著者
五十嵐 健二 矢富 謙治
出版者
日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.p597-599, 1992-08
被引用文献数
1
著者
佐伯 潤 北原 千春
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.167-171, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

大阪府内で,平成29年10〜11月に,合計11頭の犬レプトスピラ症を疑う症例の届出があり,そのうち9頭が死亡した.疫学調査の結果から,8頭が同じ河川敷を散歩コースとしており,4頭の飼い主は同じ町内に居住していた.顕微鏡下凝集試験では,2頭が血清型Australisに対し,それぞれ2,560倍及び10,240倍の抗体価を示した.また,このうちの1頭の血液及び血清型を特定できなかった他の1頭の尿から,PCR法によってレプトスピラDNAが検出された.これらのことから,今回の流行事例は,同じ病原巣あるいは感染源から感染した可能性が考えられた.
著者
兼光 弘章 御領 政信 岡田 幸助
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.547-550, 1995
被引用文献数
2

馬2頭 (4歳雌および6歳雄) が1カ月以内の間隔で再度大量の鼻出血を起こし, 死亡あるいは安楽死処分された. 第1症例には鼻腔に壊死性肉芽腫が多発し, 鼻背動脈の破綻による鼻出血と推測された. 第2症例は喉嚢真菌症で, 喉嚢に隣接する内頸動脈の破綻があり, 病巣の大部分は肉芽組織により置換されていた. 両例とも光顕および走査電顕的検索によってAspergillus sp. が病巣から検出・同定された.
著者
松本 英樹 掛端 健士 兵頭 武史 花田 憲正 辻 陽子 稲船 清英 村中 早苗 星野 佐登志
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.595-599, 2003

日本の犬ぞり犬において, 現場に即した運動処方を作成するために各種の検討を行った. その結果, 運動処方作成にあたっては, 年齢等による運動能力の近似した群分けの必要性が示唆された.また1回の運動負荷で乳酸閾値, 酸塩基平衡を基に個体別の運動処方を作成できる可能性が示唆され, 過剰な運動負荷を防止するために2回目の運動負荷も有用であると思われた.PRESCRIPTIONDIET<SUB>&reg;</SUB> a/d (a/d) を通常食に追加投与すると, a/d投与前と比較して投与後は, 運動負荷後のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) の増加もなくなり, 血中の重炭酸塩および静脈血二酸化炭素分圧の回復も早いことが認められた.しかし, a/d投与後では運動負荷に関係なくナトリウム, クロライドの上昇を伴う血漿浸透圧の上昇が認められたことから, 塩分過剰投与などが危惧され, さらに十分な水分補給の必要性が示唆された.
著者
山内 麻莉 西田 英高 柳井 徳磨 前田 貞俊 神志那 弘明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.113-116, 2019-02-20 (Released:2019-03-20)
参考文献数
10

メインクーン(11歳齢,去勢雄)が,尾の麻痺及び活動性低下を主訴に来院した.尾の遠位での痛覚が消失し,尾の随意運動を認めなかったが,ほかに著変はなかった.画像検査にて尾に異常を認めなかったが,第6,第7腰椎間の腹側から硬膜外脊髄圧迫病変を確認したため,椎間板ヘルニアと診断した.第6,第7腰椎の右側から片側椎弓切除術を実施し,逸脱した椎間板物質を確認,除去した.術中,同部位で脊髄円錐が確認された.術後,尾の随意運動は部分的に回復したが,尾の遠位の痛覚には改善を認めなかった.本症例の脊髄円錐は第6腰椎部に存在し,一般的な猫に比べ頭側に位置していたことから,その圧迫によって尾の遠位の痛覚が消失していたと考えられた.以上から,猫は脊髄円錐の位置に個体差がある可能性が示唆され,神経疾患の診断の際に考慮する必要があると考えられた.
著者
朴 永泰 岡野 昇三
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.329-332, 2016-06-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
13

