著者
遠藤 康男 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.1031-1041, 1998-07-25
参考文献数
25
被引用文献数
5

音声における周期ごとのゆらぎは知覚される自然性, 声質を記述するのに重要である.この周期ごとのゆらぎを考慮した音声の分析・変換・合成システムを提案する.システムにおいてゆらぎは, 基本周期ゆらぎ(ジッタ), 実効値ゆらぎ(シマ), 周波数スペクトルゆらぎに分けられ, 自己回帰移動平均(ARMA)モデルで定式化される.このモデルはゆらぎの大きさだけでなくスペクトル特性も定量化する.周波数スペクトルは主成分スペクトル成分に変換され次元が大幅に縮小される.この主成分スペクトルに対しARMAをあてはめる.実験の結果以下のようなことが示された.(1)日本語母音/a/の周波数スペクトルは8個の主成分スペクトル成分で表される.(2)モデルはもとのゆらぎを再現できる.(3)原音声と再合成した母音信号は聴覚的にほとんど違いがない.このシステムはさまざまな音声の研究分野で有用である.
著者
溝井 直史 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.1142-1148, 1995-09-25
参考文献数
8
被引用文献数
4

クイックソートはアルゴリズムにおいてよく知られたソーティングアルゴリズムである.このアルゴリズムは分割統治法に基づいている.ソートすべき配列を,その中のある一要素の値より大きな値の集合と小さな値の集合の二つに分割して,それぞれの部分を独自にソートする.この操作は分割された各部分に対して再度繰り返されるので,このアルゴリズムは再帰的な構造をもつ.クイックソートの平均の時間計算量(平均比較回数)はO(n log n)である.但し,ソートすべきデータによっては性能が極端に悪くなる場合があり,最悪の時間計算量はO(n^2)である.本論文では,まず,クイックソートの時間計算量に基づいた母関数を導入し,これを利用して解析的に時間計算量の平均と分散を求める.そして,この平均と分散を利用して,クイックソートの時間計算量の分布が正規分布で近似できるか,カイ2乗適合度検定を行う.更に,クイックソートの時間計算量の分布を3母数ワイブル分布で近似することにより,時間計算量がある値xを超える確率R(x)を精度良く算出する手法を提案する.最後に,ソーティングアルゴリズムの選択に関する考察を行う.
著者
藤原 順一 増田 澄男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1011-1016, 1998-06-25
参考文献数
10

二つの根付きの非順序木の同型判定を行う線形時間アルゴリズムとして, 辞書式ソートを用いる方法がよく知られている.本論文では, 辞書式ソートを用いない線形時間アルゴリズムを提案する.二つの方法を計算機実験により比較したところ, 本方法の方が30〜50%程度高速であった.
著者
高橋 純 増田 尚美 山田 泰司 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1664-1667, 1999-10-25
参考文献数
2

GumowskiとMiraの写像に関して,その解が状態空間においてロジスティック写像の分岐図のような振舞いを示すパラメータ値を発見した.そのモデルを構成して,この現象の仕組みの解析を行い,併せて,力学系の時間発展を追跡し,この現象が過渡的であることを確認した.
著者
宮崎 龍二 石原 茂和 原田 耕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.190-203, 2010-03-01

本論文では,形態測定学による形状分析のための標識点データを,三次元デジタイザで取得した形状データから自動的に作成する方法を提案する.標識点は対象間で相同と思われる場所に位置する必要があるが,標識点位置の相同性に関しては,完全に先見的に設定できるものではなく,対象に関する事前情報が必要であるため,自動的に標識点データを作成することは困難であり,従来では手動で標識点座標を取得していた.しかし,対象が三次元形状の場合は,必要な点数が多く,また対象間の相同な位置を目視で見つけることも困難な場合がある.本提案法では,車体形状が前・後面,上・底面,左右面の六面体に近い形状をしていることに注目し,計測データから作成されたメッシュモデルを対象間で対応する領域に分割し,分割された対応領域ごとに対応点を計算することで,車体形状を構成する面に関して相同と思われる位置に対応点が配置された標識点データを作成する.本提案法により作成された標識点は車体形状の形状特徴に基づいたものであるため,視覚的な感性評価を行うための形状分析に適している.
著者
香田 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.705-715, 2006-09-01
参考文献数
83

超音波キャビテーションは5000K,千数百気圧の高温・高圧の局所場を与える.この反応場の化学的作用を利用したソノケミストリーの現状について概説する.超音波キャビテーションに由来する化学作用の機構について説明し,化学作用の定量化法を示す.更に,化学作用の周波数依存性を明らかにし,有機化学,無機化学,高分子化学,環境工学分野へのキャビテーションの化学作用の応用と問題点について述べる.
著者
長谷川 修 森島 繁生 金子 正秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1231-1249, 1997-08-25
参考文献数
76
被引用文献数
46

