著者
北本 勝ひこ 三宅 優 渡辺 誠衛 中村 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.53-58, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

白米の胚芽残存率と, それを用いて仕込んだ清酒のアミノ酸度との間に, 高度な負の相関が認められたので, それを確認するために胚芽単独に添加した仕込を行い, その効果を確認した。胚芽添加仕込により得られた清酒は, 次のような成分的特徴を持っていた。1. アミノ酸度, 総窒素, OD260, OD280, 酸度等は胚芽の添加量に応じて減少した。特にアミノ酸度は対照の50%となった。2. 各アミノ酸のうち, オルニチン, トリプトファン, プロリンを除いてすべて減少したが, 顕著な減少を示したアミノ酸のなかに高級アルコールの生成に関与するバリン, ロイシン, イソロイシン等のアミノ酸の減少が含まれ, それに相応する高級アルコールが増加した。3. 有機酸のうち, 清酒にとって好ましくない酢酸, ピルビン酸の減少が顕著だった。終りに, 御校閲頂いた醸造試験所所長, 佐藤信博士および第6研究室室長, 吉沢淑博士に感謝いたします。
著者
奥原 章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.149-152, 1987-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18

低塩化された醤油がJASで「うす塩しょうゆ」などと呼ばれるようになって7年, ようやくその市場が定着しつつある。この原動力となった減塩醤油もキッコーマンが病者用醤油として種々検討を重ね市販してから, かれこれ20年を経たと言われている。今日では単に病者用としてではなく一般用としてもその地盤が固定化しつつあるように見られている, この開発に当ってのうら話などを被露していただいた。
著者
永谷 正治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.98-102, 1970-02-15 (Released:2011-11-04)

清酒の火入れの問題は上槽後の工程のうちで, もっとも重要なことのーつである。しかも従来この方面の理論的解析はほとんどなされていない。本稿では最近の著者の清酒の加熱殺菌に関する研究結果をわかりやすく解説していただいた。
著者
中野 浩
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.390-389, 1953

従来酒類の矯正方法中脱酸にはNaOH, CaCO<SUB>3</SUB>, K<SUB>2</SUB>CO<SUB>8</SUB>等の中和剤による方法がとられて来たが, 最近イオン交換性合成樹脂による酒質の矯正 (脱酸, 脱塩) が試みられ, 可成の成績を修めている様である。即ち本邦においては麻生氏等 (1) がイオン交換樹脂を用いてリンゴ酒の品質向上を図り, 最近では伊藤氏等 (2)(3) がアルコール及び不良清酒, 酸敗清酒をイオン交換樹脂にて処理する事により矯正出来ると報じている。又津田恭介氏 (4) はイオン交換樹脂を用いて酒類の脱酸及び, 防腐剤として用いた牛乳中のサリチル酸の除去を試みており, Buck, Mottern氏等 (5) はResinous Products & Chemical Co. で製造されたイオン交換樹脂を用いて, 林檎汁を試料にアニオン交換法, カチオンーアニオン交換法, アニオンーカチオンアニオン交換法の三つの方法について研究を行つている。<BR>本試験は防腐剤として用いたサリチル酸が粗悪製品であつた為, 清酒にフエノール様の臭気及び強烈なる収斂味を帯び飲用に供し得なくなつたものについて脱サリチル酸を目的として行つたものである。(尚供試試料は酒造場においてサリチル酸投入直後, 早期発見により攪拌前に上下層を分離したものの下層部分で, そのサリチル酸含有量は石当り25匁である。)<BR>即ち試料を突間速度*15~20で膨潤イオン交換樹脂層を通過せしめ, 流出液に活性炭素を投入し5時間後に濾過精製した。その結果酒質はボケて押味も不足となつたが, サリチル酸含有量は規格以下になりフエノール様の臭気及び収斂味も感じられなくなつた。
著者
吉沢 淑
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1266-1262, 1961

