著者
宗森 純 長澤 庸二
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.44(1991-CH-009), pp.1-6, 1991-05-24

ネットワークで結合された複数の計算機による発想支援用グループウェアGUNGENを開発した.本システムはKJ法と知的生産の技術カードを融合したものである.本システムにおいては参加者が,提案された発想を共用するウィンドウの画面上で類似性によってグループ化し,島を作り,結論を導く.その際に,技術カードシステムに蓄えられたデータを参考にすることが可能となった.
著者
安岡 孝一 安岡 素子
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.108(1997-CH-036), pp.1-6, 1997-11-15

日本の地名には、あまり他に用例がないような漢字あるいは「国字」とよばれるような漢字がしばしば見られる。このような漢字は、しばしば漢和辞典等には収録されておらず、漢字研究の枠から洩れているのが現状である。本稿では、このような「地名にのみ使用される漢字」にスポットをあてるべく、「ぽすたるガイド'97」において使用頻度が非常に低い漢字の調査をおこない、それらのうち辞書に含まれていない漢字全ての地名用例を示している。
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.100, pp.57-64, 2000-10-27
被引用文献数
6 3

本論は、コンピュータによる俳句の研究を行うために必要な俳句データベースと、俳句を分析するために必要な季語データベースの本格的な構築に先立ち、季語データベースの構造とデータベースに収録すべき季語の数を検討した結果を報告するものである。具体的には、2種類の季語を集めた本を材料として、共通に存在する季語を取り出し、それらの季語を用いて、サンプルとして抽出した俳句の季語を特定することを試みた。1 542語の季語で、448句の俳句を分析した結果、全体の約65%の俳句の季語を特定することができた。加えて、季語データベースと俳句データベースを用いて可能となる数量的研究の一部を紹介する。This paper reported the investigated results about the amount of Kigo in Kigo-database. This investigation is needed for building Kito-database, that is useful to analyse the Haiku. A Haiku-database and a Kigo-database are both needed to study Haiku by computer. Concretely, at first the common appeared Kigo in two books are selected. And it is tried to specify Kigos of sample haikus with those Kigos. About 65% of 448 Haikus are specified with 1,542 Kigos. Additionally and example of a possibility of quantitative research about Haiku by using a Kigo-database and a Haiku-database is introduced.
著者
森田 均 小方 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.85, pp.39-46, 1999-10-15
被引用文献数
3

文学理論のうち、読者を強く意識した読者反応批評、受容理論をハイパーテキスト小説の作成へ応用する可能性について考察する。これらの理論は、多様な読書の可能性を文学理論の立場から検証したものであり、ハイパーテキストはその理論を実証する場として位置付けることが出来る。また、コンピュータによって文学作品は戯曲や楽譜のような存在となったわけだが、本研究では読者中心批評をハイパーテキスト小説作成にあたっての理論的支柱として応用可能であることを示す。さらに、この仮説に基づいて既存の小説から2作品(筒井康隆『デマ』、三好徹『見えない復讐』)を選んでハイパーテキストの経路に着目した試作と多様な読みの可能性に着目した試作を行い、ハイパーテキスト小説化の問題点と課題を明らかにする。We consider applied possibility of a literary theory for Hypertext. Currently, Hypertext is very popular technology. In the field of literature, there are pragmatic attempts, but its creative software technology is not established. In this paper, first, we analyze characteristics of reader-response criticism. Next, based on the prototype of hypertext novel, we consider the methodology and point out problems for creating hypertext novels.
著者
松嶋 慎太郎 森井 マスミ 吉岡 卓 紅野 謙介 谷 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8, pp.1-8, 2008-01-25

