著者
新 秀直
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は充電池を医療機器に応用することで,電池廃棄物の削減等を図ることにある。本研究では,充電池管理システムの開発を行なった。また,実際に病棟で使用されている送信器で充電池を使用しその問題点を検証した。その結果,使用条件によって,大幅に連続作動時間が変わるため運用上注意が必要であることが示唆された。今後,医療機器の開発の側面からも充電池が安全に使用できるように検討することが必要である。
著者
錦野 将元
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

超短パルス・超高強度レーザー技術による高輝度X線光源とX線光学素子を組み合わせて細胞程度まで集光可能な軟X線マイクロビーム照射装置を開発し、細胞試料に照射して誘発される放射線生物損傷の生成メカニズムに関する研究を実施した。また、マイクロビーム照射や軟X線顕微鏡へも応用可能な高原子番号金属材料を用いたレーザープラズマ軟X線源の開発や軟X線用フレネルゾーンプレートを用いた軟X線顕微法の開発を行った。
著者
土田 幸恵
出版者
常磐会短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

昼食と夕食の"摂取量"と"摂取時間"のバランスが翌日の朝食の糖質の消化吸収に及ぼす影響について実験した。夕食の摂取時間の違いによる実験では、夕食を遅く摂取した場合、早く摂取した時と比較して翌朝の糖質の非消化吸収率が低い傾向にあり、このことは食後血糖が高値を示したことと関連していたものと考えられる。また前日の昼食と夕食の摂取量のバランスの違いによる翌朝の糖質の非消化吸収効率と消化管活動、血糖変化、呼吸商については有意な違いが見られなかった。
著者
川澄 みゆり
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、Sox17-GFPノックインノックアウトマウス(Sox17-GFPマウス)を用いてSox17の子宮における発現パターンや着床への影響について解析を行った。Sox17-GFPマウスではメス出産時の産仔数が減少する傾向にあった。そこで、まずはその原因が胚側、母側のどちらにあるのかを検討した。その結果、排卵および受精、in vitroでの胚発生は野生型由来と差が見られなかったにも関わらず、交配後6.5dpcで着床状態を確認したところ、Sox17-GFPメスマウスでは野生型に比べて着床数が減少した。また着床前胚の免疫蛍光染色の結果、Sox17は野生型と比較してその発現に差は観察されなかった。これらのことから、Sox17-GFPマウスで産仔数が減少する原因は胚ではなく母側にあり、着床の過程で何らかの異常が生じている可能性が高いことを見いだした。さらに母側の子宮において、Sox17の発現はプロゲステロン産生時期に関わらず子宮内膜に強く発現していることを確認し、続けて胚が子宮に着床する瞬間の解析を進めている。またSox17が子宮での着床時に機能しているのかどうかをより詳細に解析するため、子宮特異的にSox17を欠損するコンディショナルノックアウトマウスの作成も進め、Sox17floxマウスをプロゲステロン受容体Creマウスと交配し、Sox17子宮特異的欠損マウスを作成した。Sox17の機能相補が予想されるSox7についても同様に欠損させるため、Sox7floxES細胞を購入し、ESインジェクションによりキメラマウスの作成を行った。着床、妊娠の過程におけるSox17の役割の解明を目指し、着床および妊娠維持の機構を明らかにすることは、マウスでの体外受精の着床率の向上・安定が望め、また着床率の向上と安定はヒト不妊治療への応用も期待できることから、臨床的にも意義のある研究と言える。
著者
安部 原也
出版者
一般財団法人日本自動車研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

追突事故の低減効果を高めるために必要な警報タイミングの在り方について,先行車への追従状態,ドライバの運転状態を考慮した実験検討を踏まえ,理論的整備を行った.ドライバの普段の運転行動を,脇見運転時の警報タイミングの設計に組み込む手法を提案した.また,先行車との車間時間(THW)が長い上に,脇見,ハンズフリー携帯電話によって運転への注意が削がれている場合には,警報による追突リスクの低減効果が高めるために,短いTHWとは異なる警報呈示閾値を用いる等によって早いタイミングの警報を呈示する必要があることを示した.
著者
荒木田 岳
出版者
福島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

