1 0 0 0 OA 味噌の機能性

著者
海老根 英雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.70-75, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

原爆を投下された長崎で, 放射能の害をわかめの味噌汁が防いだ, という有名な話がある。これらは食品の機能性という点からみると, 一番注目されている3次機能ということになる。本稿では, 味噌の研究の第一人者である著者に, 多くの研究例をあげて解説していただいた。
著者
大西 範幸
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.161-171, 1991-03-15 (Released:2011-09-20)

最近ではコンピューダがワープロと電卓の延長として日常使われているが, この箱に電話線を一つ付けると今までにない多くの世界がパソコン通信で広がる。今回は兵庫県西宮市のパソコンネット「情報倉庫」西宮についての紹介を兼ね, パソコン通信やデータベースの基本的な解説と「情報倉庫」内の酒のデータベースののぞき方から実際の使用方等について解説していただいた。
著者
吉沢 淑 尾崎 裕子 武藤 敏昭 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.990-997, 1998

A protease was purified from the sarcocarp of Yubari melon fruit, the raw material used in the production of melon wine, by a series of treatments consisting of ammonium sulfate precipitation, gel filtration and ion-exchange chromatography. The enzyme was a monomer protein without a carbohydrate moiety. Its characteristics are as follws: molecular weight 66 kDa, isoelectric point pH 8.5, optimal temperature 40°C, and enzyme activity is promoted in the presence of Mn<SUP>2+</SUP>. It is a characterisric serine protease and preferentially hydrolyzes peptide bonds on the carboxyl terminal side of Phe and Arg.<BR>The sequence of the N termcnal 20 amcno acods was determined.

1 0 0 0 OA みりん (2)

著者
河辺 達也 森田 日出男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.863-869, 1998-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 2
著者
進藤 斉 矢部 修平 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.61-68, 2006-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

低温醪において液部のMet濃度が増加せず, 低濃度で一定推移し, 酵母菌体内にSAMを高蓄積する現象に対して, 低温が及ぼす影響を個別に検討した。1. 単発酵培地では, 糖が同濃度条件でY, Pまたは麹エキス由来成分が低濃度条件であってもMATFase活性は高くならなかった。また10℃の低温培養でも同様であった。MATFase活性は, 低温における菌体内SAM高蓄積との直接的な関連は薄いと推察した。2. 醪ではSAMを菌体内に高蓄積している10℃発酵条件下でも必ずしもMATFase活性が高くならなかった。さらにMet添加でMATFase活性が高く, かつ10℃でもSAMは高蓄積されないことが示された。このため, 本酵素活性と低温醪でのSAM蓄積の関連性は低いこと明らかとなった。3. 10℃醪では, SAM量が228~242mg/醪1kgと15℃の180mgに比べて多かった。しかし両温度条件でもSAMの90%は菌体内に存在し粕へ移行したことより, 低温醪でSAM生成量が多くても末期管理が適切ならば酒質への悪影響はないと推察した。4. 糖とアミノ酸が連続的に供給され並行複発酵するモデル培地として固液共存培地を作成した。グルコースは順調に消費され, 培養終了時のアルコールが約15%, アミノ酸度も徐々に増加し最大4mlとモデル培地として妥当な経時変化であった。5. 固液共存培地では, 10℃, 15℃両条件で総アミノ酸量及び各アミノ酸組成でも大部分は増加したが, Metは10℃で低濃度のまま一定推移する特徴的な動向を示した。また培養終了時の菌体内SAM量は, 10℃では19.6mg/1010cells, 15℃では同7.0mgと固液共存培地においても醪と同様に低温で高蓄積された。並行複発酵かつ低温での液部Metの低濃度推移と酵母菌体内SAM高蓄積現象は, 米, 米麹を用いずに再現可能であった。またMetが低濃度で徐々に供給されることが, 低温での酵母のMetの選択的取り込みに影響していると推察された。
著者
輿水 精一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.162-166, 1995-03-15 (Released:2011-09-20)

