著者
木村 秀平 肥後 芳樹 井垣 宏 楠本 真二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.11, pp.2864-2865, 2013-11-01

モジュールの凝集度を高め結合度を下げるために,コード片を適切な位置に移動させるリファクタリングが行われる.このようなリファクタリングの候補を特定するために,従来の手法では静的解析を用いていた.しかし,静的解析を用いる手法は実行時に定まる情報を反映することができないため,特定が困難なリファクタリング候補があると考えられる.本論文では,動的解析によって得られるフェイズ分割を用いてMove Methodリファクタリングの候補を特定する手法を提案する.
著者
汪 増福 加藤 博一 佐藤 宏介 井口 征士
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J75-D2, no.7, pp.1177-1186, 1992-07-25

鏡面物体の3次元復元問題は視線の拘束,スネルの反射法則および理想的な結像の拘束といった拘束条件下での局所的最小化問題として形式化される.そこで,周囲の物体などの3次元環境および物体の鏡面像の3次元位置を既知として,物体とその鏡面像の対応関係を用いて鏡面物体の3次元情報を再構成する手法を提案し,これを実現する実験的なシステムを構成し,実物の鏡面物体を対象に,手法の有効性を示した.
著者
上瀧 剛 内村 圭一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.8, pp.1664-1674, 2013-08-01

固有顔法などで用いられる主成分分析をスケールスペースに応用する.スケールスペースへの変換作用は連続的であるため,従来の行列ベースの主成分分析を無限次元に拡張する必要がある.本研究では,これをスペクトル分解を用いて固有値問題を積分方程式の問題に帰着させ,連続的な固有解を多項式で近似して求める方法を提案する.ガウシアンスケールスペース及び,SIFTなどで用いられるScale Normalized LoG空間に対してスペクトル分解を行い,具体的な固有解を導出する.応用例として,任意のスケールのぼけ画像の生成,及び高精度な特徴点検出法を挙げる.
著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.7, pp.1667-1670, 2007-07-01

2分割を繰り返すことによりコミック画像を各コマに分割する手法が提案されている.本論文では,幅をもつ検査帯により分割線候補の検出を行い,分割線適合検査によりコマ分割を決定する手法を提案し,実験によりしきい値と分割精度について評価を行った.
著者
村田 晴美 荻原 昭夫 岩田 基 汐崎 陽
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.4, pp.941-951, 2013-04-01

本論文では,従来の音楽電子透かし法とは異なった視点から埋込を行う手法を提案する.音楽を対象とた電子透かしでは,透かしが埋め込まれた後に音楽データとしての価値を損なわないように音質を維持することが求められている.この要件に対して,従来の手法では音質劣化が知覚されないように埋め込んでいた.しかし,種々の攻撃に耐性を有し,かつ十分な埋込容量を確保しながら音質劣化が知覚されないように埋め込むことは難しい.そこで,音質劣化が「知覚されない」ではなく,「知覚されても違和感がない」ように埋め込むことで要件を満たすために,演奏楽器と類似した音色をもつサンプリング音を透かし信号とした埋込法を提案する.
著者
鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.9, pp.2456-2464, 2007-09-01

小学校などの学級集団においては,教師が集団を適切にコントロールすることが 求められる.特に,近年問題となっている「いじめ」や「学級崩壊」は教師の 適切な学級運営によって防ぐことができるケースが多い.そこで,我々は学級 集団構造の変化を解析するために,学級集団のマルチエージェントモデルを提案した. 本論文では,学級運営における教師の介入が学級集団形成にどのような影響を 与えるかをシミュレーションによって確認した. シミュレーションでは教師によるコミュニケーション介入として二つの手法を モデル化し適用した. その結果,孤立した生徒の増加に対しては, 適度な教師の介入が有効であることが示唆された. また,一般的な介入方法である「班」の導入が効果的であることをシミュレーション によって確認した.
著者
三井 相和 山内 悠嗣 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.9, pp.1591-1601, 2009-09-01