データベース化された作品や関連資料と地理情報とを関連付けることで,作品を取り巻く諸々の時間と空間を越えた重層的理解を補助できる可能性がある.Google Maps APIを利用して,喜多村緑郎日記データベースを活用するツールを試作した.このツールは,日記に記されたテキスト文章をGoogle Maps上に表示することで体感的にも視覚的にも効果的なインタフェイスを備えており,個人の過去の日記を現在の地図上に表示する事で,時空間を横断できる情報処理を期待できる.また,Google Maps上の一部分に着目させたり,アイコンを表示させたりするための技術を組み込むことで,デジタルアーカイブ作成の煩雑さを解消させる効果が期待される.Ajax is a new technology based on asynchronous communication between a client web browser and a back-end server, allowing web applications to request data without web application to request and receive data ever reloading the page. Google Maps is a popular application that uses Ajax. We designed and implemented the Ajax web application which supports to discover and analyze spatiotemporal structure of a sequence of sentences. As the target of this analysis, we consider Kitamura Rokuro Diary. His diary is a typical example that prescribes the spatiotemporal relations of affairs. Our system includes visually-enhanced interface control module; general user can visually check the data of the geophysical makeup of descriptions of Kitamura Rokuro Diary. And also, we show our system have many advantages to make a digital library.
著者
安岡 素子 安岡 孝一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.42, pp.19-24, 1996-05-17
被引用文献数
1

「書」を対象とする書道・書法研究分野では、科学的手法を用いた分析というものが従来なされていない。この分野でよく用いられる表現である「重心」、「字間」、「行の揺れ」、「文字の大小変化」といったものも実際に定量化されることは全くなかった。本研究では、コンピュータを用いることによって「書」を定量的に分析することを目標とする。具体的手法としては、書の「重心」、「字間」、「行の揺れ」を数学的に定義し、その定義に従って書をコンピュータ処理する。本研究の手法は、入力データの形式等に依存しないものとなっており、書の分析において幅広い応用が可能である。There exist no previous works of scientific analysis on the field of calligraphology. Calligraphers often use the terminology such as "center of gravity", "interval of characters", "sway in line", or "differential of character sizes" without definitions of the terminology. In this paper, we show a method to analyze calligraphy quantitatively with the help of a computer. In other words, here we define "center of gravity", "interval of characters", "sway in line", and "differential of character sizes" as mathematical terminology, then we manipulate calligraphy on the mathematical point of view by a computer. Our method is independent of the designs of calligraphy themselves, therefore it is so widely applicable to analysis of calligraphy.
著者
明星聖子 永崎 研宣
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49(2007-CH-074), pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している”Der Jaeger Gracchus”のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。
著者
赤間 啓之 三宅 真紀 鄭在玲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.78, pp.63-70, 2007-07-27
参考文献数
13

赤間ら(2007)は、フランス革命期の思想家、カパニスとメスメールの思想的類似性を論証するため、彼らのテキストをもとに、キーワード中心の意味ネットワークを作成し、グラフクラスタリングの技法であるMCLを適用した。本論考では、単語の共起データを取る際、単語インスタンスをすべて取り扱う漸進ウインドウ法(IAW)を使用すると、それに基づく意味ネットワークのクラスタリング結果が、キーワード中心のものと比べどう異なるものになるか分析する。By using the MCL (Markov Cluster Algorithm) known as a graph clustering method, Akama et al. (2001) measured the similarity of thinking between two contemporary thinkers, Cabanis and Mesmer. But the previous data under the form of semantic network were obtained by selecting beforehand the keywords as hubs around which the neighboring words were taken as dangling vertices. This study propose as an alternative to the keyword-based clustering a new windowing method called Incrementally Advancing Window (IAW) that generates co-occurring word pairs that can be used as inputs to the Incremental Routing Algorithm. Here we compare these two types of co-occurrence and/or adjacency data matrix by applying to each of them the indexes as weighted curvature, modularity Q and F measure.
著者
牛根 靖裕 白須 裕之 山田 崇仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.9, pp.49-56, 2007-01-27
被引用文献数
5

