著者
岡田 みゆき 大橋 裕子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.673-679, 2020 (Released:2020-10-28)
参考文献数
13

恋人と良好な人間関係が築けると, 二人にとって幸福であるが, 恋人との関係が過度な依存状態に陥ると, 自分も相手も苦しめてしまう. 恋人と適応的な依存関係を築くことが青年期の重要な課題である. そして, 恋人との依存性に影響を及ぼす要因として, 親子関係が考えられる. そこで, 本研究では, 大学生の恋人への依存の実態を明らかにするとともに, 親子関係が恋人との依存性に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする. 596名の大学生を対象に恋人との依存性と親子関係に関するアンケート調査を行った. 因子分析の結果, 大学生は恋人との依存性を「信頼」, 「分離不安」, 「独立」, 「期待」, 「従属」の5因子に分けて捉えていた. 平均値が高かったのは「期待」と「信頼」であった. 親子関係から二人の関係性の違いを重回帰分析により検討した. 男子学生においては, 親子関係が依存している場合, 「従属」「分離不安」「信頼」「期待」に影響していた. 女子学生においては, 親子関係が依存している場合, 「信頼」と「期待」に影響を及ぼしていた. 親に依存する男子学生は適応的依存関係を恋人と築く場合と, 不適応的な依存関係を恋人と築く場合の二パターンがあると考えられる.
著者
藤本 この美 草野 篤子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.108, 2003

【目的】日清・日露戦争期から日本内外の軍隊買春は拡大し、日中戦争の頃には軍そのものが戦場に「慰安所」を設置し、「慰安婦」を従軍させるといった「軍隊慰安婦」政策が実行された。政府はこれまで慰安所への関与は認めているものの、あくまで業者の経営によるものと主体性を否定している。そこで本研究では、公文書から当時の政府や軍の主体的関与を明らかにし、同時にこの問題を日本軍隊の特殊性や植民地支配のあり方、様々な人権差別が交錯した問題として捉え、慰安婦制度を生んだ社会的背景を考察する。【方法】朱徳蘭編『台湾慰安婦関係資料集』(不二出版、2001年)を用いて、公文書から軍や政府の主体的関与を探し出す。また、藤目ゆき氏の研究を参考に「性」・「階級」・「民族」という視点から、基本的人権をキーワードに論述する。【結果】台湾における慰安婦徴集・送出には「軍→内務省→台湾総督府→州知事・庁長→郡守・警察署長→業者」、海南島における慰安所の建設・経営には「軍→台湾総督府→台湾拓殖株式会社→福大公司→業者」といった組織の存在が明らかとなった。軍や政府の主体的関与が認められ、同時に半官半民の台湾拓殖株式会社の関与、さらにそれを隠蔽するため福大公司という子会社をトンネルとして融資をした事実も判明した。また社会的背景としては、天皇制国家・家父長制社会・差別社会の存在があったと考察される。女性は男によって「モノ」化され、天皇には侵略戦争のための「コマ」として扱われ、差別によって意思を遮断されたのである。今後女性の性の蹂躙をなくすためには、女性が自分の生き方と性のあり方を自分で決定できるような社会の土壌をつくっていくことが重要である。
著者
奥西 智哉 宮下 香苗 堀 清純
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br>【目的】米粉は新規素材として各種小麦粉製品に用いられてきているが、製品特性等の研究は米粉パンについては知見が多いものの、菓子利用については十分であるとは言えない。種子タンパク質の特性が大きく異なるesp2変異や、球形の澱粉粒を合成するSS二重変異体が導入された米粉用イネが開発されている。esp2変異はタンパク質分子間S-S結合を形成することで加工特性向上が期待されており、SS二重変異体は澱粉が通常の多角形ではなく球形になり粉質形質になる。これらの品種の製粉特性およびケーキ加工適性を評価したので報告する。<br><br>【方法】鶏卵900gをホイッパーで均一になるまで撹拌し、900gの砂糖を加え<br><br>比重0.25&plusmn;0.01(30℃)に調整した。得られたバッター240gに篩った小麦粉100gを加え、木ベラで60+25回すくうように混ぜた。型に流し入れヘラで表面をならしたものを180℃で30分焼成した。焼成後、室温で1時間冷却したものを以上冷ます。各種粉砕方法で得られた米粉のSEMによる外観観察、損傷澱粉含量、アミロース含量および粒度分布を測定した。<br><br>【結果】各種米粉を用いたスポンジケーキ生地とスポンジケーキの物理的特性を,小麦粉を用いた場合と比較することによって明らかにした。湿式気流粉砕米粉を用いた場合、小麦粉と同等の膨らみを持つケーキであったが、乾式気流粉砕およびロール粉砕米粉を用いた場合、膨らみが小さいケーキであった。
著者
丸田 ひとみ 桑田 七帆 山下 広美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.750-758, 2021 (Released:2021-11-27)
参考文献数
36

