著者
宿院 享 杉本 実紀 池田 俊太郎 久米 新一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.503-507, 2014-11-25 (Released:2014-12-25)
参考文献数
17

ICR系妊娠マウス18匹を対照区,2%塩化カリウム(KCl)給与区および5%KCl給与区に割り当てて,KCl給与区では交配後6.5日目から分娩14日後まで2%あるいは5%のKClを添加した飼料を給与し,マウスの体重,飼料摂取量,飲水量,腎臓重量,腎組織と血液成分に及ぼすKCl給与水準の影響を調べた.泌乳マウスでは分娩直後から飼料摂取量と飲水量が急増した.妊娠期と泌乳期のマウスの飼料摂取量にはKCl給与の影響は認められなかったが,KCl給与水準の上昇とともに飲水量が増加し,なかでも5%KCl区の泌乳マウスの飲水量が顕著に増加した.泌乳マウスの腎臓重量は5%KCl区で最大であり,血清KとCl濃度はKCl給与区で上昇した.しかし,泌乳マウスの腎組織にはKCl給与の影響は認められなかった.以上の結果から,KCl給与水準が上昇すると泌乳マウスでは飲水量と腎臓重量が増加し,腎臓に多大な負荷を及ぼすことが推察された.
著者
菅原 盛幸 大木 与志雄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.400-405, 1982-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
13

ハタネズミにおける給与飼料の違いによる消化管内発酵産物および体内代謝産物への影響,さらに絶食による体内代謝産物への影響について調べた.給与した飼料は(A) ヘイキューブ単独,(B)ヘイキューブおよび草食動物用ペレット,(C) 草食動物用ペレット単独,(D) じゃがいも単独である.絶食は24時間と48時間について検討した.(1) 各飼料給与群の食道のう内容物から,(A) 4.30,(B)4.65,(C) 4.06,(D) 3.31mM/dlの揮発性低級脂肪酸(VFA)が検出され,腺胃•幽門胃内容物では著しく減少していた.VFAの構成は酢酸が主体で,酪酸,プロピオン酸は僅かであった.一方,乳酸はいずれの群においても比較的多く存在し,特に線維質が少なく澱粉質の多い(D) 給与群において高かった.盲腸内VFA濃度は,10mM/dlと各群とも高く,その比率は,(A)~(C)群において,ほぼ一定であり,酢酸:プロピオン酸:酪酸=10:1:2であった.(2) 血糖値は(A)63.8,(B)81.0,(C)91.3,(D)77.4mg/dlであった.肝グリコーゲンは肝1g当り10~20mgであった.血漿遊離脂肪酸(FFA)は0.609~0.732mEq/lであった.(3) 絶食により,血中ケトン体および尿中ケトン体が著しく増加し,24時間絶食で70%,48時間絶食で91%がケトン尿症を呈し,典型的な飢餓性のケトーシズを示した.この時,血糖値は47.2mg/dlとほぼ半減し,肝グリコーゲンは完全に消失していた.血漿FFAは絶食24時間で1.377mEq/lと倍増し,48時間後には1.967mEq/lとさらに増加した.
著者
Toshio TANAKA Tamiko WATANABE Yusuke EGUCHI Tadashi YOSHIMOTO
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.300-304, 2000-05-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
6 8

In this study, an experiment was carried out to clarify the color perception in dogs. Two female Shiba breed dogs were trained using an operant conditioning method in which they pressed a switch with their muzzles in order to obtain some food, to discriminate between simultaneously presented colored and gray cards. The left and right positions of the two cards were shifted at random. After the dogs were fully trained, their color perception ability was tested on three primary colors, red, blue and green. The dogs were subjected daily to one or two sessions which consisted of 20 trials each.The criterion of successful discrimination was 3 consecutive sessions with more than 15 correct choices (P<0.05, Chi-square test). In the red vs. gray discrimination test, the dogs respectively took 3 and 12 sessions to reach the criterion. In the blue vs. gray and green vs. gray tests, both dogs were able to attain the criterion by the 13th session. The results of this study suggest that the color vision of dogs is relatively developed and dogs are able to discriminate between all three primary colors and gray.
著者
北川 貴志 谷 浩 山路 泰介 藤田 雅彦 福井 英彦
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.487-493, 2014

