著者
梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1808-1816, 1996-11-25
参考文献数
18
被引用文献数
51

本論文では線形ひずみおよび非線形ひずみを同時に除去する非線形逆システムの適応Volterraフィルタを用いた時間領域でのオフライン設計法を提案する.従来の線形フィルタによる線形ひずみの除去法では,線形ひずみの除去は行えるが,それに伴い非線形ひずみが増大するという欠点を有していた.本論文では,まず線形ひずみの除去によって非線形ひずみが増大するメカニズムをVolterra理論を用いて理論的に明らかにする.また,非線形システムの縦列接続によって生じる信号成分をVolterra理論を用いて導出することにより,非線形ひずみを除去する非線形逆システムの設計法を与える.提案法では非線形ひずみを最大70dB低減でき,更に設計時間の短縮化も実現している.
著者
林 健一郎 大坪 昭文 白仁田 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1180-1184, 1999-07-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

本論文では, ファジー推論法による非線形なPID制御と線形なPID制御の, 従来法と比較してより簡便で実用的な実現法について提案を行う. ここでの提案は, 簡略化することで推論計算の高速化を図ったファジー推論法の簡略化直接法を, わずか6個の簡単な構造を有するファジー制御規則に適用することにより, PID制御器に準拠した非線形なPID制御のみならず, 線形なPTD制御をも容易に実現できるという方法である.
著者
菅野 恒雄 長橋 宏 安居院 猛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1510-1519, 2003-12-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

人間の顔は大変興味深い研究対象であり,人間の顔に関する研究は古くから心理学,認知科学の分野で行われてきた.顔と年齢に関する研究は幼児期から老年期までの幅広い年齢層について,顔の形状変化,年齢認知,計算機による識別などが行われてきた.本論文では顔骨格形状が大きく変化し,顔の印象が子供から大人へ変わる児童期から青年期までの顔面像を対象とした.実験に用いた平均顔は,実年齢がほぼ特定できる卒業記念アルバムから男女とも12歳,15歳,18歳,22歳の顔画像群から作成された.これらの平均顔を刺激とした年齢推定心理実験結果から,これらの年齢の顔特徴と年齢認知との関係を示した.また,平均顔作成と同様な手法によって作成された分散顔と実験に使用した男女顔画像群の特徴から,女性顔の年齢認知が難しい要因を検討した.更に,800枚の顔画像群を刺激とした年齢推定心理実験を行い,被験者による評価結果をもとに得られた平均顔とそれらの顔特徴について検討した.
著者
関川 宗久 稲葉 直彦 吉永 哲哉 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.213-222, 2003-03-01
参考文献数
19

本論文では,強制レイリー方程式の分数調波引込領域の分岐の構造を系の対称性と関連づけて解析する.系の対称性により,状態空間上において原点について対称な形状をしたアトラクタが発生する場合と,原点について非対称な形状をした二つのアトラクタが互いに原点対称な位置に発生する場合の2種類の分数調波周期解の引込領域が存在する.それらの分岐集合のパラメータ平面上での形状を調べたところ,前者と後者の分数調波引込領域は基本調波周明解のネイマルク・サッカー分岐曲線の近傍で異なった構造をもっていることが明らかになった.
著者
藤井 健作 大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.314-322, 1995-03-25
参考文献数
16
被引用文献数
30

学習同定法を適応アルゴリズムとするエコーキャンセラにおいてダブルトークは,適応フィルタの係数を乱し,ハウリング発生の危険を増大させる.その対策としてエコーキャンセラでは通常,ダブルトークの発生を検出する回路を別に設け,検出時には適応フィルタ係数の更新を休止してその乱れを小さく抑える構成をとる.このダブルトーク検出には,エコーに埋もれたダブルトーク成分の検出が可能となる残留エコーの増加を監視する方法が有効である.しかし,その増加はエコー経路変動によっても生起するため,同検出法においてはエコー経路変動検出の併用が必須となる.本論文では,エコーを含む入力と疑似エコーの相関の大小からダブルトークとエコー経路変動を識別する方法を提案する.すなわち,疑似エコーとエコーの相関はダブルトークのときに大きく,エコー経路変動のときに小さくなることが利用される.更に,残留エコーと疑似エコーのパワー比をパラメータとするダブルトーク検出法も併せて提案し,係数更新演算に遅延を前置する構成によってエコー消去量が全く減少しないダブルトーク検出が可能となることを示す.
著者
志沢 雅彦 磯 俊樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.261-269, 1995-02-25
参考文献数
24
被引用文献数
1