1) いろいろの蒸溜酒のフーゼル油中の高級アルコールの組成をガスクロマトグラフィーを用いて定量した。<BR>試料としてウイスキー, ブランデー, カルバドス, ラム, しようちゆう18点を用いた。<BR>2) 固定相としてジオクチルフタレート, グリゼロール, トリエタノールアミンの3種類を用いた。<BR>メタノール, エタノール, n-, イソプロパノール, n-, イソ, 2級, 3級ブタノール, n-, イソ, 活性アミルアルコール, ペンタノールー3, メチル-n-プロピルカルビノールが分離出来た。<BR>3) フーゼル油中にイソアミル, 活性アミルアルコール, ペンタノール-3, n-, イソ, 2級ブタノール, n-プロパノールを認めこれらの量の酒の種類による相違などについて検討した。
著者
安田 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.839-842, 1983-11-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1 1

酒の肴としても珍重され, チーズに似た舌ざわりとウニのような風味をもつ沖縄の発酵食品「豆腐よう」の歴史と製造法等について解説していただいた。
著者
小泉 武夫 忍田 憲一 石橋 信治 鈴木 雄三 鈴木 明治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.192-196, 1975

1.飲酒に供した酒類により, 尿の臭いが特徴づけられることはしばしぽ飲酒者の体験により知られるところである。本報告では熟し香構成成分解明の手掛かりを得ようと, 清酒とそれ以外の酒類 (ぶどう酒, ピール, ウイスキー, 甲類焼ちゅう) を飲酒した場合の尿中揮発成分について比較した。<BR>2.飲酒することにより排尿中の成分は, 飲酒前に比べて複雑に増加することを知った。<BR>3.ガスクロマトグラフィー分析で, 清酒飲酒後の尿中に14成分の存在を推定したが, 他の酒類の場合でもほぼこれに近い尿成分であった。<BR>4.薄層クロマトグラフィー分析により塩基性区分を検討したところ, 飲酒に供した酒類の別により検出成分に差がみられた。特に清酒飲酒の場合特異的であり, これら尿中塩基化合物は, 清酒飲酒の際の尿の不快臭に重要な要因となっているものと推察した。

3 0 0 0 OA 品質で推す

著者
編集部
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.548-551, 1971-06-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

味噌業が中小企業構造改善の指定業種となり, 今その改善事業計画が実施に移されつつあるようである。そしてまた, 構造改善のあとに来るべきものは何であろうかという論義をも呼んでいる。ともかく小規模企業にとり悲観的材料ばかり多い現在であるが, 品質第一主義に徹し企業存立の基盤を鞏固にしている諸例のあることを紹介できるのは喜ばしいことであり, 明るい材料ではあるまいか。各地の産地企業にお尋ねしたところ, 快くお応え下された次の三つの, それぞれ異色ある事例を紹介することにした。その1は大消費地に新しく販路を開拓した例, その2は地方銘柄品として市場に広く普及し定着した例, その3はその品質が高く評価され, 地方市場に確固たる信用を得ている例である。

2 0 0 0 OA 柿澁の化学

著者
中林 敏郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1149-1154, 1968-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

今, 酒屋の店頭には皆テリのよい酒が並んでいる。これは商品として至上命令であるからである。そのオリ下げ法には柿渋を中心とした方法と酵素法などがある。私共は経験的に柿渋法のすぐれていることを知っている。しかし, その効果がどうも一定しないとか, その品質がわからないなど問題も多い。柿渋についての知識を正しくかつ豊富にするためにぜひ一読願いたい。
著者
村上 満
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.869-873, 1984-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7

ビール醸造の歴史を語るときに修道院の果した功績を忘れることは出来ない。近代的なビール醸造に携わる著者が, 中世のビール醸造に寄せる夢は男のロマンともいえよう。
著者
和田 昭三
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.568-572, 1981-09-15 (Released:2011-11-04)

最近, 清酒容器の紙パック化が目立っている。この傾向は今後益々進展するものと予測される。そこで樽から紙パックに至った背景や現状と問題点等について解説していただいた。
著者
善光 則之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.104-108, 1980-02-15 (Released:2011-11-04)

