1 0 0 0 OA クドア

著者
川本 伸一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.491, 2017-09-15 (Released:2017-09-22)
参考文献数
1
著者
合谷 祥一 村上 敦 佐藤 桂子 稲積 佐代子 山野 善正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.679-684, 2000-09-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
11

疎水基であるトリテルペノイド基にカルボキシル基が結合したムクロジサポニン(SS)の界面活性,乳化性,クリーミング安定性およびゼータ電位に対するpHの影響を調べ,特にクリーミング安定性とゼータ電位についてSoyasaponin I (SI)によるエマルションと比較した.(1) 界面生成直後の界面張力は,pH 7以下でほぼ一定であり,pH 8以上で大きく増大し,pH 9で一定になった.界面生成3時間後では,pH 5以下で,界面に不溶性の膜が観察された.(2) SSはpH 6未満でそれ以上よりも低い乳化性を示した.(3) SSのエマルションのクリーミング安定性はpH 6以下で低くなり,乳化性と一致した傾向を示した.pH 7以上では,SIよりも平均粒径が低いにも関わらず,高い水相分離率を示した.(4) ゼータ電位は,pH 6から8にかけて増大し,pH 8.5以上でほぼ一定になった.また,どのpHにおいてもSIエマルションのゼータ電位よりも低い値を示した.
著者
木下 幹朗 柚木 恵太 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 弘中 和憲 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.270-275, 2008-06-15 (Released:2008-07-31)
参考文献数
34
被引用文献数
4 2

ナガイモのガンに対する機能性を探索する目的で,1,2-ジメチルヒドラジン投与マウスにおける大腸腺腫(ACF)発症に与える食餌性ナガイモ粉末の効果を検証した.ナガイモ粉末をAIN-93G標準飼料のコーンスターチ部分に100%または50%置き換えて投与したところ,大腸腺腫の発症が有意に抑制された.また,加熱および非加熱の生ナガイモ粉末ともに同様の効果が認められた.DNAマイクロアレイを用いて大腸での遺伝子の異同を調べたところ,ナガイモ投与群ではアポトーシスを誘導する遺伝子群の増加が認められた.
著者
白井 展也 樋口 智之 鈴木 平光
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.88-94, 2015-02-15 (Released:2015-03-31)
参考文献数
26

緑茶抽出物と魚油の6ヶ月間の同時摂取が,高齢者の認知機能と血漿脂質に与える影響について実験した.緑茶抽出物と魚油の同時摂取は,摂取前に比べて,6か月後の知能評価スケールを有意に改善した.また,緑茶抽出物と魚油摂取群の6か月後の知能評価スケールの増加は,プラセボ群に比較して,有意に高かった.これらの事から,緑茶抽出物と魚油の同時摂取は,高齢者の認知機能を改善している可能性が示唆された.血漿中のDHAおよびEPAの割合は,両群とも摂取前に比べて6ヶ月目で高くなった.しかし,3ヶ月目において,緑茶抽出物および魚油摂取群のDHAおよびEPAの割合は,プラセボ群に比べて,有意に増加を示した.これらの変化は,途中,試験群による違いが見られるものの,最終的に食材に提供される魚介類の増加が影響したと考えられた.血漿中の中性脂肪含量は,緑茶抽出物および魚油摂取群において,摂取前に比べて,6ヶ月目に有意な低下が示され,高齢者においても,緑茶抽出物および魚油同時摂取は中性脂肪の低下に有効である可能性が示唆された.これらの事から,緑茶抽出物と魚油の同時摂取は認知機能の改善に有効である可能性が示唆され,また,高齢者においても中性脂肪の低下に有効であると考えられた.
著者
藤原 孝之 坂倉 元 伊藤 寿 本庄 達之助
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.24-28, 1999-01-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

