著者
早崎 峯夫 勝矢 朗代 Kun-Ho SONG
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.549-552, 2008-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
19

犬糸状虫抗原を用いた免疫ブロット検査により, 2000年11月から2001年8月にかけて, 山口県内で飼育されている猫315頭 (雄136頭, 雌168頭, 不明11頭) を対象に犬糸状虫の感染調査をしたところ, 19頭 (6.0%) が検査陽性と判定された. 雄 (12頭/136頭, 8.8%) は雌 (7頭/168頭, 4.2%) より陽性率が高かったが有意差は認められなかった (P=0.095). 屋内外を自由行動する猫 (11頭/199頭, 5.5%) と屋内飼育の猫 (5頭/90頭, 5.6%) との間の陽性率に有意差は認められなかった (P=0.594). 猫の年齢別では, 2歳以下 (5頭/117頭, 4.3%), 3~6歳 (6頭/86頭, 7.0%) および7歳以上 (7頭/92頭, 7.6%) の順に年齢が高くなるとともに陽性率は上昇したが有意差は認められなかった (P=0.559). 東部 (7頭/106頭, 6.6%), 中部 (6頭/123頭, 4.9%), 西部 (5頭/65頭, 7.7%) および北部 (1頭/11頭, 9.1%) の地域間の陽性率に差は認められなかった.
著者
北崎 宏平 大谷 喜永 小原 嘉昭 太田 剛 梅田 剛利 馬場 武志 阿野 仁志 片本 宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.147-153, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
30
被引用文献数
1

暑熱期の乳牛は,酸化ストレス状態にあることが知られている.泌乳牛において,トレハロースの飼料添加による酸化ストレス指標の改善が報告されているが,暑熱期での効果は不明である.本研究では,6頭の泌乳牛を対照区とトレハロース区(1.5%添加)に分け,2群×2期のクロスオーバー試験を暑熱期と適温期に実施し,血液,乳汁及び第一胃内容液の酸化ストレス指標への影響を調べた.暑熱期の飼料摂取量は,トレハロース区が対照区よりも多く(P<0.01),第一胃液中の原虫数は,暑熱期,適温期ともにトレハロース区においてEntodinium 属が多かった(P<0.05).抗酸化能を表す1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)ラジカル消去活性は,暑熱期,適温期ともにトレハロース区の乳汁で高く(P<0.05),血漿でも暑熱期のトレハロース区が高い傾向を示した.これらのことから,暑熱期における泌乳牛の飼料へのトレハロースの添加は抗酸化能の改善に有効と考えられた.
著者
岩田 徳余 三木 伸悟 秋山 今日子 岩永 優斗 神先 芽衣 田中 聖晃 大谷 祐介 真下 忠久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.735-739, 2020-12-20 (Released:2021-01-20)
参考文献数
17

症例はマルチーズ,避妊雌,4歳齢で急性の発咳を呈し来院した.各種検査から外傷性横隔膜ヘルニアを疑い,外科手術を実施した.手術時の所見は,横隔膜に欠損はなく,肝臓内側右葉が大静脈孔を介して胸腔に連絡していた.先天性大静脈孔ヘルニアと診断し,血流を確認するため,術中に造影CT検査を実施したところ,胸腔内に脱出した肝臓へと連絡する肝静脈,門脈が認められた.脱出した肝臓を温存するため,整復手術を実施した.術後87日目に実施した造影CT検査では整復した肝臓は正常位置に存在しており,同時に肝生検を実施したところ組織学的にも正常であった.横隔膜ヘルニアの鑑別診断として大静脈孔ヘルニアを考慮し,腹腔内に完納するのか肝葉切除を実施するのか決定するために,術前の造影CT検査が重要であると考えた.
著者
中本 裕也 中本 美和 小澤 剛
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.41-49, 2018-01-20 (Released:2018-02-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