本研究では, 岡山パクチーの成分的な特徴について解析することを目的として, 一般成分, ミネラル, およびビタミンCの季節変動とビタミンCの調理操作による影響について調べた. パクチーの葉部, 茎部, 根部におけるそれら成分含有量の季節変動を調べた結果, 葉では冬に水分含量が少なくなり、たんぱく質, 脂質, 灰分, 炭水化物, ビタミンC, 亜鉛, マンガン, およびマグネシウム含量は冬に高くなる傾向にあった. 日本食品標準成分表の掲載値と比較して岡パクはたんぱく質および炭水化物, またミネラルではカリウムおよび銅を除くミネラル、さらにビタミンCの含有量が高かった. 岡山パクチーの特徴としてカルシウム, 鉄およびビタミンCの含有量が高いことが明らかとなった. 部位により調理によるビタミンCの損失率が異なった.
著者
齊藤 佳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.285-296, 2016 (Released:2016-05-21)
参考文献数
77

In the present paper we analyzed factors of the social background responsible for the rise and decline of dressmaking schools, which played a major role in the westernization of clothes in postwar Japan. Our analysis was based on statistical data arranged in chronological order, from which we obtained new knowledge and insight.   In connection with the rise of these schools, we clarified the influence of various factors on the dressmaking boom. These factors were: (a) the supply-demand structure such as the production volume of the textile industry and the household spending situation; (b) the popularization of fashion; and (c) various mass media.   In connection with the decline of dressmaking schools, we also clarified the influence of various factors on the boom convergence. These factors were: (a) the commercialization of synthetic fibers and automation of the manufacturing process; (b) the rise of the apparel industry by mass production and development of distribution sales channels; (c) the spread of ready-to-wear through marketing; and (d) the increase of students receiving higher education.
著者
増田 房義 田中 健治
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.721-724, 1989-08-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
大久保 恵子 小竹 佐知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.105, 2009

目的 江戸後期史家頼山陽の母・頼梅颸没後の喪祭供え物献立にみられる食品の内容を検討した。方法 頼(らい)家に伝わる「梅颸御供」に使用された食品を皿ごとに分析し、また使用食品が贈答の場合の贈り主の状況について調査した。結果 献立冊子(頼山陽史跡資料館所蔵)は表紙に「朝夕奠御献立 上・中・下」と書かれた3分冊になっており、全部で52丁から成る。梅颸死去(1843(天保14)年)の2日後(発引=出棺の日)の12月11日から1月29日までの48日間の膳の献立が順番に綴じられており、資料の散逸・欠損などはみられなかった。発引の日は朝奠と夜祭奠の二膳のみであったが、それ以降は朝奠、午後奠(午奠)、夕奠の三膳が供えられた。朝奠は猪口、御汁、御平、御飯、御香物、御酒あるいは御湯の膳構成が主であった。午後奠には菓子と茶が供えられていた。また、夕奠は朝奠の膳にさらに御向詰、御肴が加わったものが主であった。食材料に畜鳥肉は用いられておらず、野菜類、根菜類、魚類、海草類、茸類が使われていた。この膳供物をおこなう時期は、ちょうど年中行事の年末および正月にあたっており、そのため、供物食品のなかには、雑煮(1/1-3)、七草粥(1/7)、小豆粥(1/15)などがみられた。午後奠の菓子は全部で33種(63個)が供えられており、このうちの17%が知人からの到来品であった。
著者
児玉 (渡邉) 茉奈美 浅野 昭祐 菅 文美 成戸 洋介
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.306-320, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
24

