著者
安本 護 池田 尚志 堀井 洋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.11, pp.2930-2939, 1997-11-25

パーソナルコンピュータや日本語ワープロを用いた文書作成において,ユーザ自身の個性的なフォントを使いたいという要求が潜在している.ところが,日本語文書の表現には数千もの文字が必要であるため,個人でフォントを登録することは困難である.本論文では,少数の手書き入力文字をもとにユーザの個性を反映した手書き風フォント一式を生成する手法を提案する.この手法は,複数の人が筆記した手書き文字データを基準パターンとし,これに非線形の幾何学的変形を加えた後,線形結合して手書き風文字の生成を行うものである.大域的個人性を表現する非線形変換のパラメータと局所的個人性を表現する線形結合のパラメータは少数のユーザ手書き文字から決定する.また,これら二つの個人性を個別に調整するパラメータを導入し,ユーザによる個人性制御も可能とした.文字間距離に基づく客観的評価と19名の被験者による主観的評価の結果,ユーザの個人性を反映した手書き風文字が生成できることが確認できた.
著者
森山 剛 斎藤 英雄 小沢 慎治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J82-D2, no.4, pp.703-711, 1999-04-25

本論文では,感情を含むことによって音声に生ずる物理的変動と,そこから 知覚される感情とを線形に対応づけるモデルを提案する. 本モデルでは,日常の感情語と物理パラメータを直接対応づける代わりに, それぞれから抽出した物理的基底及び心理的基底を対応付けに用いている ため,感情語や物理パラメータの選び方に依存しないという特長を有する. また,話し手の抱いた感情ではなく聞き手側に存在する感情のステレオタイプ を基準とすることで,感情を可観測で一般性を有するものとしている. 本研究では統計的な手法を用い,まず種々の感情が含まれた音声の韻律 パラメータと心理実験によって得た主観評価値を用いて,それぞれ物理的 基底(主成分)及び心理的基底(因子)を求めた. 更にこれらの基底空間に写像した物理量及び心理量に重回帰分析を施す ことにより,音声の物理量と感情を双方向に変換することの可能な対応情報 を獲得した.
著者
山元 翔 赤尾 優希 室津 光貴 前田 一誠 林 雄介 平嶋 宗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.1, pp.60-69, 2017-01-01

筆者らは単文統合型の作問学習支援システムを加減算と乗算の領域で設計・開発し,システムが問題の構造理解に有用であることを確認してきた.本研究では学習の次の段階として,システムを乗除算の領域に拡張することが目的である.ただし,システムは単に加減を乗除に置き換えて実現できるものではなく,対象とする乗除算文章題の構造モデルを作成し,モデルに基づいたシステムの設計が必要となる.このモデルを提案し,作成したシステムを授業に組み込むことで,単文統合型の作問学習による乗除算算数文章題の教授が実現した.この効果を,対象領域を学習した小学生に対して11時限に及ぶ実践利用から検証した結果,対象授業が問題なく受け入れられ,特に構造理解の不十分な学習者に対して成績の向上が見られたので報告する.
著者
川又 泰介 石井 隆稔 赤倉 貴子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.4, pp.725-728, 2018-04-01

e-Learningにおけるなりすまし防止手法として,顔認証における参照情報をe-Learning中に逐次更新する手法を開発した.評価実験より,入力情報と登録情報との類似度と,e-Learning中に発生するイベントによって更新の影響を調節することで,従来の方法よりも認証精度が向上する可能性が示唆された.
著者
住谷 正夫 安久 正紘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.9, pp.2556-2564, 1997-09-25

