unixのカーネルを変更する必要はない.なお,現実,この仕組みは,VAX-11 (4.2BSD) VAX-11(Ultrix) Sunワークステーション(4.2BSD) ME THEUS Lambda-710 (4.1BSD) SHARP IX-5 (System V) NEC PC-UX (System III)等,様々のUnixシステム上で稼働している.
著者
宮田 忠明 正木 宏和 芦原評 清水謙多郎
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.77(1997-OS-076), pp.73-78, 1997-08-21

本論文では,分散メモリ型大規模並列システムにおける大域的ページ配置方針について論じる.各ノードの主記憶を仮想記憶の一時的な退避先として割り当てる大域的ページ配置方式は,従来の仮想記憶におけるディスクアクセスをより高速なノード間のメモリアクセスに置き換えることができる.限定されたノードにしかディスクを持たない大規模並列システムでは,大域的ページ配置は特に有効と考えられる.本論文では,状態情報の収集,置き換えページの選択,ページを転送するノードの選択などについて,大規模システムを想定した大域的ページ配置の様々な方針を提案し,これらの性能をシミュレーションを用いて比較・評価する.
著者
林 寛 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.42(2003-OS-093), pp.119-126, 2003-05-08

今日,組込み機器の高性能化や小型化により,携帯電話や家電製品などにオペレーティングシステム(OS)が搭載されるようになった.それに伴い,リアルタイム性を持つグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の必要性も増している.そこで,本研究ではリアルタイム性を持った組込みウィンドウシステムの開発を行っている.本稿では,本システムの中心となる描画処理に関して設計と実装について述べる.描画処理に優先度と時間制約を設定することでリアルタイムな描画処理を実現し,また,資源の少ない組込み機器へ実装するため,システム本体サイズおよび実行時の使用メモリを抑えることも考慮した.その結果,描画のリアルタイム処理を実現することができた.
著者
木村 将 大山恵弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.6, pp.51-58, 2009-01-21
被引用文献数
1

本研究では、低コストで構築と維持が可能な、オンラインストレージと仮想マシンモニタを利用した小規模サーバ向け広域分散バックアップシステムを提案する。ユーザはバックアップ対象のサーバを拡張された仮想マシンモニタ上で動作させる。仮想マシンモニタは、サーバを含む仮想マシンのスナップショットを取得し、オンラインストレージに転送することにより広域分散バックアップを実現する。さらに差分バックアップによりバックアップデータを削減する。本システムを用いると、災害や盗難により建物内の全ての機器が利用できなくなった場合でも、サーバのデータを復元することができる。オンラインストレージには過去の全てのスナップショットが蓄積され、任意のスナップショットを復元することができる。復元の際には、本システムは各スナップショットの内部状態を示し、ユーザが適切なスナップショットを選ぶ作業を支援する。仮想マシンモニタとして QEMU、オンラインストレージとして Amazon S3 を利用して本システムを実装した。実験により、短いサーバダウンタイムと小さなデータ転送量でバックアップが行えることを確認した。In this paper, we propose a wide-area distributed backup system for small-scale servers that can be built and maintained with a low cost. The system utilizes online storage and a virtual machine monitor. The users run their servers on an extended virtual machine monitor, which backups the disk and memory of the servers by obtaining a snapshot of the underlying virtual machine. It achieves distributed backup by transferring snapshots to online storage. It reduces the size of transferred backup data by incremental backup. The users can restore their servers even when all machines in their building become unavailable due to disaster or theft. All snapshots are accumulated in the online storage and an arbitrary snapshot can be restored. In a restoration operation, the system shows the internal state of each snapshot and helps the users choose an appropriate one. We implemented the proposed system using the QEMU virtual machine monitor and the Amazon S3 online storage. We confirmed that the system could do backup with a short server downtime and a small amount of transferred data.
著者
榮樂 英樹 新城 靖 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.17-24, 2007-01-30
被引用文献数
4

LilyVMは,静的なコード変換技術と準仮想化技術を用いて,実機用のOSをユーザ・プロセスとして動作させる仮想マシン・モニタである.従来のLilyVMでは,多くの特殊な機能をホストOSに要求しており,他のOSへの移植性が低く,性能にも問題があった.この論文では,LilyVMにおいてカーネル・レベル・コードを用いることにより,他のOSへの移植性を高めることについて述べている.カーネル・レベル・コードは,高い特権レベルで動作し,CPU例外のリダイレクトをOSに依存せずに実行する.LilyVM is a virtual machine monitor (VMM) which runs an operating system (OS) for a real machine as a user process using a static code translation technique and a paravirtualization technique. Former LilyVM required many special features of host OSes. Therefore, it had less portability to other OSes, and also had a performance problem. In this paper, we discuss about improving portability of LilyVM to other OSes by using a kernel-level code. The kernel-level code runs in a higher privilege level and redirects CPU exceptions without dependence on a host OS.
著者
須賀 圭一 山原 幹雄 中田 尚 中島 康彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.83, pp.17-22, 2007-08-03
被引用文献数
2