多重スケール局所微分フィルタの集合から,各点に複数の方向性をもつ多重方向場を検出するための基礎理論を提案する.異なる指向性をもつ多数のフィルタを用いる従来法や,Freeman & Adelsonの可操舵フィルタ(Steerable Filter)と異なり,本理論では,多重方向場を1個の基本拘束方程式で表現する.従来法において必要であった,出力の大きい指向性フィルタの選択処理は不要である.可操舵フィルタにおける出力の極大値探索も不要である.その代わり,多重方向を陽に求める解析解が導出される.本理論は,演算子形式の線形重ね合せの原理から導かれる.従来法においては,複数の方向性信号成分が,個々のフィルタの検出方向範囲内にある場合に,信号間の干渉作用の悪影響を受ける.そのため,鋭い指向性をもつフィルタが必要であった.本理論から導かれるアルゴリズムは,この干渉作用に影響されない.アルゴリズムを用いると,画像の多重スケール表現において,交差などの特徴的画像構造を低次の輝度微分情報から抽出できる.本理論は,脳内の1次視覚野のハイパコラム構造における多重スケール・多重方向画像表現に新たな理論的基礎を与えると期待される.
著者
佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1564-1574, 1998-11-25
被引用文献数
1

対象を要素の集合, その順序関係を技で表現したマルチレベルグラフ(階層構造グラフ)は認知マップをはじめ, 多くの構造表現として活用されている.一般にグラフは同じ構造でもその描画法が異なると, 人間のとらえ方や理解のしかたも変化する.本論文では, 筆者が提案した2要素官の重要度の概念を応用した要素の重要度の概念をもとに, 構造的な関連性を考慮したマルチレベルグラフの図解的表示法であるIllustrative Mapping法の提案を行う.また, 従来手法との比較評価を, 被験者による理解のしやすさの定性的評価とグラフ描画の見やすさの定量的尺度に基づいた評価の両面から行い, 提案手法の有効性と実用性を示す.
著者
稲葉 晶子 枷場 泰孝 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.207-215, 1996-02-25
参考文献数
11
被引用文献数
33

現在, 協調作業/学習を支援するシステムの研究が, 活発に行われている. 協調作業/学習を支援するためには, ユーザにコミュニケーションの手段を提供することは不可欠であり, 更にシステムが作業/学習状態を同定し, 支援する機能が望まれる. しかし, それらの実現を目指すシステムにおいても, ユーザが状態を把握することを容易にするための機能を提供するに留まり, 実際に判断を行うのはユーザ自身であることが多い. 本研究では, 協調学習の状態を同定し, それを支援するシステムの構築を目的とする. 具体的には, 協調学習場面で行われるコミュニケーションを分析し, 議論という観点からグループの状態をとらえ, 議論を支援することにより協調学習の促進を図る. 議論場面で交わされる発言は, 多様な情報を有する. それらを以下の二つに分類した. すなわち, 1)対象領域における問題解決に関連した解法知識に関する情報, 2) Speech・Act理論に基づく, 問題解決とは独立な発言の種類に関する情報である. 本研究では, 後者の情報を用いることにより, 領域知識を用いない議論支援を実現する.
著者
吉井 訓史 中野 眞一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.945-952, 2005-08-01
被引用文献数
9

グラフを, 各面が方形(長方形)であるように, かつ, 辺が交差することなく平面に描画したものを, 方形描画と呼ぶ. 内面の個数がたかだかn個であるすべての方形描画を, 重複も抜けもなく高速に列挙するアルゴリズムが知られている. 本論文では, この列挙アルゴリズムを改造することにより, 方形描画を列挙することなく, これらの個数のみを高速に数え上げるアルゴリズムを提案する. また, この数え上げアルゴリズムを実装することにより, 方形描画の個数の値をn≤13について求めた. 更に, 従来の列挙アルゴリズムも実装し, 方形描画の個数の値を求めた. 方形描画の個数は, 上記二つの結果において一致することを確認した. これにより, これまで未解決であった方形描画の個数の値がn≤13まで新たに確定した. 今回提案する数え上げアルゴリズムは, 従来の列挙アルゴリズムより約200倍高速であった.
著者
大内 智 金川 明弘 太田 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1805-1807, 1993-12-25
被引用文献数
1