20頭の雌犬に卵巣子宮摘出術を行った.犬は術式によって腹腔鏡下卵巣子宮摘出群10頭,開腹下卵巣子宮摘出群10頭に分けられ,術前,術後3時間,6時間,術後1,3,5日の血中CRP,IL-6,総白血球数及び手術時間を測定し,それぞれ比較した.血中CRP,IL-6濃度及び総白血球数は腹腔鏡群が開腹群と比べ,術後1日目に有意に低い値を示した.手術時間は両群間に有意差を認めなかった.本実験結果より,腹腔鏡下卵巣子宮摘出術は開腹術と比べ,術後の炎症が軽度であり,より低侵襲である可能性が示唆された.
著者
合田 麻衣 宮 豊 三重 慧一郎 チェンバーズ ジェームズ 内田 和幸 秋吉 秀保
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.43-47, 2019-01-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
12

Hansen Ⅱ型椎間板ヘルニアと診断し,治療及び経過観察していた避妊雌のシェットランド・シープドッグが進行性運動失調,声のかすれを示した.スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)1遺伝子変異解析は変異型ホモ接合だった.第859病日に呼吸不全で死亡したため,病理解剖を実施し脳と脊髄の組織検査を行った.病理組織学的に脊髄白質のミエリン脱落と軸索変性及び,び漫性の星状膠細胞増殖を認め,腹角の神経細胞の消失や残存する神経細胞の色質融解が認められた.これらの変化は変性性脊髄症(DM)とほぼ一致していた.SOD1遺伝子の変異型ホモ接合を持ち,進行性の運動失調を呈するシェットランド・シープドッグは,DMの可能性を鑑別診断として考慮する必要があると考えられた.
著者
常包 正 中川 英夫 古川 岩雄 石坂 謙一 吉田 信行
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.210-214, 1956

牛の卵巣嚢腫の治療に胎盤性性腺刺激永ルモンが効果のあることは, 出内の報告をはじめとして多数の報告によって朋らかにされている.<BR>われわれは卵巣嚢腫牛6頭 (思牡狂および無発情牛各3頭) に日本全薬工業株式会社から供試されたレバチオニン50~100ccとビタミンC2.5~5.09を1日量として, 10目間連続注射したところ, 注射開始後5~10日で嚢腫は黄体化または閉鎖し, 思牡狂の症状も3~9日で消失を認めた. 試験牛6頭中の5頭は注射開始後7~28日の間に正常発情を示し治癒と決定, 他の1頭は再発し不治と決定した. 治癒牛2頭に種付し, 1頭受胎, 1頭不受胎であった.<BR>牛の卵巣嚢腫を本治療法によって治癒させることができることは, まだ報告をみない新知見をえたので報告する. 本治療法による治癒機転については, 目下追究中である.
著者
長澤 實
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.733-740, 1989-10-20 (Released:2011-06-17)

ヨーロッパの先進国においては逸早く動物愛護の立法措置がなされ, 歴史的にも驚くほど動物愛護が定着している. 日本では, 昭和48年に「動物の保護及び管理に関する法律」が成立し現在にいたっているが, 動物愛護の歴史も浅く, 愛護という言葉を耳にする時, 「たかが犬・猫が」といった意識が一般的ではないだろうか. 日本では, 経済大国, 先進国としての位置にありながら, 自然保護, 動物保護といったことに関する意識と理解が稀薄で, この分野における日本の国際的な評価が低いといえるのではないだろうか. しかし今, 総理府は国民への理解と将来を担う子供達の健全でより豊かな成長をめざして, 動物保護思想の向上と動物愛護の普及・啓蒙について, 関係行政機関, 獣医師会や動物愛護団体に対し協力をよびかけている. 私は動物愛護思想の向上を望む一人として, また川崎市に勤務する獣医師の一人として, 市政目標とする「人問都市川崎の創造」の理念のなかに, 動植物愛護の教育や自然環境の保全など, 人間愛に満ちた明るく優しいゆとりある心を求めたいと考えている. 今回, 私は幸運にも海外派遣研修 (第2部) 6期生として研修に参加し, ヨーロッパの動物愛護を学ぶことができたので, ここにその概要を報告する.
著者
小川 祐生 山木 誠也 鐘ヶ江 晋也 杉本 大輝 八村 寿恵 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.713-718, 2018-12-20 (Released:2019-01-20)
参考文献数
12