獣医神経病2次施設で紹介を受けた4,131例の犬に対し,中枢神経及び末梢神経筋領域の疾患群での各種疾患の発生割合,犬種の占める発生割合,診断年齢の中央値,発症年齢の範囲を調査した.脳領域が1,583例,頸髄領域(第1頸髄~第2胸髄分節)が743例,胸腰髄領域(第3胸髄~第3仙髄分節)が1,589例,末梢神経筋領域が216例だった.脳領域では特発性てんかん,頸髄及び胸腰髄領域では椎間板ヘルニア,末梢神経筋領域では特発性前庭症候群の罹患割合が高かった.本調査では国内の人気犬種を反映した小型~中型犬種での罹患割合が高く,国外の報告とは異なる傾向だった.単独施設での調査であるため紹介症例に偏りが生じている可能性を考慮すべきだが,本調査は国内における神経病の発生割合などに関する有益な情報である.
著者
天野 芳二 牧野 玲子 井上 勇
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.293-295, 2001-04-20
参考文献数
9

15カ月齢のロシアン・ブルー種去勢雄猫に全身性の落屑がみられた。落屑は特に背部に多かったが、食欲の変化や掻痒はみられなかった。浮遊法による糞便検査で多数の毛包虫が検出されたため、皮膚の掻爬検査を行ったところ全身から多数の毛包虫が検出された。アミトラズ(700倍液)による薬浴と、イベルメクチン400μg/kgの皮下注射および経口投与を併用した結果、治療開始第54病日には毛包虫は検出されなくなった。また同時に落屑も治療開始後から減少し始め、第98病日にはみられなくなった。分離された毛包虫は、大型で体長111.6μm、後胴体部長49.1μmと小型で体長77.4μm、後胴体部長30.9μmの2型がみられた。これらはDemodex catiの形態と異なり体長および後胴体部長が短く、また後胴体部後端が鈍であり、海外で報告されている未同定種と同様であると思われた。
著者
佐藤 享二 吉木 研一 岩本 市蔵
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.426-429, 1992

不顕性感染の猫より分離したトキソプラズマ神戸株 (Tp-K株) の培養細胞 (PK-15株) に対する感染性と増殖性を, Tp-RH株およびTp-Beverley株のそれと比較検討した.<BR>Tp-K株の培養細胞内における増殖性はTp-Beverley株よりもやや遅い傾向を示した.また, Tp-K株およびTp-Beverley株が100%の感染率に達するには接種後120時間 (5日間) を要した.いっぽう, Tp-RH株では48時間で全細胞内にTp原虫を認め, Tpは細胞核を取り囲んで花弁状の配列 (rosette) を示していた.Tp-K株はTp-Beverley株と同様に培養6日以降にシストを形成し, 宿主細胞に長時間保持された.Tp-K株はTp-Beverley株に類似した性状を示す株と考えられた.
著者
清水 大樹 田口 清 西川 晃豊 小岩 政照
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.184-188, 2006-03-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

6頭のホルスタイン種非泌乳牛 (平均体重528kg) に20%グルコン酸カルシウム (Ca) 液500mlおよび1,000mlを7~10日間隔で左側および右側頸部の1カ所に皮下注射した. 血中総Ca (tCa) およびイオン化Ca (iCa) 濃度は投与前値に比べて投与後2, 3時間に500ml群で平均0.37および0.20mM/L, 1,000ml群では0.78および0.41mM/L上昇した. 皮下注射24時間後の注射組織の生検所見は筋間の水腫, 出血, 炎症性細胞浸潤であった. 次に分娩後3時間以内の6頭のホルスタイン種経産牛に20%グルコン酸Ca液を両側頸部に500mlずつ合計1,000ml皮下注射した. 注射3時間後にtCaおよびiCaは投与前値に比べて0.79および0.34mM/L上昇し, 有意な増加は12時間持続した. 注射部位の腫脹は12時間でほぼ消失した. 潜在性低Ca血症の治療に20%グルコン酸Ca液1,000mlの皮下注射は安全かつ有用であると考えられた.
著者
髙栁 明子 三品 美夏 堀江 和香 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.657-664, 2020-11-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
26

麻布大学附属動物病院腎泌尿器科において,尿管結石による尿管閉塞と診断された猫117例(143尿管)に対して行われた外科手術における合併症について検討を行った.術後再手術を要する合併症が最も少なかったのは尿管切開術の4.0%であり,その他尿管膀胱吻術27.1%,尿管ステント設置術34.6%,SUB設置術37.5%であった.いずれの手技においても術後クレアチニン値は有意に低下した.周術期死亡率は1.8%であり,過去の報告と比較して低かった.術前に実施した腎瘻設置術は,高窒素血症が重度で長時間の麻酔リスクの高い症例の安定化や閉塞解除後の腎機能を推測するうえで有用であった.猫の尿管結石は個々の病態がさまざまであり,外科療法における明確な治療方針は確立していないことから,治療にはすべての手技を選択できる熟練した外科医による対応が望ましいと考えられた.
著者
納 敏 麻生 節子 柳尾 和広 一条 茂
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.927-929, 1992
被引用文献数
1

