著者
土橋 正和 今井 順一 金子 正秀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.77-80, 2009-02-28
参考文献数
2
被引用文献数
1

入力顔画像から顔パーツを抽出・分析し、最適な似顔絵テンプレートを自動選択して似顔絵を生成する方法について述べる。形状ベースパターンマッチング手法により、入力顔画像から各顔パーツ(眼、眉、鼻、口)を抽出する。300人分の顔画像データベースから抽出した顔パーツに対して、輝度の主成分分析により特徴量を求め、階層的クラスタリングを用いて互いに似た形状でまとまるように各顔パーツの画像を分類する。特徴量と分類結果を用いてSVMによりマルチクラスの識別器を作成する。この識別器を用いて入力顔パーツのクラスを選択し、対応する似顔絵テンプレートにより似顔絵を描画する。実際にユーザに似顔絵を作成してもらい、手動での作成に比べユーザの負担を軽減でき、また、入力顔の特徴を良く表現した似顔絵を生成できることを確認した。
著者
山下 輝彦 小濱 剛 神山 斉己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.23-26, 2011-03-08

本研究ではサッカード眼球運動の発生メカニズムを解明することを目的として,前頭眼野から脳幹網様体に至る神経細胞ネットワークの数理モデル化を行った.神経生理学知見に基づけば,サッカード発生の際には,まず前頭眼野でサッカード計画が生成され,黒質網様部を介して中脳の上丘に達し,サッカード命令に変換される.上丘では,視線の移動量と移動速度に関する信号に符号化して出力され,これが脳幹網様体に伝達されて眼筋の収縮をもたらし,サッカードとして表出する.前頭眼野,上丘,および脳幹には,注視時に持続的に活動する注視細胞や,サッカードの準備段階で活動を開始するビルドアップ細胞,サッカードの直前に活動するバースト細胞などが存在することが知られているが,そのネットワークや統制のメカニズムについては,未だ完全には解明されていない.提案モデルは,解剖学的知見に基づいてサッカードに関与する神経系のネットワークを定式化し,サッカード時の各部の神経応答の再現を可能としたものである.シミュレーション実験の結果,エクスプレスサッカード時の神経応答をよく再現することが示され,アンチサッカード時の上丘中間層細胞の応答をも再現が可能であることが示された.このことから,サッカード生成メカニズムの数学的な表現として,ある程度の妥当性を持つことが示唆された.
著者
金子 大介 三井 実
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.54, pp.53-56, 2012-12-04
参考文献数
18

近年,音楽データの管理・再生をPCで行う人が増え,PCを再生機器として使用するPCオーディオが隆盛である.D/A変換をPC内部で行うとアナログ音声信号に影響を及ぼし音質劣化に繋がるため,外部DACが登場した.ディジタル信号しか扱わないPCでは理論上信号は変化しないはずだが,その再生音質はPCの構成によって変化すると言われている.その原因は,D/A変換を行う際のサンプリングClock jitterであると考えられる.jitterとは信号波形の時間軸方向の揺らぎであり,jitterが乗ると理論的には変化しないはずのアナログ出力信号が変化してしまう.本研究では,PCの動作環境とjitter量,更に音質との関係性を明らかにする.
著者
外村 佳伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.15, pp.35-41, 2000-02-21
参考文献数
18
被引用文献数
1

本稿では, 本格的に始まったディジタル映像時代において、今後期待の高まるインタラクティブあるいは双方向と言われる機能にていて述べる。すなわちインタラクティブ映像に関するインタラクティブ性の考え方、機能について考察するとともに、それを実現する技術について述べる。また、実際に開発が行われているインタラクティブ映像ツールの具体例を併せて紹介しながら、今後の方向性について示唆する。
著者
阿久津 由香 飯塚 由美 篠崎 智子 佐々木 和也 清水 裕子
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.59, pp.7-12, 2000-10-19

近年の情報通信技術の発展はめざましく, 学校教育においても, 子どもたちにさまざまな情報の中から有効なものを見つけだしたり, 自ら情報を発信したりする能力を身につけさせることが重要な課題となっている.また, 教員がマルチメディアの特性を生かした授業を試みることも, 教育効果が高まることとして期待されている.本研究では, 栃木県下の小・中学校の情報教育に着目し, 教育の現状, 問題点, 教職員の意識等の調査を行い, 情報教育の基礎資料とした.また, 限られた時間だけでなく, あらゆる教科においても情報教育は展開される必要があると考え, 本研究室でマルチメディアコンテンツを用いた家庭科教材ソフトを作成し, 小・中学校の家庭科の授業に用い, 効果的な利用法を探っている.
著者
橋本 靖昭 根来 雅晴
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.21, no.15, pp.25-29, 1997-02-27
被引用文献数
1