本論文では,複数のHistograms of Oriented Gradients(HOG)特徴量を2段階に構築したBoostingにより組み合わせたJoint特徴量による特定対象(例えば人や車両)の物体検出法を提案する.近年,統計的学習手法と局所領域より得られるlow-level特徴量を組み合わせた物体検出法に関する研究が多く取り組まれている.本手法では,複数のlow-level特徴量であるHOG特徴量をReal AdaBoostにより組み合わせることでJoint特徴量を自動生成する.Joint特徴量は,複数のセル間のHOG特徴量の共起を表現し,1段階目のReal AdaBoostにより組み合わせる.このため,単一のHOG特徴量のみではとらえることのできない物体の対称的な形状や連続的なエッジをとらえることが可能となる.次に,生成されたJoint特徴量のプールを入力とした2段階目のReal AdaBoostによって最終識別器を構築する.これにより,識別に有効なJoint特徴量のみを選択するため,高精度な検出が可能となる.本論文では,提案手法の有効性を確認するために,検出対象を人と車両として,評価実験により提案手法の有効性を示す.また,提案手法ではHOG特徴量同士のみでなく異なるlow-level特徴量間での組合せも可能である.本論文では,歩行者のアピアランスを表すHOG特徴量と,動きを表す時空間特徴であるPSA特徴量との共起を表現することで,効果的な識別器を構築することが可能となることを示す.
著者
生藤 大典 森勢 将雅 西浦 敬信
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.588-596, 2012-03-01

近年,鋭い指向性を有するスピーカとして,パラメトリックスピーカが注目されている.パラメトリックスピーカは直進性を有する超音波をキャリヤ波として利用し,再生すべき音響信号で振幅変調した振幅変調波を放射することで鋭い指向性を実現する.放射された振幅変調波は,空気の非線形性によりひずむことで元の音響信号に復調する.しかし,低域の再生が困難であり,倍音成分の発生により再生音がひずむという音質劣化の問題がある.パラメトリックスピーカの音質は,振幅変調波を生成する変調方式に依存する.従来の変調方式は,振幅変調波における側波帯の利用方法が異なり,主に両側波帯(Double SideBand)を利用する方式と,単側波帯(Single SideBand)を利用する方式が提案されている.本論文では,従来の変調方式の利点を併せ持つ変調方式を検討し,パラメトリックスピーカの音質向上を目指す.具体的には,両側波帯の周波数ごとの重みを制御することで,低域強調及び倍音成分の低減を実現する変調方式を提案する.評価実験より,提案する変調方式による低域強調及び倍音成分の低減,またそれに伴う音質向上を確認した.
著者
金子 翔太 小林 郁太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.2, pp.280-288, 2013-02-01

本論文では,SNS活発化要因の解明を目指して,Web参加者特性の解析を行う.近年,利用者の増加が目立つSNSのアクセス数や投稿数の動向を調査すると,コメント数の経時変化が収束する,トピックごとのコメント累積数がべき乗則の傾向をもつ,という二つの特徴的な結果が得られた.そこで,マルチエージェントモデルを用いて,SNSコミュニティにおけるコメント行動をモデル化し,シミュレーションを行った結果,コメント数の増加に従い参加者のコメント確率が累乗的に減少する場合にのみ二つの特徴的な結果を再現でき,実測値とも良い一致を示すことが分かった.つまり,参加者の属性として累積したコメント数の増加に従いコメント確率が累乗則で減少することを見出した.更に,実測値からモデルを用いて逆算することにより,Webコミュニティ内のトピックへ参加者が感じる魅力分布は2極化の形状が現れることを示した.これは行動学,心理学分野で導かれた消費市場へ感じる2極化魅力分布とよく一致することを示した.
著者
齋藤 晴美 渡辺 昌洋 浅野 陽子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.1, pp.144-153, 2013-01-01

色覚異常者が混同しやすい色の識別性を向上させる再配色型の配色提案技術において,三色覚者(色覚正常者)のデザインに対する印象の変化にも配慮しているものは少ない.本論文では三色覚者における色の「目立ちやすさ」に着目して,目立つ色は変換せず,より目立たない色の変換量を大きくする色変換アルゴリズムを提案する.更に,システムの利用者が色変換処理の結果を感覚的に理解できるよう,処理内容を色名や色の見えに関する文章に置き換えて表示するインタフェースを検討し,これらを実装した.三色覚者による評価実験の結果,提案アルゴリズムで生成された配色案では2型色覚シミュレーションで色の識別性が向上し,かつ,オリジナルの配色の印象がより保たれやすいという評価結果を得た.この傾向は2色の組合せで顕著であり,3色の組合せでもアルゴリズムの有効性を確認できた.また,処理結果の文章表示インタフェースが色変換結果への理解を助けることが分かった.
著者
城間 政司 長田 智和 谷口 祐治 名嘉村 盛和 玉城 史朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.12, pp.2021-2030, 2012-12-01