分娩数日前の軽種馬に対してビタミンE1,000mgを1回または5日間隔で2ないし3回筋肉内に投与し, 分娩後の胎盤排泄時間に及ぼす効果を検討した.ビタミンE非投与例では, 血清トコフェロール値300μg/100m<I>l</I>以上例のうち胎盤排泄時間が60分以上を要した例が11.1%であったのに対し, 300μg/100ml以下例では33.3%と多数にみられた. ビタミンE投与例では, 血清トコフェロール値300μg/100m<I>l</I>以下例で全例が60分以内に胎盤が自然排泄し, ビタミンE非投与例に対して有意 (p<0.05) な効果がみられた. いっぽう, 供試馬の血清セレニウムと血液グルタチオンペルオキシダーゼ活性は正常値を示し, かっ胎盤排泄時間との関連がみられなかった.
著者
久永 晃資 岩田 剛敏 池内 隆 五十嵐 章紀 足立 邦明 林谷 秀樹
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.54-57, 2004-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

生活空間を共有する人と犬が快適に生活するために, どのくらいの頻度で犬を洗浄したらよいかを検討するために, 犬の被毛の脂質の成分や量を調べるとともに, これらが洗浄前後でどのように変化するかを経時的に観察した. その結果, 犬被毛の脂質は脂肪酸, コレステロールおよびステロールエステル, ワックスエステル, グリセロールエステルなどのエステル類で構成されており, 特にエステル類は脂質の80%以上を占めていた. また, 犬被毛の脂質量は洗浄直後に洗浄前の約60%にまで減少したが, 72時間後には洗浄前のレベルまで回復した. そして, 洗浄後72時間が過ぎる頃から動物臭が感じられるようになった. これらの結果から, 衛生的な観点からみると, 室内犬の洗浄は3~4日に1回くらいの割合で行うことが適当と考えられる.
著者
高橋 義明 平川 篤 山本 直人 田中 美礼 浦 亜沙美 猪狩 和明 吉原 俊平 大塚 浩平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.585-589, 2020-10-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
7

近医にて汎血球減少を指摘された1歳2カ月齢,未去勢雄のトイ・プードルが紹介受診し,骨髄検査を含む各臨床検査により,特発性再生不良性貧血と診断した.プレドニゾロンとシクロスポリンによる免疫抑制療法と顆粒球コロニー刺激因子とエリスロポエチンによるサイトカイン療法を実施したところ,第32病日に寛解に導入することができた.その後,良好に推移し,第89病日にはプレドニゾロンを休薬し,第395病日現在,シクロスポリン単独投与により寛解を維持されている.
著者
小嶋 大亮 小嶋 恭子 太田 和美 小嶋 佳彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.9, pp.511-515, 2020-09-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
17

14歳齢,未去勢雄犬の会陰ヘルニア内の前立腺近傍に,多発性の囊胞状及び腫瘤状病変が認められた.病理組織学的に,囊胞は,細胞質辺縁に微絨毛様の突起を有する上皮性細胞により内張りされていた.一方,腫瘤は,薄い壁構造に支持される静脈ないしリンパ管様構造を主体とし,しばしば厚い壁に支持される動脈様構造により構成されていた.免疫組織化学では,囊胞を内張りする細胞は抗Cytokeratin AE1/AE3,CAM5.2,Vimentin及びWilms' tumor protein抗体に陽性を示し,脈管構造を内張りする内皮細胞は抗CD31及びFactorⅧ抗体に陽性を示した.エラスチカ・ワンギーソン染色により,血管壁では膠原線維と筋組織が主体に認められ,内弾性板を含む弾性線維はほとんど観察されなかった.以上の所見から,上記の犬の病変を漿膜封入囊胞と動静脈瘻と診断した.
著者
岩崎 正幸 阿部 民也 吉田 欣哉 吉川 恵郷
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.267-270, 1983