K. L展開の手法を用いて,安静状態,音楽聴取時のリラックスした状態と不快な音(雑音等)による心理的ストレス負荷状態での脳波を,音刺激開始後の約2分間のα波の変化に着目して短時間での快・不快の解析を試みている.頭皮上の16箇所から同時測定された脳波のα波帯域(8~13Hz)の脳波をK. L展開を用いて16軸の固有ベクトルに分解し,それぞれのベクトル方向とその固有値の寄与率の変化について検討している.その結果,固有値の大きい三つの固有ベクトルの寄与率の合計が全体の96%程度を示し,寄与率の大きな順に並べた第1ベクトルから第3ベクトルが,各被験者で,安静状態やさまざまな音刺激状態にかかわらず安定しており,各被験者の脳波パターンを表現する座標系として有効であることを見出している.次に,第1ベクトルの方向の違いを用いてA,Bの二つのグループに分けて,各刺激による各固有値の寄与率の変化を解析した.その結果,Bのグループで音楽を聞かせた状態において,不快な音刺激に比べ第1ベクトルの固有値の寄与率が有意に減少し,第2ベクトルの固有値の寄与率が有意に増大することを見出している.更に,第1ベクトルと第2ベクトルの寄与率の差によって,心理的ストレス状態の違いをより大きな有意な変化としてとらえることができることを示している.また,被験者全員の解析においても有意な差として同じ結果になることを見出している.更に,Aグループでも同じような傾向があることを見出している.
著者
グエン ドク ティエン 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.431-445, 2018-02-01

近年,社会構成主義に基づく学習評価法としてピアアセスメントが注目されている.一般に,MOOCsのように学習者数が多い場合のピアアセスメントは,評価の負担を軽減するために学習者を複数のグループに分割してグループ内のメンバ同士で行うことが多い.しかし,この場合,学習者の能力測定精度がグループ構成の仕方に依存する問題が残る.この問題を解決するために,本研究では,項目反応理論を用いて,学習者の能力測定精度を最大化するようにグループを構成する手法を提案する.しかし,実験の結果,ランダムにグループを構成した場合と比べ,提案手法が必ずしも高い能力測定精度を示すとは限らないことが明らかとなった.そこで,本研究では,グループ内の学習者同士でのみ評価を行うという制約を緩和し,各学習者に対して少数のグループ外評価者を割り当てる外部評価者選択手法を提案する.シミュレーションと被験者実験から,提案手法を用いて数名の外部評価者を追加することで,グループ内の学習者のみによる評価に比べ,能力測定精度が改善されることが確認された.
著者
宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.1, pp.211-224, 2018-01-01

近年,MOOCsに代表される大規模eラーニングの普及に伴い,ピアアセスメントを学習者の能力測定に用いるニーズが高まっている.一方で,ピアアセスメントによる能力測定の課題として,その測定精度が評価者の特性に強く依存する問題が指摘されてきた.この問題を解決する手法の一つとして,評価者特性パラメータを付与した項目反応モデルが近年多数提案されている.しかし,既存モデルでは,評価基準が他の評価者と極端に異なる“異質評価者”の特性を必ずしも表現できないため,異質評価者が存在する可能性があるピアアセスメントに適用したとき能力測定精度が低下する問題が残る.この問題を解決するために,本論文では,1)評価の厳しさ,2)一貫性,3)尺度範囲の制限,に対応する評価者特性パラメータを付与した新たな項目反応モデルを提案する.提案モデルの利点は次のとおりである.1)評価者の特性を柔軟に表現できるため,異質評価者の採点データに対するモデルのあてはまりを改善できる.2)異質評価者の影響を正確に能力測定値に反映できるため,異質評価者が存在するピアアセスメントにおいて,既存モデルより高精度な能力測定が期待できる.本論文では,シミュレーション実験と実データ実験から提案モデルの有効性を示す.
著者
森島 信 松谷 宏紀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.12, pp.949-963, 2017-12-01

ドキュメント指向型データベースは,ユーザがスキーマレスにドキュメントを保存し,それに対する探索クエリを実行できるデータベースである.その利用用途として,高い拡張性や豊富な機能が要求されるウェブアプリケーションやオンラインゲームが挙げられる.ドキュメント指向型データベースの主な機能の一つは,ドキュメントに対する文字列探索であり,その計算量はドキュメント数に比例して増加するため,多くのドキュメントを扱う場合,計算量が非常に大きくなる.この計算量を削減するため,ドキュメント指向型データベースでは,データベースインデックスが使われている.しかし,インデックスは全てのクエリに適用できるわけではなく,例えば,正規表現探索等のクエリに適用するのは困難である.これらのインデックスを適用できないクエリをGPUを用いて高速化するために,本論文では,DDBキャッシュ(Document-oriented DataBaseキャッシュ)というGPUでの文字列探索処理に適した構造のキャッシュを提案する.GPUとDDBキャッシュを用いることで,ドキュメント指向型データベースの文字列探索処理をインデックスを使わずに高速化できる.更に,ハッシュ機構を用いてDDBキャッシュを分割し,複数台のGPUに分散する手法を提案し,GPUを用いた手法の水平拡張も可能にする.評価では,代表的なドキュメント指向型データベースであるMongoDBを対象にDDBキャッシュを実装し,性能を評価した.その結果,インデックスの適用できない正規表現探索クエリにおいて,GPUを用いた提案手法はMongoDBを大幅に上回るスループットを達成した.また,GPUの数を1台から3台に増やしたことで,2.7倍のスループットの向上を達成し,GPU数を増やすことで水平拡張ができることを示した.
著者
伊藤 彰則 牧野 正三 城戸 健一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J74-D2, no.9, pp.1147-1155, 1991-09-25

