著者
田中 正美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.8, pp.1803-1808, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2

高齢者に多い本症は,高齢化社会を迎えて,今後さらに増加してゆくと思われる.日本人には失明の危険のある,巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)の頻度は低いが,長期予後は必ずしも良好とは言えず,急性期ではステロイドに良く反応するが,慢性化して再発したり,減量が困難なことが少なくない.欧米の診断基準が利用されることが多いが,日本人向けの感度の高い診断基準が必要と思われる.
著者
臼井 丈一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.967-974, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
12

腎臓は薬剤の主たる代謝・排泄経路であり,近年の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の増加に伴い,薬剤代謝障害を考慮するべき患者にしばしば遭遇する.腎臓病患者への有効かつ安全な薬剤投与を行うために,患者の正確な腎機能を評価したうえで,薬剤の代謝・排泄臓器,PK/PDを考慮した投与設計が必要である.さらに末期腎不全患者では透析クリアランスを考慮した投与設計の工夫も求められる.
著者
杉山 英二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.2472-2477, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
4

リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は高齢者に好発し,体幹,四肢近位部のこわばりと耐え難い疼痛を特徴とする原因不明の炎症性疾患である.ステロイド薬が劇的に効果を示すことが特徴であり,基本的には予後良好な疾患であるが,ときに側頭動脈炎を合併する.また,診断に際しては悪性腫瘍,感染症を除外することが重要である.今後,人口の高齢化とともに増加する可能性があり,本疾患の疾患概念の普及が望まれる.
著者
福土 審 遠藤 由香 金澤 素
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.46-54, 2019-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

慢性便秘症においては,偏食,食事量のアンバランス,夜食,睡眠不足,運動不足ならびに心理社会的ストレスが症状の増悪因子であるため,これらの除去・調整を実施する.これらで不十分であれば,食事療法を基本とし,運動療法を加えるが,治療効果が確実なのは適切な薬物療法である.近年,使用可能となった2種類の上皮機能変容薬及び1種類の胆汁酸トランスポーター阻害薬の3種類の薬物は,それぞれ異なる分子を標的としており,エビデンスレベルも高い.それぞれの特性を知り,便秘患者の診療に役立てることが望まれる.
著者
榊原 啓 肥田野 等 土屋 整也 福井 明 高橋 洋平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.968-973, 1984-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

播種性コクシジオイデス症の1例を経験した.症例は47才,男性で,昭和57年7月23日頃より38°C以上の発熱あり,近医にて加療するも不変のため, 7月30日本院受診し入院した.入院時胸部写真で,右上縦隔および右肺門リンパ節の腫大,右上葉のスリガラス様陰影を認めた.当初肺炎と診断し,各種抗生物質,抗結核薬を投与したにもかかわらず, 39°C以上の発熱が1カ月以上続いた. 8月中旬より右鎖骨上窩にリンパ節を触知し,母指頭大に腫大したため, 9月8日生検した.この結果コクシジオイデス症の疑いが濃厚となつた.なお,この生検部が一時外瘻化し膿汁が出現したため,これを培養した所, Coccidioides immitisと定し得た. 9月14日よりアンホテリシンBと5-FCの併用療法を行なつたが,無効のため, 10月1日よりMiconazoleとKetoconazoleに変更した.変更後2週間で下熱し,血沈も改善した.一時肺炎を合併したが経過は順調で12月16日MiconazoleとKetoconazoleを中止した.コクシジオイデス症は難治性疾患で,特に播種性コクシジオイデス症の半数は死亡するとされている.本症は北中南米にみられる疾患で,他地域には殆どみられない本邦では1927年に榊原らが朝鮮人労働者の1例を報告しているにすぎず,本症例は日本人として第1例目である.
著者
馬場 重樹 安藤 朗
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.133-138, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

Crohn病は,遺伝的素因を関連した免疫応答が食事抗原や腸内細菌に対して過剰に反応して発症すると考えられている.ここでは,小腸疾患の中でもCrohn病における免疫異常,特にTh17細胞を中心とした免疫応答について解説する.
著者
安藤 朗
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.466-471, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
古田 賢司 木下 芳一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.55-62, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

