著者
磯谷 敦子 宇都宮 仁 岩田 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.374-380, 2004-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 9

清酒の熟成香に対するソトロンおよびフルフラールの寄与について検討した。これらの化合物はGC-01-factometryにより熟成酒から強く検出された。また, これらの化合物の定量を溶媒抽出およびGC-MS分析により行った。ソトロンについては, 内部標準物質として3-オクタノールの代わりに13C標識したソトロンを用いることで, 変動係数が10%以下に減少した。熟成酒中のソトロンの濃度は認知閾値を超えていたが, フルフラールは超えていなかった。26年貯蔵酒におけるソトロンのオダーユニットは61であった。したがって清酒の熟成香にはソトロンが大きく寄与していると考えられた。また, ソトロンの前駆物質と考えられているα-ケト酪酸およびアセトアルデヒドとソトロンとの間には相関がみられたが, 他の生成経路の関与の可能性も示唆された。
著者
宇都宮 仁 磯谷 敦子 岩田 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.9, pp.652-658, 2004-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23
被引用文献数
5 10

清酒の香味特性の参照標準とする物質及びその添加量を定めるため, アセトアルデヒド, イソバレルアルデヒド, ベンズアルデヒド, ジアセチル, フルフラール, ソトロン, エチルメルカプタン, ジメチルスルフィド, ジメチルトリスルフィド, 及び2, 4, 6-トリクロロアニソールについて検知閾値, 認知閾値及び90%認知閾値を求めた。イソバレルアルデヒド, ソトロンの検知閾値は, 既報に比べ10倍以上低かった。
著者
宇都宮 仁 磯谷 敦子 岩田 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.729-734, 2004-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

清酒の香味特性の参照標準とする物質及びその添加量を定めるため,エステル(酢酸エチル,酢酸イソアミル,カプロン酸エチル),アルコール(イソアミルアルコール,フェネチルアルコール)及び有機酸(酢酸,酪酸,イソ吉草酸,カプロン酸,カプリル酸)について検知閾値,認知閾値及び90%認知閾値を求めた。前報で報告したものも含め清酒へ添加した20種類の匂い物質の閾値を,ビールに添加した匂い物質の閾値と比較すると酢酸イソアミル,フェネチルアルコール,イソバレルアルデヒド,DMS,TCA,酢酸,カプロン酸及びカプリル酸では低かったが,他10成分(ソトロン,フルフラールを除く)は大きく異なるものではなかった。
著者
荒巻 功 江辺 正英 三浦 剛史 吉井 美華
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.837-847, 2011 (Released:2017-03-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 8

酒造用原料米の無機成分の含有量について,品種や精米歩合ごとの測定を行い以下の結果を得た。(1)無機成分含量を比較すると,酒造好適米は一般米に比べてKが有意に高かった。また,五百万石,美山錦,兵庫北錦は,K,P,Mgが高く,山田錦は,Sが最も低かった。(2)玄米中の無機成分含量は,従来の報告と比較すると,P,K,Mgは低く,Ca,Mn,Feは同程度であった。同一地域産,同一品種での年度間差異はSiにバラツキがみられたが,その他の元素には大きなバラツキはなかった。(3)同一圃場で生産された山田錦と日本晴を比較すると,山田錦は,日本晴に比べて,有意にFe,Sが低く,2品種間の差異が認められた。(4)精米による含有量の変化を調べた結果,K,P,Ca,Mg,Mn,Siは,精米により玄米から精米歩合70%の間に急激に減少したが,精米歩合70~30%では,大きな変化はみられなかった。Sは,玄米から精米歩合30%まで精米歩合が低くなるにつれ直線的に減少した。(5)山田錦と五百万石の心白粒と無心白粒を精米歩合別に無機成分含量を比較した結果,顕著な差異は認められなかった。(6)SEM/EDXによる観察から,P,K,Mgはアリューロン層に,Siは玄米の果皮の表面部分に多く分布することが明らかとなった。
著者
村上 英也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.889-894, 1994-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