本研究の目的は, 新型コロナウィルスの流行により在宅勤務の増加や家庭外からの育児サポートが受けられにくい特殊な状況下で, 初めての育児における夫の育児参加の阻害/促進要因を明らかにすることであった. 研究1では, 夫婦を対象にした半構造化面接を実施して, このような状況下での夫の育児参加を取り巻く変数間の関係を整理して仮説モデルを生成した. 研究2では夫のみを対象に質問紙調査を実施して, 仮説モデルの検証を行った. 本研究の結果, このような状況下において, 第一子に対する父親の育児参加の阻害/促進要因としては, 在宅勤務か否か, 子どもの笑顔や成長を肯定的に評価する機会があるか否か, そして妻からの夫の育児に関する肯定的な評価の伝達があるか否かという3点が挙げられた. 本研究の知見の適用場面は, 新型コロナウィルスの流行下に必ずしも限定されるものではなく, 在宅勤務が継続される場合や, 家庭外からの育児サポートが受けられにくい家庭において, どのように育児支援を行うかといった介入案のヒントになると考えられる.
著者
矢島 和美 村田 里美 山岸 弘 杉山 典久 米山 雄二
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.124, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】 台所の排水口などに発生するヌメリは手で触りたくない汚れであり、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系洗浄剤による掃除が一般に行われている。しかし、塩素系洗浄剤は特有の臭気を有するため、短時間で掃除を済ませることが望まれている。そこで、ヌメリを発生する原因菌とヌメリの構成成分を把握し、ヌメリの効率的な洗浄について検討した。 【方法】 一般の5家庭の台所排水口からヌメリを採取し、TSA培地で培養し菌種を同定した。アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下して調整したアルギン酸カルシウムゲルをヌメリモデルとし、次亜塩素酸ナトリウムと添加剤をこのヌメリモデルに作用させたときの分解状態を観察し、目視判定により、洗浄試験を実施した。 【結果】 採取したヌメリの菌種を同定した結果、、Pseudomonas属が最も多く存在していることが分かった。この、Pseudomonas属の菌と食品を接触させたところヌメリを発生したことから、ヌメリの原因菌は、Pseudomonas属であると推定した。また、Pseudomonas属は細胞外多糖としてアルギン酸を産出すると報告されている1)ことから、ナフトレゾルシン呈色試験法によるヌメリ中のアルギン酸の同定を試みた結果、ヌメリにアルギン酸が存在することが確認できた。アルギン酸を成分とするヌメリモデルを用いた洗浄試験の結果、次亜塩素酸ナトリウムにアルカリ金属炭酸塩を添加することにより、アルギン酸の分解を促進することが分かり、実際にヌメリに対する洗浄試験においても素早い洗浄効果が確認できた。 文献1)森川正章,科学と生物,vol.41,No.1,(2003)
著者
橋本 三奈未 大木 愛 斉藤 美沙 木川 眞美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 人間の五感は、「視覚」に依存する割合が大きい。視覚は食物の好ましさの判断を最初に行うことが多く、味や口触りに対し優先的な先入観を与え、美味・不味の評価を左右すると言われる。そこで本研究では飲料を用いた官能評価を行い、カップの色が飲料の味に及ぼす影響について調査した。<b>方法</b> 2種類の飲料、紅茶(ジャワティ)・オレンジジュース(果汁100%)を用いて、甘味・渋味・苦味・酸味・爽快感等の10項目について、暖色系(赤・オレンジ・黄色)と寒色系(黄緑・青・紫)のグループに分け官能評価を行い、点数化し評価した。また、飲料の好ましさの順位をつけてもらった。官能評価後に自記式質問用紙にて、嗜好・色の好み等について質問した。<b>結果</b> 多くの項目でオレンジジュースの評価が高いが、渋味と苦味はジャワティが上回った。またカップの色によって味の感じ方が異なるかについては、ジャワティは寒色系カップの方が甘味・旨味・飲み易さの項目で評価が高かった。一方オレンジジュースは甘味と濃さが暖色系カップの評価が高く、渋味と苦味は寒色系カップの方が評価が高かった。この4項目で有意差がみられ(P<0.05)、飲料の種類(味)によってカップの色の影響に違いがあると示唆された。それぞれ2種類の飲料のカップで好ましさの順位を点数化したところ暖色系は2種類とも飲料の色とは反対の色が一位になり、寒色系はどちらも緑が一位になった。
著者
日野 伊久子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.296, 2002