「顔」は人間にとって非常に身近な存在であると共に, 顔の持ち主である一人一人の人間における個人的な情報, コミュニケーションに係わる情報を始めとした, 言語的手段では表現しにくいようなさまざまな情報を担っている. 近年, 工学分野では主としてコミュニケーションメディアやヒューマンインタフェースへの応用の観点から,「顔」の工学的取扱いに対する研究が活発に行われている. 具体的には, ユーザである人間を対象とした視覚機能をコンピュータにもたせるための顔の認識技術と, コンピュータあるいはコミュニケーションメディアに表現力豊かな顔をもたせるための顔の合成技術である. これらの研究成果は, 従来個別に検討が行われていた顔関連の心理学, 人類学, 美容, 歯科等さまざまな分野においても活用されつつある. 本論文では, このような観点からコンピュータによる顔情報処理に焦点を当て, まず要素技術としての顔画像合成と表情認識について最近の技術動向を概観する. 次に,「顔」の諸特性について考察した後に, 人と人との対面コミュニケーションの支援, 人と機械との間の顔情報を介したコミュニケーションという二つの立場から「顔」の工学的応用について述べる. また,「顔」情報処理の研究のためのツールやデータベース等についても紹介する.
著者
飯野 陽一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1254-1263, 2002-11-01
被引用文献数
2

本論文では,紙などで作られたチケット,例えばイベントの入場券や交通機関の乗車券などを情報処理装置の状態として表現する電子チケットを提案する.その際に前提とするのは,チケットはユーザがその所持を示すことで,チケットの権利内容が示され,ユーザが権利者として認証されるということである.更に権利者として認証されるユーザはチケットの譲渡によって変更が可能である.チケットの譲渡を可能にするには,その正当性を検証するために,チケットを受け取り得るすべてのユーザから権利者の認証が行える必要がある.このような認証には公開鍵認証基盤(PKI)を使えばよいが,ユーザとの関係が固定的な鍵で認証を行えば,ユーザごとの使用履歴が追跡可能になるため,匿名性を損ないやすい.この点を解決するために,特定の権利の権利者の存在を示す権限を考え,それを認証する鍵を導入する.この鍵とユーザの関係は固定的ではなく,権利者であるユーザだけが利用できるようにチケットの譲渡に伴ってユーザ間を移動する.この方法は紙チケットの電子的アナロジーになっており,電子チケットに譲渡性と匿名性を自然に実現できることがわかる.
著者
土肥 正 松岡 寿明 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.536-544, 2000-05-25
被引用文献数
6

ソフトウェア開発工程の最終段階であるテスト工程において, ソフトウェア製品の信頼性を定量的に評価するためにソフトウェア信頼度成長モデルと呼ばれる確率モデルが頻繁に用いられる.本論文では, 従来までに提案されてきたソフトウェア信頼度成長モデルを統一的に扱うための新しい枠組みとして, 無限サーバ待ち行列モデルを提案する.すなわち, ソフトウェア故障の発生過程を無限サーバ待ち行列としてみなすことにより, 既存のソフトウェア信頼度成長モデルに対して全く新しい解釈を与えるものである.最終的に数値例において, もう一つの大きなモデル化の枠組みである一般化順序統計量モデルとの比較を行い, 提案されたモデルの有効性について検証する.
著者
鈴木 政伸 ケビン ジュッド 合原 一幸 小谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1177-1184, 1993-08-25
被引用文献数
14

本論文では,動径基底関数(Radial Basis Function:RBF)ネットワークによるRBI(Radial BasisInterpolation)法を用いて非線形写像を近似する問題を考察する.はじめに近似誤差のみを評価関数とした従来のstandard-RBI法を改良するために,近似誤差に新たに関数の滑らかさの項を加えた評価関数を用いるsmoothing-RBI法を提案する.次にカオスダイナミクスを有するロジスティック写像を例にして,smoothing-RBI法による非線形写像の近似および決定論的カオス時系列データの予測を行い,smooting-RBI法がstandard-RBI法と比較して優れていることを示す.
著者
田口 亮 棟安 実治 雛元 孝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1817-1825, 1996-11-25
被引用文献数
2