東洋と西洋の酒の特色の第一番目に掲げられるのは澱粉の糖化材としてのカビと麦芽の違いであろう。その東洋のカビの代名詞的存在としての麹菌を最初に日本において発見したのがドイツ人学者であるが, 当時の状況はどのようなものであったのであろうか。麹菌の権威である筆者に, その辺を紹介していただいた。麹菌に関する貴重な資料としても意味がある。
著者
上岡 龍一 後藤 浩一 山内 彰雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.771-776, 2005-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

近年, 味噌の生理活性に関する様々な研究が行われており, 大腸がんの前がん病変 (ACF), 胃腫瘍, 肺腺がんに対して, 大きな予防効果を示すことなど報告されている。しかし, がん抑制成分の特定や制がんメカニズムの詳細については明らかにされていない。著者らは, 麦味噌から有効成分を抽出し, 新たに開発した天然素材の複合脂質膜に含有させ, ヒト肺扁平がん細胞に対する増殖抑制効果を検討された。特に, 脂溶性成分に顕著な抗腫瘍活性のあることを明らかにされ, 味噌中に含まれる脂肪酸および脂肪酸エチル, なかでも, リノレン酸エチルが重要な抗腫瘍成分であることを初めて見い出された。これらについて詳細に解説していただいた。
著者
川上 晃司 越智 龍彦 三上 隆司 藤井 一嘉 谷本 昌太
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.55-65, 2008-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

To elucidate the suitability of unwashed rice for sake brewing, we carried out pilot scale brewing with unwashed rice and ordinary polished rice from Senbonnishiki polished to 50% and Nakateshinsenbon polished to 70%.The activity of acid protease in koji from unwashed rice was slightly higher than that of ordinary polished rice.The fermentation periods of moromi mash from unwashed rice were a fewdays shorter than those of ordinary polished rice.General components, yields, andflavor components in sake from unwashed rice were almost the same as those from ordinary polished rice.Alcohol yield from unwashed rice was slightly lower than that from ordinary polished rice, and the sake cake ratio from unwashed rice was comparatively higher than that from ordinary polished rice. Succinate in sake from unwashed rice was significantly lower than that from ordinary polished rice. Sensory scores of brewed sake from unwashed rice were almost the same as those from ordinary polished rice.These results suggest that not washing can not only save labor in the rice-washing process but also yield sake of the same quality as that from conventional methods.
著者
宇都宮 仁 木田 信 牧 則光 磯谷 敦子 岩田 博 西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.446-457, 2006-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

1.ヘッドスペースSPME法による焼酎及びホワイトスピリッツの中高沸点香気成分分析条件を検討した。高級アルコールや脂肪酸エチルエステル等の共通する成分に加えて, 甘藷焼酎にはテルペン類及びサリチル酸メチル, 泡盛には1-オクテン-3-オールといった特徴のある成分が検出され, 本法は中高沸点成分の分析に有用であった。2.一般成分 (pH, 酸度, TBA価), 酵素法で測定したアセトアルデヒド及び酢酸, 直接ヘッドスペース法で測定した7成分, ヘッドスペースSPME法で測定した20成分を合わせた32成分を用いて, 本格焼酎 (28), 花酒 (1), 甲類 (3), 甲乙混和 (2), ウオッカ (3), ラム (3), アラック (1), テキーラ (1), ピンガ (1) のクラスター分析を行ったところ, 酒粕焼酎2点を除き, (1) 本格焼酎, (2) 甲類・甲乙混和・ウオッカ・ラム, (3) その他のグループに類別された。3.ステップワイズ変数選択を行い, 酢酸, 酢酸エチル, イソアミルアルコール, 1-ドデカノールを用いて「本格焼酎 (28)」,「甲類・甲乙混和・ウオツカ・ラム (11)」,「中国白酒 (4)」のカテゴリーの判別分析を行うと誤判定1で判別が可能であった。4.本格焼酎 (28) 間では, メタノール, 1-プロパノール, イソブタノール, カプリル酸エチルを用いて, 誤判定1で甘藷, 泡盛, 米, 麦, ソバ, 黒糖, 酒粕の判別が可能であった。5.本格焼酎の特徴は, 高級アルコール及び低沸点のエステルが多いことであったが, 中国白酒より酢酸, 酢酸エチル, アセトアルデヒドが少なく, 穏やかな香味を持つと考えられた。
著者
篠原 隆 川本 康裕 柳田 藤寿
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.215-223, 1998-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
22