We broadcasted "'97 FIS World Cup CrossCoutry and NordicCombind", as the teat-event of '98 NAGANO, with NTSC/HDTV simultaneous production system, It is the first time in Japan that the CrossCoutry competition was broadcasted in such a large scale. In this paper, we report this broadcasting system with new camera system developed for the '98 Olympic Games in NAGANO.
著者
橋本 将人 井ノ上 寛人 佐藤 美恵 郭 素梅 小黒 久史
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.13-16, 2012
参考文献数
4

カメラワークは映像作品のクオリティに大きく関与する要素の一つである.CG空間上にカメラワークを設定することで映像を作成する場合,映像の作成者にはカメラワークに関する専門家の持つ感性が必要とされる.このような背景から,適切なカメラワークを自動制御する技術に関する研究が進められている.本研究ではCGによる映像の作成に関して,観賞条件に適合したカメラワークを自動的に決定する手段を感性評価に基づき検討してきた.本稿では,感性評価の要因を解明する一つの指標として,観賞時の視線の推移に注目し,視線計測実験を実施した.その結果から,カメラワークが観賞者に与える印象と視線の動きの関係性を探った.
著者
濱岸 五郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.72, pp.53-58, 2000-11-17

メガネなし立体表示技術として古くから有名な技術はパララックスバリア方式とレンチキュラーレンズ方式である。このうちパララックスバリア方式は光を遮断し画面が暗くなる欠点があり、最近まではあまり注目されなかった技術である。しかしながら、筆者らは、ディスプレイに液晶パネルを使用する場合、パララックスバリア方式のシンプルな構造と液晶パネルに対し精度を上げやすい等の利点に注目し、かねてから本方式を採用しその改良を進めてきた。本稿では、これまで開発を行ったメガネなし3Dディスプレイの原理および応用展開について説明する。
著者
岩浪 哲馬 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.5-8, 2012-02-09

画像のコントラスト補正は,過度な強調により画質が劣化する,あるいは局所的なコントラストが未改善となるといった問題があり,画像の適応的なコントラスト改善は難しい.また,適応的なコントラスト補正を行った場合には,処理時間が増大する問題がある.そこで本稿では,画像をサブブロックに分割し処理を行う適応的なコントラスト補正法を提案する.提案手法は,ブロック分割による処理時間の削減およびDRSHEを局所領域に応用することで局所的なコントラストの向上を実現でき,Retinex手法と同程度のコントラスト強調度を保ちつつ大幅な処理時間の削減に成功した.
著者
温 文 石川 徹 佐藤 隆夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.25, pp.79-82, 2010-06-29

本研究は、大規模空間から空間知識を獲得する際の言語・視覚・空間ワーキングメモリが果たす役割を検討し、方向感覚の個人差が空間知識獲得のプロセスに与える影響を調べた。実験参加者にはビデオでルートを学習してもらい、学習の際に言語、視覚、或いは空間的な妨害を与え、各妨害条件で空間知識の学習成績がいかに低下するかを調べた。方向感覚のよい人は、ランドマークとルートの知識を、言語および空間ワーキングメモリを用いて符号化し、それらの知識をサーベイ知識に統合する際に、言語・視覚・空間ワーキングメモリのすべてを利用していることがわかった。一方、方向感覚のよくない人は、ランドマーク知識を言語的に符号化し、またルート知識を学習する際に特に視覚ワーキングメモリに頼る傾向が見られた。その結果、方向感覚のよくない人は、限られた学習ではサーベイ知識を効率的に獲得できないと考えられる。
著者
鈴木 直哉 小黒 久史 郭 素梅 佐藤 美恵 阿山 みよし 春日 正男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.35, pp.19-20, 2008-08-21
被引用文献数
1

両眼の視差情報は距離を知覚する上で,重要な役割を担っている.本研究では,映像の表示サイズと視差情報の調整によって知覚されるスクリーン距離の組み合わせが感性評価に及ぼす影響について調査することを目的する.偏光立体視の手法を利用し,表示サイズと知覚される距離との組み合わせを変化させた場合の,映像の印象を測定する評価実験を行い,その結果より各評価語が示す印象の鑑賞環境依存性やその相互関係を検討する.
著者
藤川 達也 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.43-46, 2011-03-08