黒毛和種去勢牛延べ24頭を用いて,大麦代替としての玄米の給与が産肉性に及ぼす影響を調べた.試験区には玄米を対照区の飼料の大麦の一部代替として肥育全期間10%給与区(RB10区),15%給与区(RB15区),また,大麦の全量代替として前期18%,中後期30%給与区(RB18-30区)の3試験区を設定した.各試験区は対照区のTDNとCPがほぼ同等になるようにトウモロコシの配合割合を減らすなどの調整をした.増体にはいずれの試験区も影響はなかった.飼料摂取量はRB18-30区でのみ濃厚飼料摂取量と推定TDN摂取量が有意に多くなった(<i>P</i> < 0.05).血中ビタミンA濃度はRB10区に影響はなかったが,RB15区とRB18-30区は対照区より有意に低い値となる時期があった(<i>P</i> < 0.01).枝肉成績はRB10区とRB15区に影響はなかったが,RB18-30区では枝肉重量とバラの厚さが対照区より有意に大きくなった(<i>P</i> < 0.05).胸最長筋の脂肪酸組成にはいずれの区も影響はなかった.玄米は大麦の代替としても黒毛和種牛肥育の飼料に使用できると考えられた.
著者
平尾 温司 杉田 昭栄 菅原 邦生
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.483-490, 2000-10-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26

鳥類の嗅覚機構を解明するため,ニワトリ嗅球の遠心路および求心路をバイオサイチン法およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)法をそれぞれ単独に用いて明らかにした.バイオサイチン法の結果より,ニワトリ嗅球の遠心路は線維群の通過部位から経路1~3に分類することができた.経路1は同側の副高線条体(HA)および海馬(Hp)への投射を有していた.経路2は同側の最上介在高線条体,腹側高線条体(HV),新線条体(N)および基底核(Bas)への投射を有していた.経路3は両側の嗅旁葉,嗅結節,前頭原線条体路,填古線条体,前原線条体,梨状皮質,側頭頭頂後頭野,紐核,対側のHA, Hp, HV, NおよびBasへ投射していた.HRP法の結果より,ニワトリ嗅球の求心路は両側の外側中隔核,内側中隔核およびHpから投射を受けていた.また,ニワトリ嗅球はHpと相互結合を有していた.
著者
武田 久美子 大西 彰 三上 仁志 犬丸 茂樹
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.556-562, 1994-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
18

ミトコンドリァDNAは細胞質のミトコンドリア内に存在する核外DNAである.ミトコンドリアDNAの制限酵素切断型多型(RFLP)を,細胞質マーカーとして利用できるかどうか検討した.まずC57 BL/6(B6)マウスのミトコンドリアDNAを制限酵素SacIで直鎖状にし,ラムダファージに組み込んで完全長のクローンを得た.そしてこれをプローブとしてサザンブロットハイブリダイゼーションを行ない,マウスのミトコンドリアDNA多型の検出を試みた.B6およびRR系統マウスの各組織から抽出したDNAを用いたところ,いずれの試料からもミトコンドリアDNA由来のバンドが検出でき,B6とRR系統マウスとの間で期待されたRFLPが観察された.しかし,抽出されたDNA量当りのミトコンドリアDNA量は組織ごとに異なっていた.また,凍結保存したB6とRR系統間のキメラマウスの組織より抽出したDNAを用いたところ,両者のパターンが検出され,キメラであることが判定できた.以上の結果から,ミトコンドリアDNAのRFLPが細胞質マーカーとなりえること,ミトコンドリアDNAクローンがRFLPの検出やキメラ判定のプローブとして有効であることが明らかになった.
著者
玉手 六朗 大高 文男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.74-79, 1983-02-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
23

豚肉中に常在する無機成分のうち鉄(Fe)についてその含量を明らかにし,また2,3の要因一測定年度,季節(春および秋),品種(ランドレース種および中ヨークシャー種),筋肉(半膜様筋,胸最長筋,頭半棘筋および咬筋)および性(雌および去勢)-による差異を検討した.すなわち履歴が明らかで,飼育条件および屠殺方法などが規定されている65頭のブタの枝肉から筋肉試料を採取し,原子吸光法によりそのFe含量を測定して,つぎの結果を得た.豚肉のFe含量の全試料(219個)についての平均値(95%信頼限界)および変動係数は,新鮮物100g中で2.10±0.10mgおよび35.5%,灰分lg中で1.94±0.10mgおよび38.7%であった.また前記の要因別による豚肉のFe含量の差異をみると,主効果では筋肉要因の場合が最大で,年度要因がこれにつぎ,季節要因もいく分影響したが,品種要因および性要因の影響は認められなかった.交互作用では,年度×季節のみが有意の大きな影響を示した.
著者
玉手 六朗 大高 文男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.386-391, 1979-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
23