オブジェクト指向分析/設計の成果物の一つに概念モデルがある。概念モデルは対象となる問題領域を理解するために、その問題領域に存在する主要な概念とその関係を表現する。本稿が対象とする問題領域は中国の唐代行政地理に関するものである。唐代の地理に関係する文献を理解するために、府州郡縣等の行政区及び、その設置、廃止、分割、合併、改名、所属の変更などの現象を捉えるための概念モデルを提出する。行政区の静的な情報のためにはクラス図を、行政区のライフサイクルを理解するためには状態遷移図を用いる。また、『新唐書』地理志、『元和郡縣圖志』などの文献ごとの概念モデルの違いについても議論する。Tang adminitrative geography concerns itself with the hierarchy of areas relating to the national government in the Tang dynasty. This hierarchical structure and the boundaries of the layers in them are subject to histrical records and occasional changes. The paper presents a conceptual model of its administrative geography. We use class diagrams for modeling static information of administrative areas and state machine diagrams for modeling behavioral state of their area boundaries, and also discuss difference of conceptual models in historical sources of its geography.
著者
八村広三郎 英保 茂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.91, pp.37-44, 1995-09-15
参考文献数
6
被引用文献数
25

画像のような視覚メディアは、多くの感性的情報を人間に与え、我々はこのような情報を、無意識的に画像の検索などの際に利用していると考えられる。画像処理操作により、画像中から、このような感性的要素を抽出することができれば、これらの情報は、大規模な画像データベースから目的の画像を検索するために、有効に利用することができる。ここでは、画像のひとつのカテゴリーとして絵画を選び、絵画の中から感性的要素を抽出し、検索に利用する方法について報告する。対象とした絵画は近代日本の花鳥画である。まず最初に、花鳥画について、SD法と因子分析により、印象構造の抽出を試みた。この結果、絵画の印象は描かれているモチーフにより支配される傾向が強く、また、モチーフを描くために使用されている色彩は、絵画の中で、比較的目立つ色であることが多いことが分かった。このような観点から、画像処理手法により、対象の絵画から、主要な色の領域と背景の色の領域を抽出し、これらの情報を用いて絵画の検索を行う手法について述べる。さらに、色彩の組み合わせと印象語との対応データを利用して、印象語を入力し、その印象語に対応した絵画を検索することも試みた。いずれも比較的簡単な処理であるが、絵画の検索の一つの方法として有効であることが判明した。Visual image data usually give us impression-related information, which we unconsciously use for recalling and retrieving images. Method of image processing for extracting these impression-related factors from image data makes it possible to efficiently retrieve data from a large-scale image database. We have been working with the method for extracting some impression-related factors from color paintings, especially Japanese paintings. This paper describes a method for indexing color paintings by extracting "principal" color regions and background color regions from paintings. Paintings in the database can be retrieved by specifying the color and location of principal color regions as well as background colors. Because a combination of colors induces some specific impression which can be expressed by a corresponding word, this relationship can be used for retrieving paintings by giving impression words. The method described here is rather simple, but the processing results has been fairly satisfactory.
著者
明星聖子 永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している"Der Jaeger Gracchus"のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。This paper describes the collaborated electronic editing system of Franz Kafka's work that we are now developing. The concept behind this system is based on German scholarly editing theory, especially the methodolgy of historical-critical editing. As the first step of constructing the database, we structured information about Kafka's texts, including historically significant editions and their editorial information (such as pagination and linage). This same information was also cross-referenced. This model was implemented via an existing system originally developed to analyze Buddhist texts.
著者
明星聖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.58, pp.37-44, 2004-05-28
被引用文献数
1

コンピュータは、はたして、文献学が現在陥っているジレンマを解決してくれるのか。その答えを探るために、ここではそのジレンマを、カフカのテクスト編集を具体例に説明する。カフカの草稿を忠実に編集しようとして、3種類のカフカ全集が出版された。その最新のものが示す型破りな形態は、草稿への忠実の追求が、じつは、紙の本というメディアの限界への挑戦だったことを明らかにしている。とすれば、コンピュータという新しいメディアに何を託すべきか。草稿という存在がもつ文学的意味を考えながら、学術的編集において今後コンピュータが担うべき役割を示唆する。This paper describes the dilemma into which scholarly editing has lapsed for the past thirty years, using Kafka-editing as an example. Following the publication of the complete edition by Max Brod, two different types of critical editions were released in order to explore the faithful reproduction of his hand written manuscript. The unconventional form of the latest one reveals the many limitations of the book-form media. Since computer as a media offers new possibilities for the presentation of text, a fresh type of critical editing has the potential to be realized. This study suggests the general direction future computer editions may take.
著者
當山 日出夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.17-24, 2007-05-25