我々は15インチと4インチの2つの画面を使用して,画面中央に呈示された幾何学図形のオブジェクトの変化と画面端にスクロールして呈示された文章に対する注意が画面サイズに依存するか検討した.15インチと4インチの画面の文章の正解率と図形変化の検出に有意な差はなかった.主観的な評価においては,多くの協力者が15インチの画面が見やすいと回答した.しかし,実際には図形の変化に関しては4インチの画面の方が成績がよい協力者が多かった.この結果は,我々がこれまでに行った研究と一致していた.
著者
内田 隆文 岩下 志乃
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.47-50, 2011-03-08

本研究では,Web画像閲覧時のユーザの視線の動きを測定し,1)ユーザの閲覧経験,2)Webページへの興味度,3)レイアウトの違いの3点において視行動特性に違いがあるかどうかを分析する.被験者は用意されたWebページ画像から提示された課題を探索する視覚探索課題を与えられ,その間の注視点計測を行う.被験者がWebページ画像を過去に閲覧したことがあるかどうかと,そのWebページに対する興味度をアンケートで調査し,注視点移動の特徴との関連性を分析する.また,レイアウトの違いによる特徴を確認する.その結果,閲覧有無や興味度により探索率には変化があり探索時間には変化が無いこと,シンプルなレイアウトは探索時間が短くなることが分かった.
著者
加藤 直哉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.23, pp.13-16, 1999-03-12

IS&TとSIDの共催による第6回Color Imaging Conference:Color Science, System, and Applicationが1998年11月17日〜20日にかけてアメリカ・アリゾナ洲Scottsdaleにて開催された。初日の17日はチュートリアルが行われ、テクニカルセッションは18日〜20日に行われた。全体としては、これまで主流であった入力・表示・出力各々の色彩画像機器の特性評価(Device Characterization)の発表が少なくなり、その分それらの画像機器をシステムとして接続する際の課題、例えば、Color Appearance ModelやGamut Mapping等の発表が増えた印象を受けた。表示機器の中でこれまでCRTが主であったのが、LCDの特性評価手法の発表が出始めてきたところが目立った程度であった。また新たな流れとしては、1)分光分布の復元のためのMulti-spectral解析、2)CGにおいて現実世界を復元するための色の忠実な再現、等が挙げられる。
著者
伊藤 正史 天谷 啓介
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.23, pp.1-4, 2012-06-08

甚大な被害をもたらした東日本大震災以降,各被災地には放送法第三条の五に基づく臨時災害放送局が開局した.2011年末,その一つである「女川さいがいエフエム」の天谷は,在京局の局員として番組送出システムの設計に携わっていた伊藤の技術報告を読み,臨時災害放送局にも使える小型APCはないかとの相談をSNSで持ちかけた.現在,伊藤は送出部門の所属ではないが,任意団体において既存の大規模送出システムとは対照的な小型汎用送出システムの研究開発を続けており,放送技術者の社会的責任として臨時災害放送局には無償提供することにし,本システムの導入に至ったので報告する.
著者
吉田 聡 泉 正夫 辻 洋
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.123-126, 2012-02-11

安価なデバイスであるKinectがどの程度の能力があるのか調査するため,歩行動作をしている人に対する人物判定を試みる.歩行動作を定義し,Kinectから得られる5人の情報を用いて歩行動作を表す特徴ベクトルを作成した.そして主成分分析を用いて特徴空間を構築した後,特徴空間での各クラスの重心からの距離と分散を用いてテストパターンの判定を行った.結果としてKinectは歩行動作をしている人物5人に対して判定した場合の適合率は約80%であることを示し,その結果と手法について考察した.
著者
新垣 吉也 永塚 守 都竹 愛一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.43, pp.7-10, 2000-07-27
被引用文献数
2

送信アンテナが風によって振動し発生するドップラーの影響については、これまで報告されていなかった。そこで、アメダスの風速データ、東京タワーの設計仕様値及び台風時の振動データなどを用い、風によって発生するドップラー量を算出した。また、SFN受信時にゴースト波がドップラー成分を含んだ場合の受信品質への影響を室内実験によって調査した。
著者
吉田 準史 長谷川 光司 春日 正男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.21, pp.9-12, 2008-05-26

本研究では,ゲームコンテンツの評価に適した用語を選定することを目的に,ゲーム雑誌およびユーザアンケートから数十種類の評価用語を抽出した.さらに20種類のゲームを実際に被験者にプレイさせ,各用語についての当てはまり具合を回答する実験を行った.実験結果に対し,分散分析,クラスタ分析などの統計的な処理を施すことにより,ゲームコンテンツの評価に相応しい用語として「革新的な」,「リアルな」,「幻想的な」,「大勢で楽しめる」,「待ち時間の多い」,「コミカルな」という6種類の評価用語が最終的に選定された.