著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.82, pp.15-20, 2001-08-04
被引用文献数
3

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究を行ってきた.今までに様々な機能拡張や仕様変更を行ってきたため、動作が不完全な機能、他の機能との整合性が取れなくなった機能、使用不能となった機能等の不都合も生じてきた.尺八譜のための標準データ形式 COMSO の譜字コードが新たに改定されたこと、都山流、琴古流、竹保流の3つの主な流派に対応可能となったことに伴い、今回、システム全体にわたって機能の再調整と強化を行った.特に譜字の入力・編集機能、印刷機能、標準MIDIファイルでのデータ互換機能の強化を行い、新しい「尺八くん」として一応の完成を見たので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. During the development, a lot of functions have been added and some specification changes have been mede to the system. As the result, some functions have been incomplete, unavailable, or inconsistent with the other functions. In order to solve these problems, we have modified and upgraded the system based on new COMSO, and we obtain the perspective that the system will be applicable for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
齋藤 直樹 中井 満 下平 博 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.106, pp.27-32, 1999-12-11
参考文献数
17
被引用文献数
12

本稿では、隠れマルコフモデルを用いて人間によって、鍵盤演奏された音符音長系列情報(スタンダードMIDIファイル)から意図された音符列を推定する手法を提案し、実験によりその有効性を実証する。人間が音楽演奏するときの各音符の物理的長さは、音符の正規の音長から意識的・無意識的に揺らぐため、楽譜投入・自動採譜などでは、意図された各音符の音価を正しく推定するのは容易ではない。本研究では、連続音声認識の定式化に倣って、演奏入力を音楽的に理解する原理を隠れマルコフモデル(M)によりモデル化し、意図された音符列を推定する。更に、同じ原理によりテンポ変化推定・小節線推定・拍子推定を提案する。評価実験により、一般に用いられている閾値処理より良好な結果が得られることを示す。This paper proposes the use of Hidden Markov Model (HMM) for restoration of a music note sequence from the music performance by human (reprenseted by a standard MIDI file). Successful experimental results are also presented. As the physical duration of a musical note in a human music performance fluctuates, intentionally or unintentionally, from the nominal length of the note, it is not easy to estimate the intended sequence of notes in autonmatic music transciption or music entry to computers. In the present paper, utilizing the formulation of continuous speech recognition, we use Hidden Markov Model (HMM) for modeling the process of the human understanding music performances and estimate the intended sequence of musical notes. We also apply the same principle to tempo estimation, bar line allocation, and beat estimation. Through experimental evaluation, we show the proposed method outperfoms existing methods.
著者
入交 英雄 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.29-34, 2008-12-12
参考文献数
3

オーケストラの録音において、ミキシング・エンジニアが最も好ましいと判断する残響音レベルを考察するため、 無響室録音のオーケストラ音源を用い電子残響を付加する実験を行った。調整法に準じた方法で残響音を最も好ましいレベルに調整し、そのときに含まれる残響音成分の割合を知るために建築音響で使用される直接音と間接音のエネルギ比の一種である C 値 (クラリティ・インデックス) という物理指標を導入した。その結果、残響音の最適ミキシングレベルにおいて、残響時間、及びモノ、ステレオ、クワドラフォニックという再生方法に関係なく C 値が一定となること、しかし楽曲の要因によって C 値が変動することが判った。The most preferable reverberation level for the recording of orchestra sounds by recording engineers was studied by a psycho acoustical experiment. The most preferable electric reverberation level to the orchestral sounds recorded in an anechoic chamber was measured by a method of adjustment. A physical index of C (Clarity Index) was used to measure the energy ratio between the direct sound and the indirect sound of the adjusted sounds. The obtained values of C from the most preferable reverberation were different among the music pieces. The reverberation time and the reproduction method (monophonic, stereophonic or quadraphonic) did not affect the C value.
著者
岡野 真一 片寄 晴弘 井口 征士
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.67(1997-MUS-021), pp.67-72, 1997-07-20

