著者
吉村 充功 亀野 辰三
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.103-108, 2006-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

近年では,有料道路の料金の弾力的な運用により,一般道路からの経路変更を促す有料道路社会実験が多く実施されるようになってきている.しかしながら,通勤混雑問題に焦点を絞ると,日本社会では多くの場合通勤費用を企業が負担しているため,料金政策が直接通勤者の行動変化につながらない可能性がある.つまり,通勤者の行動の変化は必ずしも通勤者だけの意志で決定しているとは言えない.そのため,有料道路社会実験でも予想していたほどの十分な経路変更がなされないなどの問題が起こっている.そこで本研究では,企業アンケートを実施し,企業の通勤手当の支給,および通勤支援策の実態を明らかにするとともに,有料道路の料金変更に対して企業がどの程度料金負担の柔軟性を持っているか,またその他のTDM施策を含めた通勤問題に対する取り組み実施実態・意向などを明らかにすることを目的とする.これらの分析結果より,通勤手当として約9割の企業が通勤費用を支給していること,さらに有料道路の料金負担についても13%の企業が支給していることを明らかにした.
著者
瀬田 史彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.751-756, 2008-10-15
参考文献数
63
被引用文献数
2

本論説では、個別法の体系・プロセスとの関係からみたSEA導入の論点を明らかにした上で、現在の都市計画制度に導入した場合に起こりうる様々な問題と改善の方向性について、先進自治体へのヒヤリング調査で補足しつつも主には既存文献による既知の情報や見解から論述する。SEAのいくつかの理念は、現行の都市計画制度の欠陥に対応するものが多い。たとえば政策・計画段階での評価実施は都市計画制度の体系や権限の曖昧さを、住民参加プロセスの透明性確保は都市計画決定のあり方を、累積的影響の評価のあり方は土地利用規制の弱さや根拠の問題点を浮き彫りにする。既存の都市計画制度の体系・プロセスとSEAの理念・原則の間にはかなりの開きがあり、都市計画制度へのSEAの導入には、現行のアセス法や先進自治体のSEA条例・要綱の手法を越えた様々な工夫が必要と考えられる。
著者
荒井 美紀 鈴木 優太 中野 恒明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.391-396, 2010-10-25
参考文献数
7

本研究においては映画の舞台ともなった柴又帝釈天参道について街並みの現状と形成の変遷を調査し、その特徴と価値を明らかすることを目的とする。同時に現状より今後の保全整備の可能性を考察した。得られた知見は以下の通りである。1)地域住民の生活の場、帝釈天への信仰の街から映画の舞台となったことを契機に商店主等を中心として地元発意的に映画の観光地として街並みが創造されている。2)映画公開後には街並み整備事業が導入され映画の舞台としてだけでなく街並みの観光地化が目指されている。3)街並みは歴史的木造建築物が多くを占めるため、その防災対策が課題としてあり、また防火地域であるため仮に街並みが消失した際に復元は困難であることも課題としてある。
著者
山崎 正人 横内 憲久 岡田 智秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.733-738, 2003-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究はプライベートビーチを活用した新たな海岸環境管理制度を提案し、その実現可能性を検討するものである。調査は、民間事業者の自主的な海岸管理がみられる沖縄県を事例として、環境管理に対する意識や実施意欲を把握するために、海岸管理者とリゾートホテル事業者6社へのヒアリング調査を実施した。その結果、実施主体となる民間事業者は、環境管理の範囲を明確にするためにプライベートビーチを望んでいるという状況を捉えた。
著者
田中 健一 古田 壮宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.145-150, 2010-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
2

