著者
鎌田 信一 柿市 徳英 本澤 明彦 大塚 宏治 内田 和夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1228-1233, 1992

アクサルアミド(ACR)のメタン発酵に対する影響試験を試みたところ,ACR 3.3mg/l以上で発生ガス量が極度に低下した.このメタン発酵スラッジからACR耐性通性嫌気性菌の分離を試みた結果,ACRに対する最小発育阻止濃度(MIC)が20,000mg/lの<i>E</i>. <i>coli</i> SK-1株が分離された.また,本菌株はACRを炭素源として利用することが明らかにされた.さらに,本菌株をPVA-硼酸法により固定化し,ACRの分解を調べたところ,4日間で52%が分解された.以上より,メタン発酵は微量のACRの存在で阻害されることが明らかとされた.また,ACRにより馴化したメタン発酵スラッジ由来の<i>E</i>. <i>coli</i> SK-1は固定化したバイオリアクターとしての応用の可能性が示唆された.
著者
本間 運隆 神野 雅宏 佐藤 孝二 安藤 昭弘
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.348-352, 1968 (Released:2008-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
3

Imperfect and perfect albino Japanese quail, originating from a commercial breeder in Toyohashi, were subjected to genetical analysis. The imperfect albinism is caused by a simple sex-linked recessive gene (sw) that appears to be homologous to the al gene assigned for albino mutants by LAUBER4) and SITTMANN et al.6)Growth of the imperfect albinos was not inferior to that of the wild-type when the albinos were raised in a box protected from sudden temperature decline. Bilateral eye defects (cheesy cataracts) are common in aged imperfect albinos, but this condition does not seem to affect reproductive performance.The perfect albino sire mated to imperfect albino dams resulted in only dark progeny indicating that perfect albinism is a genetically distinct character from imperfect albinism. The high mortality in the progeny of perfect albino is caused by certain lethal factor associated with the perfect albinism.Unusual retardation of growth was observed in female double mutants carrying Y1) and swgenes. After 2 weeks of age, identification of the genotype of such albino mutants was possible by examination of the pattern and intensity of the ghost barring character.
著者
加藤 清雄 遠藤 広行 国則 文子 峯尾 仁 牛島 純一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.978-984, 1987

めん羊の膵外分泌に及ぼす静脈内ペンタガストリン投与の影響を, CCK-8に対する反応と比較しながら検索した. 無麻酔めん羊において, CCK-8は膵液流量, 蛋白質濃度およびアミラーゼ活性何れも増加させたが, ペンタガストリンは膵液流量を増加させずに蛋白質濃度およびアミラーゼ活性を有意に増加させた. ペンタガストリンは, 麻酔下で幽門部を結紮されためん羊においても膵外分泌増加効果を示した. ペンタガストリンによる蛋白質とアミラーゼの最大放出量は, 無麻酔下においても麻酔下においてもCCK-8の場合より少なかった. これらの結果は, ペンタガストリンは腸相を介することなく膵腺房細胞刺激効果を有するが, この効果はCCK-8よりも小さいことを示している.
著者
浅野 由ミ 舘 鄰 上北 尚正 河西 恭子 遠藤 秀紀 山田 格 佐分 作久良 山内 啓太郎 東條 英昭 名取 正彦
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.351-362, 1999