本研究はモデルにもとづく雨音の生成を目標とし,そのためには()一粒の雨滴の音のモデル()雨滴の落下分布モデルを作成する必要があると考えている.本稿では()についてはサンプル音で代用するものとし,()のモデルを構築して雨音の生成を行った様子を紹介する.またそれについての考察も述べる.アプリケーションの構築には,Sillicon GraphicsのIRIX (SF/Motif,AudioLib等)を利用し,音の生成から出力までを1台でリアルタイムに行えるよう設計している.このモデルは気象学のデータに基づいており,雨量等が変化したときの雨音を生成することが可能である.
著者
菊地 宏一郎 矢向 正人
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.45(2005-MUS-060), pp.19-24, 2005-05-23

筆者等は 従来より三味線音楽をコンピュータ上で扱うための研究を行っており これまでは 基礎研究として 三味線譜のためのデータ形式の研究開発を進めてきた. 現在 このデータ形式は 実装面からのデータ形式に対する検証 ・ 評価を必要とする段階にあり 筆者等はデータ形式に対応するアプリケーションの開発を進めている. 本稿では 今回このアプリケーションに実装した 三味線文化譜の楽譜編集機能について報告する.
著者
得能 さやか 守田 了
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.35-40, 2002-10-25
被引用文献数
2

CGで作成されたオーケストラ演奏中のホール内における音環境を音線法に基づき色づけすることによって直感的にわかりやすく視覚化する.奏者の配置を考慮した演奏中の音環境を視覚化できることは、演奏者がホールとの曲にあった編成や楽器配置を考えるときに有効である.またホール作成前に各編成、各楽曲に基づく音環境をシミュレートする場合に有効である.本稿では、山口大学大学会館の多目的ホールを用いて、弦楽四重奏であるパッヘルベル作曲のカノン演奏中の音環境の変化を紹介する.We simulate the sound environment based on the beam tracing in the virtual hall generated using computer graphics. We visualize the sound environment on orchestra formation or instrument positions, it is available that it can be visualized sound environment considered player's positions. In this report, we visualize the simulated sound environment while "Kanon" composed by Pachelbel is played by the string quartet in the virtual multipurpose hole at Yamaguchi university.
著者
小方 厚
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.24(2003-MUS-054), pp.47-50, 2004-03-05

オクターブを12ではない数で対数的に等分割した音律を用い,ジャズ・民謡風の旋律・グレゴリオ聖歌などの演奏を計算機上で試みた.ソフトウェアにはMAX/MSPを用いた.17音平均律は周波数比4/3 3/2に近いペアを含むため,違和感の少ない音楽ができる.これに対し16音平均律では構成音の周期数比はすべて無理数となり,不思議な音楽ができる.
著者
杉山 正治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.41, pp.15-20, 2004-05-07

この論文では,ネットワーク上においてアマチュア制作者による非営利のMIDIデータ配信に関する問題を取り扱う.MIDI配信が,デファクトスタンダードな音源の登場とパソコン通信を仲立ちとして,一時期活発にやり取りされた歴史を紹介する.GM2規格の登場,著作権等管理事業法の施行が,MIDI配信という新たな音楽文化の発展を阻害する可能性があることを指摘する.具体的には以下の3点についてまとめた.(1) NIFTYとJASRACが行ったMIDI配信実験の経緯を述べる.(2) JASRACの課金システムの問題点を調査する.(3) GM2規格がメーカやユーザのニーズを本当に満たしているのかを考察する.This paper describes the problems of the MIDI transmission of the non-moneymaking by the amateur. The history when MIDI transmission was done actively by the appearance of the de facto standard sound module and the personal computer communications is introduced. It is pointed out that it has the possibility that the appearance of GM2 and the enforcement of the copyright law obstruct the development of the new MIDI transmission culture. It was collected about three points of the following concretely. (1)The MIDI transmission experiment by NIFTY and JASRAC are expressed. (2)The billing system of JASRAC is verified. (3)It is mentioned whether GM2 really satisfies enterprises and user's needs.
著者
澤田 秀之 橋本 周司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.75, pp.7-12, 1996-07-27