豚肉の常在的な無機成分のうち銅(Cu)についてその含量を明らかにし,また2,3の要因一測定年度(1965,1966および1968年),季節(春および秋),品種(ランドレース種およびヨークシャー種),筋肉(半膜様筋,胸最長筋,頭半棘筋および咬筋)および性(雌および去勢雄)一による差異を検討した.すなわち履歴が明らかで,飼育条件および屠殺方法などが規定されている65頭のブタの枝肉から筋肉試料を採取し,原子吸光法によりそのCu含量を測定して,つぎの結果を得た.豚肉のCu含量を,新鮮物中および灰分中の値で各要因別に示した(表1).そのうち全試料(219個)についての平均値(95%信頼限界)および変動係数は,新鮮物100g中で0.114±0.006mgおよび36.3%,灰分1g中で0.105±0.005mgおよび37.9%であった.また2,3の要因による豚肉のCu含量の差異は,主効果では季節要因の場合が最大で,筋肉要因がこれにつぎ,年度および品種要因もいく分影響したが,性要因の影響は全く認められなかった.交互作用では,年度×季節のみが有意のかなり大きな影響を示した.
著者
佐藤 雅彦 中村 豊郎 沼田 正寛 桑原 京子 本間 清一 佐藤 朗好 藤巻 正生
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.274-282, 1995-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

和牛がなぜおいしいかを解明する一助のために,銘柄牛とされる5種類の和牛の香気および呈味成分について検討した.理化学的分析の結果は以下のとおりである.(1) 赤肉部の分析では,ペプチドの分子量分布,ヒスチジン関連ジペプチドおよび核酸関連物質に銘柄による顕著な差は認められなかった.全アミノ酸量およびグルタミンは飛騨牛で多く,松阪牛で少なかった.(2) 脂質の分析では,いずれの銘柄牛もほとんどHPLCにおける保持時間(Rt)55分以降にピークが存在し,そのピークパターンは類似していた.脂質の融点は,神戸牛,米沢牛および松阪牛で低く,前沢牛および飛騨牛で高かった.(3) 加熱香気分析では,加熱後の牛肉試料中の脂質含量に差はないが,回収された香気画分の量,香気画分中の窒素化合物において前沢牛が多く,香ばしいことが予想された.また,官能基別分類では,酸類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類に銘柄による相違が認められ,これらは脂質に由来する化合物の差が現れていると考えられた.
著者
石井 忠雄 田名部 雄一 玉置 禎紀 正田 陽一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.634-640, 1971

1) 希薄溶液中のサイロキシンは,硬質ガラス製,スチロール樹脂製および硬質ポリエチレン製の容器壁に吸着されやすいが,吸着はブロピレングリコールまたは血漿の存在により防止される.<br>2) サイロキシンとヨード131標識トリヨードサイロニンとの競合を利用しているこの測定法で最も重要な役割を演じている血漿蛋白質はサイロキシン結合グロブリン(TBG)であり,TBGを含む血漿は標準血漿として使用できる.<br>3) アセチル化ポリピニルアルコールスポンジとラジオステレオアッセイの原理とを利用して家畜の血漿中サイロキシン測定法を得た.
著者
佐々木 康之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.368-376, 1968

