著者
荒金 英樹
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.851-856, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
6
被引用文献数
2

超高齢社会の到来に伴い食支援を必要とする高齢者は急増、多くの病院でその対策が急務とされている。当院では摂食量が少ない患者に対し独自に作成したアセスメントシートを利用し、多職種による食欲不振の原因の検討と介入を行っている。こうした要因の幾つかは病院だけで解決は難しく、中でも摂食・嚥下障害は地域での継続した支援が必要とされる。京都府、滋賀県で栄養サポート、摂食・嚥下障害に取り組まれている多職種が集い「京滋摂食・嚥下を考える会」が組織され、嚥下調整食の共通基準や摂食・嚥下連絡票を作成、地域での食支援の体制づくりの活動をしている。また、京料理や和菓子、茶、食器などの地元の食産業の協力を得ながら、一般市民へ介護食の理解を促し、介護食を食文化へと高める活動も行っている。こうした医療、介護の枠を越えた地域作りは、患者のみならず周囲の人々、地域のQOLを高める食支援に繋がると考える。
著者
杉浦 伸一
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.585-590, 2010 (Released:2010-05-20)
被引用文献数
2

高カロリー輸液製剤のキット化は、細菌汚染や異物混入のリスクを軽減し、調製時間を短縮することで業務の効率化に寄与した。在宅医療においても、高カロリー輸液を利用できる環境が整備され、短腸症候群患者など、消化管から栄養を摂取できない患者らの生命予後を改善し、輸液療法の安全性向上に貢献してきた。しかし、画期的な高カロリー輸液製剤の組成が開発されたわけではなく、過去に開発された製剤の組み合わせ処方や、バッグなどの周辺デバイスを改良した製剤にすぎない。さらに、ビタミン剤や微量元素、あるいは脂肪乳剤までも一包化したための弊害も発生している。例えば、以前では考えられなかった過剰投与や、高窒素血症あるいはカテーテル関連血流感染症などの医原性副作用が増加した。したがって、高カロリー輸液キット製剤であっても、製剤の特性の違いをよく理解し、適正な使用に心がけることが重要である。
著者
井上 善文
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.805-810, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
8

本邦においては、経腸栄養至上主義と表現してもいいような傾向があるため、静脈栄養の有効性や効果が実感されにくくなっている。簡便なTPNキット製剤の普及により、静脈栄養の処方内容や実施方法についての啓発活動が不十分になっていることも一つの理由であろう。適正な投与量・投与組成、適切な投与経路の造設と管理を行えば、静脈栄養は極めて有効で、特に、QOLの改善・維持向上に果たす役割は大きいことを再確認すべきである。静脈栄養自体に栄養治療効果があること、SPNとして食事や経腸栄養と併用することの有用性、cyclic TPNという管理方法によって輸液休止期間を設けることによる輸液ラインからの開放、PICCは中心静脈カテーテル挿入時の患者の恐怖心を軽減できる方法で、上腕PICCが推奨されること、CVポートは患者のQOLの維持向上に極めて有用であるが、上腕ポートは特に女性のQOLを考慮した場合には推奨される、など、特にQOLとの関連が強いものについて概説した。
著者
岸 和廣
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.793-796, 2009 (Released:2009-06-11)
参考文献数
6

医療全体の中で, 栄養療法の重要性が理解されるようになってきた。経口栄養法は唯一の生理的な栄養供給ルートであるがゆえに, 食欲低下や消化・吸収不良と密接に関連している。また, 人間のナトリウムに対する嗜好は食塩制限と逆の方向にあることが, 食塩制限の継続を困難にしている。管理栄養士のみならず, すべての医療スタッフに向けて, より良いナトリウム管理を実践する上で理解しておくべき内容を記載した。
著者
上原 秀一郎
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.1223-1227, 2012 (Released:2012-10-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

