- 著者
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一色 玲子
三村 晴香
鈴木 明子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
- 巻号頁・発行日
- pp.262, 2008 (Released:2008-11-10)
目的 今日の家庭科における布を用いたものづくりの意義を再考し,指導方法や内容の検討に資する情報を得るために,学校教育終了後,日常生活において手芸・裁縫活動をおこなう機会があるのか,技能は役に立っているかなどの実態を明らかにしたいと考えた。ここでは,子どものために製作活動をする機会が多いと考えられる幼稚園児をもつ母親を対象に,それらの活動に対する意識と実態を探ることを目的とした。第1報では,製作技能および製作活動の意識と実態を調査により明らかにした。
方法 広島県H市内の幼稚園3園の園児の母親320名を対象に,留置法による質問紙調査を実施した。調査時期は2007年9月,有効回答率77.2%(247名,平均年齢34.3歳)であった。調査項目は,裁縫道具の所有率と使用頻度,製作技能の習得状況および習得方法,製作活動の実態,製作活動をおこなう条件等であった。
結果 (1)玉結び,玉どめ,なみ縫いなどの基本的な技能の習得率は全体の9割以上,それらの技能を家庭科で習得したと回答した者は6~7割であった。(2)「日常生活で製作活動をする」と回答した者は全体の64.8%,「技能は生活に役立つ」86.2%,「手芸・裁縫が得意であることは生活を豊かにする」69.7%であった。また,好き嫌いの意識に関わらず日常生活において製作活動がおこなわれていた。(3)製作活動をする理由は,「必要に迫られて」,「好きだから」,しない理由は,「製作時間が十分にない」,「作り方がわからない」が上位であった(複数回答)。(4)製作活動をおこなう条件として,時間の確保(55.3%)と活動できる場所や機会(44.7%)を求める回答がみられた。