Hodgsonによって提案された捕捉フロー最大化問題は、移動経路上で施設を利用可能な需要を最大化するように定められた個数の施設を配置する問題である。本稿では鉄道利用者に着目し、意思決定者が需要獲得力と設置コストの異なる二種類の施設を配置可能な状況を仮定し、総資金制約のもとで各施設の組み合わせとその配置を同時に決定する問題を提案する。鉄道利用者にとって、起点駅と終点駅にある施設はアクセルが容易であるが、途中通過駅にある施設を利用するためには途中下車が必要であるため大きなコストが発生する。これを抽象的に捉え、小施設は配置された駅を起点駅または終点駅とするフローのみを捕捉可能であり、大施設は配置された駅を移動経路に含むフローを捕捉可能であると仮定する。提案モデルを現実の山手線上の流動データに適用し、最適配置結果を詳しく分析する。また山手線上のOD表を用いて捕捉フローを可視化し解の特徴を分析する。さらに両者を組み合わせて配置可能な場合には、同一資金で一方のみを最適に配置する場合よりも多くのフローを捕捉可能なケースを示す。
著者
斎藤 正俊 谷下 雅義 鹿島 茂
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.505-510, 2004-10-25
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,著者が開発した鉄道駅における利用者の行動モデルの変数にエネルギー消費量を明示的に組み込む方法を提案し,モデルの説明力が大幅に向上することをケーススタディにおいて検証している.行動モデルは,移動円滑化の影響を評価する観点から,乗車駅の改札口から降車駅の改札口に至る行動を対象としており,この一連の行動を乗車駅における移動施設の選択行動,車両の選択行動,降車駅における移動施設の選択行動に階層化するとともに,効用関数(選択基準)を移動時間に加え,エネルギー消費量と移動形態の線形関数として仮定し,確率効用理論に基づく階層型の非集計行動モデルを用いて個人属性単位で定式化し,都営三田線の利用者を対象にケーススタディを行っている.
著者
竹下 博之 加藤 博和 林 良嗣
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.463-468, 2009-10-25
参考文献数
8
被引用文献数
2

本研究は、鉄軌道線廃止後の代替交通網整備の検討方法について示唆を得ることを目的としている。2006年10月に廃止となった桃花台新交通桃花台線(愛知県小牧市)を対象として、その廃線前後の沿線における交通利便性変化を、土地利用を考慮した評価が可能なポテンシャル型アクセシビリティ指標を用いて評価した。その結果、代替公共交通網により名古屋市方面への交通利便性は維持されているものの、小牧市内へのそれは大きく低下していることが明らかとなった。この結果と、独自に実施した廃止に伴う住民の交通行動変化に関するアンケート調査結果とを比較したところ、おおむね合致していることがわかった。このことから、鉄軌道廃止後の公共交通網検討のための評価指標として、アクセシビリティ指標を用いることが可能であると考えられる。
著者
石川 宏之
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.193-198, 2009-10-25
参考文献数
6

本研究では、地方都市中心市街地において来街者の回遊行動と小規模賃貸店舗の展開との視点から街路特性と店舗特性を捉え、歩行者通行量を増加させる条件と新規経営者の出店を促進させる条件について明らかにすることを目的とする。八戸市中心市街地を事例として店舗分布と来街者の回遊行動との関係性、小規模賃貸店舗の新規経営者の属性や出店理由・問題点を考察する。平日昼間の歩行者の追跡調査と、小規模賃貸店舗に対するアンケート調査・聴き取り調査を行ない、結果は以下の通りである。中心市街地の歩行者を増加させるには、店舗数を増やしある程度ひしめき合わせ、来街者をゆっくり歩かせて、中心市街地の回遊性を高めることが必要である。新規経営者の出店を促進させる条件は、賃貸料を補助する制度を設けて異業種の新規店舗を誘致し、客層に合った街並みを創ることが必要である。
著者
初田 香成
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.415-420, 2007-10-25
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究は戦後期における都市不燃化同盟を中心とした都市不燃化運動の理念の変容を探り、その歴史的意義を探るものである。まず運動の主体であった都市不燃化同盟の誕生の過程と背景を明らかにし、その誕生の意義を考察する。続いて特に1950年の前後で、都市不燃化に関する構想が大幅に縮小されたことを明らかにし、その背景としてGHQによるドッジラインの影響を指摘する。そしてそれがもたらしたその後の不燃化運動、再開発への影響を学識者、建設省の官僚、商工会議所、ディベロッパー、損害保険会社と言ったそそれぞれの運動主体の観点から考察する。
著者
渡辺 美穂 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.535-540, 2007-10-25
参考文献数
6
被引用文献数
5 2