子牛を全乳のみで飼育すると混合唾液分泌能は未発達のままであるが,飼料摂取によって著しくそれを発達させることができることを著者はすでに観察した.本報告の実験目的は,飼育条件をかえることによって異なれる唾液分泌能発達過程を示す唾液腺の代謝能発達を,腺におけるエネルギー利用の基質的特異性を考慮しつつ検索することである.成牛の耳下腺スライスが酢酸をよく利用することは,すでに梅津&bull;佐々木が報告している.<br>ホルスタイン種雄子牛12頭を6頭ずつ2群に区分し,一群(MHG区)は全乳を制限給与したほかに乾草および濃厚飼料を自由摂取させ,他群(M区)は全乳のみで飼育し,1,4および13週令において両区2頭ずつを実験に供した.すなわち,左側耳下腺導管にカニューレを挿入して唾液分泌速度を計測してのち放血屠殺して耳下腺重量を知り,ついで,酢酸あるいはブドウ糖添加時における耳下腺スライスの酸素消費量を固有呼吸とともにワールブルグ検圧法(Krebs-Ringer phosphatebuffer, pH7.2,気相酸素,38&deg;C,3時間振盪)により求め,別に同様条件下で,酢酸,プロピオン酸,酪酸およびブドウ糖の基質消費量を測定した.その結果,以下の知見が得られた.<br>1. MHG子牛の耳下線は体重の増加および週令にともなって重量を増すが,M子牛耳下腺の体重に対する比率はむしろ低下する.<br>2. MHG子牛の耳下腺唾液分泌速度が顕著に増加するが,M子牛のそれはまったく発達をみせない.<br>3. 週令にともなう耳下腺スライスの固有呼吸発達はMHG子牛に高く,M子牛における発達はきわめて低い.酢酸添加による固有呼吸増加効果は,M子牛に比較してMHG子牛において良く発達し,ブドウ糖添加の効果は,両区とも各週令を通じてまったくみとめられない.<br>4. 基質消費よりみた酢酸の利用は,M子牛におけるよりもMHG子牛において著しく発達し,また,ブドウ糖利用の発達は両区ともにみとめられない.<br>5. 上記の結果から,唾液分泌能のいまだ発達していない子牛耳下腺スライスでは酢酸の利用がかなり低いが,唾液分泌量の増加とともにそれが急速に発達し,子牛を全乳のみで飼育して唾液分泌の発達を抑制すると,酢酸の利用もほとんど促進されないことが結論づけられる.
著者
森 爲三
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.90-112, 1929

There have always been two Kinds of horses produced in Korea, viz., the Mongolian Horse and the Korean Pony. The fact these two kinds have existed since ancient time, can be seen from the following description of the bones and accounts taken from Chinese and Korean books:<br>I have examined the bones and teeth which were unearthed at Mirinri, near Heijo, at Ganjiri, near Keijo, at Kinkai, near Fusan, and at Yuki, in NorthEastern Korea, all these places containing remains of the Korean Stone Age (to be more exact, Eneolithic Period). My thorough examination shows that they all fit in with those of Horses, and this fact proves that they (Mongolian Horses) existed in Korea in ancient times. But I cannot find any bones or teeth of the Korean Pony in the remains of the Korean Stone Age. I find that, in old, Chinese literature, such as "Gokan-jo", "Gishi", and in one of the Korean classics, "Sangokushi", etc., the existence of Korean Ponies in olden times is mentioned under the names of "Kwa-ka-ba", "horse that-goes-under-fruit-trees" (which means that a man on horse back can rides under a fruit tree) and also under the name of "San-jaku-uma", "three-feet horse" (which means that its shoulder height was three feet). Now I wish to explain to which families these two kinds belong and from which regions they have come and settled into these parts.<br>Evidently Mongolian Horses belong to the "Steppe-horse" family, and have come from Mongolia via Manchuria, and spread all over Korea. This Mangolian Horse is considered by some scholars to be the Przevalskii Horse domesticated, and this opinion is supported by other scholars. Dr. Hikohichiro Matsumoto (in 1915) held that the Equus leptostylus unearthed in a stratum of the Pleistocene period in Hunan, China, resembles the Przevalskii Horse. Judging from the foregoing facts the lineage of the Mongolian Horse in Korea can be shown in the following way:<br>Equus leptastylus&rarr;Equus przevalskii&rarr;Mongolian Horse&rarr;Mongolian Horse in Korea.<br>Next, the Korean Pony belongs the "Mountain-horse" family ("Bergpferd" in German) and I learn from the descriptions by Mr. Emil Brass (1904) and by Dr. Shinhichiro Yoshida (1926) that the Korean Pony very much resembles the pony living in the mountainous districts of Sze-chuan, Yunnan, and Kwei-chau, China.<br>On the other hand, as Dr. Kotondo Hasebe (1925) has explained from the result of his examinations of the Radius unearthed at Taimizu and Metatarsus unearthed at Atsuta, both being the remains of the Japanese Stone Age, it is clear that in Japan too, there were ponies in her stone age.<br>My own opinion, on comparing the above bones with those of a Korean Pony and on finding that they were much alike, is that the pony which lived in the Japanese Stone Age and the Korean Pony are nearly related. Moreover, when I compare the bones of the Satsuma horse living in the South-Western part of Japan with that of the Korean Pony, and closely examine both, I find there exists a very distinct similarity. Another noteworthy, thing is that while Korean Ponies have not proceeded beyond the Yalu and the Tumen, the Northern frontier rivers, they are scattered in the south, as far, as in Tsushima, Oki, and Quelpart Islands.<br>From the above relations, it may be considered that in ancient times, the Sze-chuan Pony (which lived in Sze-chuan and Yunnan, China) were brought over to Japan, in the stone age, and from there introduced into Korea, in the stone age.<br>As we read in old Chinese literature, such as "Jiga", "Sankaikyo", that there lived in Chinese frontier districts some wild-ponies, it is quite probable that the Sze-chuan Pony is this wild pony domesticated in ancient times.
著者
安江 健 平山 望 武田 愛生 小針 大助 岡山 毅 小松﨑 将一 山川 百合子 佐々木 誠一 豊田 淳
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.191-197, 2021-05-25 (Released:2021-07-09)
参考文献数
21