ウイスキーを水で薄めて飲む飲酒スタイルは日本独自のものであり, アルコール代謝能力の弱い日本人が高アルコール飲料を飲むために考えだした飲酒法と言える。これまでは飲む直前に水で割るため混濁などは問題にならなかったが, いざ, 水割りの状態で商品化すると, もろもろの問題が派生してくることがわかった。水割りウイスキーの開発に携わられた筆者にその経緯を解説していただいた。新商品が新たな需要を掘り起こし, ウイスキー市場の活性化に役立つことを期待したい。
著者
五味 勝也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.494-502, 2000-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2
著者
黒沢 尋 樋口 直美 中村 和夫 天野 義文
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.155-157, 1992

種々のワイン中に含まれる総亜硫酸を<I>Thiobacillus thiooxidans</I> JCM 7814 と酸素電極からなるバイオセンサーで測定した。バイオセンサー法は赤・白ワイン, ロゼワイン及び貴腐ワインに対して良好な定量性を示した。亜硫酸回収率は低くとも84%以上, 変動率は平均5.0%であった。これに対し, 酒精強化ワインやオレンジワインなどの特殊なワインについては, 現段階では良好な測定値が得られなかった。以上の結果より, 結合型亜硫酸を予め遊離型に分解することによって, バイオセンサーによるワイン (ブドウを原料にしたもの) 中の総亜硫酸の定量が可能となることが明らかになった。
著者
山下 勝
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.310-321, 1997-05-15 (Released:2011-09-20)

清酒及びビール等の穀物を原料とした酒が, どのように発生・発展して現在の姿となったかについて, 著者が自称される「実験考古学」により明らかとなった興味ある種々の事実に基づいて, 本号と次号で解説していただくことにした。
著者
大倉 龍起 石崎 泰裕 近藤 平人 大川 栄一 棚橋 博史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.549-553, 2015 (Released:2018-05-10)
参考文献数
7

ブルゴーニュ風牛肉の赤ワイン煮(ブフ・ブルギニョン)のように,肉料理に赤ワインを使用すると,肉が柔らかく,おいしくなることが経験的に知られている。本誌では,先に肉の臭みを抑えるポリフェノールの酸化防止作用を紹介したが(108巻12号),今回は,肉を柔らかくする主成分を明らかにした研究を紹介していただいた。
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.192-194, 1989

A simplified method for the determination of ethyl carbamate (CAE) in sake was devised.Twenty ml sample was adsorbed on Extrelut-20 (Merck Co., Ltd.), left for 20 min., and eluted with 60 ml of chloroform.The eluate was concentrated to 5-7 ml using a Kuderna-Danish (K.D.) evaporator.After washing the evaporator with 3-5 ml of chloroform, the concentrate was again evaporated to 0.5 ml by blowing air at 37&deg;C.CAE was determined by GCusing a capillary column packed with 5% phyney methyl silicone.
著者
志村 保彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.42-51, 1998-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
3

醸造技術や技能は, 科学技術の発達と共に少しずつ変化している。わが国の誇る醸造技術や技能は, 正しく伝承されるべきであり, 後世に受け継がれていかなくてはならない。いくら科学技術や設備機器が発達しても微生物の働きによって醸しだされる醸造の基本は, そんなに大きく変化するものではない。しかし後継者不足や人件費の高騰により多くの技術者を確保できない現状を考えると, 醸造技術の伝承はかなり難しいものになってきている。そこで, 2回に亘って原料処理から製品に至るしょうゆの基本技術 (キ下ポイント) を微に入り細に入り披露戴いた。
著者
奥原 章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.22-28, 1992

「自動びん詰機のどこが自動なのだ!」これは他産業に部分的オートメ化が導入されて以来, 30年以上にもなる長い間の嘆きの声である。そして今日, 一貫した自動制御方式を駆使した, いわゆるFA化時化に突入した。高短蒸煮, 機械製麹, 大型屋外醸酵タンク, 自動計量とケージ方式による圧搾装置等, 醤油製造装置の革命も一段落を見, ここに新しいFA化時代を迎えようとしている。常に最先端技術に取り組まれて来られた筆者に解説していただいた。
著者
本藤 智
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.612-617, 1995-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
56
被引用文献数
1