信頼性受入れ試験に関して,試験時間ならびにサンプルアイテムの個数といった観点から,効率の良い検査方式として,ロットの合否判定領域を多段に設けるマルチステージ方式が考えられている.しかしながらこの方式は,たとえアイテムの寿命分布に指数分布を仮定したとしても,ロット合格確率の表現が複雑で,目標とする検査方式を得ることは一般には困難である.本論文では,マルチステージ検査方式において,判定保留となったときに,故障した試験サンプルをすべて取り替える方式を採用することにより,合格確率を陽な形式で与えた.その結果,マルチステージ検査方式の容易な設計を可能とした.
著者
深江 誠司 相川 直幸 佐藤 正光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1192-1196, 1997-07-25
被引用文献数
31

逐次射影法は, 周波数領域や時間領域に制約のある実係数直線位相FIRフィルタの設計問題のような実近似問題を解くことができる. しかしながら, インパルス応答に対称性のない実係数FIRフィルタや複素係数FIRフィルタの設計問題は複素近似問題となり, 従来提案されている逐次射影法では直接解くことができない. そこで本論文では複素近似問題をそれと等価な実近似問題に変換することにより, 逐次射影法を用いてそれらのフィルタを設計する方法を提案する.
著者
尾知 博 貴家 仁志 山田 洋士 高良 吉立 神林 紀嘉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.810-817, 1993-06-25
被引用文献数
14

最近,フィルタバンクを用いたサブバンド適応フィルタが研究されている.しかし,エリアジングをキャンセルして完全再構成を実現している通常のフィルタバンクを用いると,エリアジングやサブバンド間のクロス項の影響を回避できないという問題がある.この問題を回避するために,離散周波数点でエリアジングの影響を回避し,クロス成分をもたない周波数サンプリングフィルタ(FSF)バンクが提案されている.本論文では,最初にFSFバンクのDFT(discrete Fourier transform)による効率的な実現法を示す.次に提案した実現法によるフィルタバンクを用いた,周波数サンプリング定理に基づく適応フィルタを提案する.提案した適応フィルタは,サブバンド間のクロス成分およびエリアジングの影響を受けていない,離散周波数における周波数サンプル値による未知システムの同定を実現している.更に,周波数領域適応アルゴリズムと提案したアルゴリズムの比較を行い,離散周波数点における情報から未知システムを推定する本手法の有効性を示す.
著者
上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.1450-1456, 1993-10-25
被引用文献数
6

ジョセフソン接合素子を含む回路の回路方程式や,回転方向に弾性復元力の働く振り子の運動方程式などは,状態に関する三角関数の項と線形項の和を含んだ2階の常微分方程式で記述される.このような力学系は,平衡点の数がパラメータの値によって変わり,平衡点の位置に関して周期性をもたなくなるため解析が難しい.本論文では,この力学系の例としてジョセフソン接合素子を含む回路を取り上げ,平衡点の接線分岐による分類および相平面上に生じるヘテロクリニック軌道に着目した解析の結果を述べる.ヘテロクリニック軌道は,その構造不安定性により,相平面上での大域的な分岐を表す.この軌道の生じるパラメータを分岐の値として,パラメータ平面で分岐集合を求めた.その際,分岐曲線によって囲まれる一つのパラメータ領域に,唯一決まるまつわり数を定義した.これは,軌道の相平面での回転の指標として用いることができ,更に分岐集合と組み合わせることによって,安定平衡点の引力圏の分類を可能にした.
著者
土肥 正 海生 直人 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.213-220, 1997-01-25
被引用文献数
2 1

データフロッピーディスクの最適1/Nバックアップ手続きに対する一般的方法について議論する. 最初に障害発生時間が一般分布に従う場合において, 期待費用関数を最小にする最適バックアップ方策が唯一存在するための条件を解析的に導出する. 次に障害発生時間分布が未知の場合において, 故障データから直接最適バックアップ方策を推定する2種類のノンパラメトリックな方法を提案する. 最後に数値例において, 推定されたバックアップ方策の漸近的な性質を比較し, 故障データ数と最適方策の推定精度との関係について調査する.
著者
森本 雅和 三好 卓也 藤井 健作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.548-551, 2011-07-01

本論文ではマイナー成分分析を用いてパンの種類を画像から自動識別する手法を提案する.パンは製造工程において発酵や焼成を含むため,個体差が発生しやすい.また,店舗レジへの導入を考えた場合,環境光変化に頑健であることが求められる.本研究では学習用パン画像から様々な特徴を抽出し,主成分分析をもとに特徴の選択を行う,このとき,パンの個体差や環境光変化が固有値の大きな主成分として現れることを考慮し,より分散の小さいマイナーな成分のみを用いて識別を行うことで,通常の部分空間法よりも識別率を改善できることを示す.
著者
井原 雅行 金田 洋二 上野 圭一 金山 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.717-725, 1999-05-25
被引用文献数
3