インターネット上には個人や組織の属性や状態などの多様なID情報が存在しており,サービス事業者はこれらのID情報を活用して様々なサービスを提供できるが,インターネットは匿名性が高く,詐称やなりすましが容易に可能である.一方,正当性のあるID情報は特定の機関が管理しており,そのID情報を外部の機関でも利用可能にするための仕組みとしてID連携技術が提案されている.ID連携技術はID連携に必要なメタデータを事前に交換する静的なものと,ID連携の要求に応じて交換する動的なものに大別でき,それぞれID連携のスケーラビリティやID情報の正当性に関する課題がある.本論文では,正当性のあるID情報を利用できる動的なID連携を実現するため,トラストフレームワークモデルと呼ばれるID連携モデルをOpenIDに適用する手法を提案する.本提案手法は,OpenIDそのものより規模拡張の柔軟性が低くなるがSAMLと比べて高いものとなっている.
著者
中野 学 田治米 純二 野村 俊之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.8, pp.1565-1572, 2012-08-01

本論文は,全停留点の直接計算に基づく一般カメラモデルのPnP問題に対する統一的解法を提案する.提案解法の特徴は,PnP問題を3変数の無制約最適化問題として定式化し,グレブナー基底を用いて全ての停留点を計算することである.目的関数のこう配をゼロとした連立代数方程式は,n3で互いに独立であり,方程式中の項は三次元座標の分布により変化しない.そのため,提案解法は,n=3の場合はP3P問題の複数解,n4の場合は大域的最適解が得られ,平面にも非平面にも適用可能な統一的解法である.また,提案解法の演算量はn点の入力に対し(n)である.n=100に対する平均実行時間は,内点法を用いる従来解法と比較して約14倍高速であることを実験により示す.
著者
三富 文和 藤原 冬樹 山本 正信 佐藤 泰介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J88-D2, no.4, pp.716-726, 2005-04-01

本論文は,習慣的な行動を確率文脈自由文法(SCFG)で認識するための新しい手法を 提案する.習慣的な行動でその動作が文法化されている例として茶道を取り上げ,その点前の識別を目標とする.これまで,SCFGによる動作認識では,動作を画像から記 号列に変換し,記号列を構文解析し認識に至っていた.この記号化は不確定さを伴う ため,構文解析には記号化の誤りを修正する機能が必要であった.本論文では,記号 化の誤りを少なくするために,まず,動作を角加速度に基づきセグメンテーションす る.動作セグメント列に対応可能な基本動作列を発生させ,その中から構文解析により導出可能なものを残す.このとき,対応可能な基本動作列の数は,動作セグメンテーションの誤りが少ないため多くはならない.認識過程では,残された基本動作列に対し,最も大きな事後確率をもつ点前を認識結果とする.これは,ベイズ推定の意味で誤りの最も少ない認識結果となり,同時に最適な記号化が得られる.なお,SCFGの生成確率を多重化することにより,一つの文法で複数の点前を認識できるようにしている.
著者
小林 暁雄 増山 繁
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.6, pp.1356-1368, 2012-06-01

日本語WordNetは,独立行政法人情報通信研究機構により開発された,Princeton WordNetの日本語版であり,誰でも利用可能な大規模なシソーラスである.しかしながら,収録された語彙の多くは一般語であり,一部の著名人や国名などといった有名な固有名詞以外の固有名詞や新語はほとんど収録されていない.このため,自然言語処理の応用研究に利用する上で,これらの名詞の不足が問題になる可能性がある.一方,ウィキペディアは,誰でも参加・閲覧できるオンラインの百科事典構築プロジェクトであり,多くの名詞を記事として収録しているとともに,日々記事の追加・更新が行われている.このため,固有名詞や新語の解析を必要とする研究において,知識源として頻繁に利用されている.しかしながら,ウィキペディアには,日本語WordNetのような整理された語彙の分類体系が存在しないため,日本語WordNetのようにシソーラスとして用いるのは困難である.そこで,我々は,ウィキペディアのもつ,記事をまとめ上げるための機能の一つであるカテゴリーに着目し,これを新たな概念とし,その階層を用いることによって,日本語WordNetを拡張する手法を提案する.
著者
山下 祐一郎 中島 平
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.6, pp.1421-1424, 2012-06-01