従来,胸やけ・呑酸などの逆流症状を認めるが,内視鏡で食道粘膜にびらんや潰瘍などの粘膜傷害を認めない患者は,非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease:NERD)と診断され治療が行われてきた.ところが,多チャンネルインピーダンス・食道pHモニタリング法の出現により,これまでNERDと診断され治療が行われてきた患者の中に,胃食道逆流とは無関係に症状が出現し本来のNERDとは異なった病態の患者が含まれていることが明らかになってきた.
著者
猪阪 善隆 楽木 宏実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1074-1080, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
10

ヨード造影剤は時に急性腎障害をきたすが,慢性腎臓病患者ではそのリスクが高い.造影剤投与直後に起こる血管攣縮に伴う腎虚血と造影剤による尿細管の障害が造影剤腎症のメカニズムと考えられているが,造影剤投与後短時間で発症するため,予防が重要である.さまざまな臨床研究が行われているが,現時点で有効な予防法は,造影剤使用量を最小限にすることと,適切な輸液のみであり,患者のリスクと病態の把握が肝要である.

2 0 0 0 OA 4.保健所

著者
村田 三紗子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.2128-2133, 1999-11-10 (Released:2008-06-12)

感染症新法において,保健所は地域の感染症対策の中核的機関と位置付けられた.役割として, (1)地域住民への感染症に関する正しい知識の普及啓発, (2)法の対象となるすべての感染症の届出受理及びコンピュータ・オンラインシステムによる情報の伝送と地域への還元, (3) 1類, 2類, 3類感染症の患者・感染者に対する入院勧告と就業制限,患者の移送,消毒等の指示・命令,健康診断,保健指導,疫学調査, (4)感染症診査協議会の開催, (5)積極的疫学調査などが挙げられる.

2 0 0 0 OA 6.抗菌薬

著者
千田 金吾
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1143-1148, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7

抗菌薬は日常診療で多用されるため,常に副作用を念頭に置く.ミノサイクリンやST合剤や抗結核薬の使用では,比較的頻度が高い.ペニシリン系薬剤のようにペニシリウムなどの環境真菌に曝露されていたり動物の飼料に配合されている薬剤に感作されていると,速やかに反応が起きる.初めての使用では2週間程度で感作が成立する.薬剤がハプテンとしてペプチドと共有結合し,主要組織適合複合体分子を介してT細胞に抗原提示されることが多い.主要組織適合複合体分子は各個人で異なるため,発症にも個人差がみられる.
著者
國井 美紗子 中橋 秀文 大場 ちひろ 亀田 知明 土井 宏 釘本 千春 馬場 泰尚 鈴木 ゆめ 黒岩 義之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.1656-1658, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
3

先行感染を伴い,両側側頭葉に出血を伴う髄膜脳炎を呈し,同時に脊髄病変を認めた急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis,ADEM)の男性例.出血を伴う激症型ADEMでは予後不良であることが知られているが,本例は発症早期よりステロイド治療を行い良好な経過をとった稀なケースであると考えられる.
著者
荒牧 まいえ 人見 重美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2843-2848, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
11

針刺し防止対策には,標準予防策の徹底,安全機材の活用,適切な廃棄システムの確立などが有効である.針刺しが起こった場合に速やかに対応できるよう,各施設でマニュアルを作成し,全職員に周知しておく必要がある.曝露者に特別な背景(妊娠,B型肝炎,腎障害など)がある場合や,薬剤耐性HIVの曝露を疑う場合は,予防内服用の抗ウイルス薬を注意して選択する必要がある.
著者
寺田 真 中馬越 清隆 玉岡 晃
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1160-1166, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

片麻痺,意識障害,痙攣を来たした17歳,男性.頭部MRI T2WIで両側前頭葉皮質,大脳基底核に多発する高信号域,脳血管造影で両側ACA近位部に分節性の血管狭窄がみられた.RCVSとの鑑別に苦慮したが,髄液異常があり,発症3カ月後でも血管狭窄が残存したことからPACNSと診断した.両側性,複数の血管支配域におよぶ若年性脳梗塞ではPACNSを鑑別に挙げ,髄液検査と脳血管造影を施行する必要がある.
著者
鈴木 昌
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.850-856, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
4
被引用文献数
1