今回,われわれは犬の歯科X線検査における二等分面法の新たなX線入射角度決定法を考案した.この方法では,フィルム面の口腔外への延長線と撮影対象歯の歯軸で成す角を二等分する角度でX線を照射する.この新しい方法と従来から用いられてきた基本的な方法,及び近年提案された別の方法の3つの方法を用いて,頭蓋及び模擬フィルムで作成したモデルにおける入射角度決定の検証を実施した.作業開始から入射角度決定までの時間を簡易性,得られた入射角度による画像長変化率を正確性,及びそのばらつきを精度の指標とし,それぞれの初回実施時の傾向及び習熟の関与について比較検証を行った.われわれの考案した方法は角度決定時間が最も短く,得られた角度は他法と同等で,ばらつきも少なかった.このことから初心者にも理解のしやすく応用しやすい方法と考えられた.
著者
西田 明彦 金谷 州明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.595-598, 1990-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

子宮蓄膿症で来院した柴系雑種犬とタマネギ中毒の既往歴のある柴犬の2頭で異常に高い血清カリウム値が認められた. 両犬ともに血液検査前に何ら投薬も受けておらず, ACTH刺激試験の結果やBUN値も正常であった. そこで, 赤血球中カリウム値を測定したところ, 両犬とも高カリウム赤血球に起因した偽高カリウム血症であることが判明した.次に, 高カリウム赤血球を有する柴犬の発生頻度を知る目的で, 別に16頭の柴犬と18頭の洋犬の, 赤血球中カリウム値とナトリウム値を測定した. その結果, 4頭 (25%) の柴犬が, 高カリウム赤血球を有することがわかった. これらの柴犬の両親の産地は, それぞれ高知, 滋賀, 岐阜, 愛知, 茨城および埼玉の6県にわたっており, 特定の地域に由来しているものではないことがわかった. また, 高カリウム赤血球を有していなかった12頭の柴犬の赤血球中カリウム値も, 洋犬のそれよりは, 有意 (P<0.001) に高いことがわかったが, 赤血球中ナトリウム値については有意差は認められなかった.
著者
岩松 茂 樽田 嘉洋 井上 昭芳
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.193-196, 1991

長崎県下のKと畜場で関節炎型豚丹毒と診断された豚12頭 (A群), KおよびSと畜場で豚丹毒として摘発された豚と同居していた出荷前肥育豚46頭 (B群), および本病の発生歴摘発歴がない農家のKおよびSと畜場搬入豚188頭 (C群) について血清抗体価の測定ならびに豚舎内の豚丹毒菌による汚染状況の調査を実施した.<BR>A群の血清の生菌発育凝集 (GA) 価は256~2, 560倍以上であり, 2-ME処理血清のGA価 (IgG-GA価) は128~1, 280倍で, 両者とも極めて高い抗体価を示した.いっぽう, BおよびC群では, GA価は幾何平均 (GM) 値25.1倍および22.4倍, IgG-GA陽性率は39.1%および44.7%と両群間に差はみられず, また両群ともに各農家のIgG-GA陽性率は0%から100%の範囲でかなりの差異がみられた.しかしながら, C群ではIgG-GA価32倍以上と高い例が8例みられた.<BR>豚丹毒菌の分離を試みた48戸の豚舎内の糞便および敷料の混合物111例のうち, と畜場で慢性型豚丹毒と摘発された2戸 (4.2%) の3例 (2.7%) から豚丹毒菌が分離され, それらの血清型は2型, 5型および7型であった.
著者
樋笠 正晃 宇野 理恵 宇野 雄博 山田 茂夫 安澤 数史
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.649-653, 2018-11-20 (Released:2018-12-20)
参考文献数
16

慢性鼻炎として長期治療していた猫が,進行性の瞬膜及び眼球突出を呈し,鼻腔や眼窩を中心として,壊死組織を伴う炎症性肉芽の浸潤性増殖を認めた.病理組織学的検査により真菌感染が原因と診断され,抗真菌剤などによる内科治療や,壊死組織及び肉芽組織のデブリードマン等の外科治療を実施した.しかし,真菌感染は浸潤性に進行し,死亡した.本症例の起因菌の培養形態と高温発育試験及びβチューブリンとカルモジュリン遺伝子の塩基配列は近年分類されたAspergillus felis と一致していた.また,分離株は多くの抗真菌薬に対して高い最少発育阻止濃度を示し,感受性が低いことが示唆された.
著者
相馬 武久 吉内 龍策 北尾 晃一郎 本田 善久 山下 伸幸 石川 尚之 山本 博起 細井戸 大成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.577-580, 2018-10-20 (Released:2018-11-20)
参考文献数
20

