著者
田中 賢一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.53, pp.23-26, 2001-08-31

本報告では, 印象派芸術とりわけ点描画における技法から現在研究開発されている立体映像技術へどのような関わり合いを持っているかを考察する.まず, 印象派芸術の代表的存在ともいえる点描の技法と, 印刷技術や写真技術との関係について述べる.次に, 現代において点描の技法は, 擬似中間調処理を媒介として計算機ホログラフィなどの3次元画像表現, 更には, ホログラフィックアートの根底にある思想に至るまで多岐にわたり応用されていることを示す.
著者
川越 聡 神酒 勤
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.22, pp.5-8, 2003-03-19
参考文献数
8

人にやさしいマン・マシンインターフェースの実現には、人間の感性の定量化がひとつの重要な要素となる。中でも、色、配色パターンは人間にさまざまな印象(感性)を与える情報源である。ここでは、画像(カラーイメージ)から受ける印象を感性語として自動抽出することを考える。通常、色情報の抽出を行う場合、予め対象物のみを画像から切り出す処理が行われている。一方、人間がものを見るときには背景を排除したりせず、見たいものに視点を定めその視点を中心とした一定の視野内の画像から情報を得ている。本研究では、注目する画像に視点と視野を定義し画素に重み付けをすることで背景の処理なしに人間の感覚にあった的確な色情報抽出を試みる。ファッション雑誌、カタログのカラー画像に本手法を適用し、その妥当性を議論する。
著者
柴田 直
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.57, pp.13-20, 2008-12-16

コンピュータは驚異的な演算能力を獲得したが,人間が日常生活で何気なく行っている情報処理は非常に不得手である.たとえば,目前の状況を瞬時に判断して,即座に適切な行動をとるといった処理である.複雑で面倒な計算を正確無比に何の苦も無く実行できるが,我々にとって日常茶飯事の事柄を適切に処理することが難しい.我々の研究は,こういった人間特有の柔軟な情報処理を可能にする新たなコンピューティング・パラダイム実現を目指すものである.特に最先端の半導体技術を用いて,実時間応答のできるシステム構築を狙う.我々の心の働きを内省的に観察し,それをモデル化して専用のVLSIチップで実現する「心理学的脳モデルVLSIシステム」を提案する.その基本は,「連想原理」であり,過去に経験した類似の記憶を用いて認知を行うモデルである.この連想原理は,最もプリミティブな網膜レベルの処理から,連想・類推によって偉大な発明・発見を生み出す高次の処理に至るまで,脳のあらゆる階層における情報処理の基本であると考える.本論文では,視覚情報処理に関する我々の研究の概要を紹介する.
著者
市川 香澄 檜山 茂雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.103-104, 2011
参考文献数
2

この作品声音(こわね)は声から成る音楽を目で見える形で表現したクレイアニメーションである。人間は声を意味のある言葉として使う。そこで、言葉として意味を持たぬよう五十音、濁音、半濁音、を分解し、再構築し、新しい音楽を制作した。その音楽を元に様々な形、色、動きを創造する事で音の視覚化を表現した。
著者
川久保 陽基 東 和信 小杉 信
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.33, pp.13-16, 2002-05-24
参考文献数
9
被引用文献数
2

自然な景観画像に今や人体は欠かすことは出来ない.しかし,現在の手法では予め指定する定まった動作生成が主流であるため作業が煩雑で結果の多様性にも欠ける.そこで,本研究では人間の動作の源泉を心理学に求め,自律的な動作生成を行う.まず,各人の性格や好みの定義と時間依存の変動パラメータを用い,葛藤を表現する事で行動選択に人間味を持たせた.また,他者に対して相対魅力値を評価することで対人関係に親密度を表現した.このようにして,各人体の生理的欲求と社会的欲求を自律的に生成し,具体的には大学における学生の行動をシミュレートした.
著者
印部 勉 安川 和希 加藤 俊一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.20, pp.31-34, 2011-05-20

グラフィックデザインを考案する際、配色は重要視されており、その組み合わせからデザインするケースが多い。また、我々はデザイン性の高いDMのイメージを可視化するため、配色パターンによる感性モデルの構築をしてきたが、アクセントカラーに関してはその定義が曖昧であり、どのような色を人がアクセントカラーとして判断しているかがはっきりしていない。そこで本稿ではDMを題材に、アクセントカラーとなる色の決定要因を検討、抽出し、アクセントカラーを取り入れたモデルの有効性について報告していく。
著者
小野 将之 西村 邦裕 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.79-84, 2009
参考文献数
5