日本語の文字(特にコンピュータ文字)は、激変の時期を迎えている。JIS X 0213:2004の実装(WindowsVista)、あるいは、朝日新聞の印刷字体の変更などである。これらは、印刷標準字体に準拠したものである。その基本は、『康煕字典』字体について、それが正統なものであるという判断による。だが、実際の日本語表記においては、『康煕字典』は、伝統というべきものではなく、それとは別に、特に手書き文字で、伝承される文字の位相を考えねばならない。『康煕字典』を正統とするのは、「近代における擬制としての伝統」であることを自覚しなければならない。The typeface was changed with JIS standard (JIS X 0213:2004). Asahi-Shimbun (Newspaper) changed the typeface. When the character of KOUKI-JITEN is the right character, generally, we recognize. However, the typeface which was traditionally used in Japan is not the typeface of KOUKU-JITEN. There is a true tradition in the character to write with the hand. As for the traditional character, it is necessary to reconsider.
著者
加藤常員 小澤 一雅 高見 友幸
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.73(2002-CH-055), pp.9-16, 2002-07-26

地理情報は考古学にとって基盤をなす重要な情報である。古代遺跡の地理的分布の解明は考古学の重要な課題である。本稿では弥生時代の2種類の遺跡群を採り上げ、地理情報を活用した遺跡分布の解析について報告する。対象とした遺跡は、拠点集落遺跡と高地性集落遺跡である。両遺跡は同じ時代に同じ空間に存在したものであり、密接な関係であったと考えられる。本報告は淀川水系の両遺跡について2種類のネットワークの構成し、得られた情報をもとに関連深い遺跡の対を抽出し、地図上の円を描くことにより遺跡間の分布関係を明示することを試みる。円による表現は極めて簡潔であり、位置関係を端的に表す。示される結果は考古学の知見に相応した遺跡間の分布関係を得た。
著者
植木 雅昭 深野 淳 吉川 太朗 西河 俊伸 細見 心一 水内 保宏 辻田 忠弘
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.7(2003-CH-061), pp.25-32, 2004-01-23

本論文は絵画における作図法表現によって,人間の心理がどのように変わるかを心理物理的に実験したものである.絵画として17世紀オランダの画家フェルメールの“牛乳を注ぐ女”を用いた.この絵画はフェルメールが,あえて透視図法(遠近法)の正確さを捨て,ひたすら目に自然な構成を優先させたと言われている[3].実際に透視図法を用いなかったことで,どのような効果が得られたのかについて,比較分析実験によって評価し,感性の「評価性」,「活動性」,「情緒性」における3次元性分析を行った.その結果,実際の絵画においては「評価性」,「活動性」に,透視図法を用いた絵画においては「情緒性」に高い効果が得られた.
著者
小方 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.5, pp.53-60, 1999-01-22
被引用文献数
2

文学研究において、ロシアフォルマリズムからナラトロジーに連なる系譜は、文学の普遍的な形式や構造を明示的なモデルとして表現することをめざし、これまで蓄積・継承可能な諸々の成果を上げて来た。一方人工知能や認知科学は、物語の理解や生成過程における心的表象に関する仮説をプログラム化し、それらのダイナミクスを実験的に考察可能な新たな道を切り開いて来た。本稿では、両者を発展的に統合する枠組みとして計算論的物語論を提唱し、多様な物語現象の統一的な把握方法、構造表現の生成/変換に基づく物語生成過程、物語生成に関与する知識の種類とエージェントの分類等について議論する。In literary studies, formal or structural schools from Russian formalism to narratology have aimed at the development of explicit models for universal forma and structures of literary works and have achieved various results. At the other hands, artificial intelligence and cognitive science have cut a new research methodology in which we can computationally consider hypothesis on mental representations of narrative understanding and generation processes. In this paper, computational narratology is proposed as a new framework to integrate both approaches. We discuss an integrated way to grasp diverse narrative phenomena, narrative generation process based on generation/transformation of narrative structure representations and classification of knowledge and agents in narrative generation.
著者
阪田 真己子 丸茂 祐佳 八村広三郎 小島 一成 吉村 ミツ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.7, pp.49-56, 2004-01-23
被引用文献数
4 3