ウシの飼育管理作業が農学系大学生の心理・生理的状態に及ぼす影響を調べた.ブラッシング,体重測定,除糞,給餌作業を各5分間実施し,各作業の前後には5分間の安静を含んだ.被験者の心電図と体軸の加速度を連続記録し,試験開始前と終了後には唾液アミラーゼ(sAA)とストレスレスポンススケール(SRS)を測定した.心電図のR-R間隔をスペクトル解析し,それぞれ交感神経と副交感神経活性の指標であるLF/HFとHF nuを比較した.ストレス指標であるsAA濃度は試験開始前と終了後で差はなかったが,SRSは有意(P<0.01)に低下した.心拍変動解析の結果では,LF/HFとHF nuのどちらも作業間には差がなかった一方で,安静間ではブラッシング前より後でLF/HFは低く,HF nuは高くなり(どちらもP <0.05),ウシへのブラッシングが農学系大学生にリラックス効果をもたらすことが示唆された.
著者
奥村 直彦 小林 栄治 鈴木 秀昭 両角 岳哉 濱島 紀之 三橋 忠由
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.222-234, 2000

ブタの品種特異的な塩基配列を明らかにする目的で,2種類の毛色関連遺伝子の多型を調べた.ランドレース,大ヨークシャー,デュロック,バークシャー,ハンプシャー,メイシャン,モンカイ,ニホンイノシシについて,メラニン細胞刺激ホルモンレセプター(MClR)遺伝子の第2膜貫通領域を含む612bpの塩基配列を調べた.また,KIT遺伝子のエクソン16から19にわたる約4Kbpについて,上記の8品種に加えヨーロッパイノシシとユカタンマイクロブタの塩基配列を調べた.MClR遺伝子については測定した品種全体で多型部分が8箇所あり,6種類のハプロタイプが得られた.ハプロタイプの1つはデュロック特異的であった.ランドレース,大ヨークシャー,バークシャー,ハンプシャーは互いに共通の配列を有しており,MClR遺伝子の情報のみではこれらを識別することは不可能であった.メイシャンの配列はモンカイと同じであり他の全ての品種と異なるハプロタイプを持っていた.KIT遺伝子ついては,全品種で62箇所の多型が認められ,11種類の異なったハプロタイプが得られた.KIT遺伝子の17番目のイントロンの最初の塩基は優性白色ブタと有色ブタとで明確に異なっていた.イントロン部分の配列比較の結果,塩基置換の類似性が観察された.すなわち,ニホンイノシシ,メイシャン,モンカイ,バークシャーの配列は類似しており,これらは東洋起源と推察される.ヨーロッパイノシシ,大ヨークシャー,ランドレース,デュロックの一部で配列は類似しており,これらは西洋起源と推察される.また,鹿児島県産の一部のバークシャーの配列はユカタンマイクロブタと類似していた.本研究で対象とした2つの遺伝子には,毛色の異なる品種それぞれに特異的な多型が存在していた.
著者
村元 隆行 宮崎 真緒 手塚 咲
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.389-392, 2016-11-25 (Released:2016-12-15)
参考文献数
16