所有者不明猫140頭の3~4週齢時(初回)とその4~31週間後(2回目)に猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体,猫白血病ウイルス(FeLV)抗原及び猫コロナウイルス(FCoV)抗体を検査した.初回FIV陽性34頭中31頭(91.2%)が2回目に陰転,初回陰性106頭は2回目もすべて陰性で,幼齢期でFIVの感染リスクが低いことが示された.FCoVでは初回陰性129頭中18頭(14.0%)が2回目に陽転し,幼齢期でもある程度の感染機会があることが示された.初回FCoV陽性11頭中9頭(81.8%)が2回目に陰転しており,早期離乳された猫の中には初回時に保有していた移行抗体が2回目に検出レベル以下に減少する例が存在していたことが示された.FeLVについては,両回とも全例陰性であった.猫のウイルス性感染症の実態を明らかにするためには,一般状態の良い猫を対象とした今回のような調査だけでなく,今後さまざまな猫の集団を対象に同様の調査を行うことが重要と考えられる.
著者
白水 完治 土田 貴志 阿武 雅夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.561-564, 1993
被引用文献数
1

1991年に著者らが採取したシダの根茎を貫衆として用い, 調製した処方が肝蛭に対して駆除効果のあることを報告した. その後, 採取したシダは植生・形態・成分分析からイヌガンソクと同定された. 今回, 新たに採取したイヌガンソクを用いて生薬処方を作り肝蛭自然感染牛の駆虫試験を実施した. 試験には投与区18頭, 対照区7頭, 合計25頭の自然感染牛を用いた. 投与区の10頭は投与1週間後にEPG値が0になり, 8週間持続した. また, 4頭は投与1週間後にEPG値が減少し, 2週間後より0が持続した. さらに別の4頭は投与後も虫卵が検出される場合があったが, 統計学的には有意の減少を認めた. 対照区7頭のEPG値は試験期間中まちまちに変動して一定の傾向はみられなかった.
著者
三輪 恭嗣 佐々木 伸雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.554-558, 2011-07-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

フェレットの副腎疾患に対する外科手術及び酢酸リュープロレリンを主とした内科療法の有効性を,病理診断結果及び治療法に基づき回顧的に調査した.調査対象は58頭である.6カ月後の生存率は副腎皮質腺癌で最も低かったが,約7割が生存した.また,他臓器への明らかな転移は1例も確認できなかった.治療内容は,外科手術のみ25頭,内科治療と外科手術14頭,内科治療のみ19頭であった.6カ月後の生存率は外科治療群で最も低かったが,内科治療のみ及び併用群では1頭を除いてすべて生存した.内科治療の副作用は,持続する高血糖が1頭確認された以外重篤なものはみられなかった.これらの結果から,高齢や手術リスクの高い症例では内科治療を選択し,全身状態のよい腫瘤の摘出可能な症例では外科治療を選択すべきであると思われた.
著者
秋田 恵里 内田 佳子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.863-866, 2007-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

10歳以上の高齢犬72頭とその飼い主を対象に, 認知障害症候群 (CDS) に含まれる行動変化の発現状況と高齢犬ケアに対する飼い主の意識をアンケート調査した.行動変化は32頭 (44.4%) でみられ, 加齢により有意に増加, 特に14歳以上で急増していた.高齢犬では, より多くの種類の行動に変化が観察された.「高齢犬との生活で困っていることは何か」という質問に対する回答は, 長期間の通院や犬の行動変化が多数を占めたが, 実際に困っていることに対して, 約半数の飼い主が特に何もしていない現実が明らかになった.89%の飼い主がCDSに関心を持っていたが, 知識を持っていたのは61%に過ぎなかった.動物病院は疾病診療と同時に, 行動変化への対処法の紹介を求められており, 積極的に高齢犬の管理指導や情報提供に取り組むことが必要だと思われた.