本研究は,日本舞踊における身体動作の感性情報処理研究の一環として,感性評価実験によって得られた主観的情報と,モーションキャプチャシステムによって得られた物理的情報との対応関係を検討することを目的としている.日本舞踊の既存の演目の中から,「寂しい」「楽しい」「厳かな」「鋭い」「流れるような」「躍動的な」「さりげない」という7種の感性情報を伝達すると想定される振りについて,モーションキャプチャを用いた計測と分析を行った.本稿では特に時性要因としての速度情報に着目し,主成分分析によって特定された各振りの代表マーカの速度情報と感性評価で得られた主観的な情報との関連性について検討した.The purpose of the current study is to investigate the correspondence between subjective information obtained from KANSEI evaluation experiments and physical data obtained using a motion capture system. This study is a part of the current research dealing with KANSEI information found in the physical movements in Japanese traditional dance. Using existing Japanese traditional dance programs, several motions which are supposed to communicate seven KANSEI information of 'lonely', 'happy', 'solemn', 'sharp', 'flowing', 'dynamic' and 'natural' were selected. These motions were then measured and analyzed using a motion capture system. In the current study, in particular, special attention was paid to the speed data as the time factor. And investigation was made between the speed data of the representative marker of each motion and subjective factors which had been obtained from KANSEI evaluation experiments.
著者
西田 宏子
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.104, pp.39-41, 1991-11-29

美術館にとって写真資料は研究資料として大切であるだけでなく、各種の掲載による貸出商品としての価値を持つものでもある。しかしながら、所蔵品の数が多い場合には、学芸の業務の傍ら行なう貸出業務の煩雑さに困ることも多いのが実情である。それを、OA化することで解決出来るのではないかと考えたのが、ここに発表する事例である。しかしながら、専門に担当することは写真の焼き付け、ネガ、ポジなどを管理し整理して行く事に加え、掲載本や掲載誌の納入、掲載料の請求なども含まれている。小規模の美術館の今後の在り方を示すものではないかと考えている。To build up a new system for photograph and film library is one of our importan subjects for years. At a museum in small scale, we have not have a spccial staff to deal with the matter but the needs for the library has been increasing every year. After three years of tirals, we could meet Machintosh and Hyper card 2.0 which is successfully working for daily works.
著者
藤田 米春 三好 聡 西島 恵介
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.15(1995-CH-029), pp.7-12, 1996-01-27

本報告では、論理と感情が縦横に絡んだ文書である短編推理小説を事例にとり、論理と感情を含む文書における人間の思考・行動課程をシミュレーションするための、文書の構造データ化について述べる。まず、推理小説において出現する情報を分析し、設定情報、登場人物の知識、読者に期待される知識の3種に分類し、また、こらの情報の提示形態についても分析している。さらに、これらの情報の間に成り立つ、時間的順序関係、因果関係、含意関係について述べている。これらの分析に基づき、それぞれの情報の構造的表現法について検討している。
著者
西島 恵介 神山 文子 藤田 米春
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.110(1996-CH-032), pp.7-12, 1996-11-15

本報告では,短編推理小説において,明示的に現れる情報の論理的関係の抽出について述べる.これまでに,論理と感情を含む文書を理解するための,文書の構造データ化を行なっている.今回,文書理解に必要な明示情報の論理的関係を抽出した.特に,時間的順序関係,因果関係,含意関係,等に関して検討を行なった.