著者
近藤 巧麻 松井 藤五郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2J4GS203, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では、最新の深層強化学習アルゴリズムを複利型に拡張し、より多くの状態変数を用いて金融取引戦略を獲得する方法を提案する。従来研究では、2つの状態変数のみを用いており、深層強化学習の利点が活かされていない。また、単純化したDQNを複利型に拡張した学習アルゴリズムを用いており、最新の深層強化学習への適用はまだ行われていない。そこで本論文では、最新の深層強化学習アルゴリズムを複利型に拡張し、多数の状態変数で表現された複雑な環境において金融取引戦略を獲得する。また、提案手法を従来研究と同じ日本国債を対象とした取引戦略の獲得に適用し、その有効性を確認する。
著者
山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.170-177, 2009 (Released:2009-01-06)
参考文献数
16

For decision by majority, each voter often exercises his right by delegating to trustable other voters. Multi-step delegates rule allows indirect delegating through more than one voter, and this helps each voter finding his delegate voters. In this paper, we propose powerful voter selection method depending on the multi-step delegate rule. This method sequentially selects voters who is most delegated indirectly. Multi-agent simulation demonstrate that we can achieve highly fair poll results from small number of vote by using proposed method. Here, fairness is prediction accuracy to sum of all voters preferences for choices. In simulation, each voter selects choices arranged on one dimensional preference axis for voting. Acquaintance relationships among voters were generated as a random network, and each voter delegates some of his acquaintances who has similar preferences. We obtained simulation results from various acquaintance networks, and then averaged these results. Firstly, if each voter has enough acquaintances in average, proposed method can help predicting sum of all voters' preferences of choices from small number of vote. Secondly, if the number of each voter's acquaintances increases corresponding to an increase in the number of voters, prediction accuracy (fairness) from small number of vote can be kept in appropriate level.
著者
石田 雄大 秋山 英三
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.AG21-J_1-8, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
18

Though modern organization theory views organizational decision making from a very rational perspective, it is known that actual organizational decision-makings are often done through organized anarchy with “many autonomous actors operating with bounded rationality in an environment with ambiguous goals, an unclear link, between cause and effect, and fluid participation with the activities and subgroups of the organization”, which is well-described by so-called “the garbage can model.” In this study, we investigate how much the introduction of time constraints into the decision of garbage cans (opportunities) can improve the problems arised from organized anarchy. The analyses show that the introduction of time constraints can decrease the number of unsolved problems and also that the number of solved problems is maximized at some length of time constraints in specific organizational structures. These results as a whole indicate the mere introduciton of deadline may improve problems caused by organized anarchy.
著者
角森 唯子 Graham Neubig Sakriani Sakti 平岡 拓也 水上 雅博 戸田 智基 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 75回 (2015/10) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.04, 2015-10-26 (Released:2021-06-28)

When humans attempt to detect deception, they perform two actions: looking for telltale signs of deception, and asking questions to attempt to unveil a deceptive conversational partner. There has been a significant amount of prior work on automatic deception detection, which focuses on the former. On the other hand, we focus on the latter, constructing a dialog system for an interview task that acts as an interviewer asking questions to attempt to catch a potentially deceptive interviewee. We propose several dialog strategies for this system, and measure the utterance-level deception detection accuracy of each, finding that a more intelligent dialog strategy results in slightly better deception detection accuracy.
著者
中島 秀之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.367-374, 1987-09-01 (Released:2020-09-29)

Uranus is a programming system designed for knowledge representation. The multiple world mechanism of Uranus makes it possible to represent conceptual space and time sequence. In this paper, we examine commonsense reasoning with this mechanism. By commonsense reasoning, we mean reasoning with rules which have exceptions. The results must fit our intuition. To do so requires ordering among rules. Non-monotonic logic is too weak for this purpose. We show that the multiple world mechanism of Uranus provides the natural ordering among rules, and thus it is suitable for commonsense reasoning.
著者
森下 皓文 森尾 学 山口 篤季 十河 泰弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2E5GS605, 2023 (Released:2023-07-10)