味噌の前身の醤や鼓に遡る含塩大豆発酵食品の開発以来, 塩は必須の原料であった。当初, 塩の効用は主に調味効果と保蔵効果であったが, 最近になって, 味噌の品質に及ぼす影響についての研究が多くの新しい情報を提供するようになった。それらを総括的に解説していただいた。
著者
松本 伊左尾 中沢 信吉 岩渕 坦 石原 和夫 今井 誠一 本間 伸夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.549-554, 1989-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

A.sojaeNo.9株とA.oryzaeS-03株の種麹(いずれも(株)樋口松之助商店製)を使用して, 9工場による醤油の比較試験を行ったところ,A.sojaeNo.9を使用した場合はA.oryzaeS-03使用に比べ, 次の特徴が認められた。1. 麹は水分が多く, pHが高く, また酵素活性はプロテアーゼ(pH5.7), 飴アミラーゼ,酸性カルボキシペプチダーゼが低く, グルタミナーゼ, エンド・ポリガラクチュロナーゼが高かった。2.熟成60日の諸味液汁は色が淡く, pHが低く, アルコールが少なかった。3.熟成180日の諸味液汁(生醤油)は色が淡く, 全窒素,ホルモール窒素が少なく, 蛋白分解率(FN/TN×100)が低く,還元糖が多く,火入逅が少なかった。有機酸は乳酸,酢酸が多く, コハク酸, ピログルタミン酸が少なかった。遊離アミノ酸はグルタミン酸のみ多く, その他はいずれも少ない傾向であった。4。官能的には約90%のパネルが両者を識別でき, そのうち約60%のパネルがA.sojaeNo.9の生醤油及び火入醤油を好んだ。終りにのぞみ,A.sojaeNo.9株とA.oryzaeS-03株の種麹をご提供いただいた(株)樋口松之助商店に深謝致します。なお, 本報告の要旨は(社)日本食品工業学会第35回大会(1988年3月, 東京)にて発表した。
著者
吉沢 淑 鈴木 大介 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.217-223, 1997-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
3 3

(1) 清酒の主要な香気成分とその類縁物質をモデル清酒に添加し, その酒質への影響をプロファイル法を用いた官能評価により調べた。(2) モデル清酒のアルコール分が高いと, 添加香気物質の香りへのマスキング効果が大きくなった。(3) 酢酸イソアミル, カプロン酸エチルなどのエステルや高級アルコール, ソトロンなど多くの物質がモデル清酒の上立香や含み香を増強させ, 果実様香, エステル様香, 老酒・シェリー様香, 焦臭などを付与, 増加させた。一方, パルミチン酸エチルは上立香を低下させた。(4) これらの物質の多くはモデル清酒の味を変化させた。中でも酢酸イソアミルは甘味を, 酢酸フェネチルは酸味を顕著に増強した。(5) 顕著な効果を示した物質を2種類組み合わせて混合添加した試料の香味は複雑な変化を示した。
著者
印南 博之
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.326-333, 2013 (Released:2018-01-12)
参考文献数
7
著者
菅原 悦子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.863-872, 2013 (Released:2018-02-13)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

味噌や醤油はわが国独特の発酵調味料から世界的に広く知られる調味料として飛躍している。その旨味成分や呈味機構についての研究が多く成されてきたが,近年では特有香気成分HEMFに関する研究が進んでいる。本解説では,味噌,醤油の特徴香成分としてのHEMFの生成メカニズムについて,これまでの研究成果をとりまとめてわかりやすく解説していただいた。本解説の著者は,味噌におけるHEMFの発見者であり,生成メカニズム解明の生化学的研究を進めていられ,今後求められる未解明の研究領域,HEMFの生理機能研究や味噌・醤油に含まれる未知の微量香気成分の可能性についても言及していただいている。わが国の発酵調味食品の製造において,品質向上の面から大変に興味の持たれる研究分野であり,同時に応用面にも寄与する研究である。