画像信号等の突発的な変化を含む非定常信号が加法雑音によって劣化している場合,その復元には非線形フィルタが有力である.本論文では,階層型ニューラルネットワークを用いて,混合雑音(ガウス性雑音とインパルス雑音の混在雑音)が重畳された画像の復元を目的とする新しい非線形フィルタの一手法を提案する.まず,メジアンフィルタと線形(平均値)フィルタを組み合わせたプロトタイプフィルタを提案する.次に,プロトタイプフィルタがネットワーク構造を用いて表現することが可能であることを示し,そのネットワーク表現を階層型ニューラルネットワークと解釈することにより,メジアンニューラルネットハイブリッドフィルタ(MNNH)へと拡張する.MNNHフィルタは誤差逆伝搬アルゴリズムにより学習可能である.プロトタイプフィルタにおいても混合雑音除去性能は高いが,MNNHフィルタでは,処理対象信号(原画像,加法雑音)の情報が得られた場合,その情報を反映させ,フィルタ性能を更に向上させることができる.最後に,種々の適用例を通じて,MNNHフィルタの有効性を示す.
著者
Hirosuke Miki Morgan 藤田 玄 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.1352-1361, 1998-10-25
被引用文献数
3

本論文では低ビットレート画像符号化アルゴリズムH.263用コーデックコアのVLSI化設計について述べる.特に携帯端末での利用を目的として設計された本コアは, コーデックの各処理過程を特定のASICアーキテクチャによって実現する.すなわち, 各演算回路は, 高い符号化効率を達成する符号化オプションをとり入れ, しかも小面積かつ低動力周波数を徹底的に追求する新しいアーキテクチャにより実装した.本コアをトップダウンASIC設計システムCOMPASS Design Tools ver.9を用いてVLSI化設計した結果, 0.35μmCMOS4層メタルテクノロジで4.94mm^2, 15MHz動作時の消費電力は84.18mW(電源電圧3.3V)となった.
著者
中村 和弘 原田 淳子 塩田 茂雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.604-612, 2009-09-01
被引用文献数
4

数列がグラフ的であるための必要十分条件を与える「Havel-Hakimiの定理」を用いて,与えられた次数列を再現するネットワークを構成できることが知られている.本論文ではHavel-Hakimiの定理を利用して次数列を再現するネットワークを構成したとき,構成されたネットワークと現実のネットワークとの間に,2点間距離,クラスタ係数,周辺ノードの平均次数等の特徴量の点でどのような違いが存在するかを分析する.Havel-Hakimiの定理によるネットワーク構成には様々なバリエーションが存在するが,バリエーションの違いが構成されるネットワークに与える影響についても調査する.
著者
藤田 祐介 和田山 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.840-847, 2001-06-01
被引用文献数
2

2元線形符号の全コセット重み分布は, その符号の深い性質を示す重要なパラメータであるが, 全コセット重み分布の一般式が知られている符号はわずかである.本論文では, 与えられた符号の全コセット重み分布を効率良く数え上げるアルゴリズムの提案を行う.提案方法では, 対象符号のシンドロームトレリスを利用して重み分布多項式の計算が行われる.更に, 計算時に必要とされるメモリ量を削減するために, 重み分布多項式の辞書を利用する手法とシンドロームトレリスのセクション化に基づく手法の提案も行う.提案法により(63, 45, 7)原始BCH符号, (64, 45, 8)拡大原始BCH符号, (64, 39, 10)拡大原始BCH符号, (64, 42, 8)Reed-Muller(3, 6)符号の全コセット重み分布が得られた.
著者
藤井 健作 岡 竜一 斎藤 直也 棟安 実治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.874-887, 2009-11-01
被引用文献数
10

音響エコーキャンセラにおいて適応フィルタの係数は,外乱として働く近端話者音声の重畳(ダブルトークと呼ばれる)によって大きく乱される.このダブルトークによる乱れは,エコー経路変動とダブルトークを識別し,前者と判断されたときに大きく,後者と判断されたときにステップサイズを小さく設定することによって抑制できるとされている.しかし,その識別を素早く,また確実に実行することは難しい.本論文では,その識別を行わずに適応フィルタの係数を更新しても推定誤差が安定かつ素早く低減できるステップサイズ制御法を提案する.本制御法の特徴は,別に用意した少ないタップ数の副適応フィルタに大きなステップサイズを与えて得られた残差信号を外乱とみなして利用する点にある.この副適応フィルタによって得られる残差信号は急速に減少し,そのパワーは外乱パワーに素早く漸近する.したがって,そのパワーを外乱パワーとみなしてステップサイズを制御すればエコー経路変動においては大きなステップサイズが,ダブルトークにおいては小さなステップサイズが自動的に設定されることになる.
著者
永田 明徳 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1266-1272, 1997-08-25
被引用文献数
22