中心静脈栄養施行時に微量元素欠乏症が起こることが報告され、現在、ルーチンに微量元素製剤が投与されている。小児における体内の微量元素動態の特徴として体重あたりの需要量が多いため、欠乏症が生じやすい。従って静脈栄養の開始後、速やかに複合微量元素製剤の投与を開始すべきである。自施設では少なくとも3か月に1回の血液検査を施行し、血中微量元素のモニタリングを行っている。複合微量元素製剤の投与量は年齢に応じて決定しているが、特に過剰症や欠乏症などの有害事象は起きていない。しかし複合微量元素製剤に含有されない微量元素に関しては欠乏症を来す可能性があり、その代表がセレンである。セレンの投与量においては各個人差があり、必要量と中毒量の幅が比較的狭いため、その投与中には注意深い臨床症状の観察と血漿セレンのモニタリングが重要である。従って中心静脈栄養施行時には、複合微量元素製剤をただ漫然と投与していればいいのではなく、投与量が適切かどうか、病態の把握とともに定期的なモニタリングを行いつつ、複合微量元素製剤に含有されない微量元素の欠乏症も念頭に入れながら診療すべきである。
著者
宮下 実
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.157-160, 2007 (Released:2007-08-29)

当院のNSTは“全科型”で活動している。NST介入の依頼があると、まずはNST管理栄養士が栄養アセスメントを実施し、モニタリング項目等の栄養管理計画を検討していく。今後のfollow upに有効なモニタリング項目を判断し、提言する。管理栄養士はその判断について論拠とともに伝える。NST報告書はそのツールの1つとなる。栄養ケアのモニタリングを進めていく場合、すべての患者を基準値の範囲内に導く必要はなく、種々の栄養指標の改善や疾病悪化の防止が患者のQOLの向上にもつながる。臨床の場では、個々のセットポイントを考慮した栄養管理やモニタリングが必要である。
著者
金森 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.923-928, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

我々はプロバイオティクスとプレバイオティクスを併用するシンバイオティクス療法を1997年から重症小児外科疾患患児に応用してきた。これは、Bifidobacterium breve Yakult 株とLactobacillus casei Shirota 株の二種類のプロバイオティクスとガラクトオリゴ糖を用いる方法で、この治療により異常な腸内細菌叢を有した患児の腸内細菌叢を改善し、腸炎の頻度を低下させて患児の栄養状態を改善することが可能であった。最近では、重症患児において早期から上記二種類のプロバイオティクスと母乳を併用する予防的シンバイオティクス療法をおこなって、患児の腸内細菌叢をいち早く正常に誘導し、成長を促す試みをおこない、良好な結果を得ている。本稿では、予防的プロバイオティクス療法の実際を症例で提示し、その効果をもたらす理論的背景について解説する。
著者
谷口 英喜 岡本 凉子 上島 順子 阿部 咲子 岡本 葉子 牛込 恵子 石井 良昌
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.733-740, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
15

【目的】非脱水症の高齢者における、長期間の経口補水療法(ORT)の安全性および有効性を検証する。【対象および方法】対象者は、高齢者介護施設に入所している非脱水症の高齢者とした。研究デザインは、複数施設におけるランダム化割り付け比較試験とした。ORTによる介入を実施しないコントロール群(CN群、41名)と、介入を実施する介入群(OS群、41名)とした。OS群では、30日間継続的に経口補水液を1日当たり500~1,000mL摂取させた。【結果】OS群における安全性は、(1)合併症、(2) vital signおよび喫食率への影響、(3)血液学的所見の異常、が認められなかったことより証明された。有効性に関しては、ナトリウム部分排泄率の上昇、BUN/Cr比および血漿浸透圧の低下が認められたことより体液増加効果ありと判断された。しかし、CN群において脱水の発生が認められなかったことから、脱水予防の証明には至らなかった。【結論】非脱水症の高齢者における、長期間の ORTの安全性が証明され脱水予防の効果に関する有効性が示唆された。
著者
山下 芳典 原田 洋明 桑原 正樹 半田 良憲 窪田 真喜子 大河内 友美 宮武 志保 井手 孝 白野 容子 高松 理央 槙田 香子 高濱 みほ 中尾 淳一 道広 博之 峯本 譲
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1339-1345, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者肺がんはサルコぺニア,COPDをはじめさまざまな併存疾患を有する点が課題であり,短い術前の期間をいかに効率的に利用するか,消化管は扱わない手術である利点をいかに活用するかが重要な対策と考えられた.胸腔鏡による内視鏡手術を軸とした術前の包括的リハビリテーションと術後の超早期離床・経口摂取を加えたinterdisciplinary team approachによるA-ERAS法による周術期管理を紹介した.高齢者肺がんに対し,包括的リハビリテーションにより術後合併症が減少し,胸腔鏡手術により術後創部痛の軽減から早期の退院が可能となり,術当日の超早期離床・経口摂取により術後早期のADLが向上した.A-ERAS法は肺がん術後の回復促進の観点から臨床効果と忍容性が確認され,すでに当院では臨床の場で実践されている.
著者
小山 珠美
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1351-1358, 2011 (Released:2011-12-19)
参考文献数
10
被引用文献数
2