科学研究費の受給最終年である本年は、史料調査および文献調査を実施した。史料調査は、地方財政調整制度の構想者三好重夫の初めての任地である新潟県において、平成16年8月から9月にかけて調査を実施した。調査過程で、新潟県庁文書は新潟県立文書館の現物史料と、新潟県庁所蔵のマイクロフィルムの2つが存在することを知ったが、今回は専ら新潟県立文書館での簿冊分析を実施した。文献調査は、一橋大学付属図書館において、平成16年7月29日および同11月26日に実施した。一橋大学は各地の一次史料を多く所蔵し、地方財政や地方経済に関する多くの書籍を所蔵しているためである。史料調査、文献調査の終了後、それぞれについて、調査結果のとりまとめを実施した。平成16年中に史料のデジタル化およびその整理を終えて、前年度までに渉猟した史料と併せて読み込みを行った。その結果、今回の研究テーマに関しては次のような知見が得られた。つまり、さまざまな地域間格差を調整しようという合意が社会に形成されるにあたっては、地域間格差の存在という「事実」よりも、「格差感」が社会的に認知されていくことが重要であるということである。なお、この事実は、前年までの調査結果を裏付けるものでもあった。現在までに、まとめることができたライトモティーフに相当する部分は、雑誌『地方自治職員研修』に発表した(詳細については、裏面参照)。現在は、上記の調査結果に基づいて研究の総括を行い、雑誌報告を発展させた学術論文を鋭意作成中である。内容としては、対象時期を日露戦後から1940年地方財政制度改革までの約40年間とし、制度確立までの過程を概略し、日本近代における「再配分」と行政の安定化の意味について再考することが目標である。その結果、財政調整制度確立の意味のみならず、戦時体制の歴史的な意味、さらには「平等化」への流れがもたらした「意図せざる結果」の意味について考える手がかりが得られるであろう。なお、現在とりまとめている研究の内容は、平成17年度中に学術雑誌に発表し、公刊される予定である。
著者
芝崎 美和
出版者
新見公立短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,幼児期の謝罪について,親密性が謝罪生起に果たす役割を明らかにし,他者感情理解や罪悪感,違反の繰り返し抑制という観点から謝罪生起のメカニズムを明らかにした。さらに,児童期の謝罪について,罪悪感が謝罪を規定する状況は限られ,違反発覚が不明瞭で謝罪以外の方略想起が可能な場面や,自己と他者が負うべき責任の割合が同程度の場面では,罪悪感は謝罪ではなく補償行動を規定するなど,罪悪感という観点から児童期の謝罪発達メカニズムの一端を明らかにした。
著者
宮本 誠子
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

成年後見人に法律の専門家が選任されるケースが増加するにつれ、成年被後見人死亡による成年後見終了後の財産管理をいかにおこなうかが問題となっている。成年被後見人の死亡により、成年後見は終了し、後見人には財産管理の権限も義務もなくなる。しかし、財産はなお成年後見人の手元に残ることから、相続人の遺産管理との抵触が生じる。本研究では、フランス相続法の中に、相続人の権限や遺産分割の規律と抵触しない分野を見いだし、死後の事務の法的理論化への示唆を得た。
著者
アレクシッチ ブランコ
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

シナプス足場タンパク質のMAGI2はグルタミン酸受容体を含む多様な機能分子と相互作用し、統合失調症の認知機能障害との関連が示唆されている。本研究ではMAGI2の遺伝子多型と統合失調症の関連解析を行い、さらにその多型が認知機能に与える影響について検討を行った。その結果、MAGI2の2つの遺伝子多型(rs2190665、rs4729938)が統合失調症と関連し、さらにrs2190665は統合失調症に特徴的な実行機能障害にも関与することが明らかになった。
著者
大島 義信
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

