著者
須田 将司
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1930年代、全国の校庭に「金次郎像」の建立ブームがあったが、静岡・富山・福島・神奈川・栃木・島根等では児童自身に生活を振り返り、自ら生活目標を立てさせていく「報徳教育」が生み出されていた。特に神奈川県福沢小学校では、戦後も児童の「主体性」を重視する研究を続け、「話し合い活動」の授業論・教師論として発展させていた。本研究は、戦中・戦後の時代を越えて教師を惹きつけた「報徳教育」の実相を明らかとした。
著者
加瀬 直弥
出版者
國學院大學
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は平安時代後期の神職を主な対象とし、主な成果は、(1)個別化された神職補任のプロセスと院の影響力の強さ、(2)神事を意識した組織の編成があった、(3)神社修造の方法はそれ以前と大きく変わっていない、(4)神祇に対する観念は前代を踏襲している面がある、以上の点が理解できたことである。総合的には、当時の神職が院や貴族の影響を受けながらも、神事の特殊性を認め、神職の自律した活動を求める旧来の制度のもとにあったことを確認することができた。
著者
折井 善果
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、2009 年にハーバード大学で再発見された日本イエズス会版(いわゆるキリシタン版)『ひですの経』を原典的視点から研究した。三年間の主な成果として、a)『ひですの経』校注本(教文館・2011 年)、b) ファクシミリ版(八木書店・2011 年)を刊行し、 さらに c)文献学・書誌学・近世初期東西異文化交流・思想史学における『ひですの経』の意義を国内外に広く公開した。
著者
田中 展
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は,結合節の回転特性に着目した柔軟構造モデルを構築し,新たな力学特性を発現する空間構造体を提案・開発することである.上記の研究目的に即し,2011年度は結合節の多回転特性を表す3次元モデリングの開発に取り組んだ.また並行して,双剛性特性をもつ新規構造体を発見した.2012年度は,得られた新規構造体の研究に重点を置き,柔剛特性を発現するセル構造を提案し,その設計開発に注力した.
著者
渡辺 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012

集光型太陽電池モジュールの高効率化・低コスト化を実現するために、軽量小型化を目指した新規光学素子の設計を行った。また、太陽光の集光環境下での応用に適した低電流大電圧化を目的とし、モノリシック直列接続太陽電池セル開発した。さらに、より実用化に適した構造を検討するために、集光太陽電池ミニモジュールを試作し、フィールド試験設備を用いた評価試験を実施した。
著者
溝渕 健一
出版者
松山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、地球温暖化や昨今の電力不足の課題に対して、規制が難しい家計部門を対象に、省エネルギー行動をどのように促進していけば良いのかについて、経済学に基づいた手法の検討を行った。具体的には、節電行動に対して、報酬(インセンティブ)を付与すると、付与しない場合に比べてどの程度行動に差が出るのかを、社会実験により検証した。結果として、報酬を付与するグループは、付与しないグループよりも約4%節電率が高くなることが分かった。
著者
嶋矢 貴之
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、近時の日本における刑事立法について、解釈論的観点から調査・研究を行うものである。日本では、この10年の間、刑事立法が非常に活発化しており、それを実定法解釈論研究者の立場から、研究することの意義は非常に大きい。本研究では、それら刑事立法のプロセス、そこで行われた議論、もたらされた帰結・状況を研究し、一般化可能な立法に関する命題を探求した。具体的成果としては、後述のとおり、違法ダウンロードに関する研究報告、不正指令電磁的記録等作成罪の注釈書執筆等において明らかにしている。
著者
伊東 正浩
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

リン酸アルミニウムを担体とする白金触媒を作製し、これとゼオライト触媒との階層複合化を検討した。作製した複合化触媒について、水素を還元剤とした脱硝反応を行ったところ良好な特性を示した。赤外吸収により反応吸着種を評価したところ、反応過程におけるアンモニアの生成が確認され、白金触媒上で生成したアンモニアがゼオライト触媒上に吸着し、疑似NH_3-SCR的に脱硝が進行することで良好な特性が得られることがわかった。
著者
中村 隆
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

種々のゼータ関数に対して、普遍性、混合普遍性、自己近似性に関する研究を行った。
著者
石川 隆紀 前田 均 道上 知美 富田 正文
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,覚醒剤・向精神薬乱用者の中枢神経系および内分泌系組織について,アルツハイマー病やクロイツフェルトヤコブ病などの神経変性疾患で増加することが知られているアポリポプロテインE4,アポリポプロテインBおよびアポリポプロテインJの発現動態を免疫組織化学的手法および分子生物学的手法(mRNA発現)を用いて解析した.その結果,部位による発現の相違はあるものの,火災,熱中症および凍死などの異常温度環境下においてアポリポプロテインの発現に加え,薬物乱用者におけるアポリポプロテインの発現が明らかとなった.
著者
岡田 吉史
出版者
室蘭工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、心の状態にかかわる遺伝子発現データの解析支援を目的として、1)個々の心理状態で特有の発現パタンを示す遺伝子群(モジュール)を抽出する新しい手法を開発し、2)抽出されたモジュールとその生物学的機能情報を集積したデータベースを構築した。これにより、複数の公共データベースに分散して存在する発現データが本システム上に整理・組織化され、生物学的に有用なモジュールを容易に発見できるようになった。
著者
出世 ゆかり
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