1.ワイン酵母(S.cerevisiae)の有する三種のグリコシダーゼ活性をYM培地,ブドウ果汁培地および栄養源補添ブドウ果汁培地により培養して測定した。供試酵母は25℃で2日間培養した後,あるいは対数増殖期と定常期に集菌し,pH5,0およびpH3.5にて合成基質と反応させて活性を求めた。2.YM培地による培養の場合,供試105株のβ-グルコシダーゼ活性は,pH5.0において159-1539nmolであったが,pH3.5の場合に70-817nmolであり,本酵素活性の低下が示された。供試20株におけるα-アラビノシダーゼおよびα-ラムノシダーゼ活性は,それぞれユ2-53(pH5.0), 9-80(pH3.5)nmolおよび2-24(pH5.0), 1-29(pH3.5)nmolであった。これらのグリコシダーゼ活性は菌株およびpHにより変動が認められたが,いずれも低活性であった。3.ブドウ果汁で培養した場合,βブルコシダーゼ活性は,対数増殖期の菌体が定常期の場合より高活性の傾向であった。しかし,その対数増殖期の活性は, 66-318nmol,pH5.0および19-307nmol,pH3.5であり,低活性であった。また,培養上清液のβ-グルコシダーゼ活性について,対数増殖期および定常期において4-35μU/mlおよび1-10μU/mlと極めて低活性であった。4.ブドウ果汁培地への栄養源補添の効果が,一部の菌株について示されたが,そのグリコシダーゼ活性は低いレベルにとどまった。5.ネオマスカットブドウを用いた試験醸造を1995年度および1996年度に実施した。酵母区について,そのワイン中のテルペノール濃度は果汁より0.2-0.4mg/l増加したが,菌株間の差異が0.1mg/l以下であり,供試ワイン酵母のグリコシダーゼがテルペノール生成に及ぼす効果は小さいと推定した。一方,酵素区ではテルペノールが明確に増加しており,その増加量が0.7-1.6mg/lであった。また,供試ブドウ果汁中には有意のテルペノール配糖体の存在することが示された。最後に,本研究遂行に当たりご助言を賜りました本研究施設高柳勉博士に感謝いたします。また,酵素標品をご提供下さいました明治製菓(株)生物科学研究所高野敏明氏に感謝いたします。
著者
村中 文人 岩間 直子 斉藤 知明 殿内 暁夫 赤田 辰治 武田 潔
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.9, pp.711-716, 2006-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

カプロン酸エチル高生産酵母Sacckaromyces cereuisiae3703-7株はグルコース濃度15%培養温度25℃で培養した時カプロン酸エチル生成が最大であった。糖類ではグルコースよりはシュクロース, フルクトース基質の方がカプロン酸エチル生成が多かった。親株の3703株はカプロン酸エチル生成に対するグルコース濃度,培養温度の効果はほとんどなく, その生成量は3703-7株と比較して1/7-1/10であり, 低かった。これらの結果からフルクトース,グルコースとシュクロースを糖組成とするリンゴ搾り粕を原料として3703-7株をエタノール発酵することによりカプロン酸エチルや酢酸エチルの香気物質を生成することが示唆された。リンゴ搾り粕から糖濃度の異なる2種類の抽出液,×5抽出液(糖分6.4%を含む)および×1抽出液(糖分10.4%を含む)を調製し, 3703-7株を植菌し, 15℃ および25℃ で培養した。カプロン酸エチルは×1抽出液の方が多く生産された。×1抽出液で25℃8日間培養後, エタノールは5.23%生成され,カプロン酸エチル, 酢酸エチルと酢酸イソアミルはそれそれ3.12ppm, 7.13ppm, 0.45ppmであった。この発酵液の蒸留液はリンゴの香りに加えてカプロン酸エチルの甘い香りを有するエタノール32.3%のフレーバーアルコールであった。
著者
後藤 正利 二神 泰基 梶原 康博 髙下 秀春
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.219-227, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