パイナップル果汁の注入が日本短角種牛肉のテクスチャーおよび保水性に及ぼす影響について検討を行った.6頭の日本短角種去勢牛の半膜様筋から各4個の筋肉サンプル(2cm厚かつ60g)を切り出し,対照区,針刺区(注入なし),塩水区(生理食塩水注入),および果汁区(パイナップル果汁注入)の4つの試験区に分けた.すべての筋肉サンプルは真空包装し,4°Cで24時間の貯蔵を行った後,ドリップロス,クッキングロス,およびテクスチャーを分析した.最大荷重,ガム性荷重,および凝集性は,果汁区が他の試験区に比較して有意に低かった.付着性,破断変形,および破断歪率に試験区間での有意な差は認められなかった.ドリップロスおよびクッキングロスには試験区間での有意な差は認められなかった.これらの結果から,日本短角種牛肉へのパイナップル果汁の注入は保水性を低下させることなく軟化させられる可能性が示された.
著者
梅村 和弘 菅原 和夫 伊藤 巌
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.836-840, 1989-09-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
19

雄牛が発情牛を識別する際の,視覚,嗅覚,聴覚の役割について検討した.1. 並べて繋留した発情牛と非発情牛の後方5mから雄牛を放し,雄牛がどちらの雌牛を選択するかを調査した.次に,両雌牛の後方数cmのところに寒冷紗の幕を張り,通気性はあるが,雄牛が直接視覚で雌牛を捉えられないようにし,同様の調査を行なった.その結果,寒冷紗の幕を張った場合でも,雄牛は雌牛に接近し,臭いをかぐなど若干の探索行動をした後,正確に発情牛を識別した.2. 並べて繋留した発情牛と非発情牛の頭部以外を透明ビニールシートでおおい,その後方から雄牛を放した,その結果,雄牛は両雌牛に興味を示し接近するものの,発情牛を識別することは不可能であった.3. パドック内の両端に置いた2台のテープレコーダーから,雄牛に発情牛と非発情牛(子牛に対する母牛の鳴き声)を同時に聞かせた.その結果,いずれの鳴き声にも興味を示し接近したが,発情牛の鳴き声に特に誘引されるということは見られなかった.以上の結果から,雄牛は遠方からは視覚,あるいは聴覚により雌牛の存在を知り接近するものの,発情牛の識別には嗅覚が重要な役割を担っているものと考えられた.
著者
小峯 健一 浅井 健一 板垣 昌志 小峯 優美子 黒石 智誠 阿部 省吾 阿部 榮 齋藤 博水 熊谷 勝男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.169-176, 1999-08-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

健康な乳牛の泌乳期から乾乳,分娩期に及ぶ各ステージの乳房総計68例から乳汁を採取し,それぞれの体細胞数(SCC)とこれらの細胞が中心的に産生する生理活性タンパク分子である,ラクトフェリン(Lf),αl酸性糖タンパク(α1AG),フィブロネクチン(FN)の各濃度を測定した.さらには乳腺内リンパ球の産生するIgG1とIgG2を中心とした,免疫グロブリン(Ig)サブクラスの濃度を測定し,それぞれの変動を追跡した.その結果,SCCは泌乳期の間は低値を示したが,乾乳導入後いち早く増加した.このSCCの上昇に伴って,最も早期にLfの産生が起こり,これに続いて,αlAGやFN値も上昇し,いずれも乾乳期中期までには最高値に達した.一方,乳汁中のIg濃度は,泌乳期を通じて乾乳初期まで低値を示していたが,乾乳中期に移行するに及びIgG1を主とした濃度の急速な増加を示し,初乳分泌期である乾乳後期には極めて高値のG1/G2比(60-7)と共に,最高濃度を示した.以上の成績は,乾乳導入に伴う乳腺分泌液へのSCの集積と,それに続く生理活性タンパク分子の急速な産生は,泌乳期乳腺上皮細胞の退行と新しい乳腺組織の増殖分化を営むために必須で,また,次回分娩に備えたIgG1を主体とした乳腺内での初乳形成を促進する生理的変化であることを示唆した.