本学の「ホイアン展」の衣装展示のため、ハノイ&middot;ホイアンを尋ね、キン族の衣服について実地調査をした。衣服に関する文献資料は殆どなく, 現地の研究者との交流による聞き取り調査、博物館、美術館、テキスタイル工場の見学、市場調査などから資料を収集し再現した。クワン&middot;アオは、立襟、右おくみのルーズ形で、男女共に着用した。この下に同形の白の衣服を重ねた。その後細身のシルエットとなった。下衣は男女同形で筒型の裾は広いズボンである。男性は白、女性は黒。(素材:絹)日常着は、腰丈までの襟無し、長袖の上衣クワンを組み合わせる。男性は上衣は青、下衣は白、女性は上下共黒である。現在も、働く女性に同形状の衣服を見ることができる。(素材:木綿)
著者
岡田 昌己 西山 一朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.19-24, 2015 (Released:2015-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Although the fruiting body of the brown beech mushroom (Bunashimeji, Hypsizygus marmoreus) is known to contain several proteases, the proteolytic effects of these proteases on myofibrillar proteins have not previously been examined. We prepared a crude protease fraction from the fruiting body of the brown beech mushroom and examined its proteolytic effects on pork myofibrillar proteins.   The crude protease fraction hydrolyzed the myosin heavy chain in the pH range of 4.0-10.0, whereas actin, the other major myofibrillar protein, was unsusceptible to the enzyme. Treating pork tissue with the crude protease fraction at 25℃ for 1 h caused a substantial morphological change in the surface area of the meat. These results suggest the possibility of the protease preparation being suitable as a meat tenderizer. The protease fraction prepared from the brown beech mushroom was more susceptible to being heated than that from the maitake mushroom (Grifola frondosa) fruiting body, suggesting its advantage in preventing oversoftening of the meat by rapid inactivation of the enzyme from heating during cooking.
著者
櫻井 美代子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 関東地方の東京都・神奈川県・千葉県・埼玉・茨城・栃木・群馬における、粉食の中のそば粉食に注目し、関東の地域性について、料理の呼称、日常性・非日常性等の違いがあるかを目的とする。 <b>方法</b> 中心的資料として、大正の末期から昭和初期を対象に全国的に記載のある聞き書き『日本の食生活全集』(農村漁村文化協会)より関東7都・県(7冊)を使用し、そば粉食の料理の呼称・内容について、日常性や非日常性に注目し、調査検討を行った。<br> <b>結果</b> これまでに、粉食の中の小麦粉食の&ldquo;うどん&rdquo;に注目し全国の地方別に食べ方等について、また関東における小麦粉食・そば粉食についても報告を行った。今回は粉食の中のそば粉に視点おき関東地方において調査・検討を行った。 &nbsp;そばを粒食ではなく粉にしての利用の仕方には、どちらの県においても、そば麺・そばがきがみられた。そばがきは、ほぼ日常において用いられており、そばねりやそばかっき、おっつけかき、そばねっとなど違う呼称もみられた。 そば麺は、日常の他、暮れの年越しそばとしてや正月などの行事に用いられ、婚礼・葬式の人生儀礼、人寄せや来客時にふるまわれていた。麺に打つつなぎととして、小麦粉ややまといもが用いられていた。 なかには、栃木では、じゃがいもと共に搗いたそばもちもみられた。 &nbsp;
著者
滑田 明暢 田村 彩佳 望月 昭
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.598-608, 2017 (Released:2017-12-02)
参考文献数
31