分かりやすいプレゼンテーションの作成には,ストーリー構成などを検討する能力が必要とされている.本研究では,この能力の育成を目的とし,新しいワークシートとレビューシステムを開発した.そして,評価実験の結果,これらの有効性が示唆された.
著者
大倉 輝 山本 寛 山崎 克之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.5, pp.1081-1090, 2012-05-01

近年,人間の行動を日常的にデータとして記録するライフログに注目が集まっている.人の位置を計測する手法は,屋外ではGPSが利用可能であるが,屋内では衛星からの電波が遮断されるためGPSの利用は困難である.そこで,GPSを用いずに人の位置を推定できる手法の確立が求められている.本論文では歩行経路を推定するために,加速度データから歩行周波数とエレベータ搭乗区間を,方位データから曲がり(歩行者の進行方向の変化)を推定する手法を提案し,システムを開発した.更に,開発したシステムを利用した評価実験を行うことで,歩行経路の推定精度を検証した.その結果,評価に使用した経路全てにおいて80 [%]以上,更に,エレベータを含まない場合は92 [%]以上という高い推定精度が得られ,屋内での歩行経路推定に有効であることが分かった.
著者
長野 翔一 市川 裕介 小林 透
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.734-746, 2012-04-01

時々刻々と変化するユーザの興味に連動して,提供する情報を変化させるために,ウェブページの閲覧履歴から短期的な興味のプロファイルを作成する試みが広く行われている.しかし,複数の短期的な興味をもって閲覧された履歴からプロファイルを構築すると,興味が平均化され,特徴が失われるという問題がある.我々は,この問題を解決するために,閲覧履歴間の意味的な類似性を利用してクラスタリングを行うことで,複数の短期的な興味プロファイルを抽出する必要があると考えた.過去の研究において,K-means法をはじめとしたクラスタリング方式により履歴を分類し,複数の長期的な興味を扱う方式が提案されている.しかし,これらの方式は,閲覧履歴が統計的な分布法則に基づいていることを前提としており,入力となる履歴数が少ないことが想定される短期的な興味抽出への適用は困難である.そこで,本論文では,入力となる閲覧履歴が少ない場合でも有効なクラスタリング方式を提案する.
著者
岸本 直樹 若原 俊彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.769-777, 2012-04-01

本論文ではSNS (Social Networking Service)の投稿記事を地図や時間の付加情報と連動させた新しい時空間情報共有システムを提案し,このシステムのユーザ間の情報伝搬特性を検討したものである.具体的には,この時空間情報共有システムのプロトタイプを構築し,ユーザに1年間実際に使用してもらい,コミュニケーション支援実験を行って,実験から得られたデータからクラスタ係数や密度,平均パス長などの指標を用いてネットワーク特性の評価を行った.この結果,本システムに参加したユーザは41人で福岡地方に限られてはいるが,クラスタ係数は0.50以上,密度の値は0.80以上と高く,平均パス長が短いという結果が得られ,非常に密なネットワークを構築できた.これにより,ユーザ間のコミュニケーション支援に役立ち,日常的に情報を共有するライフログとして活用するシステムとしての有効性を確認した.
著者
一場 利幸 森 孝夫 高瀬 英希 鴫原 一人 本田 晋也 高田 広章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.387-399, 2012-03-01

複数のプログラムが並列若しくは並行動作する環境では,プログラムの実行順序に依存してパスが定まる分岐が存在することがある.ソフトウェアテストでは分岐を網羅することが求められ,プログラムを繰り返し実行する手法が考えられるが,特定のパスを決定的に実行することができない.また,プログラムの実際の実行順序を知ることが困難であるため,実行順序に依存する分岐に関するテストを効率的に行うことができない.本論文では,テストプログラムからプロセッサの実行を制御することで,プログラム中の特定のパスを決定的に実行する機構を用いたテスト効率化手法を提案する.提案手法により,マルチプロセッサ向けリアルタイムOSであるTOPPERS/FMPカーネルにおけるプロセッサの実行順序に依存したパスを全て決定的に実行することができ,テストの効率化が可能であることを確認した.