近年,携帯情報機器に対しても高度なマルチメディア処理が要求されてきており,性能向上のために専用プロセッサが搭載されている.しかし,複数プロセッサの搭載は消費電力の増大を招くため,組み込み機器として用いる場合は問題になる.そこで我々は,既存のマルチスレッド実行を拡張して,複数アーキテクチャを同時実行する OROCHI プロセッサを提案している.ただし,本プロセッサを厳密に性能評価するためには OS の搭載が必要であり,入出力や主記憶など周辺機能を装備しなければならない.本論文では,異種命令セットを同時実行するプロセッサを想定し,OSが稼働する実験環境構築のために必要な検討課題と解決策について報告する. また,予備的評価として,クロックアキュレートなシミュレータを用いて OS を動作させ,ソフトウェア割り込みの処理形態に応じた挙動について評価を行った.Recently, mobile devices and embedded equipments are required to execute multimedia programs which have much IPL. Equipped with application specific processors, high performance can be achieved. However, this solution leads to power consumption problem. Thus we proposed a heterogeneous SMT processor OROCHI, which can support multiple instruction sets simultaneity. To estimate the processor performance under working OS code, we developed the experimental circumstance which has the peripheral, I/O and main memory.In this paper, we discuss the OS environment for an SMT processor executable with multiple instruction sets. As a consequence, we estimate cache performance under working OS code using clock accurate simulator.
著者
亀澤 寛之 野村 真義 平木 敬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.80, pp.25-32, 2003-08-04

ネット上でサービスを行うサーバプログラム、特にウェブサーバの性能に関する研究はこれまで多くなされてきた。しかし、家庭内へのネットワークの普及、複雑化するサービス、サービスの種類増大に伴うファイルサイズの増大を考慮すると、サーバの性能向上は未だ重要課題である。コンピュータやネットワークスイッチの価格性能比の向上もあり、近年のサーバ/OSに関する研究は、OS の改善等よりサーバの性能向上を行うより、クラスタ化やハードウェアの性能をあげる事による性能改善を行う議論が多くなされてきた。しかし、サーバプログラムの性能を議論する上では、単一マシン上での実験によるパラメータの計測も不可欠である。本稿では、独自に開発した実験用OS(Orbと呼称)上で、様々なパラメータとシングルスレッドウェブサーバ、thttpd の性能測定を行う。Orb は キメラ的なOSであり、オリジナルなコードを多く含むが、他のOSから流用したコードも含んでおり、Linux2.4 のほとんどインタフェイスに加えて、BSD でサポートされるkqeueue を実装している。thttpd(www.acme.com)は single thread で poll/kqueue mmap と 非同期socket を用いた高速webサーバである。計測結果では、cpu が networkに追いつく場合には個々の要素のオーバヘッド改善よりもスケジュールが問題になる事示す。There are many studies for performance improvement of Internet Servers, especially web servers.Current trend of increasing home internet users, more and more complicated service,large file size with variety of services, show improvementing web server performance is still impotrant problem. With decreasing cost of computers and network switch, recent studies for server/OS are about performance of clustering, hardware enhancement,performance with security,instead of perfomance improvement with new OS interface.However for considering server application program, it is important that performance measurements on single machine. In this paper,we present performance measurement of thttpd\cite{ACME}, on Opereating System ``Orb'' which we developped.Orb is a kimera OS,has original code and imported code from Linux and BSD,and support Linux2.4 interface + BSD's kqueue.thttpd is a very fast web server developped by ACME Laboratory.That is designed as single-threaded web server,using poll/kqueue,mmap,non-blockin socket.From our experiments, when cpu overcomes network,scheduling is more important than each working cost degration techniques.
著者
村上 健一郎 菅原 俊治 明石 修 福田 健介 廣津 登志夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.81-88, 2007-01-31