本論文では, ユーザの潜在的好みを推定する手法を提案する. 同手法では, ユーザ本人のアクセス履歴に加え, 好みの似ている他ユーザ(一類似ユーザ)を探し, そのアクセス履歴も活用する. そのため, ユーザ本人が未アクセスの情報集合の中に埋もれていて潜在的好みに合致する情報を推薦提示できる. 本推定手法は「直接的類似ユーザ探索手法(SUSM:Similar-User Search Method)」と「間接的類似ユーザ探索手法(ISUSM:Indirect Similar-User Search Method)」から構成される. SUSMはユーザ本人と他ユーザのアクセス履歴を比較し, 共通にアクセスされた情報が最も多い他ユーザを探す手法である. ISUSMはSUSMにより探し出された類似ユーザの情報を用いて間接的に類似ユーザを探す手法である. 本手法を音楽検索システムに適用し, 潜在的好みに合致する情報を類似ユーザのアクセス履歴から探して推薦曲とした. 実験の結果, ユーザ本人のアクセス履歴のみから推薦曲を選ぶ場合と比較して, 提案手法の場合はユーザ本人の好みに合致する推薦曲(=有効推薦曲)が2倍以上に増加することを確認した.
著者
飯島 泰蔵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.722-727, 1995-06-25
被引用文献数
11

自然観測法の理論については,過去数年にわたって一連の論文を発表してきたが,その理論体系をもとにしてその重要な応用面の一つである一般波形の受理と生成の問題について,述べるものとする.この問題については,かつて多項式波形の場合に限った理論を発表したことがあったが,今回はこれを一般波形の場合に大きく拡張した理論について論じ,その全貌を明らかにする.
著者
藤井 健作 棟安 実治 大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.299-305, 1999-03-25
参考文献数
17
被引用文献数
48

Filtered-x法を適応アルゴリズムとする能動騒音制御装置では通常, その起動に先だって誤差経路系のインパルス応答を観測し, それを誤差経路フィルタの係数として与える処理が実行される. 当然ながら, そのインパルス応答が起動後において変化することは十分に想定される. その変化は誤差経路フィルタの係数との差を拡大し, 騒音制御動作を不安定にする. 本論文では誤差経路フィルタ係数の算定を必要としない騒音制御フィルタ係数の更新法を提案する. ここでは, 騒音制御フィルタに二つの異なる係数の組を与えたときに騒音検出マイクロホンから誤差検出マイクロホンに至る系は騒音伝達系と誤差経路系のインパルス応答を未知数とする二つの独立な方程式を成立させることが利用される. 騒音制御フイノレタの係数はこの連立方程式を繰り返し解くことによって更新される.
著者
水町 光徳 赤木 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.503-512, 1999-04-25
被引用文献数
32

本論文では, マイクロホン対で受音した雑音が含まれる信号から雑音のスペクトルを解析的に推定し, スペクトルサブトラクション(SS)を用いて受音信号のスペクトルから雑音スペクトルのみを減算する雑音除去法を提案する. マイクロホンアレーを用いた雑音除去法としては, 適応処理を用いた手法が主流であるが, 本手法は雑音の推定に関して解析的に構成する減算形アレーを使用する. このため, 本手法は演算量が少なく, しかも雑音の経時変化に対する雑音除去能力低下が生じ難いという性質をもつ. そして, 従来のSSは定常雑音の除去を目的としているが, 本手法では時々刻々雑音スペクトルの推定を行うため, 突発性雑音の除去も可能である. 本雑音除去法の性能を評価するため, 雑音除去の計算機シミュレーション, 並びに残響の少ない実環境での雑音除去実験を行い, 雑音によりスペクトル包絡に生じたひずみが低減できることを確認した.
著者
新川 拓也 安達 誠一 中村 実 萩野 知香 大西 康太 久木 久美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.552-554, 2011-07-01
被引用文献数
1

本研究では,一定間隔の音刺激をペースメーカとして被験者に与えることにより,きゅうりの小口切りの手技習熟にどのような影響を与えるかを調べた.その結果,被験者の平均切断周期及びその0.7倍の周期のペーシング音を与えることで,切断枚数が増加した.