声道モデルを機械系によって構成することにより、人間の発声機構を再現する試みを行っている。これによってより人間らしい音声の生成が可能になるばかりでなく、"歌う"楽器を作ることができると考えている。本モデルは主に、肺、声帯、声道部、聴覚部から成り、現在はピッチを変化させて、ハミングによる歌声を生成することが可能となっている。ピッチの生成には複雑な声帯振動の解析が必要であるが、ここでは声帯摘出者が用いる人工声帯を使用している。本報告では機械系による声道モデルを紹介し、ピッチの学習アルゴリズムと聴覚フィードバックによる適応制御について述べる。We are constructing a phonetic machine having a vocal chord and a Vocal tract based on mechatronics technology, and have so far developed a pitch generation part as a subsystem for melody synthesis to sing in humming. In the pitch generation, the analysis and mechanical simulation of the behavior of the vocal chords are required. The fluid mechanical system is, however, less stable to make the control difficult. This paper presents a singing instrument system together with an adaptive tuning algorithm of the physical mechanism using an auditory feedback. The mechanical method is considered to be promising to generate more natural voice than algorithmic sound synthesis methods.
著者
塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.45, pp.15-20, 2001-05-23
被引用文献数
5

前世紀は,ウォークマンなどの出現により,音楽のモバイル化と同時に音楽の大衆化が進んだ.しかし多くのシステムは機器の利用において一般ユーザは基本的に聴く一方であり,音楽の演奏には参加できない.歌うことについてはカラオケが古くから利用されているが,演奏に関してはまだまだ一般ユーザからの敷居がある.PocketMusicianは,このような演奏の敷居を取り除くとともに,モバイル性を実現することを目的として開発した.PocketMusicianとは宴会などで弾き語りをするための伴奏用楽器プログラムで,ギターやキーボードと違って持ち運ぶのは小型ゲーム機本体(バンダイのワンダースワン)とコード類,小型のスピーカだけですむので,手軽にいつでもどこでも弾き語りが楽しめる.左右の手で押すボタンの組み合わせによって和音名を記号的に指定するため,ギターやピアノを弾く人も,弾かない人も少しの練習で演奏できるようになる.さらにPocketMusicianは,モバイル演奏を楽しむために,演奏録画,自動演奏,演奏採点などさまざまな機能を備える.In the previous century, music became mobile as well as popular. However, usually users enjoy listening to music and there are few people who can enjoy playing it. As for singing, Karaoke gained popularity; but as for playing, there is no popular way for mobile users. PocketMusician is developed for this purpose, i.e., to realize the mobility in playing music. It is a mobile electronic music instrument on which a user can accompany his singing in a cocktail party or other informal or private situations. It can be easily used in such situations since a user carries only a small game machine and a small speaker, which is different from using conventional instruments such as a guitar or a keyboard. PocketMusician employs two-handed input to specify a chord name literally, and therefore it can be easily played by thoes who are noto familiar with music. Furthermore, it provides several additional functions for users to enjoy mobile playing, such as recording, automatic playing, and scoring.
著者
長嶋 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.68, pp.31-38, 1999-08-07
被引用文献数
3

ハードウェア的なMIDI音源(M音源)と、ソフトウェア的なGMサウンドドライバについて、MIDI信号入力から発音開始までの遅延時間のばらつきを計測した実験について、多種のMIDI音源の計測結果を詳細に報告する。この結果から推定される音源処理アルゴリズム(IDI入力から発音までの信号処理)に関する考察を行い、音楽心理学的実験に使用できる場合と、実験の意味を失うために使用できない場合とを整理する。また、音源アルゴリズムを現実的に改良するための提案を行う。The purpose of this paper is to examine the delay of hardware/software sound generators from MIDI input and its deviations, and to consider its causes and its serious matter for research of psychoacoustics and its solution.
著者
中村 滋延
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.24(2003-MUS-054), pp.23-28, 2004-03-05

筆者は、1970年代半ばにミュージック・シアターと出会い、視覚的要素を持つ音楽に興味を持った。視覚的要素は音楽構造にも変化を与え、あらたな表現の可能性をもたらすように思われた。しかし、ミュージック・シアターの実践を通して、演奏動作の視覚的要素としての制約を問題として感じ始めた。その問題を解決するためにコンピュータを用いたインタラクティブ・システムを利用するようになった。このことによって演奏動作が視覚的要素として表現力を増すようになった。しかし、視覚的な表現力としては映像に勝るものはない。そこでインタラクティブ・システムが音響に対してだけでなく、映像に対しても及ぶような作品を制作するようになった。そのような作品を「音楽系メディアアート」と命名した。そうした中で、映像と音響の関係を緻密なままにメディアに固定した作品を「映像音響詩」という名で制作するようになった。視覚的要素は聴覚的要素に影響を及ぼして、音だけでは次への予測が困難な無調性の音楽にも次への予測を可能にし、集中して音の推移を鑑賞者が追いかけていくことを可能にする。
著者
平井 重行 足立 洋兵 猪飼 真奈
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.109-116, 2007-05-11
被引用文献数
1