最終年度では,階段形状の反射ターゲットを用いた変位計測法に関して,前年度明らかとなった問題点を改善するため新たに補正法を考案し,実橋において実証を行った.提案するレーザー変位計の変換原理は,レーザー入射角とターゲットが垂直になっていることが基本であった.そのため,測定現場などで入射角が垂直とならない場合,換算値と実質の変位が異なる可能性があった.そこで本研究では,ターゲットを二つ組み合わせて,入射角に拘わらず変換値が真値に最も近づく理論を考案し,実橋において実証を行った.その結果,1.二つのレーザー変位計を用い,ターゲットの一つを斬増する方向,もう一つを斬減する方向に組合せ,同時に測定を行う.この場合,対象のある変位方向に対し,一つ目のレーザーからは斬増する値が得られ,もう一つからは斬減する値が得られる.理想状態の場合,これらのデータを足し合わせればゼロとなるが,入射角の相違のため誤差が生じてゼロとはならない.この誤差には角度の情報が含まれるため,この値を用いて補正を行えば,角度を陽に意識することなく変位が得られる.2.レーザーの入射角が-5度から+5度までの範囲内であれば,ターゲットを二つ組み合わせることで,正しい変換値を算定できる.3.実橋において,たわみ量を提案技術で測定した結果,接触式変位計と同等め変位値が得られた.よって,新たな測定原理を適用すれば,提案技術の課題であった角度補正につ恥て特に意識することなく,橋梁の変位を計測できることが明らかとなった.
著者
松原 康介
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)番匠谷尭二氏を初めとする国際的に活動した都市計画家の業績解明を通じた中東都市計画史の研究、および、(2)歴史から学びえた都市計画論上の教訓の、現在のわが国による都市保全プロジェクト(JICA)への還元、の二点から報告される。審査付き論文として、(1)について国内誌1/海外誌1、(2)について国内誌1/海外誌1、の成果を上げた。また、学術的知見をJICAプロジェクト「ダマスカス首都圏都市計画・管理能力向上プロジェクト」に反映し、歴史的街道のファサード改善への提言を実施した。
著者
尾崎 千佳
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

西山宗因の短冊・色紙・懐紙について現存するすべての真蹟資料の書誌調査を実施し、メタデータを採取して西山宗因真蹟資料データベースを構築した。データベースに基づいた成果を『西山宗因全集 第5巻 伝記・研究篇』(2013)「宗因書影」「西山宗因年譜」に発表した。『西山宗因全集 第6巻 解題・索引篇』には「現存西山宗因真蹟一覧」(2014印刷中)が掲載される予定である。あわせて、宗因自筆巻子本・宗因書写本・宗因評点資料について原典調査を実施し、書誌的観察を反映した論考を発表した。
著者
武津 英太郎
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

樹木の多くの生理プロセスが光周性関連遺伝子に影響をうけると考えられる。一方、その基 礎となる遺伝子のリソースが整備されていない。また、材形成フェノロジーと日長との関係は 明らかにされていない。本研究ではカラマツをモデルとし、光周性関連遺伝子の単離と塩基配 列の決定を行い、その日周期発現パターンの解析を行った。また、異なる日長下で形成層フェ ノロジーの観察を行い、日長の違いにかかわらず同時期に早材から晩材への移行が起きること を示した。
著者
山田 仁史
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、大きく以下の四つの成果が得られた。第一に、狩猟・漁猟民の世界観の核心をなす<動物の主> 観念について、先行研究の蓄積を踏まえつつ、根本的な考察を加えたこと。第二に、アイヌにおける<動物の主> 観念を神話伝承から再検討し、北米およびシベリア諸民族の類例との比較を行なったこと。第三に、広くヒトと自然のかかわりについての神話として、天体、洪水などの災害、および焼畑をめぐる諸伝承・諸観念を明らかにしたこと。第四として、神話理論・神話研究方法論の見直しをこれら三点と並行して推進し、成果を公表してきたことである。
著者
伊藤 拓水
出版者
東京医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究で研究代表者は、催奇性を有する抗がん剤サリドマイドがいかなるメカニズムで標的タンパク質セレブロンの機能を阻害するのかを検証した。セレブロンはユビキチンリガーゼとして機能する。研究結果として、サリドマイドはセレブロンの酵素活性を下げるというよりも、認識する基質を変化させることが示唆された。薬剤結合後はサリドマイドがもはや元の基質を認識できなくなることが、結果として機能阻害として検出されていたと考えられる。
著者
田子山 和歌子 中野 安章
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究テーマ「西洋近世哲学における「自然法則」の概念」を、二つの研究活動の柱である、1)関連文献の収集、および、その調査成果を研究ウェブサイト「ライプニッツ研究会」にて公開すること、2)各年度に定期的に研究会「ライプニッツ研究会」シンポジウムで上記テーマに関連した専門家を招聘し発表・討議すること、を中心に進めた。具体的には、1)の目的達成のために、上記ウェブサイト「ライプニッツ研究会」を構築する一方、2)のシンポジウム開催のためには、研究会を主宰し、自身も研究会司会ないしは研究成果の発表者として活動した。
著者
尾関 一将 水藤 弘吏 桜井 伸二 浦田 達也
出版者
大阪体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