絶滅種や稀少種の機能遺伝子を解析することは,遺伝子資源の保全や進化学的研究の見地から重要な課題である.本研究は,毛皮あるいは剥製標本の表皮から効率的にゲノムDNAを抽出する方法を開発し,絶滅種や稀少種の機能遺伝子を解析することを最終的な目的として行ったものである.一般に,絶滅種や希少種の剥製&bull;毛皮標本は数も少く,貴重であるので,DNA抽出のような,破壊的解析のための材料を入手することは,困難な場合が多い.従来報告されている古代DNAの抽出法では,いずれも,抽出のために比較的大きな標本片を用いており,少量の標品しか入手できない場合には適用できない.本研究では,特に,原材料となる剥製や毛皮標本の形をできるだけ損傷しないことに留意し,約1mm角の毛皮断片からゲノムDNAを効率よく抽出する方法の確立と,PCR解析を行うための条件の検討を行った.また,本研究で確立した方法を用いて,製作年次の異なる食肉目動物毛皮標本から回収したゲノムDNAをテンプレートとして,歯のエナメル質タンパク質をコードしているアメロゲニン遺伝子断片の回収と塩基配列の解析を試みた.結果の一部として,モンゴルオオカミの毛皮標本から抽出したゲノムDNAのアメロゲニン遺伝子の配列の一部を解読することができたので,イヌ(ゴールデンリトリーバー)の血液から抽出したゲノムDNAのアメロゲニン遺伝子の配列と比較したところ,モンゴルオオカミとイヌの配列は100%一致したが,イヌの品種間,あるいは個体差による配列の多型が存在する可能性もある。イヌ,オオカミのアメロゲニン遺伝子の塩基配列は従来報告が無く,部分的ではあるが配列が決定されたのは本論文が始めてである.イヌとオオカミの種間の違い,および,イヌの品種間の多型については,今後,さらに検討が必要である.
著者
栗原 光規 久米 新一 高橋 繁男 相井 孝允
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.375-382, 1991
被引用文献数
4 1

高温時における乾乳牛のエネルギー代謝に及ぼす給与粗飼料の影響を検討する目的で,ほぼ維持量のイタリアンライグラス乾草(IH区)あるいはトゥモロコシサイレージ(CS区:大豆粕150g追加)を各2頭のホルスタイン種乾乳牛に給与してエネルギー出納試験を行った.環境条件は,相対湿度を60%に保ち,環境温度を18,26および32°とした.その結果,1) 体温および呼吸数は,環境温度の上昇とともに有意に上昇,増加したが,飼料間に有意な差は認められなかった.2) 総エネルギー摂取量に対する熱発生量の割合は,32°で増加する傾向にあり,その増加量はIH区の方が高い傾向にあった.3) エネルギー蓄積量は,CS区と比べてIH区の方が有意に少なく,また,環境温度の上昇とともに減少する傾向を示した.4) 摂取代謝エネルギー量に対する熱増加量の割合は,IH区では環境温度の上昇にっれて,CS区では32°で増加する傾向を示した.5) 維持に要する代謝エネルギー量は,IH区では18°と比べて26および32°でそれぞれ約6および11%,CS区では18および26°と比べて32°で約10%増加した.
著者
青木 真理 鈴木 修 安藤 貞
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.647-650, 1996-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Milk composition of beef cows with their suckling calves was examined using the average of milk before and after suckling sampled by hand milking within 26 weeks after calving. The concentration of milk fat and total solids before suckling were lower than those after suckling. The concentration of milk protein, lactose and solids-not-fat before suckling were almost equal to them after suckling. The daily milk yield changed following weeks after calving, but the milk composition did not change.
著者
古谷 修 梶 雄次 浅野 猛 村山 隆一
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.407-413, 1988
被引用文献数
1

フスマ,脱脂米ヌカ,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールの豚小腸末端までのアミノ酸および粗蛋白質(CP)の真の消化率を,小腸末端にカニューレを装着した9頭の子豚(開始時体重約30kg)を用いて測定した.実験1では, トウモロコシとコーンスターチを主体とする基礎飼料(CP3.3%)およびそのコーンスターチをフスマあるいは脱脂米ヌカで代替した飼料の合計3種類の飼料を用い,1試験期間4日間として3期にわたって消化試験を実施した.各期では4頭の豚に3種類の飼料のいずれかを,1日目の午後5時から8時間間隔で1日3回,400g宛給与し,3,4およびつぎの試験期間の1日目にあたる5日目の午後1~3特に小腸内容物を採取して分析に供した.消化率は酸化クロム法によって求めた.実験2では,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールを供試し,基礎飼料およびそのコーンスターチの全部あるいは一部を各飼料原料で代替した4種類の合計5種類の飼料,5頭の豚および5試験期間による5×5のラテン方格法によって実施した.その他の条件は実験1と同様であった.試験の結果はつぎの通りである.小腸末端までの真の全アミノ酸平均消化率は,フスマ,脱脂米ヌカ,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールで,それぞれ,85.6,70.4,81.7,80.4.,73.1および76.6%であった.また,CPの真の消化率は,それぞれ,82.1,65.8,79.8,71.2,73.8および76.2%であった.必須アミノ酸のうちでもっとも制限となり易いリジンの小腸末端までの真の消化率は,それぞれ,85.6,70.9,77.3,82.6,74.0および66.5%であった.必須アミノ酸のうち,アルギニンの消化率が全飼料原料の平均で87.2%となりもっとも高く,トレオニンは72.4%で最低であった.
著者
高鳥 浩介 近藤 末男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:13443941)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.453-459, 1979
被引用文献数
1

