著者
大野 敬弘 鹿嶋 雅之 佐藤 公則 渡邊 睦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.427, pp.325-332, 2008-01-10
被引用文献数
1

近年、銀行ATMなどでは暗証番号として、4桁の数字が多く利用されている。しかし一方ではカードの偽造や、暗証番号入力時の盗撮はあとをただないのが現状である。そこで静脈認証システムなどのバイオメトリクスが普及してきているが、その導入コストはかなりの高額となる。本研究では可動性の高い部位として手形状を用いたセキュリティキー入力システムについての研究を行うことを目的とする。手形状認識に必要なパラメータとして、手の開閉、指の本数、指の種類の3種類のパラメータを取得し認識を行う。認識された手形状を暗証番号の替わりにして、セキュリティキーとするものである。また赤外線カメラを用いることで、照明条件や肌の色に左右されず、安定した画像が取得できるという特徴がある。手形状認識及びセキュリティキー入力実験を行い、提案法の有効性を示した。
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟 丹羽 義典 山本 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.202, pp.15-22, 2001-07-11
被引用文献数
1

継続的に情景を撮影した画像時系列において新たな出現物体を検出し背景から分離するための画像パタン検出技術は, 環境監視, メディア処理などの様々な分野において重要となりつつある.本研究では, 明度変動の影響を抑えながら, ピクセル単位の分解能で局所的なテクスチャを評価するRRFを提案し, 本来のテクスチャ・パタンのみの類似を検出するという特性を実現している.これにより, 出現物体のもつ明度分布に依存せず, しかも影などの不良条件による明度変動の影響を低減した背景差分を実現している.理論的検討および実画像を用いた実験を行い, 手法の有効性を示す.
著者
三須 俊彦 苗村 昌秀 境田 慎一 鄭 文涛 金次 保明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.203, pp.23-30, 2001-07-12
被引用文献数
20

オクルージョンやオブジェクトの変形が生じ得るサッカーシーンにおいて, 長時間に渡って頑健に選手を追跡するため, テクスチャ, 色, 形状等の複数の観測情報を融合利用する手法を提案する.本手法では, 観測の信頼度や選手間の位置関係等に応じて, Kalmanフィルタの観測共分散行列を適応的に設定することで, オクルージョン等へのロバスト性を得ている.本稿では, 本手法の構成と実験結果を示し, 新しいデータ放送やスポーツ解説番組への応用について触れる.
著者
藤吉 弘亘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.206, pp.211-224, 2007-08-27
参考文献数
35
被引用文献数
4

Scale-Invariant Feature Transform(SIFT)は,特徴点の検出と特徴量の記述を行うアルゴリズムである.検出した特徴点に対して,画像の回転・スケール変化・照明変化等に頑健な特徴量を記述するため,イメージモザイク等の画像のマッチングや物体認識・検出に用いられている.本稿では,SIFTのアルゴリズムについて概説し,具体例としてSIFTを用いたアプリケーションや応用手法への展開について紹介する.また,SIFTと同様にgradientベースの特徴抽出法であるHistograms of Oriented Gradients(HOG)のアルゴリズムとその応用例として人検出についても紹介する.
著者
岩澤 昭一郎 海老原 一之 竹松 克浩 坂口 竜己 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.98, no.394, pp.15-22, 1998-11-12
被引用文献数
15

本報告では, 人物の姿勢を画像解析により推定し, CGキャラクタにより実時間で再現することが可能な"Shall We Dance?"システムについて述べる.筆者らは既に, 単眼画像を用いた非接触な人物の姿勢推定手法を開発したが, 姿勢推定結果は2次元的であった.本報告では既提案の単眼像アルゴリズムを多眼画像へと発展させる.まず, 各画像におけるシルエット領域とその輪郭のヒューリスティックスに基づいて頭頂・手先・足先の各特徴部位を実時間で検出し, それら結果を用いて3次元復元を行なうことで姿勢を推定する.併せて本手法の有効性を実験により示す.
著者
村田 眞哉 永野 秀尚 川西 隆仁 平松 薫 柏野 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.521, pp.245-249, 2015-03-12