言語モデルは高い言語理解能力を持つ一方で,論理的な推論は苦手であることが分かってきている.この課題に対して近年,自動で生成した大量の演繹推論事例(演繹コーパス)の学習によって演繹推論能力を強化するアプローチが提案されており,一定の効果が確認されている.一方で,演繹コーパスでの学習が演繹推論能力のどのような側面の強化に寄与しているかについては,未だ明らかでない.「側面」とは例えば,多様な演繹規則の習得・ステップ数の多い演繹の実行,等である.この調査は演繹推論能力向上に向けた今後の方向性を定める上で不可欠である. そこで本研究は,この調査を行う.各側面を切り分けて分析するため,特定の側面のみを強調した調査用のアブレーション・コーパスを(全ての側面について)生成し,そのコーパスでの学習が言語モデルの演繹推論能力を向上させるかどうかを確認する.更に,これら調査結果を基に,各側面強化のための今後の方向性を議論する.最後に,後続研究のためコーパス・ソースコード・学習済みモデルを公開する.
著者
小林 茂 徳井 直生 小林 大祐 図師 雅人 森下 静香 岡部 太郎 藤井 克英 後安 美紀 大井 卓也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS1104, 2023 (Released:2023-07-10)

障害のある人の文化芸術活動における人工知能技術の活用から見えてきた可能性と課題に関して報告する。奈良市のコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」では、身体障害や知的障害のある人々が絵画、詩、演劇など多様な文化芸術活動を行っている。そうしたアーティストたちに共通する課題が、障害の重度化や加齢などにより心身の状態が悪化していく中における創造的な活動や新たな挑戦の継続である。例えば同施設に在籍していた武田佳子は、徐々に身体機能が失われるにつれ、画材や技法を変えながら制作を継続してきた。ここで着目したのがサポーターである。サポーターはアーティストたちの制作活動を支援する人々で、単なる支援に留まらずアーティストに一体化しているかのように見える場面も多数観察された。作品を素材とする画像生成や自助具的なツール制作などの試行を経て、本プロジェクトでは新たなサポーターとしての人工知能に着目した。DALL·E miniやStable Diffusionなどの画像生成技術を活用して取り組んだ活動から見えてきた「表現活動に寄りそう他者としての人工知能」の可能性と課題について報告する。
著者
井上 健二郎 吉田 光男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H4OS3b02, 2023 (Released:2023-07-10)

インターネット広告の成長は著しく,中でもディスプレイ広告の日本国内の市場規模は,インターネット広告全体の3分の1を占める.ディスプレイ広告は画像とテキストで構成され,広告主は広告を通じて消費者と接触し,購買を促すことで売上収益を最大化する.商品の均質化とニーズの多様化が進む現代社会では,広告による消費者心理への訴求がますます重要となっている.しかし,どのような訴求が消費者心理に影響を与えるかは十分に明らかでない.本研究では,ディスプレイ広告の一つであるInstagram広告で実際に配信された,Health products(健康食品)とCosmetics(化粧品)の広告テキストを,LIWC(Linguistic Inquiry and Word Count)を適用することで訴求を定量化し,CTRとの相関を分析した.その結果,消費者の不安や危機感を喚起するネガティブな訴求がCTRと関係していることがわかった.
著者
高本 綺架 小原 佑斗 吉田 光男 梅村 恭司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.A-M71_1-15, 2023-01-01 (Released:2023-01-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Compression-based Dissimilarity Measure (CDM) is reported to work well in classifying strings without clues. However, CDM depends on the compression program, and its theoretical background is unclear. In this paper, we propose to replace CDM with the computation of information quantity. Since CDM only uses compressed size, our approach uses the value of information quantity of maximum probability partitioning of string instead of file size. We find this approach is more effective. Then, CDM and the proposed method were applied to publicly available time series data. In addition to the careful implementation of computation using suffix arrays, we also find this approach more efficient.
著者
平井 翔太 村岡 雅康 岡崎 直観
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Xin138, 2023 (Released:2023-07-10)

人間が言語機能を獲得する上で、視覚情報は重要な役割を担っている。様々な自然言語処理タスクで成功を収めている大規模言語モデルの多くは、テキストデータのみを用いて学習される。Vokenizationの研究は、自然言語処理タスクにおける大規模言語モデルの性能を向上させるために、視覚情報を大規模言語モデル学習に取り入れるという新しい方法を確立した。しかし、Vokenizationでは、文中の異なるトークンに同じ画像を割り当ててしまうため、大規模言語モデルが効果的な単語埋め込み表現を学習することができない。本研究では、大規模言語モデルの性能をさらに向上させるために、大規模言語モデル学習においてトークンに割り当てられる画像をtop-kまたはtop-pサンプリングを利用して多様化する方法を提案する。実験の結果、言語理解ベンチマークであるGLUEにおいて、本手法の有効性が示され、Vokenizationのtop-1検索を用いたベースライン手法を上回った。
著者
Wu Haotian Zhang Chenghuan Han Dongli
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.66-71, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