科学技術の高度な発達があり,様々なセンサ有したデバイスを用いて日常生活での体験をデジタル化して記録に残すことが手軽になってきており,体験を記録する分野は「ライフログ」とよばれる.ライフログの研究はこれまで様々なされてきたものの,その活用においてはまだ発展途上である.本研究では,ライフログを記憶想起支援などの実用用途への活用するための構造化を目指し,実際に多様なセンサを用いてライフログ取得を行い,ニューラルネットワークを用いてデータ取得者がどのような行動をとっていたかの推定を行った.さらに効率的な閲覧を可能とするビューアを提案・実装し,評価実験を通じてそれらの効果を検証・実証した.
著者
山崎 章市
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.76, pp.1-6, 2001-11-20

MR(Mixed Reality)プロジェクトが約4年間に開発した4種のHMD≪(1)自由曲面プリズムを使った広画角光学シースルーHMD(水平51度, 垂直37度), (2)HMDの表示系に撮像系の光軸を一致させたビデオシースルーHMD"COASTAR", (3)屋外用に開発した光学シースルーHMD, (4)光学シースルーHMDの表示系・光学シースルー系に撮像系の光軸を一致させた光学シースルーHMD≫とそれらを用いた3Dアプリケーションシステムについて紹介する.
著者
羽川 令子 佐野 芳彦 加野島 英渡 田中 一之 金子 俊一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.34, pp.91-94, 2010-08-30

本研究では,紙面上に置いたサイコロの画像を実時間でロバストに認識し,特徴量を定式化・数値化する手法を提案する.これにより得られた数値をサウンドセルと呼ばれる作曲ツールの入力値として利用することで,身体障害者用リハビリテーションツールを作成することを目的としている.今回は主に,画像計測によるサイコロの特徴量検出部分について報告する.
著者
高井 康太 千葉 広大 藤村 武史 平田 純也 合田 竜志 巳波 弘佳 長田 典子
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.73-76, 2011-02-12

ピアノ演奏をCGアニメーションで表現する技術が,コンテンツ制作や音楽教育などさまざまな分野で求められている.我々はリアルで自然なピアノ演奏動作の解析やCG表現の研究を進めている.本研究では,ピアノの演奏動作を楽譜のみから自動生成し,リアルなCGアニメーションを出力する方法を提案する.ピアノ運指および軌道は最適化手法により決定する.自動生成された演奏モーションは演奏スキルレベルによってヒューマナイズされ,GPUレンダリングによりリアルな肌質感をリアルタイムに表現する.これらはピアノ演奏技術の学習支援等に利用できる.
著者
新垣 吉也 羽生田 雅也 永塚 守 都竹 愛一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.15, pp.1-6, 2001-02-16
被引用文献数
3

東京タワーのデータ等を用いて、風で送信アンテナが揺れることにより発生する受信信号のドップラーシフトの概算を行なった。計算機シミュレーションにより、OFDM復調の等化回路、周波数同期回路の検討を行なった。OFDM復調器を用いた室内実験を行ない、周波数オフセットを有する遅延波が存在する場合の受信特性を調査した。またシュミレーションと室内実験との比較を行なった。
著者
五ノ井 あずさ 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.14, pp.61-64, 2011-03-04

近年,拡張現実感が注目されている.本研究では,拡張現実感を用いたゲームを制作することを目的とし,ゲームをより面白くするために,3Dオブジェクトを表示する際に用いるマーカそのものに着目し,新しいマーカを提案する.基本となるマーカを参考に,拡張された新しいマーカを複数考案し,認識実験とアンケート調査を行い,実用性を評価した.またARマーカを用いて,現実環境の中で遊ぶことができるAR脱出ゲームを制作した.これにより,コンピュータゲームである脱出ゲームと拡張現実感を組み合わせた新しいゲームが可能になった.
著者
増田 哲朗 深井 寛修 徐 剛
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.33, pp.91-94, 2011-08-22
被引用文献数
1

近年,スポーツの発展とともにフィールドスポーツにおける運動分析の重要性か高まっている.特に選手に負荷のかからないカメラを用いた運動分析は注目されているが,未だにスポーツのフィールド全体を3次元復元し,選手の追跡を実時間で実現する研究は現れていない.そこで同期多カメラを用いた複数移動物体の実時間追跡を提案する.本手法は,3次元復元したデータを鳥瞰図化することで物体の認識と追跡を実時間で可能にする.物体の認識には輪郭を利用し,前フレームの同一物体の追跡を可能にする.実環境下で実験を行ったところ,複数移動物体の追跡ができ,提案手法の有効性を示せた.
著者
前田 有希 宮崎 大介 前川 聡
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.22, pp.37-40, 2011-06-09

