著者
駒形 嘉紀
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2639-2644, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

血球貪食症候群は,骨髄などにおいて活性化された組織球が自己の血球を貪食する病態で,別名血球貪食性リンパ組織球症とも呼ばれる.うち自己免疫疾患に伴うものをマクロファージ活性化症候群と呼び,サイトカインストームと呼ばれる炎症性サイトカインの異常産生により,発熱・高フェリチン血症などの臨床症状を呈する.しばしば重症となり致死的な経過をたどるため,ステロイドなどによる強力な免疫抑制療法が必要である.
著者
尾藤 誠司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2829-2834, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1
著者
張替 秀郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.1921-1926, 2018-09-10 (Released:2019-09-10)
参考文献数
6
著者
川名 明彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2309-2315, 2004-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8

SARSは新型コロナウイルスによっておこる全身性の感染症である. 2002~2003年の流行では世界で774人が死亡した.本症は主に気道由来の飛沫によって感染し, 2~10日の潜伏期間の後インフルエンザ様症状で発症する.大部分は肺炎を合併し,死亡率は約10%である.有効性の確認された治療法は無い.本症は医療スタッフに感染しやすい特徴があり,その蔓延を阻止するためにも十分な院内感染対策が必要である.
著者
樋口 雄二郎 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1470-1478, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
9

遺伝性ニューロパチーは,運動・感覚または自律神経障害を呈する疾患の総称であり,臨床的にも遺伝的にも非常に多様である.これまでに70以上の原因遺伝子が同定されており,分子病態は細胞内の様々な小器官に複雑に関与していることがわかっている.遺伝性ニューロパチーの遺伝子診断は次世代ゲノムシークエンサー(next-generation sequencer:NGS)を用いたターゲットリシークエンスやエクソーム解析が非常に有用であり,診断確定だけでなく患者の予後予測や治療法の確立につながる.また,分子病態ごとに様々な治療法が開発されており,モデル動物では有効性が確認されている薬剤もあり,なかでもクルクミン治療は我が国でヒトへの臨床試験が計画されている.
著者
臼杵 憲祐
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1389-1396, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 6

溶血性貧血は,網赤血球の増加,ビリルビン高値(間接ビリルビン優位),LDH高値,ハプトグロビンの低値などから診断する.溶血性貧血の症例の半数はCoombs試験陽性を呈する温式自己免疫性溶血性貧血であり,副腎皮質ホルモン療法が有効である.1/4は発作性夜間ヘモグロビン尿症である.約1割を占める遺伝性球状赤血球症では,小型球状赤血球とMCHC高値が特徴であり,EMA結合能測定試験が陽性所見を呈する.
著者
吉田 忠義 乾 迪雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1327-1332, 1980-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

くも膜下出血(SAH)に心室細動の合併した例を報告した.患者は51才の女性で, 1978年2月6日激しい頭痛,悪心,嘔吐とおよそ1分間の意識消失があり,某院に入院した.腰椎穿刺の結果SAHが疑われた.入院8日目に痙〓を伴う意識消失発作が出現し,その後1日3~4回同様の発作が続いたため,当科に転院した.意識は清明,軽度の項部硬直(+).腱反射に異常なく,病的反射も認めなかつた.運動麻痺や知覚障害もなかつた.軽度のうつ血乳頭を認めた.髄液は黄色調であつた.心電図は著明なQTc延長と巨大陰性T波を示した. CT scanは側脳室の軽度拡大を示した. four vessel studyで,右内頚動脈-後交通動脈の分岐部に嚢状動脈瘤と右内頚動脈終末部から中大脳動脈の3分岐部までに亘り,著明な動脈痙〓を認めた. 2月18日痙〓を伴う意識消失発作が起こつた.心電図は心室細動を示した.直ちに心マッサージ,酸素吸入,直流除細動, lidocaine, phenytoin, diazepamが投与され,心室細動は治療された. 4月5日脳外科で動脈瘤に対しclippingが行なわれた.術後経過よく, 5月13日に退院した. 5月12日の心電図ではまだQTの延長があつた. SAHの死因として,直接の脳病変によるものだけでなく,本例の如く同時に併発した心室細動による場合も示唆された.心電図上QTの延長している場合,心室細動が併発し易くなることを文献的に考案し, lidocaineなどの抗不整脈薬の使用が有用であると論じた.
著者
尾田 高志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.903-909, 2020-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
10