豚の常用飼料についてカビ汚染,分布の実態を調査した.供試飼料として,トウモロコシ,麦類,フスマ,ダイズ粕,魚粉,ルーサンペレット,配合飼料の7種,30点を集め菌学的検索をおこなった.豚飼料の構成は濃厚飼料が主体であり,カビ汚染度をみたところ,103~104/gの範囲にあって,飼料全体の汚染度および分布は比較的似た傾向にあった.またカビの分布をみると,Aspergillus, Penicillumの優先する飼料が多く,なかでもA. flavus, A, versicolor., A. glaucusが各飼料で広範に分布していた.PenicilliumではP. citrinum, P. oxalicum, P. rugulosumが高汚染菌であった.その他のカビでは,ケカビ類のMucorが比較的全般に検出され,他にはCandida, Cladosporium, Fasarium, Scopulariopsis, Wallemiaなどがみられた.カビ毒のうち, A. flavusの産生するアフラトキシン(B1, B2, G1, G2)およびA.versicolorの産生するステリグマトシスチンの産生能を,牛および豚飼料から分離したA.flavus 31株, A, versicolor 19株で行なったところ,アフラトキシン産生8株,ステリグマシスチン産生11株を得た.これらの株のうち,アフラトキシンB1 168.30ppm(トウモロコシ由来株),54.17ppm(ダイズ粕由来株)の高い産生量の2株を認めた.ステリグマトシスチン産生11株は,いずれも1ppm以下であった.しかし, A. versicolorの中でステリグマトシスチン産生株が6割近くに達することを考慮すると,家畜飼料中でのこの種のカビ汚染防除に注意する必要がある.また豚飼料でPenicillium, Fusariumの高い汚染,分布がみられたので,この種のカビ毒産生性を検討する必要がある.
著者
戸澤 あきつ 佐藤 衆介
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.497-506, 2017-11-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
42

スノコ床のウィンドウレスで20頭群飼(SI),スノコ床のウィンドウレスで350頭群飼(LI),発酵床のビニールハウスで400頭群飼(LD),放牧地で9頭群飼(SP)の4つの飼育方式における肥育豚の動物福祉レベル並びに生理的ストレス指標の実態を調査した.福祉評価にはWQ®プロトコルを用い,生理的ストレス評価は血清中コルチゾール濃度と健康性に関わるストレス指標である免疫グロブリンA(IgA)濃度を,唾液,糞便,血液から測定した.福祉評価点はSP > LD > LI > SIの順で,福祉レベルは前2者で「良」,後2者で「可」と評価された.血清中コルチゾール濃度はLIで突出して高く,唾液中IgAはSIとLIで高く,糞便中IgAはSIとSPで高かった.SIは低福祉でストレスレベルが高く,LIは低福祉でストレスレベルが最も高く,糞便中IgAは極端に低く,LDは高福祉で低ストレス,SPは最も福祉レベルが高く,ストレスレベルもやや高いが正常値範囲内の飼育方式と考えられた.
著者
林田 重幸
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.329-334, 1958-02-28 (Released:2011-01-25)
参考文献数
74
著者
柴田 正貴 寺田 文典 岩崎 和雄 栗原 光規 西田 武弘
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:13443941)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1221-1227, 1992
被引用文献数
3 5