2面コーナーリフレクタアレイによる結像作用を利用し,さらに屈折素子であるプリズムシートによって走査を行う体積走査型ディスプレイを開発した.プリズムシートの回転による光線走査は機械的負荷が小さく,表示像の大型化を容易にする.2面コーナーリフレクタアレイにより3次元画像は空中に表示される.我々はプロトタイプを作成し,5[cm]×5[cm]×5[cm]の大きさの3次元画像を表示することができた.
著者
梶波 崇 林 織部 鳴海 拓志 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.25, pp.67-72, 2010-06-29

本研究では,従来からの博物館展示の形式を踏襲しつつ,デジタル技術によって展示物の背景情報を伝達可能にするデジタル展示ケースシステムを提案している.展示物に付随する背景情報を,同じ時代に作られたもの同士の関連性といった共時性とその経年劣化や来歴といった経時性の二つに分類した上で,この二種の背景情報を直観的に提示するための手法について検討する.これらの手法を実現するシステムとして,パネルとケースからなるCGを利用したインタラクティブな展示装置を作成した.さらに土偶をコンテンツとして展示を実装し,博物館からの評価を受け,デジタル展示ケースシステムの有用性を検証した.
著者
戸田 英夫 多田 昌裕 野間 春生 蓮花 一己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.54, pp.37-40, 2009-12-03

近年の交通事故原因の特徴として安全不確認,脇見運転,動静不注視が上位を占めており,運転手の危険認知不足によって引き起こされる事故が多発している.そのため,運転手が危険認知不足に陥りやすい箇所を抽出し,それを認知させる技術の確立は予防安全の観点からみても重要である.本研究では,運転手に装着型センサを取り付けて運転手の一挙一動を計測し,計測した動作データから危険認知不足にともなう行動を推定し,推定した行動が頻発する領域を潜在的危険領域として抽出する.抽出した潜在的危険領域に基づき交通ハザードマップを生成し,これら一連の仕組みを自動化する手法を提案する.
著者
宮下 芳明 西本 一志
出版者
映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.29, no.30, pp.17-20, 2005-05-30

本研究では「楽譜」が単なる情報記録にとどまらない作用を演奏者に及ぼすものであると考え、その効果を高めるひとつの拡張例として「動的な楽譜」を製作し、実際に解釈し演奏してもらうことを試みた。その結果、フレーズの創造という領域まで踏み込み、解釈幅の自由度は増えているものの、分析や解釈の議論においては五線譜とほぼ同様なプロセスがとられた。また実際の演奏からは、静的な楽譜と比較してより強く時間的な制約をかけるメディアであることが観察された。 : In this paper, we developed a moving graphic score as non-static musical score, and verified them practically on stage. As a result of analyzing the process of planning for playing it by performers, we found that they passed almost the same process as staff notation, though the interpretation was more flexible. From that point, we concluded the effectiveness and possibilities for developing such expanded scores to lead musical performers to new musical expressions.
著者
阪本 清美 青山 昇一 浅原 重夫 山下 久仁子 岡田 明
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.25-27, 2009-02-12

本研究では家庭内視聴環境における視距離の違いが視覚疲労に及ぼす影響についての評価実験を2種類のコンテンツを使用して42インチで行った(実験1、実験2)。さらに、ディスプレイサイズの影響を探るため65インチの大型ディスプレイを用いて行った(実験3).これらの結果は、視覚疲労の観点から、適正視距離が165cmから220cmの中間距離に存在し、ディスプレイサイズに依存せず絶対視距離に関係する可能性があることを示唆していた.
著者
窪山 雄太 黒木 祥光
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-6, 2009
参考文献数
9
被引用文献数
1

H.264/AVCでは,動き補償やイントラ予測を行っており,それらには多数のモードが存在するため,その中から最適なモードを判定する必要がある.しかし,判定の際に原画像と予測画像に生じるコスト関数をすべてのモードで計算し,それが最小になるモードを採用するため,多くの計算が必要となる.本報告ではモード判定に用いる予測誤差画像を標準基底へ射影し,比較することによって候補モードの削減を行い,高速にモード判定を行うものである.この手法は他の高速化手法と異なり,モード判定の最適性を有したまま高速化を行える特長を持つため,画質の劣化は発生しない.その結果,平均16.3%の符号化時間の短縮が確認でき,画質の劣化も見られなかった.