約600羽のカナリヤを飼育する繁殖場で, 群飼されていた約400羽のうち約30%に, さえずり障害, その他慢性の呼吸器障害を示す疾病が発生した. 病理学的検査をした9羽のうち6羽の肺の血液加寒天ローソク培養では細菌の発育はなく, 血清ニューカッスル抗体価は10倍以下, マイ灘プラズマ (MgおよびMs) 抗体は陰性であった.<BR>共通した組織病変は上部気道, 気管, 肺気管支粘膜に上皮の腫大増生, 分泌活性, 粘膜の皺襲形成, 固有層の線維性増生, 円形細胞浸潤および気管支腔内への肉芽組織の侵入突出など, 慢性炎症が認められた. 粘膜病変は気道内に寄生するダニの認められる部位でより強調された.<BR>病巣から採取したダニは中気門類, ハナダニ科, <I>Sternostoma tracheacolum</I>と同定され, わが国での分布が初めて確認され, 和名をコトリハナダニと新称された.
著者
須田沖夫
出版者
日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, 2012-04-20
著者
岡田 啓司 古川 岳大 安田 準 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.713-718, 2002-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ホルスタイン種乳牛25頭を適正 (N) 群, 高デンプン (S) 群, 高タンパク (P) 群の3群に分け, 血中乳酸 (LA) およびアンモニア (NH3) 濃度とルーメン環境との関連を検討した. S群のルーメン液中総原虫数は採食後に著しく減少し, 活性度も低下した. ルーメン液中LA濃度は光学活性の異なるD-LA, L-LAともに採食後2時間に増加し, ルーメンpHはその後も低下し続けた. ルーメン液中および血中それぞれのD-LAとL-LA濃度との間には正の相関があった. ルーメン液中NH, 濃度はP群で採食後2時間以降に著しい増加を示したが, N群およびS群では採食後4時間に減少した. 採食後4時間のルーメン液中と血中NH3濃度に相関があった. 以上より, 血中NH, 濃度は, 乳牛が摂取した飼料中のタンパク質のルーメン内における消化の状態を反映していると考えられた.
著者
西野 佳以 村上 賢 舟場 正幸
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.517-523, 2016

ボルナ病(Borna disease)は,ヨーロッパ中東部において250年以上前から知られていた,馬や羊の神経症状を主徴とする疾患である。ボルナ病の病因は,ウイルス感染によるものであることが明らかにされ,原因ウイルスはボルナ病ウイルス(Borna disease virus: BDV)と命名された。その後,1996年にモノネガウイルス目にボルナウイルス科が新設され,2008年に鳥ボルナウイルス(Avian bornavirus)が分離されるまで,長らくBDVはボルナウイルス科を代表する唯一のウイルス種であった。近年,鳥類あるいは爬虫類からもボルナウイルス科に属するウイルスが多く分離されたことから,哺乳類ボルナウイルス,鳥類ボルナウイルス,及び爬虫類ボルナウイルスにウイルス種が細分類された。従来の典型的なBDVは哺乳類ボルナウイルスであるBorna disease virus-1(BoDV-1)に分類されている。
著者
野田 雅博 山下 秀之 佐藤 多津雄 中西 英三 千田 広文
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.174-179, 1988
被引用文献数
1 1

逆性石けん系1種, 両性石けん系1種, ヨウ素系1種, クロロフェノール系1種, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系1種, 塩素系2種, アルデヒド系4種, アルコール系1種の計12種の消毒薬の殺ウイルス効果を, DNAウイルスの牛ヘルペスウイルス1型, ワクシニアウイルスおよび犬アデノウイルスの3種, RNAウイルスの鶏ニューカッスル病ウイルス, 牛エンテロウイルスおよび牛ロタウイルスの3種を用い, 血清蛋白質の非存在および存在の条件下で試験した.<BR>塩素系および一部のアルデヒド系消毒薬はすべてのウイルスに対し有効であった. 逆性石けん系, 両姓石けん系, クロロフェノール系, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系および一部のアルデヒド系消毒薬はエンベロープを有するDNA, RNAウイルスに対し, さらにクロロフェノール系, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系および一部のアルデヒド系消毒薬はエソベロープを欠く一部のDNAウィルスに対し有効であった.<BR>血清蛋白質の存在は, 逆性石けん系および両性石けん系消毒薬の殺ウイルス効果に強く影響した.