楽曲メタデータ(曲名、アーティスト名、アルバム名など)を利用する音楽Web 2.0アプリケーションの試作を行った。1つは個人所有のコンテンツの楽曲メタデータを登録・検索・公開するシステムである。もう1つは楽曲の聴取場所と時刻をサーバに登録し、地図と共に検索・表示できるシステムである。本報告ではこれらアプリケーションシステムの意図と試作システムの実装、動作概要について述べる。We develop two music Web 2.0 applications, one of them is able to record, search and expose metadata of song data people own, the other is able to record, search and display listening locations on a map. This paper describes system concepts, functions and implementation of these applications.
著者
西村 憲
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.67(1997-MUS-021), pp.59-66, 1997-07-20

本稿では、PMML (ractical Music Macro Languag)と呼ばれるMIDI楽器の自動演奏を目的とした新たな音楽記述言語について概説する。PMMLは、音符、休符、和音、並行する複数のパート等の基本的な音楽要素を簡便に記述する機能に加え、自由曲線に基づいたパラメータの連続変化、制御構造やマクロを使った音楽の構造記述、アルゴリズムによる楽曲合成、エフェクタと呼ばれるソフトウェアモジュールによるイベント処理、メッセージパッシングによるパート間での通信または同期といった、より高度な機能を備えている。PMMLのソースコードは開発したPMMLインタプリタによって標準MIDIファイルに変換される。この変換に要する時間は、ソースコードの編集、再変換、演奏を繰り返し実行する上で十分実用的な値である。
著者
嶋津 武仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.93, pp.9-15, 1993-10-23

アジアではじめて開かれたICMC93は、先日、9月15日、無事に終了した。科学と音楽の接点として、今日その権威と内容の豊かさにおいて、比べられるものがない国際会議であるといっていいだろう。その音楽における成果はもとより、その開催に向けて採られてきた様々なプロセスもまた、意味ある遺産になりうるものと思う。ここではそうした、プロセスをたどりながら、その成果と問題点、そして課題を考え、この会議のテーマとなった「新しき地平線」が真に実現せられるべきための、今後のこの会議のありかたにも言及してみたい。さらに現代の音楽における、この国際会議の意義についても、考えを述べ、より広範な音楽芸術のなかにおける位置づけについても考えてみたい。On September 15. the ICMC93 held in Asia as the first time was closed without serious trouble. It might be said that ICMC is the most important international conference on the point of its authority and the richness of its contents in the world today. I think not only the results on music but the process might be also the significant fortune in a short future in Japan. Here I'd like to report on the process at first and then on its results and problems and also on this conference as it ought to be in the close future. And, still more, I'll mention the significance of this conference in the contemporary music and I'd like to try to place the computer music as one of musical arts.
著者
日高 伊佐夫 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.29-36, 1996-02-24
被引用文献数
12

本稿では、ジャズセッションシステムにおけるベーシストとドラマーの実現方法について述べる。従来の研究では、人間のソロ演奏への追従が中心であり、計算機が演奏上どう主張するかについては十分考慮されていなかった。本研究では、すべてのプレーヤーが対等となる合奏を実現するために、計算機上のプレーヤーが演奏での主張の仕方を自ら決定することを提案する。また、曲のおおまかな流れを事前に決め、その部分ごとに主張の仕方を変えることを提案する。そのために、セッションの中でどの程度主導権を握りたいかを算出して、自分が主張する程度を決定する。本システムを実装し、ジャズピアニストとセッションを行なった結果、起伏に富んだセッションが実現できた。This paper presents implementation of a bassist and a drummer in our jazz session system where each player is independent and interplays with others. In most previous systems, computer players only followed a human solist and did not play with a certain intention. In our system, each computer player can dynamically determine his musical intention by considering the whole musical relationships among players. Moreover, we introduce a song form called scenario, which enables the player to change his way of playing according to where he plays in it. Experimental results showed that interaction among a human pianist and the computer players made the performance expressive and interesting.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
高橋 量衛 大石康智 武田 一哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.102, pp.43-48, 2007-10-12
被引用文献数
1