近年,感染に伴う腎炎の疫学に大きな変化がみられ,小児期の溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)が減少し,合併症を伴う高齢者の腎炎が増加してきた.このような症例は,腎炎発症時に感染が終息せず進行中であるため,感染関連糸球体腎炎(infection-related glomerulonephritis:IRGN)と総称されるようになった.IRGNの診断は時に難しく,これは高齢者の不顕性感染症がしばしば把握困難であることに起因する.溶連菌由来の腎炎惹起性因子NAPlr(nephritis-associated plasmin receptor)は,PSAGNのみでなく,各種IRGNで糸球体内に陽性になることから,IRGN全般のマーカーとして診断上の有用性が注目される.
著者
浦野 友彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.577-584, 2021-03-10 (Released:2022-03-10)
参考文献数
11
著者
眞部 紀明 春間 賢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.254-259, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2
著者
宮崎 泰成 稲瀬 直彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.1212-1220, 2017-06-10 (Released:2018-06-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

過敏性肺炎とは,感受性のある個体において特定の抗原(動物由来蛋白(鳥など),真菌/細菌,あるいは無機物(イソシアネートなど))が肺局所で反応して免疫学的機序で発症する間質性肺炎である.発症に至る免疫機序は,特異抗体(III型アレルギー)と感作リンパ球(IV型アレルギー)が重要であるが,加えて原因抗原の種類・量,肺内での除去速度および内的外的要因によって免疫反応は変化する.臨床病型は急性および慢性の2つに分けられる.急性はTh1とTh17反応が主体であるが,慢性ではそれらの反応がTh2にシフトし,線維化の原因となる.診断においては,原因抗原を特定することが重要である.原因抗原は多数あるが,特に羽毛やとり糞などの鳥関連蛋白および真菌の頻度が高い.治療においては,抗原の回避を基本とし,ステロイドや免疫抑制薬によってアレルギー性炎症をコントロールし,線維化を抑制する.線維化の進んだ慢性過敏性肺炎の治療が今後の課題である.
著者
郷原 正臣 木村 一雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.211-217, 2021-02-10 (Released:2022-02-10)
参考文献数
3

急性冠症候群は,冠動脈プラークが破綻(破裂やびらん)することで冠動脈内に血栓が形成され,急速に心筋虚血を生じることが主たる病態である.破綻以外の原因としては,冠攣縮の他,頻度は少ないが,冠動脈内への塞栓,冠動脈解離等がある.症状が心筋虚血に起因する場合は,バイタルサインを確認すると共に12誘導心電図を記録し,ST上昇の有無を判断する.より有効な治療を行ううえで,より迅速且つ確実な初期診断が重要である.
著者
滝川 一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.9, pp.2384-2389, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

6 0 0 0 OA 7.花粉症

著者
斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.2627-2629, 2002-09-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
15
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.772-776, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

わが国の副腎皮質機能低下症患者に対する副腎ステロイド補充療法はヒドロコルチゾン15~20mgの補充量が多く,原発性(副腎性)よりも続発性(間脳-下垂体性)で少なめに補充されている現状である.血中コルチゾールのkineticsから検討した理論的必要補充量はさらに低めに見積もられており,長期的な視点からは,患者個人の副腎予備能やQOL(quality of life)に応じた至適補充量の模索努力は重要と思われる.また自験例の検討範囲では選択的なコルチゾール分泌障害に伴うヒドロコルチゾンのみの補充療法による副作用発現頻度は,複合ホルモン欠損症の病態を呈する続発性副腎皮質機能不全症の場合に較べて明らかに少なく,続発性の場合には他のホルモン欠落(GHや性腺ステロイド)に伴う副作用発現の可能性にも配慮することが重要である.
著者
坂田 泰彦 後岡 広太郎 下川 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.186-190, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
16

近年,社会の高齢化に伴い,心不全が世界中で増加し,心不全パンデミックと呼ぶべき事態が進行している.世界に先駆け,超高齢社会に突入した日本もその例外ではなく,高齢者を中心に心不全患者数が急激に増加しており,その管理の臨床的重要性は日増しに高まっている.また,高齢化に加え,生活習慣の西欧化が進む日本では,心不全の構造自体も質的にも大きく様変わりしつつあり,注意が必要である.本稿では,日本における心不全の疫学について,海外データと比較しつつ概説する.