本論文では特定物体が映る画像をクエリとして,映像中からその特定物体を探索するタスクに対する我々の探索法を説明する.その際画像クエリ内の特定物体の領域を示す注目領域情報(region-of-interest, ROI)も同時に入力されることを想定し,その効果的な使用法を提案する.提案法は検索結果のリランキングになっており,ROI内の画像特徴のみを使用した検索結果ランキングの上位K件を,ROI外の特徴でリランキングする.これにより特定物体の背景情報(ROI外の特徴)によるトピックドリフトをある程度防ぐことができ,背景情報を特定物体の情報と同時に使用する従来法と比べて探索精度の改善が期待できる.実際、TRECVIDのインスタンスサーチタスクのデータセットを使用した実験により、提案法の探索精度が従来法の探索精度より高いことを確認した。
著者
皆川 明洋 藤井 勇作 武部 浩明 藤本 克仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.301, pp.17-22, 2006-10-13
被引用文献数
4

内容が共通する未知フォーマットの帳票画像から対象データを抽出する方式として、帳票上の文字列の意味とそれらの関係を表す論理構造を認識する一方式を提案する。本方式は、論理要素とその関係の可能性を表現した共通論理構造および帳票画像を入力とし、おのおのの論理要素に対して帳票画像中の文字列を対応付けることで、論理構造を安定的に認識する。本方式の特長は、文字列情報とその位置情報とに基づいて、論理要素との対応関係と論理要素に対応させたときの文字列間の関係とを確率的に表現することで、与えられた共通論理構造の論理要素の関係に対応した直感的な確率グラフを構成し、これに対して確率伝搬法から得られた周辺事後確率に基づいて論理要素に文字列を対応付けることによって、レイアウトに依存せずに論理要素と文字列の対応付けを可能にする点である。本方式により、多様なレイアウトや複雑な論理構造に対応可能で、文字列の内容や位置の推定誤りにも強い論理構造認識を実現する。本方式の有効性を三つの帳票種に対する評価実験により確認した。
著者
高田 宗樹 宮尾 克 大森 正子 渡辺 智之 蛭田 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.653, pp.25-32, 2002-02-15
被引用文献数
4

ジェットコースター乗車時の3次元動画映像を立位姿勢の健常な被験者に対して、音響の有無などいくつかの条件のもとに与え、重心動揺検査を同時に行った。本論では2次元重心動揺時系列を用い、音響付き立体画像の複合現実感に関する評価を行う方法論を提示する。この画像を知覚情報として持つ被験者の動揺図にはカスプ型運動成分の増加が認められたため、加速度ベクトルを解析に用いた。このベクトルの大きさがある閾値より大きい部分列を構成することにより、この運動成分を抽出することができる。この運動パターンの出現頻度が高い時間における被験者の視覚情報となった画像のコマを対応させて、与えた3次元立体画像のリアリティーについて評価を行った。
著者
太田 篤史 森 健策 末永 康仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.47, pp.31-38, 1999-05-13
被引用文献数
2

本研究では3次元CGにおいて魅力的な映像を作り出すカメラワークを自動生成する手法を提案する。カメラワークは時系列にそったカメラの位置、姿勢によって表現されるものとする。本手法では単一のポリシーに基づきカメラワークの提案および評価を行う演出家と呼ばれる者を定義する。演出家は物体の位置、優先度、境界領域、カメラパラメータなどの様々な情報に基づき、カメラワークを複数提案する。各演出家からの提案を全ての演出家が評価する。最もよい評価の得られたカメラワークを最終的なカメラワークとして決定する。本手法を計算機上に実現し、CGアニメーションの生成を行った結果、ある程度の有効性が確認された。
著者
内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.428, pp.31-36, 2006-12-07
被引用文献数
51

弾性マッチングの一種であるDPマッチングは,開発されて既に30年以上経った現在でも,パターン認識・画像処理の基本技術として多用されている.本稿では,1次元パターン間のDPマッチング,1次元と2次パターンのDPマッチング,2次元パターン間のDPマッチングを述べた後,いくつかの高速化手法,ならびに学習理論との組み合わせについて紹介する.
著者
益子 宗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.225, pp.13-18, 2012-09-27