落雷活動は、積乱雲内の降水粒子の種類とその時空間分布に密接に関係している。本研究では、偏波レーダー観測データと落雷観測データを用いて、夏季に観測された雷雲のうち顕著な落雷特性を示した事例について雷雲の雲微物理構造とその時間発展を詳細に解析した。負極性落雷が卓越した活発な雷雲では、雷雲発生後10分程度で落雷活動が開始した。また、落雷が不活発だった雷雲では雨滴が強降水域を構成していたのに対し、落雷が活発だった雷雲の強降水域は霰が主な構成粒子であった。さらに、夏季にはまれな正極性落雷が卓越した雷雲では、雷雲中層に湿った霰が広範囲に分布しそれらが正に帯電したことが、正極性落雷の発生に重要であったと示唆された。
著者
櫻井 哲也
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

公共データベースGenBank(NCBI)および理研キャッサバ完全長cDNAの配列データを用いて、約22,000の目標遺伝子配列から各々60塩基プローブ配列を選んだキャッサバオリゴマイクロアレイチップを開発した。この開発したマイクロアレイチップを用いて、キャッサバの3品種、2ストレス条件についてのマイクロアレイ実験を行い、各品種、ストレス条件についての異なる遺伝子発現プロファイルを獲得できた。CAGE法についても、同様に各条件の遺伝子発現解析を行い、2つの解析手法による遺伝子概観を獲得した。
著者
有馬 澄佳
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、半導体製造等の微細加工を要する製造装置・生産ラインの管理において、良品のスループットを最大化する工場内物流の管理方法と装置・生産ラインの設計方法を研究することを目的とした。ブロッキングを考慮した待ち行列とTOCを用いたマルチチャンバ装置内部の物流適正化方法を提案し実工場で応用された。また、品質保証時間を考慮して多品種生産の良品スループット向上と装置稼動率向上を同時に達成し設備総合効率を1.4倍以上向上する管理方法を考案した。
著者
菊池 庸介
出版者
福岡教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

敵討ちを題材にした実録(実録体小説)に注目し、三年間の活動を通じて、これまでに紹介されていない実録の発掘につとめ、それらを調査し、敵討ち実録の解題作成のためのデータ収集を第一の作業として行った。そのうえで、収集した実録の内容の吟味を行い、敵討ち実録のストーリー構築の方法を考察した。また、他ジャンル文芸との影響関係の有無を考え、演劇や黄表紙などの素材となっているケースをあらたに指摘した。
著者
石井 香織
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、子どもの身体活動を推進するために、1)身体活動に影響をおよぼす環境的要因の検討、2)身体活動の推進に関連する環境、社会、心理的要因の検討、3)子どもの身体活動の推進に重要であることが明らかになった環境要因に着目し、身体活動を推進するための介入効果の3点について検証した。その結果、子どもの身体活動を推進するための方策として、子どもを取り巻く環境要因に着目し働きかけを行うことが有効であり、本研究で実施した支援方法はわずかではあるが身体活動の推進に効果がある可能性が示唆された。
著者
庄司 匡宏
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、大規模災害時においても有効となる、望ましいセーフティネットの構造を追究することである。そこで、途上国や我が国における災害が被災者に与えた影響や、災害時における政府・NGOの役割を分析した。本研究では、独自の家計調査や経済実験データを用いて、以下の研究成果を得た。第一に、災害が人々の生活に及ぼす影響は大きく、政府・NGOの支援は不可欠である。第二に、自然災害による労働時間の増加や村人同士の相互扶助活動は、信頼関係に多様な影響をもたらす。さらに、村人同士の関係性の悪化が、被災地における治安問題の一因になっている。
著者
中山 勝文
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究で我々はNK細胞がDCと接触した際にDCのMHCクラスIIタンパクを引き抜くことを見出した。この分子メカニズムは不明であるが、trogocytosis (trogo:ギリシャ語で かじる という意味に由来)と呼ばれる細胞膜移動に依存すると思われる。このMHCクラスII分子を羽織ったNK細胞はDCのようにT細胞を活性化する可能性が考えられたが、補助刺激分子を発現しないため、T細胞を活性化せずむしろ抑制することが判明した。これらの結果から、免疫応答はtrogocytosisによって発生した新たな細胞群によっても制御されている可能性が示唆された。
著者
森田 芳朗 橋田 竜兵 笠 寛子
出版者
東京工芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、1930年代のニューディール政策の一環として開発され、戦後居住者に払い下げられたメリーランド州グリーンベルト、オハイオ州グリーンヒルズ、ウィスコンシン州グリーンデイルの3つのグリーンベルトタウンが、払い下げから今日までに地区の運営組織・制度をそれぞれどのようなかたちで築き上げ、それによりどのような居住環境をかたちづくってきたかを、現地調査(資料収集、インタビューなど)により明らかにした。
著者
石井 大輔
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

米ぬかやコーヒー粕等の農産廃棄物から取得可能な芳香族ヒドロキシ酸である、カフェ酸およびフェルラ酸の重縮合によるポリエステル化を行い、耐熱性および機械的特性を検討した。フェルラ酸に関してはグリコール酸との共重合体化により熱可塑性および液晶性が発現し、460°Cにおいて50%の重量残存率を示す高耐熱性ポリエステルが得られた。ポリ(カフェ酸)は110°C付近に軟化温度(ガラス転移点)を有する一方、熱分解開始温度が最大で320°Cに達する高耐熱性を示した。さらに加熱下でせん断を加えることで液晶構造を形成する外場応答型の液晶ポリマーであることも明らかとなった。