白麹菌は,九州地方において本格焼酎製造に古から広く利用されてきた有用糸状菌=「国菌」である。しかし,白麹菌醸造特性についての分子生物学的な知見はとほとんどない。本稿では,白麹菌について最新の分子生物学的なツールを用いたゲノム解析,高頻度相同性組換え宿主の育種,マイコトキシン非生産性の要因,クエン酸高生産要因遺伝子の探索,糖質加水分解酵素の機能同定などの研究成果について解説していただいた。「白麹菌らしさ」の秘密が明らかとされつつある。
著者
秋田 修
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.621-625, 1992-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

香気の高い清酒の創出のために, これまで長い年月をかけて酵母菌株のスクリーニングが行われてきたが, 近年ではバイオテクノロジーの進展により遺伝子レベルでの香気生成のメカニズムの解明がなされ, 新しい育種技術がもたらされている。そこで本稿は酵母の香気生成について最近明らかにされた知見をとりまとめ, 今後の展望を解説していただいた。
著者
寺本 祐司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.583-590, 2013 (Released:2018-01-15)
参考文献数
3

ベトナムの面積は約33万平方キロメートル。南北に,ほぼ北海道から本州の距離に相当する細長い国土を有している。1995年にASEAN加盟後の経済発展が著しく,日本から多くの企業が進出している。一方,南部や北部の平野には水田が多く水牛が草を食んでおり,かつての日本の農村に似た風景が広がっている。これらの農村では必ず米を原料とする蒸留酒が作られている。大都市の店頭でみかける酒類は,ビールと政府系企業が連続式蒸留機を用いて生産する米製ウオッカだが,農家で自家醸造される蒸留酒の生産量はこの米製ウオッカの10倍以上あるといわれている。本稿では,ベトナム南部メコンデルタの伝統酒について解説していただいた。
著者
岡崎 直人
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.951-957, 2009 (Released:2016-02-16)
参考文献数
26
被引用文献数
1

麹はアジアの醸造文化の根底をなすものだが,その実態は,原料の種類,前処理方法,培養方法,菌の種類など大きく異なっている。本稿では,その違いを,原料処理とカビ増殖の相性,歴史,風土,食文化等から考察し,日本は中国から麹を利用する酒類の製造法を学んだが,それぞれの食文化,風土の違いから,日本独自の伝統酒の世界を作り上げてきたことを詳細に解説していただいた。
著者
稲橋 正明 吉田 清 蓼沼 誠
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.1006-1015, 1999-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

窒素源の種類によつては培養条件により, 高頻度にTTC染色性のないコロニーが現れることを見出した。それらTTC染色性のない酵母の性質及び醸造特性について調べた。セリン, チロシン, アスパラギン及びアスパラギン酸を単独添加した培地を用い35℃ 以上で培養した場合に, TTC Whiteのコロニーが高頻度で出現した。これらTTC Whiteのコロニーの出現は特にアスパラギン酸及びアスパラギンを用いた場合に著しかった。TTC White株はグリセリン培地に生育せず, チトクロームa+a3の吸収スペクトルが消失していることから呼吸欠損菌であった。これら呼吸欠損菌を用いて小仕込みを行い, 小仕込み酒の成分結果を親株 (TTC Red) と比較したところ, 発酵の遅れ, 酸度の上昇 (リンゴ酸, 酢酸の増加), 香りの低下を招いた。
著者
梅本 勝博 遠藤 温
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.707-710, 2002-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