反芻家畜のメタン発生量に及ぼす乾草と濃厚飼料給与比率の影響を検討し,簡易なメタン発生量推定式の作成を試みた.供試動物は,ホルスタイン種未経産牛6頭,コリデール種成去勢雄めん羊10頭および日本在来種成去勢雄山羊11頭とした.給与飼料は,オーチャードグラス主体混播牧草を原料草とした乾草ウェハーおよび当場指定濃厚飼料(尿素1%入り,ペレット)であり,乾草と濃厚飼料の給与比率を乾物換算で100:0(H100),70:30(H70)および30:70(H30)とした3処理について実験を行なった.飼料給与量は,TDNで維持要求量の1.5倍を満足する量とした.その結果,次のような知見を得た.1) メタン発生量は,動物種間に有意差が認められ,牛の発生量はめん羊の7倍,山羊の9倍であった.2) メタン発生量は,H70処理にくらべてH30処理で有意に低い値を示した.これは,濃厚飼料多給に伴う飼料中のセルロース含量の低下,繊維成分消化率の低下等の要因に起因すると考えられた.3) 各種栄養成分摂取量当りのメタン発生量は,処理間に有意差を認めたが,動物種間に有意な差は認められなかった.4) 重回帰分析の結果,メタン発生量推定に対する最も有効な説明変数として,窒素,粗繊維および可溶無窒素物の摂取量あるいはそれらの可消化物摂取量が選択された.5) しかし,乾物摂取量(DMI)のみを説明変数として用いても推定精度の低下は小さく,TDNで維持の1,5倍程度の栄養水準における反芻家畜のメタン発生量の簡易な推定式として,以下の式が導出された.メタン発生量(1/日)=0.0305DMI(g/日)-4.441(r=0.992).
著者
秋葉 征夫 松本 達郎
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.351-357, 1978-05-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
20

ヒナの脂肪吸収に対するセルロース給与の影響を,脂肪の出納より検討し,また131I標識trioleinを用いてその様相を観察した.14日齢の白色レグホーン種雄ヒナを用い,7%のタローを含む精製飼料を基礎飼料として,これにセルロースを4%および8%添加して14日間給与し,7日間の脂肪の出納をみた.セルロースの給与は飼料の消化管内通過速度を有意に早めたが,脂肪の吸収率に対しては全く影響しなかった.従って,前報で報告した,セルロース給与によってヒナの月刊蔵脂肪が減少する現象は,脂肪の吸収低下に基づくものではないことが明らかにされた.12時間絶食させた28日齢のヒナに131I-trioleinを含む飼料を給与し,その25,50,120および240分後に,血漿,肝臓,消化管内容,筋肉内の131Iを測定した.セルロース給与により各時間とも血漿中131Iはわずかに減少する傾向がみられ,120分,240分後の肝臓131Iは有意の減少を示した.
著者
菅野 長右ヱ門 大武 由之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.282-296, 1981-04-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17

牛乳脂肪球皮膜から得た可溶性蛋白質(SGP)の抗体と反応する蛋白質がホエーに存在することが見出され,これをanti-SGP reacting protein(A蛋白質)と名付けた.A蛋白質の大部分は耐熱性のプロテオースペプトンの成分-3に含まれているが,成分-5と-8にも存在する.ここでは,3成分間のA蛋白質の性質の差異およびA蛋白質とSGPの構造的•免疫学的関連を明らかにするために,各成分をBio Gel A-0.5mによるゲル〓過およびDEAE-celluloseクロマトグラフィーで分画した画分を用いて研究した.得られた各成分の画分を一元平板免疫拡散,二重免疫拡散,免疫電気泳動,およびDisc電気泳動で分析した結果は互に一致していたことから,A蛋白質には移動度の小さいバンド(SMB)とバンド3の2つの蛋白質が関連していることが示唆された.また各画分の沈降線は各成分の画分間においてさえ融合していたから,A蛋白質は同一の抗原決定群をもっていることが判明した.成分-3をDEAE-celluloseクロマトグラフィーで分画した画分の免疫電気泳動パターンにおける沈降線の移動度は溶出された画分の順に増大していた.このことから,多様な形のA蛋白質が存在することが判明した.さらに,A蛋白質とSGPの構造的関連をSDSPAGEで調べた結果,少なくとも2種の糖ペプチド(band AおよびB)が両者に共通していた.したがって,A蛋白質が同一の抗原決定群をもつにもかかわらず,多様な形をとることは,A蛋白質が主要な2種の糖ペプチドとその他のポリペプチドの分子間会合によって形成されていることに起因するものと考えられた.またA蛋白質は血清に由来する蛋白質ではなかった.
著者
海老名 卓三郎 太田 実 打和 秀世 村上 梅司
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.580-589, 1994-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
16