連続音声認識のための新しい統語処理アルゴリズム「機能語予測CYK法」について述べる.機能語予測CYK法は,CYK法をベースとし,これに機能語の予測機能を加えたものである.機能語を予測しながらマッチングすることにより,効率的な処理を行うことができる.次に,この機能語予測CYK法にビームサーチを導入したアルゴリズムを提案する.また,機能語を効率良く予測するための正規文法(機能語オートマトン)を導入する.これは,従来の文節処理に用いられてきた有限オートマトンと同じものが使用できるため,文節内文法での各種の制約が利用できる.ビームサーチと機能語オートマトンの導入によって,非終端記号数の増加に伴う記憶容量および計算量の増加を抑えることができる.このビームサーチを用いた機能語予測CYK法と,文節検出+統語処理の2段階の認識方式との比較実験を行った結果,計算量・精度ともに機能語予測CYK法が優れていることがわかった.
著者
明畠 利樹 山崎 憲一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.11, pp.907-916, 2017-11-01

高速不揮発性メモリ(NVM)の開発が順調に進めば,従来のDRAMとハードディスクが全てNVMに置き換えられる可能性がある.本論文では,そのようなアーキテクチャの計算機を想定する.NVM上に置かれたデータは,電源喪失などの障害が起きても保持されるが,そのデータを再利用することは現在のプログラム言語では想定されておらず,問題が生じる.また,データ更新中に障害が起きた場合には,データが矛盾状態になるという問題もある.本研究で提案するライブラリは,NVM上のデータにグローバルな名前を付けることで,後での再実行でもそのデータを再利用することを可能とする.また,障害に対するデータの一貫性保持のための原子的更新の機能を有する.特に実装上の課題としては,メモリキャッシュのためにデータがNVMに確実に書き出されないという問題がある.これを解決した上で原子的更新を実装するために,ソフトウェアトランザクショナルメモリと類似の実装方法を提案する.本論文では,以上についての設計と実装について述べたのち,実験等により提案を評価する.
著者
石渕 久生 中理 達生 中島 智晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J83-D1, no.10, pp.1097-1108, 2000-10-25

本研究では,繰返し囚人のジレンマ(IPD:Iterated Prisoner's Dilemma)ゲームを行うプレーヤが格子世界内に存在するような空間型IPDゲームにおける隣接プレーヤ間での信頼関係の表現方法を提案する.各プレーヤは隣接するプレーヤとのみIPDゲームを行い,遺伝的アルゴリズムにより戦略進化を行う.各プレーヤの適応度関数は,そのプレーヤの利得と対戦相手の利得との加重和により定義される.対戦相手の利得に関する重みは対戦相手から協調行動が得られた場合に増加し,裏切られた場合に減少する.正の重みは対戦相手への思いやりを表し,負の重みは敵対心を表す.通常のIPDゲームでは,対戦相手の利得に関する重みはゼロである.本研究では,空間型IPDゲームにおける戦略進化に重みの更新メカニズムを組み込むことにより,隣接プレーヤとの信頼関係の動的な変動を定量的に表現することを試みる.
著者
立間 淳司 関 洋平 青野 雅樹 大渕 竜太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.1, pp.23-36, 2008-01-01