仕事に向かう人,お気に入りのCDショップに向かう人,恋人と手をつないで歩く人. 遅刻しそうな時,初めての場所を訪れた時,疲れている時.歩く速さはそれぞれ異なるはずだ.街には様々な人が織り成す様々な速度が溢れている.そしてそれらの速度が集まることでその場所の速度―空間速度―が生まれる.従来の都市においては空間速度の違いを考慮した空間設計はあまり為されてこなかった.また,近年の複雑・高速化し続ける交通体系において,基本交通手段である歩行の挙動解明の重要さが見直されている.そこで本研究では,GPS搭載の携帯電話を用いたプローブパーソン技術により歩行者の行動文脈の流れに沿ってデータを蓄積する,従来の歩行者研究とは異なる手法を用いて, 個人間・個人内の歩行速度を分析し,空間速度を明らかにすることにより,空間速度を考慮した空間デザインの一手法を提案する.
著者
林 慎一郎 室町 泰徳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.853-858, 2008-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では、東京都、神奈川県内から平成19年8月1日に放置車両取締り関係事務の民間委託が行われた4地域を選定し、制度変更前後で駐車している車利用者を対象としたアンケート調査を行った。この2回のアンケート調査結果を基に、違法駐車取締りの制度変更が車利用者の意識にどのような影響を与え、それと共に車利用者の駐車行動がどのように変化したのかを検討した。本研究の主な結論としては、1回目のアンケート調査において、路上を選択した車利用者の内、31%が2回目のアンケート調査において、駐車場を選択したことがわかった。また、駐車場所選択ロジットモデルの推定結果より、徒歩時間、駐車料金、反則金の意識などの通常の変数の他、車利用者の意識を表す変数のパラメータが有意に推定された。また、このような意識を表す変数を組み込んだモデルの方が取締り制度変更後の車利用者の行動をより良く説明できることが示され、車利用者の意識変化が駐車取締り制度の変更前後において、駐車場所選択行動に影響を与えたことが明らかにされた。
著者
柿本 竜治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.817-822, 2008-10-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

乗合バス事業では、2002年に需給調整規制が撤廃された。一方、貸切バス事業では乗合バス事業に先駆け2000年に同様の規制緩和を行った。ここで、2年間という時間差を設けた狙いの1つは、貸切バス市場へ参入した民間企業を乗合バス市場へ段階的に参入させることであった。これにより、事業者間の競争が促進され、バス事業全体の活性化につながるはずであったが、貸切バス事業者から乗合バス事業への新規参入は関東のような都市部で僅かに見られただけである。そこで、本研究では、2000年の貸切バスの需給調整規制撤廃、2001年の地方バス補助制度改正、および2002年の乗合バスの需給調整規制撤廃といった一連のバス事業に関する制度変更の影響が考慮可能な費用関数を推定し、乗合バスサービスの生産構造の地域差や制度変更の影響を検証することを目的とする。結果として、バスのサービスの生産構造には地域差があること、貸切バス事業者のコミュニティバスへの参入とう潜在的競争圧力が、費用効率を悪くさせていることなどが分った。
著者
西川 亮 西村 幸夫 窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.103-108, 2010-10-25
参考文献数
3