縄のれんをくぐって, グーツと飲む熱燗が一段とうまい季節である。ところで変な香りがする, 水っぽい, 色が濃いといったようなお酒を飲まされた経験はないだろうか。現在, 使用されている酒燗器には数多くの種類があるが, その機種や使用法の誤ちから, せっかくの銘酒を台無しにする場合がある。本稿では, 筆者自ら一台一台を分解して調べた貴重なデータを用いて, 酒燗器について解説していただいた。
著者
鈴木 卓也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.95-97, 1981-02-15 (Released:2011-11-04)

すでに (昭和55年7月1日) 施行されている, ビールの表示についでウイスキーの表示についても昭和56年4月1日より実施されることになった。そこで, ビール・ウイスキーの表示に関する公正競争規約の設定にいたった経緯について解説していただいた。清酒とも比較して是非一読されたい。
著者
日高 修
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.623-628, 1987-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

醤油醸造はそもそも大豆, 小麦および食塩を主原料としていたが, 大豆中に含まれる脂質は調味料製造に不要, 少なくとも重要な役割を演ずることはないとの判断で, 戦中の原料供給事情の厳しさの中では, 大豆油は直接食用とし, その抽出後の脱脂加工大豆を使用する方が合理的であった。そして, 戦後もずっと脱脂加工大豆が醤油の主要蛋白原料として使用されてきたが, 最近, レトローグルメー自然食品志向の線に浴って, 再び丸大豆使用の醸造技術が見直されるようになった。しかしながら, 丸大豆は, 形状, 組織, 化学成分などの面で脱脂加工大豆とは著しく異なリ, それが, 製造工程, 醸造期間, 製品収率, 製品品質への影響は無視しえぬことが判り, すでに部分的には問題点の改良がなされるようになった。今回は, それらの問題点の摘出と改良につき, 最新の微生物的, 酵素的ならびに化学的解析技術を駆使して取組んできた研究成果につき解説して頂いた。
著者
岩野 君夫 三上 重明 福田 清治 椎木 敏 島田 豊明
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.490-494, 1986-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
32
被引用文献数
19 20

焼酎白麹の各種酵素の諸性質が清酒麹および泡盛麹と較べてどのような差異があるか調べたところ次の結果を得た。1. 焼酎白麹および泡盛麹のα-amylaseは焼酎醪のpH範囲であるpH3~4において相対活性が80%以上と高く, かつpH安定性もこのpH範囲において残存活性が90%以上と高いことが認められた。2. α-Amylaseの熱安定性は焼酎白麹が60℃, 泡盛麹が50QC, 清酒麹が40QCで, 最適反応温度は焼酎白麹が70℃, 泡盛麹が60℃, 清酒麹が50℃ で, 焼酎白麹のα-amylaseの耐熱性が最も高かった。3. 3種類の麹のglucoamylaseは焼酎醪のpH範囲3~4においては相対活性やpH安定性がほぼ同一で高い値を示した。4. Glucoamylaseの熱安定性は焼酌白麹は60℃, 泡盛麹と清酒麹が50℃ であり, 最適反応温度は焼酎白麹が70℃, 泡盛麹と清酒麹は60℃で, 焼酎白麹のGlucoamylaseの耐熱性が高いことが知られた。5. 蛋白分解酵素のacidprotease, acidcarboxypeptidaseは3種類は麹ともほとんど同一の諸性質を示した。6. 3種類の麹の諸酵素の最適反応pH, pH安定性および熱安定性の結果から, 実験方法に示した各種酵素活性の測定条件で, 3種類の麹の酵素活性が測定できることが裏づけられた。最後に臨み, 本研究の遂行に当り御指導を腸わりました当試験所中村欽一所長に深謝致します。
著者
菊地 勇次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.487-492, 1973-07-15 (Released:2011-11-04)

塩と米酢の味しかしらなかったわが国の古代人が, 中国大陸から伝えられた豆醤と肉醤を, どのように料理に生かしたか。味つけは, 各人が食繕で行なった平安時代の習慣が, 中世のうちに調理中に味つけしてしまう仕方にかわるとともに, 醤や鼓の姿がどのようにかわって江戸から現代まで伝えられてきたか。これは, われわれの先祖が味わい, 伝えてきた醤油や味噌の物語である。