リハビリテーション栄養における看護の役割は、栄養状態の改善に留まることなく、生活者としてのADL拡大、食べる楽しみの拡充、QOL向上を実現できるような食支援を目指すことにある。栄養管理に加えて、口腔衛生、摂食・嚥下機能、呼吸ケア、ADL拡大、QOL向上などについて、チーム医療をより有機的に機能できるよう多職種と連携した質の高い看護を提供したい。本項では、経口摂取を主軸としたリハビリテーション栄養管理について紹介する。
著者
小山 珠美
出版者
Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1351-1358, 2011

リハビリテーション栄養における看護の役割は、栄養状態の改善に留まることなく、生活者としてのADL拡大、食べる楽しみの拡充、QOL向上を実現できるような食支援を目指すことにある。栄養管理に加えて、口腔衛生、摂食・嚥下機能、呼吸ケア、ADL拡大、QOL向上などについて、チーム医療をより有機的に機能できるよう多職種と連携した質の高い看護を提供したい。本項では、経口摂取を主軸としたリハビリテーション栄養管理について紹介する。
著者
高橋 良樹 福田 能啓 野口 敬康 三野 幸治 奥田 真珠美
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.741-747, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
12

【目的】麹菌醗酵産物が TNBS誘発大腸炎ラットの腸管病変に及ぼす効果を検討した。【方法】麹菌醗酵産物(プロバイオティクス麹)として強力わかもと®、その組成分アスペルギルス・オリゼー NK菌培養末を用いた。ラットに5%プロバイオティクス麹を4週間混餌投与し、TNBS/50% Ethanol注腸で大腸炎を誘発した。対照群は精製飼料を同様に投与し、大腸炎を誘発した。TNBS注腸7日後に、大腸病変、大腸のsuperoxidedismutase(SOD)、myeloperoxidase活性と血清 Zn濃度、大腸のサイトカイン mRNA量、糞便Lactobacillus属の変化、下痢固体数などを評価した。【成績】5%プロバイオティクス麹投与群では、対照群に比して体重減少、下痢が抑制され、大腸重量と傷害スコアの上昇が有意に抑えられ、SOD活性、Lactobacillus属と Zn濃度の低下も有意に改善又は改善傾向を認めた。著しく上昇した TNF-α、Cytokine induced neutrophil chemoattractant-1は、プロバイオティクス麹により有意に抑制された(p<0.01)。【結論】プロバイオティクス麹は、TNBS誘発大腸炎の大腸病変の悪化を防止し、腸管環境を改善した。
著者
山口 哲央 足立 昌司 溝上 智英子 城田 晶子 米田 昌代 岩倉 研二 二階堂 任
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.661-666, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
16

【目的】ビタミン群の欠乏は認知機能障害の原因となることがある。認知機能障害をともなう低栄養が疑われた患者においてニコチン酸濃度を中心に種々の栄養指標を測定して、解析を行った。【対象と方法】平成21年6月から平成23年8月まで当院を受診した患者55名を対象とした。調査項目は、年齢、性別、身長、体重、BMI、血清総蛋白濃度、血清アルブミン濃度、白血球数、リンパ球数、血清ビタミンB1濃度、血清ビタミンB12濃度、血清ニコチン酸濃度、飲酒歴の有無などであった。【結果】ニコチン酸濃度は、低栄養患者のアルブミン濃度、総蛋白濃度、小野寺の予後栄養指数と相関関係を示したが (p<0.05) 、他のビタミン濃度はそれらと相関関係を示さなかった。【結論】ニコチン酸欠乏はペラグラ脳症で知られる認知症類似の症状をきたすことが知られている。認知機能障害をともなう低栄養患者のなかに、欠乏症が潜在している可能性が示唆された。低栄養患者に対してビタミンを投与する際はニコチン酸の併用が必要と考えられた。
著者
藤井 利衣 濵田 康弘 堀川 真由美 矢野 美由紀 菊間 知恵 小林 曜子 北秋 翔子 脇田 久美子 戸田 明代 宇佐美 眞
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1357-1362, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
8