インターネットやスマートフォンの普及にともなって我々の消費行動が変化し,購買活動におけるリアルとネットといった2つの世界の区別はなくなりつつある.そのような背景から,実世界とインターネットでの購買活動を連携したO2Oコマースといったサービスモデルが生まれるなど,新しいインフラやデバイスがこれまでのショッピング体験をより豊かなものへと発展させてきている.本稿ではそのような消費行動の変化について述べ,我々が従来から行ってきたショッピング体験を豊かなものとするための「リアルとネットをシームレスに繋ぐインタフェース」に関する研究事例や取り組みを紹介する.
著者
佐野 雅規 住吉 英樹 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.415, pp.33-38, 2005-11-11
被引用文献数
4

本稿では, サッカー番組を対象に, リアルタイムにダイジェスト用のメタデータを付与する手法について報告する.入力としてスタジアムの会場音とアナウンサのマイク音を利用する.会場音からはシーンを切り出し, アナウンサのマイク音からは, テキスト変換した後, 各シーンへの意味を抽出した.会場音の解析では, 短時間パワーに注目し, 観客の沸いたシーンを効率よく抽出するために動的閾値を導入した.意味抽出においては, 歓声が沸いている時は, アナウンサはその試合の流れをコメントしていることが多いという知見を利用し, ドメイン知識を用いたルールにより意味を抽出した.一般にスポーツ番組のアナウンスコメントは文章として不完全であり, 3種類のキーワード(チーム/選手名, サッカー用語, 特定の動詞)に注目して, その組み合わせによりルールを作成した.Jリーグの6試合について実験を行い, 本手法の有効性を確かめた.
著者
大田 友一 尾野 徹 秋道 慎志 藤田 米春 井上 誠喜 斎藤 英雄 北原 格 大城 英裕 藤野 幸嗣 金出 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.633, pp.17-22, 2001-02-15
被引用文献数
4

現実空間を多数のビデオカメラで撮影した映像を統合して仮想化現実空間を構成し、臨場感の高いコミュニケーションを可能にすることを目指して進めているプロジェクトについて述べる。多数の2D映像と、それらを加工することにより構築される3Dモデルを、CV技術とCG技術を駆使してシームレスに統合することにより、受け手の視点選択の自由度と実時間性を両立させた自由視点映像スタジアムを開発していく。特に、多数の固定カメラと少数の可動カメラの併用により画質を飛躍的に向上させる技術を開発するとともに、現実のスタジアムの空間に複数のカメラを設営した大規模な実験を行うことによって、実用化のために要求される開発課題の検討を実証的に進めている。
著者
瀬川 かおり 岡嶋 克典 三浦 弘雅 新井 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.499, pp.19-24, 2012-03-22

本研究では,メータ(基準刺激)と奥行きが異なる位置に付加刺激を呈示し,そのときの付加刺激の見え方について測定した.メータを注視しているときに奥行きが異なる面に呈示された数字の正答率について輝度レベルおよび呈示時間の影響について調べた(実験1).その結果,500ms以上の呈示時間であれば正答率は視距離の違いに依らず,視認性は維持されることが示された.次に,基準刺激と付加刺激の奥行き順序の知覚について調べた(実験2).その結果,付加刺激の奥行順序の知覚は基準刺激の輝度レベルに依存することが示された.
著者
宮内 進吾 馬場口 登 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.569, pp.63-70, 2002-01-11
参考文献数
15
被引用文献数
2

映像メディアを効率よく扱うには, 映像の意味内容に基づいてインデクスを付与しておく必要がある.本稿では, 放送型のスポーツ映像を対象に, インデクシングの対象として特に重要であると考えられる意味的なイベントの検出法を提案する.本手法では, まずクローズドキャプションと呼ばれる言語ストリームにおける語の出現情報を特徴として, イベントの候補区間を検出する.次に, これらの区間を音特徴に基づいて再評価し, 誤検出と思われるものを棄却する.最後に, 得られたイベント区間を画像情報を利用してショットに分割し, 音特徴からイベントショットを同定する.本手法を実際のアメリカンフットボール中継の映像に適用した結果, 再現率77%, 適合率84%でイベント区間を効率良く検出し, また良好な精度でショットに対するインデクシングが行えた.
著者
安増 拓見 小沢 慎治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.295, pp.103-108, 2003-09-01
被引用文献数
2 2