ブドウ果実の糖分析中のショ糖分解に及ぼすインベルターゼの影響を検討した.1.ブドウ果実の搾汁液においては,ショ糖の加水分解が急激に起こり,主にインベルターゼの作用によるものと判断された.搾汁液のショ糖分解程度およびインベルターゼ活性には,大きな品種間差異が認められた.2.今回供試したブドウ7品種の中で,‘スチューベン’のみは特異的にインベルターゼ活性が低く,ショ糖含量が高かった.3.‘スチ〓ーベン’を除くブドウ各品種のインベルターゼ活性は,イチゴ,ニホンナシ,メロンおよびウンシュウミカンより極めて高かった.4.ブドウの糖分析において,エタノール抽出を行う場合,抽出時のショ糖分解を抑えるために,抽出前に果肉切片をマイクロ波処理することが必要と判断された.
著者
上中 登紀子 福田 滿 豊沢 功
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.626-631, 2000-08-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1

大豆の吸水時における種子の形状変化を子葉細胞の形状変化の観点から調べ,以下の知見を得た.(1) 大豆は乾燥時には球状体に近い形であるが,吸水すると種子の幅(W)方向や厚さ(T)方向と比較して,長さ(L)方向への膨潤が著しいため楕円体に変形した.しかし,小豆やいんげんは,乾燥時からL方向に長い形をしており,吸水,膨潤してもほぼ元の形状を保っていた.(2) 乾燥大豆の子葉細胞はL方向に収縮しているが,吸水,膨潤すると,L方向に特に大きく膨潤し,細胞間隙が広がることを認めた.(3) 吸水大豆の子葉細胞は,種子のL方向と垂直な長軸をもつ細長い楕円形の回転体に近い形で存在していた.(4) 乾燥大豆の子葉細胞の細胞壁には,種子のL方向と垂直なしわが存在し,子葉細胞はL方向に折りたたまれていることが明らかになった.(5) 大豆の吸水による膨潤は,枝豆種子の乾燥・収縮時における形状変化の逆過程に類似している.なお,大豆種子の吸水・乾燥によるL方向への膨潤・収縮には,皮も関与していると推察した.

1 0 0 0 OA 応答曲面法

著者
柴田 真理朗
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.728-729, 2013-12-15 (Released:2014-01-15)
参考文献数
19
被引用文献数
2 4
著者
佐藤 明彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.273-277, 2017-05-15 (Released:2017-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

Grapes (Vitis spp) are a major fruit crop worldwide and are consumed as table grapes, wine, and raisins. Currently, the leading grape cultivars in the world are European (Vitis vinifera L.), and account for the majority of the worldwide production. European grapes, however, are highly susceptible to fungal diseases and to berry cracking when grown in wet climates. In eastern United States, breeders have attempted to improve the native American species through hybridization between European grapes and native species such as V. labrusca L. The interspecific hybrid cultivars derived from V. labrusca are classified asAmerican grapes (V. labruscana Bailey). In general, the fruit quality of European grapes is superior to American grapes for table and wine use. During the Meiji era, many European and American grape cultivars were introduced to Japan from foreign countries. However, the cultivation of European grapes failed due to severe diseases and berry cracking caused by Japan’s wet climate. As a result, American grapes such as ‘Campbell Early’, ‘Niagara’, and ‘Delaware’ were selected. Japanese grape breeders have developed many cultivars such as ‘Muscat Bailey A’, ‘Neomuscat’, ‘Kyoho’, ‘Pione’, ‘Kaiji’ and so on, using European and American cultivars as the parent stock. Recently, cultivation of ‘Shine Muscat’ has rapidly increased.
著者
谷藤 健 金子 成延 松倉 潮
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.333-338, 2003-08-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
23
被引用文献数
6 5

小麦デンプンのアミロース合成を支配するWx遺伝子型について3通りに分類される5品種・系統,およびオーストラリア産銘柄ASWの小麦粉からデンプンとグルテンを単離し,その特性を比較するとともに,これらを再構成した粉でゆでめんを調製し,破断特性および動的粘弾性を比較した.デンプン特性では,特にアミロース含量とセットバック(SB)の差異がゆでめんのテクスチャーに影響し,アミロース含量およびSBが低いことは,ゆでめんの破断時荷重Fおよび粘弾性指標値Vを有意に高め,動的弾性率G'を減少させた.一方,グルテンインデックス(GI)の高かった材料から単離したグルテンはこれらの両方を増加させた.したがって,G'とF,またはG'とVの関係は,デンプンの置換によって負の相関(各々r=-0.85*,-0.91*,*:p<0.05),グルテンの置換によって正の相関(各々r=0.96**,0.42,**:p<0.01)を示した.アミロース含量が低いデンプンの場合,GIが高いグルテンと組み合わせることによって,高いVと中程度のG'を示すゆでめんが得られたが,GIが低いグルテンとの組合せではG'は低くなり,粘弾性も低下した.すなわち,低アミロース小麦の優れた粘弾性を発揮させるためには,低アミロースによって生ずるG'の低下を抑制しうるグルテンの共存が重要であると考えられた.
著者
佐藤 秀美 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.508-513, 1999-08-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