現代社会においては、科学技術の成果があらゆる場面で活用され、企業に様々な影響を及ぼしている。企業価値と企業における研究開発との関係について従来より研究されてきたが、研究内容まで細かく分析したものが少なかった。特に、中国を初めとした新興国は研究開発の面で大きな進歩を遂げている割には、この点についてはあまり研究されてこなかった。本研究では、中国のハイテク企業であるテンセントとバイドゥの特許データ、市場価値データと決算報告データを利用し、研究開発の内容と企業価値を表すトービンqの関係を分析するための線形回帰モデルを構築した。その結果、技術密集型企業では、研究開発の範囲を限定することによりq値を上げることができるかもしれないことが分かった。
著者
笹嶋 宗彦 石橋 健 山本 岳洋 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1N4GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施しており,今年で4年目となる.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルと統計学の知識を用いてデータを分析する力だけではなく,実社会の課題を定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年はデータ分析力が低いが,ツールを利用して実データを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来1年生向けのPBLを4回実施し,今年度は新しい試みとして,実習対象となる店舗を1店舗に限定して実施した.事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価した.本稿では,2022年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
著者
下西 風澄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2R5OS28a04, 2023 (Released:2023-07-10)

近年の認知科学を巡る哲学研究の潮流は、意識の身体性や環境との相互作用に着目している。神経生物学者のフランシスコ・ヴァレラはこうした認知哲学を「身体化された心」と呼び、認知が単なる記号的な情報処理として普遍的に機能するのではなく、それぞれの個別の歴史性を有した身体や、その有機体が行為する状況に深く依存してはじめて捉えることができるという観点に注目した。こうした認知の身体性を広く解釈すれば、認知とは、それを行う認知主体の身体的な習慣、使用する言語、活動する生態環境などの総合的な環境のなかで捉えるべき対象となる。別の言い方をすれば、意識はいわば「文明と共進化」する視座のなかから理解すべき現象でもある。 筆者は『生成と消滅の精神史』(文藝春秋、2022)にて、この「文明と共進化する意識」という観点から、古代・近世・現代の西洋における意識、夏目漱石の文学において描かれた意識を対象に論じたが、本発表では、漱石の作品における意識の描かれ方とその理論における捉え方を比較し、日本における意識の捉え方を考察する。
著者
武田 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2Q5OS20a01, 2023 (Released:2023-07-10)

IT社会さらにAI社会と社会が発展するにつれ、人個人のあり方にも変化が求められている。本稿では伝統的な個人(individual)の概念から離れて、新たに分人(dividual)を基本とする人と社会のあり方を検討する。我々はすでにSNS等において自らの一部として参加していたり、分人的活動をしている。そこでむしろ、分人を社会の基本単位として社会を構成することで、よりIT/AI社会に適合したシステムになると考える。分人概念の歴史的経緯、分人型システムの要件、分人型システム実現への課題などをまとめる。
著者
西堤 優
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K4OS11a05, 2023 (Released:2023-07-10)

昨今、人工主体(AI)による人の感情の分析・認識の技術開発が活況を呈している。この技術が進展し、さらにAIが人から読み取った感情の情報をもとに適切な仕方で応答するようになれば、AIはますます本物の人間と区別がつかないような振る舞いをするものになるだろうし、私たちはそのようなAIに対して、感情を帰属させるようになるかもしれない。しかし、実際にAIが感情を持つことはできるのだろうか。本発表ではAIが感情を持つことが可能なのか、もしAIが感情を持ちうるとすればどのようなものなのかについて考察する。そのために、心理学や哲学において現在提案されている感情についての理論を比較検討しつつ、感情における身体性の役割について論じたい。また、AIが感情を持つなら、もしくは、持たないとしても私たちが感情を帰属させるなら、どのような倫理的配慮が必要となるのかについても検討を加える。
著者
西尾 駿斗 武藤 敦子 島 孔介 森山 甲一 松井 藤五郎 横越 梓 吉田 江依子 犬塚 信博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3M5GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

流行語についての研究は、語の定着の過程の分析や、語のジャンルごとの流行の度合いの分析などがあるが、どれも流行の定義を定量的に行っておらず、流行の定着度の分析を行うには十分でない。そこで本論文では、Twitterにおける単語の流行と定着の定義を定量的に行い、定義に基づいた語の流行期間について、機械学習による予測を行った。まず、ある流行語の一定期間内の使用回数に対し閾値を設定し、流行状態とそうでない状態を定義した。次に、ある期間における語の使用回数の推移を用いて、一定期間後に流行状態であるかを複数の機械学習手法を用いて予測のためのモデルを作成した。作成したモデルを用いて予測を行った結果、高い精度で流行状態の予測が可能であることを確認した。最後に、モデルの各特徴量の重要度を数値化し、流行が長期化するための条件について考察を行った。