本研究では、ユーザが閲覧している Web ページにふさわしい BGM を、自動的に選曲するという新しい楽曲検索(推薦)システムを提案する。閲覧ページのテキストに含まれる語彙の共起から、それらの語彙に関連する楽曲の検索、推薦を行う。そのためには、語彙の共起に基づく特徴空間と楽曲の音響的特徴空間とを関連付ける必要がある。我々は、線形変換を用いてこの関連付けを実装した。さらに、Web から収集した楽曲のレビューのようなテキストデータと、その楽曲の音響特徴量を用いて、関連付けの性能評価実験を行った。その結果、各楽曲に対し 1 つのレビューを利用するより、曲名とアーティスト名を含む Web ページを複数利用した場合に関連付け性能が高いことを確認した。A new music information retrieval application, WEB-BGM that automatically selects and plays the background music for the web page under browsing is proposed. In order to find for the song that is 'near' to the browsing page, the song is needed to be located in the document space. However, in general, the documents relevant to the song, e.g. reviews of the song, are not available for each songs. Therefore, we train a matrix that transforms a document vector onto acoustic space so that to find 'nearest' song to the web page in the acoustic space. The feasibility of the idea is confirmed through preliminary experiments using song reviews and Web pages including the song title and artist name.
著者
中川 渉 蔵川 圭 中小路 久美代
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.16, pp.105-112, 2001-02-22
被引用文献数
1

本論では,作曲過程の支援を目的として,作曲過程における中間的産物の外在化の役割に着目した作曲過程のモデルと,それに基づき構築したインタラクティブシステムCAPADY (Composition Assistance by Producing Agogics and DYnamics)について論じる.作曲過程において生成される中間的産物を計算機を用いた演奏シミュレーションという形式で外在化することにより,作曲者の内省が進み作曲過程が進行する.CAPADYは,そのような作曲者の内省を支援するために,他パートの実演奏を基に演奏データを自動的に調整し演奏シミュレーションにおける演奏データの表情付けをおこなう.The goal of this research is to support the cognitive process of musical composition by focusing on the role of externalizations. We use computer systems as a means to externalize intermediate understanding of what the composition should be. CAPADY (Composition Assistance by Producing Agogics and DYnamics) automatically produces agogic and dynamic accents for a partially written musical notation for an instrument (e.g. drum) by extracting expressive features from actual music performance using another instrument (e.g. piano).
著者
市川 拓人 鈴木 基之 伊藤 彰則 牧野 正三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.81, pp.33-38, 2007-08-01
被引用文献数
3

本稿では,ピッチ抽出を行わないハミング入力楽曲検索システムについて検討する.ピッチ抽出は,どれほど高精度なものでもピッチ抽出誤りを避けることができず,検索精度を低下させる原因となっている.本システムでは,従来用いられているデルタピッチの代わりに,2つの対数周波数領域パワースペクトルの相互相関関数を音程特徴量として用い,さらに楽曲中に存在しているであろう全音程の確率モデルを用意しておく.連続する2つの音符が観測された時,この特徴量と確率モデルを用いて,全音程についての尤度を計算する.このシステムの利点は,統計的なモデル化を行うことにより,ピッチ抽出誤りのような致命的な誤りを起こしにくいということである.そして実際に検索実験を行ったところ,ピッチによる検索精度を最大4.9%上回る結果となった.This paper describes a query-by-humming (QbH) music information retrieval (MIR) system without pitch extraction. In pitch extraction based system, pitch extraction errors inevitably occur that degrades performance of the system. In this system, a cross-correlation function between two logarithmic frequency spectra is extracted as a tonal feature instead of deltaPitch, and probabilistic models are prepared for all tone intervals assumed to exist in the music. When two signals corresponding to two contiguous notes are given, likelihoods are calculated for all possibility of tone intervals. The advantage of this system is that it is hard to occur a fatal error such as a pitch extraction error because extracted features are modeled stochastically. From a experimented result, the top retrieval accuracy given by the proposed method have exceeded the system based pitch extraction by 4.9 %.