本研究は欧州評議会の文化の道において、政策の変遷及び仕組みを明らかにすることを目的している。分析の結果、政策の変遷は6期に分類することができた。第1期:文化観光に関する議論(1960年代)、第2期:サンティアゴ巡礼道の再生に関する議論(1980年代前半)、第3期:東西欧の文化的なつながりの再生(1990年代前半)、ウィーン宣言の影響を受けた最初の規則制定(1990年代半ば)、各文化の道に地域における活動を求めるようになった規則の制定(1990年代後半から2000年代前半)、より厳しい規則による文化の道の質の維持(2000年代後半以降)である。文化の道では、欧州評議会、文化の道協会、ネットワーク組織が欧州文化アイデンティティの形成高揚を目的に活動を展開する仕組みがある。
著者
山本 克也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.685-690, 2008-10-15
参考文献数
3
被引用文献数
4

本研究は、路面電車芝生軌道の多面的な整備効果を実証的に明らかにし、今後の他都市における芝生軌道整備検討の参考に供することを目的とする。本研究は、鹿児島市において整備された延長約2.8kmのわが国初の本格的な芝生軌道を事例として、その整備効果を多面的に把握することを試みたものである。その結果、軌道面の温度測定によりヒートアイランド現象緩和の効果が、また、騒音レベルの測定により沿線騒音を大きく低減させる効果があることが確認された。さらに、市電利用者や沿線住民等へのアンケート調査により、景観やまちの魅力の向上に寄与していると評価されていることが明らかとなった。近年、まちづくりの中で路面電車を改めて評価する機運が高まり、路面電車の有効活用や高度化への取り組みが増加しているところであるが、本研究により、そのメニューのひとつとして芝生軌道整備が有効であることが実証されたといえる。
著者
小早川 悟 高田 邦道
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.355-360, 2003-10-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

現在の道路交通問題は、事故、渋滞、路上駐車、沿道環境、地球環境まで多岐に及んでいる。わが国の都市内交通対策では、1)路上駐車車両の道路空間占有が交通渋滞の大きな原因となっている、2)路上駐車車両総数における荷さばき目的の貨物車の占める割合が高い、3)顕在化している自動車需要の中で貨物車の占める割合は概ね40%と高い、4)地球温暖化の原因とされるCO2の総排出量の約20%、東京などの大都市圏では約36%が自動車交通で、物流による寄与量は半分以上と言われている、5)主要都市間の物流は企業自身で合理化という観点からコントロールできにくい複雑な要素を抱えている、などの理由から物流対策が重要であるとされている。 この課題に対して、路上に存在する貨物車対策として路上駐車車両を路外に転換させることが、道路交通の秩序化のためにも、また端末物流のシステム化のためにも必要である。そのための路外および路上の荷さばき施設の設置や路外転換を試みる社会実験が各地で行われてきている。貨物車を考慮した路上駐車対策は様々な場面で必要とされており、社会実験等でその効果の把握も行われてきてはいるが、実際にポケット・ローディング(PL)のような路外駐車施設を設置する場合に、どのような場所にどのように配置していけばよいかといったような解析を地区レベルで行っていくことは未だ不十分でその解法はない。 そこで、本研究では、練馬区において実施した路上荷さばき車両の路外転換実験の調査結果をもとに、特に近隣商業地を対象とした路外荷さばき施設の配置計画を検討し、社会実験の結果から配置計画の考え方の再考を行った。その結果、路上駐車の多く存在する商店街通りにおいて、PLからの横持ち距離を 100mとして200m毎に直線的に配置を行った路線型の配置計画では、十分な効果を得ることが不可能であり、特定の地区における車両の走行規制なども含めた総合的な交通対策として路外荷さばき施設を配置していく必要があると考えられる。
著者
内田 元喜 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.691-696, 2010-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

本研究では、多くの集落を抱える岡山県高梁市を対象に、これまで十分に検討されていない免許返納に関するアンケート調査を実施した。そして、居住者がいつ免許を返納したいと考えているのか、またどのような状況であれば免許を返納したいと思うのか、といった意向について個人属性や居住地特性に着目した分析を行った。分析の結果、性別や年齢のみならず、バスサービスレベルなどの居住地特性も免許返納意向へ大きく影響していることが明らかとなった。また、居住地区や居住者自身に関する状況の変化以上に、バスサービスの改善によって免許返納が促進される可能性などを示した。