放射伝熱および対流伝熱のみで食品を加熱できる装置を用いて,開放系で食品を加熱し,食品の水分蒸発挙動に及ぼす伝熱方式の影響を検討した.加熱条件は,放射伝熱の場合にはヒータ・試料間距離を92mmに,対流伝熱では風温250℃および風速10m/sとした.この条件で加熱した場合,食品の受ける熱量は加熱時間が2分20秒の時点で同じになる.試料には食パンを用いた.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 食パンの水分蒸発速度は,伝熱方式により異なり,放射伝熱で加熱した場合の方が対流伝熱の場合よりも全加熱時間にわたり小さかった.一方,放射伝熱における食パンの受熱速度は,加熱前半には対流伝熱よりも小さかったが,後半になるとこれよりも大きくなった.このことから,食品からの水分蒸発は受熱量だけで決まるわけではなく,伝熱方式の違いが大きく影響することが明らかになった.(2) 食品が受けた熱量のうち,水分の蒸発に使われる熱量の割合は,加熱開始直後では,放射伝熱,対流伝熱ともに約60%であった.放射伝熱の場合,この割合は時間の経過に伴い徐々に低下した.対流伝熱の場合,その割合は一旦増加し最大値を示した後,時間の経過に伴い,徐々に低下した.ピーク時のこの割合は90%を越えており,この辺りでは受けた熱量のほとんどが水分の蒸発に使われていることがわかった.
著者
山本(前田) 万里 奥田 祐 大菅 武 物部 真奈美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.586-591, 2014-12-15 (Released:2015-01-31)
参考文献数
33

茶葉中の健康機能性成分であるメチル化カテキン,エピガロカテキン(EGC),テアニンを給茶機RICH+®を用いて短時間で自動抽出する条件を検討した.最適抽出条件と飲用カップ1杯(120 mL)当たりの最大抽出量は次のとおりであった.茶葉中にメチル化カテキンを1.7 %含有する「べにふうき」緑茶1.9 gを94°C20秒間攪拌抽出することによって19 mgのメチル化カテキンが抽出された.EGC/EGCG含有比1の「ゆたかみどり」緑茶1.5 gを10°C30秒間攪拌抽出することによってEGC/EGCG含有比2.5のEGC 39 mgが抽出された.テアニンを1.4 %含有する「さえみどり」緑茶1.7 gを65°C20秒間攪拌抽出することによってテアニン20 mgが抽出された.メチル化カテキン,EGCに関しては,健康機能性が期待される1日必要成分量のおよそ 1/2量であった.
著者
中川 秀幸 加藤 肇一 鍋島 弘明 中嶋 實 久保 直哉
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.983-991, 1996-09-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

清酒製品ともろみ発酵過程における導電率の温度特性および諸成分との関係について検討し,以下の点を明らかにした.(1) 清酒製品の各温度における導電率を測定した結果,温度t(℃)における温度係数αt (%/℃)は,αt=-1.77ln(t)+8.32の近似式で表され,これは清酒もろみ発酵過程においても適用が可能であった.(2) 清酒もろみ中のいかなる成分が導電率に強く影響を与えるかをモデル溶液を用いて調べた.その結果,15%エタノール水溶液中では導電率は有機酸の影響を最も強く受けたが,モデル清酒中ではアミノ酸の影響が増大し,最も強くなった.(3) 発酵中のもろみの多成分の相互作用が導電率に及ぼす影響を調べるため重回帰分析を行った.その結果,導電率はアミノ酸度の影響を特に強く受けることがわかり,15℃における導電率L15 (μS/cm)とアミノ酸度F (ml)の関係式として次式を導いた.この関係は複数のタイプの清酒もろみで成立した.これらの結果より,導電率計の清酒醸造過程の計測への可能性が示唆された.
著者
嶋田 貴志 岡森 万理子 深田 一剛 林 篤志 榎本 雅夫 伊藤 紀美子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.604-607, 2011-12-15 (Released:2012-01-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