企業活動において, 俊敏な意思決定と迅速な行動は, 企業の発展や生き残りにかかわる重要な要件であり, 種々の情報や知識を踏まえて的確に行う必要がある。そのためには普段から知識の収集・分析・意思決定などを柔軟かつ機動的に行えるように組織力を引き上げておく必要があり, そのような知的機動力の視点から見たナレッジ・マネジメントの概念が明瞭に解説されている。
著者
江村 隆幸 岡崎 直人 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.9, pp.726-732, 1999

243年前 (宝暦6年, 1756年) に仕込んだ古酒が新潟県関川村, 渡邉家で発見され, 官能評価及び成分分析を行った結果, 以下のことが明らかになった。<BR>1.官能評価の結果, 外観等の性状は濃暗褐色で濁りはなく粘度が高く, 強い酸味と甘味及び若干の苦みを有し, 香りは強い老香様を呈していた。<BR>2.現在の清酒に比較して, 酸度およびグルコース濃度は高く, pHは低く, また, 酸度の割にアミノ酸度は低かった。<BR>3.有機酸は, コハク酸及びクエン酸を除き測定した全ての成分において多かった。また, リン含量が多かったがその理由として, 当時の製法が玄米または低精白米を使用したことが推察された。<BR>4.アミノ酸含量は, 測定した20アミノ酸全てについて現在の清酒に比較して少なく, 特に塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸が少なかった。<BR>5.酢酸エチル, 酢酸イソアミル, イソアミルアルコール, イソブチルアルコール及びn-プロピルアルコールの香気成分が同定された。<BR>6.アルコール濃度は約2%と低く, 貯蔵開始時の容積の約35%が蒸発したためと考察した。<BR>7.以上の結果から, 当初詰められた酒は糖分と酸の多い現在の酒母に近い酒であったことが推察された。<BR>最後に, 243年古酒を提供していただいた渡邉家保存会理事長渡邉和彦氏に厚く御礼申し上げます。また, 本報告にあたりご協力賜りました大洋酒造 (株) 平田大六氏に深謝いたします。
著者
佐藤 圭吾 鍋倉 義仁 青木 俊夫 金桶 光起 渡辺 健一 月岡 本
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.377-381, 2002-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

市販の低アルコール, ソフトタイプ清酒27点について一般成分分析, 糖組成および有機酸組成の分析を行い結果を得た.1.一般成分の分析を行ったところ, 酸度, アミノ酸度, 日本酒度およびアルコール分は幅広い成分値を示していた.また, 日本酒度および酸度に直線関係がみられた.2.糖組成は, その主たる成分はグルコースであった.3.有機酸組成は, 乳酸が主体であったが, いくつかの試料はクエン酸またはリンゴ酸の含有量が比較的高いものがみられた.4.官能評価において香味の不調和を指摘する意見が多かった.また, ピルビン酸を前駆体とするダイアセチル臭やアルデヒド臭の指摘が散見された.
著者
平野 博之 佐野 芳雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.613-617, 1993-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
24

日本で好まれる米はジャポニカ米だが, 海外ではインディ力米が好まれる。前者は粘りがあるのに比して, 後者はパサパサである。この米の品質はアミロースの含量によっている。そのアミロースの合成はWaxy (wx) 座と呼ばれる遺伝子座の働きによって調節されている。イネwx座の遺伝子産物 (Wxタンパク質) はアミロースの合成を触媒するスターチシンターゼ (EC2.4, 1.21) である。米の品質を左右するwx座の性質と機能についての先端的な遺伝学的, 分子生物学的研究をわかり易く解説していただいた。