本稿では,画像処理を用いて自車両の後方および死角となる後側方領域において危険車両を検出し,ドライバーヘ警告を促すシステムを提案する.本システムは車線変更時に起こり得る事故や後続車両への配慮のない急ブレーキによって引き起こされる衝突事故を回避するのに,また,暴走車両の早期検知に役立つと考えられる.本システムはレーン検出,車両検出,車両監視の3つの部分に分かれている.レーン検出の部分ではレーン形状の記録と予測により消失点近くまで安定したレーン検出を実現する.車両検出の部分では後続車両の車両前面部分だけを検出する手法を提案する.
著者
橋本 昂宗 植松 裕子 斎藤 英雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.374, pp.85-90, 2010-01-14
被引用文献数
2

本論文では,多視点のカメラの映像を合成することにより,中央カメラに映る障害物を取り除くとともに,障害物に隠れていた物体を透視することで,シースルー映像を生成する手法を提案する.本手法を野球の試合映像に適用し,審判とキャッチャーに隠されたピッチャーの姿を透視した映像を生成する.本手法は,ピッチャーの合成,審判とキャッチャーの除去,ボール軌跡の可視化の処理から成る.ピッチャーの合成では,左右カメラにおけるピッチャー領域を,Homographyによって中央カメラ視点へ変換して合成する.審判とキャッチャーは,Graph cutを用いた領域検出によって除去する.ボール軌跡は,左右および中央カメラ間に成立するTrifocal Tensorを用いて中央カメラでのボール位置を推測することで可視化する.最後に,それぞれの処理によって生成された結果を領域ごとに合成することで,シースルー映像を生成する.実験では,球場にて撮影した多視点映像に本手法を適用し,障害物であるキャッチャーと審判を除去したシースルー映像を合成することができた.
著者
天野 敏之 浮田 宗伯 岡部 孝弘 佐川 立昌 日浦 慎作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.524, pp.43-48, 2004-12-17
被引用文献数
3

2004年7月,はこだて未来大学にて画像の認識・理解シンポジウムMIRU2004が開催された.その併設イベントとして,若手研究者の活性化および相互交流を図るため「若手プログラム」が開催された.本稿ではその概要を報告する.
著者
金森 祥太 藤原 和也 玉木 徹 金田 和文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.249, pp.25-30, 2009-10-15

本論文では,大気光学現象である虹を物理的な光学現象を考慮してフォトリアリスティックにレンダリングする手法を提案する.波動光学を考慮することで過剰虹の表示や,異なる半径の水滴による虹の表示が可能となった.また,大気中の水滴の分布,空気分子による光の減衰(outscattering,absorption)を考慮することによって,水滴による光の干渉現象や,太陽高度による虹の色変化を表示できる.さらに,空の色に代表されるような大気中の空気分子による散乱(in-scattering)を考慮することによって,虹の背景にある空の色も合わせて表示でき,空の色が虹に与える影響もレンダリングした虹に加えることができる.
著者
松井 健太郎 平野 一視 田中 敏光 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.595, pp.15-22, 1998-03-12
被引用文献数
10 4

サッカー中継の状況理解の支援と臨場感向上を目的として, プレイ中の選手, 及び任意の視点から見たシーンを動画像で生成するシステムを開発した.まず, カメラキャリブレーションの理論に基づき, 位置, 姿勢が未知のカメラで撮影された画像の座標系からワールド座標系への変換式を求める.そのために, グラウンド上のライン, ゴールバー, ポストを抽出し, 直線近似されたラインの交点を参照点として変換パラメータを計算する.次に, テンプレートマッチングにより選手, ボールを追跡し, 変換式を用いてグラウンド上, 即ちワールド座標系での位置を計算する.最後に, 選手座標系列を曲線運動に近似し適当な運動動作を当てはめ, オペレータが指定した選手, 及び任意視点から見た適当な方向のシーンの動画像を生成する.本システムは, TV放送画像を入力とし, カメラの内部・外部パラメータの計測, 設定を必要としないことを特徴としている.本システムにより, 実際のカメラは配置できないようなアングルや, プレイ中の選手の目からのシーンを再現することが可能であり, 試合の解析や解説等に有効であると考える.