本論文では,「周辺強調画像」(PEI:Periphery Emphasized Image)による輪郭輝度強調を処理の一部として含む,複数のフーリエスペクトルの重ね合わせによる特徴量表現を主たる特長とする,検索性能の高い新しい三次元モデルの形状類似検索手法を提案する.対象とするデータは,ISOの国際標準であるVRML形式(VRML2.0)で与えられるデータとする.VRMLでは,三次元物体形状を,基本的に多角形の集合(いわゆる``ポリゴンスープ'')で表現する.このため,立体としての三次元データの特徴量を,通常は仮定することができない.本提案手法では,VRMLで表現された三次元形状のデータベースが与えられたとき,これにまず,点正対(Point SVD)と法線正対(Normal SVD)を適用する.正対処理を通して,三次元モデルは,正規化された空間で(回転などの影響の少ない)向き合わせがほぼ完成した状態となる.次いで,正対処理された三次元形状モデルに対してレンダリングを行い,Depth buffer画像,シルエット画像,輪郭画像,ボクセルの四つの形状表現を生成し,それぞれのフーリエスペクトルを計算し,それらの低周波成分の組合せを特徴量とした.また,Depth buffer画像とシルエット画像に関しては,三次元物体の輪郭を強調するため「周辺強調画像」(PEI)に輝度変換するという工夫を施した.提案手法の有効性を検証するために,三次元物体形状の類似検索のベンチマークデータであるPrinceton Shape Benchmark,Engineering Shape Benchmark,及びSHREC2007の3種類のデータセットを用いた.従来手法との比較実験の結果,これまで知られている代表的な形状類似検索手法よりも優れた検索性能を得た.
著者
村上 国男 中村 義作
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J61-D, no.7, pp.465-472, 1978-07-25

将来の有望な計算機アーキテクチャとして,ポリプロセッサ方式が注目を集めている.ポリプロセッサシステムは,機能専用化されたプロセッサによって構成される計算機複合体であり,システムの高度な性能を達成するためには,与えられたプロセッサ間の負荷分布に対してボトルネックを生じないことが必要である.このためには,各プロセッサ上で走行する制御プログラムのイベント処理方式と,負荷に対する処理能力との関係を明らかにしておくことが重要である.本論文では,ポリプロセッサシステムのパイロットモデルにおけるイベント処理の流れた着目し,これを3段のタンデム形待ち行列モデルによってモデル化する.次に,このモデルをTaube-Netto,M.の方法を援用して解析し,呼の処理待ち時間,プロセッサ内滞留呼数の評価式を与える.
著者
作田 泰隆 川本 祐大 渡辺 将史 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.3, pp.686-694, 2013-03-01

本論文では,Total Variation(TV)正則化を用いた高画質・高速な超解像拡大手法を提案する.TV正則化を応用した超解像手法はリンギングを発生させず,エッジの鮮鋭化を効果的に実現する手法であり,事例学習法を組み合わせることで細かい模様(テクスチャ)の再構成も実現する有望な手法である.しかし,TV正則化を応用した拡大手法は反復非線形演算により計算時間が増大し,画質を維持した大幅な高速化が困難とされており,動画像などへの応用が難しいという問題がある.そこで本論文では,TV正則化を応用した拡大手法に効果的なエッジ鮮鋭化フィルタであるShock Filterを用いた新方式を提案し,従来の各手法と比較して大幅な計算時間の削減,または画質の改善に成功した結果を報告する.
著者
熊本 忠彦 灘本 明代
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.4, pp.500-509, 2017-04-01

Twitterでは他のユーザをフォローすると,そのユーザ(フォロイー)のツイートが自分のタイムライン(TL)に表示されるようになる.そのため,自分と同じ興味や趣味についてツイートしているユーザをフォローすることで,自分のTLを充実させることも可能である.しかしながら,Twitterには数多くのユーザが存在しているため,その中からフォローしたくなるようなユーザ(フォロイー候補)を探し出すのは面倒な作業といえる.この問題を解決するために,従来から様々なフォロイー推薦手法が提案されている.これまでの研究では,ツイートの話題が似ているユーザをフォロイー候補として推薦する場合が多いが,ツイートの話題が似ているからといって,その話題に対する感情的態度(若しくは感情的傾向)も似ているとは限らない.そこで本論文では,共通の話題があり,かつその共通の話題に対して似たような感情的態度を示しているユーザをフォロイー候補として推薦する手法を提案する.なお,本論文では,ユーザの感情的態度を表すための感情軸として,「喜・好」,「安」,「昂」,「哀」,「怖」,「怒・厭」,「驚」,「恥」の8軸を採用する.
著者
アモーンタマウット プラウィーン 早川 栄一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.3, pp.341-352, 2017-03-01