競泳スタート時におけるスタート台に作用する力を手部,足部それぞれ独立して測定し,評価する方法を確立することができた.大学生以上の男子および女子競泳選手において新しいスタート台を用いたキックスタートを用いることの優位性が明らかとなった.また,女子一流競泳短距離選手のキックスタートの特徴として,高い跳び出し水平速度の獲得よりもブロックタイムを短縮するためにスタート姿勢の身体重心位置を前方向にして構えていることを報告した.これらのスタート開始時の構えにおいて,スタート構え時の前方向の脚における等尺性最大脚筋力が大きいほど,跳び出し水平速度が高く,5m通過時間が有意に短かったことが明らかとなった.
著者
寺本 時靖
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

日本で導入が始まった研究支援部門であるリサーチアドミニストレーション組織(RA組織)のモデル構築を試みるために、導入定着が進んでいる米国の大学と日本の大学の組織の調査を行った。米国ではRA 組織の機能としては、主に「Pre-award 業務」「Post-award業務」「Compliance業 務 」「Data Management業務」があり、それぞれに対応する組織が設置されている。また、研究力が高い大学ほど、RAの人数が充実していることが明らかになった。また日本型では研究戦略を中心とした組織形態が多くみられ、アメリカではResearch Development部門と類似の機能を持っていることが明らかになった。
著者
西迫 貴志
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,基板上に作製した微細な流路(マイクロ流路)の分岐構造を利用し,異形微粒子の作製に関する研究を行った.互いに混ざり合わない硬化性液体と非硬化性液体をマイクロ流路に送液し,サイズの均一な(単分散)多層構造のエマルション(多相エマルション)滴を生成した後,硬化処理によって,非硬化性液体を鋳型とした形状を有する異形ポリマー微粒子を生成することができた.さらに,微粒子の高機能化を目的とした各種ナノ・マイクロ粒子の複合化,および生産量をスケールアップさせるための装置について検討した.
著者
佐藤 寛晃
出版者
産業医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

重症度の異なる4群の出血性ショックモデルを作製し,同ショック時の肺障害の重症度と好中球の出現頻度との関係について検討を行った。出血後,炎症性サイトカインである tumor- necrosis factor(TNF)-αおよびinterleukin(IL)-1βのmRNAの肺実質における発現および肺静脈血中濃度が出血量の増加に応じて強く上昇し,出血5時間後の肺実質における好中球の出現頻度も増加した。また,機能的肺障害を反映するpartial pressure of arterial oxygen (PaO_2)およびalveolar-arterial oxygen tension difference (A-aDO_2)は出血量に応じて増悪し,器質的肺障害を反映する血清lactic dehydrogenase-3 isozyme (LDH-3)濃度は出血量の増加に応じて上昇した。出血5時間後では好中球の出現頻度と血清LDH-3濃度とに正の相関関係が認められ,出血性ショック後の肺障害の重症度と好中球の出現頻度との関連性を明らかにすることができ,出血量の増加に応じた炎症性サイトカインの上昇が一連の病態に関与することが明らかとなった。