低栄養は体組織量減少、免疫能の障害、創傷治癒遅延、さらには臓器障害を引き起こし、著しい場合は死亡率も高めるため適切な栄養管理が必要である。そこで、現在、NEST(Nutrition & Electrolyte Support Team)では、多周波数BIA(Bioelectrical Impedance Analysis)法による身体組成測定装置を用いての栄養評価を試みている。多周波数BIA法を用いた体成分分析は簡便で栄養評価に有用であると思われるが、NST回診の対象となるような患者群においては約11%の患者で測定がうまく行えなかった。そのため、どのような患者で体成分分析が不可となるのかについて検討した。身体組成測定装置による測定が不可能な群では、測定可能群に比べてBMI、WBC、BUNの高値及びAlbの低値が見られた。このことから、測定不能群は、浮腫が強く血管内脱水傾向の患者像が浮かび上がった。これらの患者群では、より正確な栄養評価が可能となることが望ましい。これらの患者の栄養評価をどのようにしていくかは今後の課題である。
著者
土師 誠二 大柳 治正
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.447-454, 2007 (Released:2008-03-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

経口摂取量の減少を伴いやすい高齢者では低栄養や脱水症に陥るリスクが高く、静脈栄養が重要な位置を占める。しかし、高齢者の静脈栄養管理に際しては、まず高齢者の特性について理解しなければならない。高齢者では加齢に伴う水分電解質代謝、栄養基質代謝をはじめ諸臓器機能にも変化が生じ、さらに個体差も大きいことから、個々の症例に応じたきめ細かな管理が重要である。すなわち、水分・電解質異常の補正、低栄養状態の改善、耐糖能低下による術後高血糖の防止、アミノ酸投与による蛋白代謝の改善に留意すべきである。また、静脈路確保が困難な脱水症例では皮下輸液も選択肢の1つとなる。
著者
吉川 雅則 木村 弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.683-688, 2012 (Released:2012-05-10)
参考文献数
18

慢性呼吸不全の主な基礎疾患である慢性閉塞性肺疾患 (COPD) では、高度の換気不全を伴う場合は脂質主体の経腸栄養剤が推奨され、抗炎症効果を有するω-3脂肪酸の投与や蛋白同化作用を期待した分岐鎖アミノ酸の投与が有用と考えられる。また、栄養補給と低強度運動療法との併用効果が期待されている。
著者
篠 聡子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1351-1355, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
2

高齢患者が術後早期に回復するために、看護師は状況に応じて、個別な対応が必要である。術後経口食の再開に合わせて、栄養状態の悪化や摂食嚥下、心理的ストレスのリスクについてアセスメントし、問題がある場合、速やかに地域連携による退院後の在宅支援を計画する。高齢患者が自立した社会生活を再獲得し、患者自身が望む環境でその人らしさを尊重しつつ最期を迎えるために、看護師は患者に関心を持ち自発的な変容の出現を根気強く待ち、患者・家族の歴史を踏まえ、適切な介入を行うことが重要である。
著者
小川 滋彦
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.971-974, 2014 (Released:2014-08-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

在宅医療とは、真に患者中心の医療を具現する場であるならば、看取りの場ではなく、生活者としての社会復帰の場でなければならない。そのような大前提があればこそ、経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)による栄養管理は真価を発揮し、エンドユーザーである患者と家族という当事者に歓迎される。ただ、介護者のいない独居者が増えている現状において、どのような在宅医療を描いていくかは、これからの課題である。