Internet of Things (IoT)はセンサ・アクチュエータを備えた組込みシステムとサーバ群とをネットワークを介して接続するシステムである.IoTの開発においては,多様な組込みシステムを扱い,ネットワークによるデータ通信を行うことから,デバイスプログラミングやテスト,ネットワークのモニタリングを容易に行える開発環境が必要になる.本研究は,Webブラウザ上で容易にコーディング及び,通信データのモニタリングが可能な開発環境を構築した.本環境の特徴は次のとおりである:(1)コマンドベース及びスクリプト言語によるデバイスのコーディングが可能,(2)タイムスタンプを含めた通信データのトレース及び閲覧が可能,(3)複数の組込み機器のアクセス状況の閲覧が可能.
著者
坂田 一志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J57-D, no.5, pp.284-291, 1974-05-25

あるソフトウエア(コンピュータシステムにおけるハードウエアに対し,製品としてのプログラム群の総称)に含まれるバグの個数は,マクロに考えた場合,プログラム中に潜在するバグの数を統計的に処理し,又推定することができる.ソフトウエアを製品として出荷する際に,従来から検査を実施しているが,更に一歩すすめて,製造過程に検査と類似の作業を実施し,その時点での品質推定を行うことを動的な予測:先取り評価手法(Quality Probe)〔QP〕と呼称して実施した.本論文では,QPを実施するにあたり,サンプリングの方法,製造過程における実施時期,実施回数,品質の評価方法,について述べた.次にこの手法を用いての実施例をあげ,これにより実際のバグ数の推定を行い,生産工程のフォローアップ,製造完了日の推定,を行うなどにより,ソフトウエア製作上,極めて有効な手段であることを確認した.
著者
勝谷 紀子 東 るみ子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.12, pp.1154-1157, 2016-12-01

大学生を対象に質問紙調査と小論文課題を行い,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用実態,SNSの利用行動と共感性の関係,SNSの不適切な利用に対する考えの特徴を明らかにした.結果を踏まえて今後求められる情報モラル教育実践を考察した.
著者
川崎 真弘 山口 陽子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.9, pp.1570-1578, 2011-09-01

我々の日常生活における行動の多くは好きまたは嫌いなどの「主観的な好み」に左右されることが多いが,その神経機構については不明な点が多い.そこで本研究では,主観的な好みがワーキングメモリ容量に与える影響とそれに関わる脳波リズムの特定を試みた.19名の被験者に対して,好きな色と好きではない色に塗られた視覚刺激を用いて遅延見本合せ課題を行い,そのパフォーマンスと脳波の変化を調べた.その結果,好きな色を使った図形に対するパフォーマンスは好きではない色に比べて高いことが分かった.また記憶期間中の脳波データの周波数解析は,前頭連合野と頭頂連合野のシータ波(3~6 Hz)とアルファ波(9~14 Hz)が増加する結果を示した.興味深いことに,前頭連合野シータ波は記憶量が増えるにつれて増加するのに対して,頭頂連合野アルファ波は減少した.特に好きな色の記憶期間中にはこの前頭連合野のシータ波に加えて,ベータ波(15~20 Hz)も増加し,好きな色を用いたワーキングメモリ容量増加分と相関することが分かった.以上の結果より,前頭連合野シータ波は負荷が大きい能動的なワーキングメモリ保持に関わること,このシータ波に加えベータ波が主観的な好みに影響を受けることで保持容量が増加することが示唆された.
著者
齋藤 優貴 能勢 隆 伊藤 彰則
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.11, pp.1112-1115, 2016-11-01

テレビ電話において話者(元話者)の顔画像の個人性を別の話者(目標話者)のものに変換する手法を提案する.Kinectにより顔の部位の形状を表すAnimation Unitパラメータを取得し,輝度値への変換をDNNを用いて行いその評価を行った.