顔画像の印象を解析するための手法はいまだ確立していない. これは"顔の印象"が, 人の頭の中で形成されており, 感性的な側面を強くもっているためである. 本論文では, 顔が集団としてもっている印象, すなわち, 顔グループを形成したときにそこに生じる印象を客観的に捉えるために, 平均顔を用いる手法を提案する. また, この平均顔を用いて主成分分析により顔空間を構成し, その空間内での顔画像表現の可能性を探る. 具体的には, まず平均顔で張られる空間内で特定の集団の顔を他集団から判別できることを確認した. 次に, 顔空間表現の一つの例として, 平均顔空間上に得られたパラメータを変化させて画像を作成した. これらの手法を応用することで特定の画像について印象の分析を行う, あるいは顔画像に印象を付加することが可能となる.
著者
呂 建軍 岸川 善紀 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.1142-1152, 2006-12-01
被引用文献数
6

ある基準で抽出・分割されたデータ集合(クラスタ)の特徴を,言語的に記述する手法が注目されている.本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming : GP)によるルール生成を用いたクラスタ特徴記述システムの構成手法を提案し,その応用について述べる.まず,それぞれのサンプルに対してカテゴリカルデータが与えられている場合に,データ全体から特定のクラスタを取り出す.次に,カテゴリカルデータに対する論理変数を仮定し,これら論理変数による論理式をクラスタ特徴記述のルールとしてとらえ,クラスタ内のサンプルに対してだけルールが真となる(ヒットする)方向にGP手法を用いて改善する.論理式はGP手法における個体として表現され,プールを構成するが,通常のGP手法とは異なり,個体の適合度をクラスタ内部のサンプルヘのヒット数に比例するだけではなく,クラスタ以外へのヒット数に反比例するような定義へと変更する.応用例として,人工的に与えたクラスタを用いた性能評価と,個人へのローン決定問題について述べ,これらのほかに8種類のデータ集合に対する適用結果を示す.
著者
関屋 大雄 吉永 哲哉 茂呂 征一郎 森 真作 笹瀬 巖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.42-52, 2001-01-01
被引用文献数
2

近年, 4個の3次元カオス発振器をキャパシタで完全結合した系に生じる同期現象について詳しく調べられ, van der Pol発振器の結合系では生じない2組の逆相同期が90度の位相差にロックする4相同期が生じることが報告されている.しかし, 恒等な発振器の結合系において, 2組の逆相同期がロックする条件についての理論的考察はされていない.本論文では, 奇関数で表される非線形特性をもつ4個の恒等な発振器の結合系について, 独立逆相同期が発生するための必要十分条件を与える.与えた条件を満足しない系には, 独立逆相同期が生じず2組の逆相同期がロックする周期解が生じる.よって, van der Pol発振器の結合系では生じない2組の逆相同期がロックする現象の存在が理論的に明らかとなる.具体的な結合系として, 3次元発振器をキャパシタで完全結合した系に対して計算機実験を行う.そして, 独立逆相同期の発生に関する必要十分条件の妥当性を示す.各発振器が直流成分をもって振動し, かつ結合に関する変数の応答が直流成分をもち, 更に逆相の関係にある発振器が等しい直流成分をもって振動するとき, 独立逆相同期の発生条件の一つである系の対称性が崩れるため独立逆相同期は生じない.このとき, 4相同期, 及び2組の逆相同期が0度でロックする交互逆相同期が発生することを確認する.特に安定な交互逆相同期の発生は本論文ではじめて確認される現象である.
著者
和田 和千 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1478-1486, 2005-12-01
被引用文献数
9

RCポリフェーズフィルタの性質を一つ明らかにし, その性質に基づいた設計手法を提案している.任意の帯域において, イメージの抑圧特性を任意のチェビシェフ誤差で0へ近似するのみならず, 通過域での振幅特性を平たんに近似することが可能となる.具体的な設計例を通して, 一つの多項式方程式を解くだけで容易に設計でき, かつ平たん性を改善できることを示すとともに, 自由度を生かして多様な設計に応用できることを述べている.
著者
森 武宏 小亀 英己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.898-901, 1993-06-25

カリトノフの定理は,70年代末に初めて報告された,どちらかと言えば古典的な内容の多項式の安定定理である.80年代半ばに至って,ロバスト制御理論の隆盛を背景に改めてその価値が見直され,ロバスト安定解析に関連したさまざまな研究の動機を与えてきた.また,その意味するところの大きさに比して定理自身は至って簡潔であるが故に,定理そのものが研究の対象となり多くの別途証明が提示されている.それらは,おおむね,周波数領域における議論に基づくものである.定理は多項式のフルヴィッツ安定性に関するものであるから,フルヴィッツの安定規範との関連が探られてしかるべきと思われるが,筆者らの知る限りこの線に沿った検討はいまだ報告されていない.本論文は,この課題に取り組んだ結果を報告するものである.すなわち,フルヴィッツ安定判別法を主要な道具にして,カリトノフの定理を証明する.フルヴィッツ規範のほかに,従前の多くの結果と異なり多項式の根とこの根における他の多項式の値の符号をもとにして求める結果が導かれてる.