本論文では、ネットワークを再帰的に拡張できるフリースケールネットワークFSN(Free Scale Network)方式を提案する。FSNではネットワークの構成単位をレルムと呼ぶ。例えばインターネットは一つのレルムである。FSNのレルムには固有のアドレスがあり、ネットワークアドレスの拡張部として使用する。しかし、従来のホストやルータなどの装置を変更することなく、アドレス空間を越えて透過的にネットワークを拡張できる。これは、FSNの多重仮想空間方式によるものである。この利点に加え、プロトコルを変更する必要がないためにネットワークの運用も互換性である。従って、これまでの拡張方式で必要であった膨大な設備投資や運用コストを回避しながら、ネットワークをオンデマンドに拡張することが可能となる。The Free Scale Network (FSN) architecture provides conventional networks with an unlimited extension capability. FSN consists of hierarchical or meshed realms. Each realm has its unique realm address. The address works as a prefix of the conventional addresses in the realm. FSN gateway interconnects them transparently by a multiple virtual space (MVS) mechanism. In MVS, a local address space is reserved for virtual addresses and an address in the space is allocated dynamically every time a host requests the gateway to resolve address of an FQDN. Thus, it enables the conventional hosts and routers to access whole the address space with no modification.
著者
藤枝 隆行 新城 靖 板野 肯三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.20, pp.201-206, 1997-02-27
被引用文献数
1

UNIXシステムにおいて、スケジューリングは、個々のプロセスを対象として行われ、ファイルのアクセス制御は、ユーザを基準に行われている。本論文では、UNIXシステムに対して、プロセスの集合であるプロセスグループの概念を導入し、これに対応したスケジューラ、およびファイルのアクセス制御方式を提案する。複数のプロセスからなるアプリケーションプログラムを一つのプロセスグループにまとめることで、個々のアプリケーションプログラムが一つのまとまった優先度を持ち、アプリケーションプログラム毎のスケジューリングが可能となる。また、個々のファイルに対して、アプリケーションプログラム毎の動的なファイルアクセス権が設定可能となる。In the UNIX system, the kernel schedules individual processes, and file access control is done on the basis of user. In order to give a facility of grouping to a multi-process application in UNIX, we propose a facility of process group which groups processes into a single virtual process. The virtual process possesses schedulable eligibility, and can behave as an ordinary process in UNIX, and the component processes are schcduled within the virtual process. Another feature of the virtual process is the file access control based on the dynamic protection mechanism. This mechanism provides application specific file protection.
著者
堀 敦史 手塚 宏史 石川 裕 曽田 哲之 原田 浩 古田 敦 山田 務 岡 靖裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.79, pp.121-126, 1996-08-26
被引用文献数
3

我々は並列マシンにおける時分割空間分割スケジューリング方式を提案し、ワークステーションクラスタ用のスケジューリングシステムSCore?DをUNIXのデーモンプロセスとして開発した.現在,対話的な並列プログラミング環境実現方式の研究の最初のステップとして,オンライン並列デバッガSCDBの設計開発を行ってきている.一般に,デバッガプロセスはシステムコールによってデバッグ対象のプロセスの実行制御を行う.このような環境では、SCore?Dはユーザプロセスの状態を制御できず,スケジューリングシステムが正常に動作しない.そこで,SCore?Dがユーザプロセスに対してOS機能をサービス可能とするための機構を,プロセス間共有メモリおよびUNIXのシグナルを用いて設計開発した.We have been proposing Time-Space-Sharing Scheduline (TSSS) and developed a scheduling system, named SCore-D, as demon processes on UNIX. As a first step towards the research and development of an interactive parallel programming environment, we are designing a parallel online debugger, named SCDB. Generally debugger process has a control of debugee process. In the case of SCore-D, however, SCore-D can not control debugger and debugee processes, and the sceduling of SCore-D and the control of debugger can conflict. To avoid this situation, we design and develop a mechanism for SCore-D to support OS functions using inter-process shared memory and UNIX signals.
著者
砂田 徹也 関 直臣 中田 光貴 香嶋 俊裕 近藤 正章 天野 英晴 宇佐美 公良 中村 宏 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.35, pp.163-170, 2008-04-24
被引用文献数
6

本報告は,省電力化技術であるパワーゲーティングを細粒度に施した MIPS R3000 ベースの CPU チップ Geyser-0 に対して,その上で動作する OS の試作およびその OS を用いてシミュレーションによる電力評価を行う.細粒度は,ALU,SHIFT,MULT, DIV および CP0 のそれぞれを PG の対象とすることを意味する.試作した OS は,例外・割り込み管理機能,システムコール, タスク管理機能を備えており,タイマ割込みによるマルチタスクを実現する.試作 OS によって 4 種類のベンチマークプログラムをマルチタスクで動作させた際の電力評価を行った結果,総電力で平均約 50%,リーク電力で平均約 72%の消費電力削減を実現した.This paper describes prototype of OS for processor Geyser-0 based on MIPS R3000 with a fine grain power gating technique to reduce power consumption and evaluation of power by the simulations when running the OS. The processor has power gating units such as ALU, SHIFT, MULT, DIV, and CP0. The prototype OS has the exception management, the system call, and the task management, and its OS achieves the multitask by the timer interruption. As the results of evaluation running four benchmark program on the OS and the processor, 50% working power and 72% leakage power are reduced.