5週齢のBALB/c系雌マウスにスギ花粉アレルゲンを5回感作した後,腹腔内にアレルゲンを投与して好酸球を集積させるI型アレルギーの遅発相モデルを作製した.このモデルに対して,モリンガ(Moringa oleifera)の葉を3種の混合比(0.3%,1.0%および3.0%)で混じた粉末飼料を自由摂取させ,好酸球の集積および血清中の総IgE量に対する影響を調べた.通常の飼料を与えた対照群と比較してモリンガ葉を0.3%および3.0%与えた群は,総白血球数および好酸球数で有意な低値を示した.血清中総IgE量では対照群と比較して3.0%のモリンガ葉を与えた群が有意な低値を示した.以上の結果より,モリンガ葉は経口的に摂取することでI型アレルギーに対して抑制作用を有する可能性が示された.
著者
宮井 輝幸 秋山 正行 中川 稔 矢野 陽一郎 池田 三知男 市橋 信夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.591-594, 2012-11-15 (Released:2012-12-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

コーヒー,紅茶および緑茶の各種試料に,Bacillus属細菌(B. cereus, B. subtilis, B. coagulans) 芽胞を接種し,85℃30分間(食品衛生法におけるpH 4.6以上の清涼飲料水の殺菌基準) 加熱処理した後,その試料の保存中における生育挙動を調べた.コーヒー,紅茶試料では,牛乳を添加した場合,B. cereusとB. subtilisの菌数の増加がみられたが,牛乳を添加していないコーヒー,紅茶および緑茶の各種試料(pH調整の有無;コーヒーの焙煎度;紅茶の抽出温度;コーヒー,紅茶への砂糖添加) では,Bacillus属3菌種の菌数の減少がみられた.これらのことより,85℃30分間の加熱殺菌条件で製造した牛乳無添加の各種飲料中にBacillus属3菌種が生残していたとしても,コーヒー,紅茶および緑茶の抗菌性により商業的な無菌性が保証される可能性が示唆された.
著者
百瀬 晶子 池羽田 晶文 上平 安紘 三浦 理代
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.538-544, 2016-11-15 (Released:2016-12-23)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

(1)日本食の主食である米飯との組合せにより,GIを低下させるような副菜の検討を行った.副菜である検査食品は植物性食品5種類(こまつな,キャベツ,トマト,だいず,ながいも)を供試し,全てにおいて平均GIは100以下となった.特にながいもの検査食では,基準食に比べ摂取開始2時間の最高血糖値,血糖上昇曲線下面積(IAUC)共に顕著に低値を示した.これについて,ながいもの粘性物質マンナンが胃からの排出を遅延させ,食後血糖上昇抑制に関与したものと推察された. (2)検査食品中の成分とGI低下との関連を検討するため,総ポリフェノール量と食物繊維量を分析した.これらの成分含量とGIとの間に有意な相関は認められず,検査食品中のその他の成分や糖質構成による影響が複合的に作用したものと考えられた. (3) GI測定に応用可能な非侵襲血糖測定法の確立を目指し,負荷試験中のSMBGと近赤外スペクトルの相関について検討した.血糖値変化量と吸光度変化量の相関係数が0.6以上となる波長は約95%の負荷試験において確認された.波長は負荷試験ごとに変動するものの,単回帰分析により算出した推定血糖変化量から求めたIAUC およびGIは,SMBGによる血糖実測値に基づく結果を良く再現していた.
著者
小幡 明雄 松浦 勝
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.768-773, 1997-11-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