皮膚ケラチンとは反応せず,毛髪に特異的に結合し,毛髪の破断強度を上げる抗毛髪ケラチ ン抗体を含む初乳ならびに常乳を免疫牛に産生させた.人毛髪ケラチン50mgを出産60日前のホルスタイン牛に筋肉内に注射し,(2~3)週間後に同抗原を乳房内または乳房リンパ節附近に投与すると,血中抗体価ならびに初乳中の毛髪ケラチンに対する抗体価は105に上昇した.この時,免疫牛一頭の初乳中に(1~1.5)kgのIgGを産生することが出来た.さらにこれらの免疫牛に分娩2~3ヵ月後ケラチンを50mgずつ筋肉注射し,4週おきに同抗原を筋肉内液射又は腹腔内注射を3回行なったところ,常乳中に初乳と同等の比活性を持った抗体が出来るにとを見出した.常乳では300日間搾乳することができ,全体では(4~5)kgのIgGを得ることができる.にれより,初乳に加えて常乳を抗体生産に利用するにとが可能となった.
著者
尾野 喜孝 岩元 久雄 高原 斉
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.453-459, 1983-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
5 1

鶏の大腿二頭筋(M.biceps femoris)においてAndrogenが筋線維型の構成割合および筋線維の直径にいかなる影響を及ぼすかを組織化学的に検討した.供試鶏はNew Hampshire種雄を用い,対照区,去勢区および去勢鶏にtestosterone propionate(TP)を投与したTP処理区の3区に区分した.大腿二頭筋筋線維は,myosin ATPase, succinic dehydrogenase,およびNADH tetrazoliumreductaseの酵素活性に基づきII-R型とII-W型とに区別された.II-R型はfast-twitch-oxidative-glycolytic fibersでありII-W型はfast-twitch-glycolytic fibersである.雄鶏では20週齢以後の性成熟期にII-R筋線維の構成割合が著しく増加し,逆にII-W型筋線維の構成割合は減少した.去勢鶏の筋線維型の構成割合は雄鶏でみられたような変化は示さなかったが,TPを投与することによって雄鶏のそれへと回復した.去勢の結果,筋線維の直径は特にII-R型でその増大が著しく抑制されるが,TP投与によりこれは回復の傾向を示した.以上の結果から,Androgenは雄鶏の大腿二頭筋でII-W型筋線維の一部の筋線維の酸化的酵素活性を特異的に高め,II-R型へと変換し,同時にII-R型筋線維の直径を増大させることによって,同筋肉を持続性を伴った力強い運動に適合させるものと考えられる.
著者
宮本 元 西川 義正
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.205-210, 1979

°C付近通過の冷却速度が,牛精液の過冷却の程度におよぼす影響,ならびにその過冷却の程度が,牛の凍結•融解精子の生存性におよぼす影響について検討し,つぎの知見をえた.1. 最終グリセリン濃度が7%(v/v)になるように,卵黄クエン酸ソーダ液で希釈した1mlの精液をビニール製ストローに注入し,0°C付近を毎分0.5~109.8°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点(過冷却が破れて氷晶の成長が始まる温度)は-4.0~-13.8°Cの範囲にあった.1mlの精液をガラスアンプルに注入し,0°C付近を毎分0.6~21°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点は-3.0~-9.2°Cの範囲にあった.2.過冷却が破れ凍結現象が始まった後の冷却速度が同じであれば,希釈精液の過冷却の程度は,-196°Cに凍結した後の牛精子の生存性に影響をおよぼさなかった.3. 希釈精液の過冷却が自然に破れても,植氷によって破れても,凍結•融解牛精子の生存性に差は見られなかった.
著者
森 香中
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-22, 1951 (Released:2008-03-10)
参考文献数
8

マウスを用いてビタミンLの生殖生理的作用の追究を主眼としそ実験し次の如き結果を得た。(1) マウスでは50日間程度のL欠乏に対しては経産未経産を通じて著しい泌乳障害を起すとは考えられない。(2) 幼若マウスに対してLの経口投与は,♀♂共に体及び生殖器官発育には大した効果がみられないが乳腺組織の発育を促進するものと認められる。(3) 未性成熟♀マウスにAnthranilic Acid即ちL1とProlanとを適量混合皮下注射するとProlanの性腺刺戟効果を増大し,L1の乳腺組織発育促進効果をも増加さす,即ちProlanとビダミンL1との間には相互的協同作用が存在する。