大豆磨砕時に起こる豆乳の色調変化について調べた.(1) 大豆の磨砕温度の上昇に伴って豆乳のL値,b値は減少し,a値は上昇した.これらの変化は豆乳中の過酸化物価の変化と相関していた.(2) リポキシゲナーゼの関与を調べるために,リポキシゲナーゼ欠失大豆を用いて同じ条件で磨砕したところ,磨砕温度が上昇しても色調の変化はほとんどなく,リポキシゲナーゼが色調の変化を起こす原因酵素であることがわかった.(3) リポキシゲナーゼにより退色する黄色成分について調べた.豆乳のb値を反映しているこの黄色色素は,限外濾過による挙動から,水溶性低分子成分であることがわかった.酵素反応前後の差スペクトルから,420nm付近の吸光度の減少が観察された.HPLCを用いて420nmで分析したところ,多くの成分が酵素反応後に消失していた.その中のメインピークの吸収スペクトルは415nmに吸収極大を有しており,カロチノイド系色素の吸収スペクトルとは異なっていた.
著者
舩津 保浩 西村 由紀子 石下 真人 上馬塲 和夫 西尾 由紀夫 寺島 晃也 真船 直樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.367-372, 2008-08-15 (Released:2008-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

豆乳や豆腐の副産物として排出される「おから」の有効活用を目的として,おからをケーキに利用した製品(「おからケーキ」)の一般成分,血糖値上昇抑制効果および官能的特性について従来の小麦を利用した製品(「対照ケーキ」)のそれらと比較検討を行った.その結果を下記に示す.(1)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の一般成分を調査したところ,食物繊維量,とくに不溶性食物繊維量が前者は後者よりも多い点に特徴がみられ,糖質量やエネルギー値でも前者が後者よりも低かった.(2)実用面を考慮した「おからケーキ」と「対照ケーキ」の100g同量摂取試験の結果,前者の食後15分,30分,45分および120分の血糖値は後者のそれらに比べて有意に低い値を示した.(3)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の50g糖質摂取試験を実施したところ,前者は食後30分の血糖値を有意に抑制した.また,両者のGIを比較したところ,前者のGIは後者のそれより39.1%低い値であった.(4)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の官能評価を実施したところ,外観,香り,大豆臭および甘味については両者に有意差はみられなかった.しかし,食感,飲み込みやすさおよび全体味では前者が後者より有意に好ましく,受容性でも高い傾向が認められた.以上の結果より,「おからケーキ」は,食後の血糖上昇しにくい食品であり,嗜好面でも「対照ケーキ」に比べて大きな違いがみられないことから,糖尿病予防食の一つとして利用可能であることが明らかとなった.
著者
山本 万里 佐野 満昭 松田 奈帆美 宮瀬 敏男 川本 恵子 鈴木 直子 吉村 昌恭 立花 宏文 袴田 勝弘
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.64-68, 2001-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12
被引用文献数
24 26

本縞では,茶葉中の抗アレルギー作用が期待されるカテキンであるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3”Me)含量の品種,摘採期,製造法による変動を検討した.EGCG3”Meは,品種別では,'べにほまれ'およびその後代である'べにふうき','べにふじ'に多く含まれ,二番茶以降に増加することがわかった.また,製造法では,緑茶(不発酵茶),包種茶(軽発酵茶)では大きな差異はなかったが,紅茶(発酵茶)にすると消失した.これらにより,EGCG3”Meを活用するためには,'べにほまれ','べにふうき','べにふじ'の二番茶以降の茶葉を使用し,緑茶もしくは包種茶に製造する必要があることが示唆された.
著者
田中 常雄 田中 彰
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.129-133, 1998-02-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
5 12

ハスカップの成分分析を行った.その特徴は以下のとおりである.(1) 他の果実類に比べて,カルシウム,鉄,ビタミンC,α-トコフェロール及び食物繊維の含量が多かった.(2) ビタミンCは凍結貯蔵中は安定で,少なくとも1年間は減少することはなかった.しかし,収穫年によるビタミンC含量に変動がみられた.(3) 有機酸の主成分はクエン酸で,高い含量を示した.(4) 糖度は有機酸に比べて低く,糖酸比も低かった.(5) 千歳8号は他の系統(品種)に比べて,水分,有機酸及び食物繊維が少なく,糖度は高かった.(6) 乾物換算値による成分間の相関を求め,灰分とカリウムおよびマグネシウム間の正相関などが認められた.