The present study examined the effect of the token economy on clean-up behavior among family members. We conducted experiments with one family (1 man and 3 women), in which the family members consented to the introduction of the token economy. The introduction of the token economy among family members (experiment 1) and the new physical environmental setting that introduced a display shelf for cloths (experiment 2) resulted in an increase in clean-up behavior as a household task. The goods and cloths left in the living room of the home were put in the storage space. In other words, the results demonstrated the effectiveness of the token economy and the new physical environmental setting (introducing a display shelf for cloths).
著者
高橋 史生
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.247-251, 1996-03-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11

市販清涼飲料水中のビタミンC含有量をフードアナライザーにより測定した結果, 以下のことが明らかとなった.(1) ビタミンCの測定に際して, フードアナライザー法は従来から行われているインドフェノール法と一致した測定結果を示した.フードアナライザー法は, 1,000mg/dl程度のビタミンC濃度において希釈することなく直接測定が可能であった.(2) 概して茶飲料系はビタミンC量が少なく, 炭酸飲料系のビタミンC量は非常に高い傾向にあった.(3) ほとんどの炭酸飲料系の製品ではそれを1本利用すると, 1日のビタミンC所要量を充足できる可能性は高いが, 茶飲料系の製品はその値を充足できる製品が50%に満たなかった.(4) 文献値から得たドリンク剤のビタミンC含有量 (mg/dl) は本調査で行った清涼飲料系に比べて約5倍以上の含有量であった.しかし, 1本当たりの内容量はドリンク剤よりも清涼飲料系の方が約4倍量と多いので1本当たりのビタミンC含有量を比較した場合, その差は約1.5倍に縮小した.特に, 炭酸飲料系の場合は上述とは逆にドリンク剤と比べて1・5倍ビタミンC含有量が多い結果を得た.
著者
濱谷 亮子 成松 泉 飯塚 美和子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.160, 2005

[目的] シュウ酸の生体内での働きは未解明な部分が多い。また緑茶はシュウ酸を含む食物としても知られているが、そのシュウ酸含量、特に近年消費量を伸ばしているペットボトル緑茶飲料のシュウ酸含量についての報告は少ない。本研究ではHPLC (島津LC-10A、カラム: Develosil RPAQUEOUS-AR-5) を用いてペットボトル緑茶飲料のシュウ酸含量を測定した。さらに急須から入れた緑茶、各種飲料についても定量し、飲料から摂取するシュウ酸量を検討した。<br>[方法] HPLC分析により、特定保健用食品など機能性飲料を含むペットボトル緑茶飲料18銘柄、ブレンド茶2銘柄、ほうじ茶、烏龍茶、紅茶、グアバ茶、コーヒーの各種既製清涼飲料、ドリップコーヒー、及びティーバッグ紅茶浸出液中のシュウ酸含量を定量した。<br>[結果] シュウ酸含量は、ペットボトル緑茶飲料で34_から_103mg/lであった。また茶葉浸出液中のシュウ酸含量は1煎目で平均226mg/l、2煎目で平均79mg/lであり、全銘柄で1煎目が高値だった。さらに、紅茶、ブレンド茶など、その他の飲料にもシュウ酸が含まれていた。今後も食品から摂取するシュウ酸量の検討とともに、シュウ酸の生体内での作用解明が望まれる。
著者
宇都宮 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>研究目的と方法<br></b> 1990年代から2000年代初頭急激な経済発展を遂げたタイにおいて、健康志向の高まりとともにヘルシーな日本食が注目され、2007年724店舗だった日本食店は2016年2,713店舗まで増加した。2013年タイ人の日本渡航ビザが免除にされ、来日旅行者が増加し、スーパーやデパートで日本食のイベントが開催されるようなった。本研究では、タイにおける外来食文化、特に日本食の受容実態について、外食産業の動向を踏まえつつ、1997年からの定期的参与観察調査、大学生を対象にしたアンケート(2013年、2015年)及びヒヤリング調査(2016年)から探ることとする。<br><br><b>研究結果<br></b> タイでの外国料理店は日本食が最も多く、ラーメン店等の専門店に加え、日本にない「回転寿司しゃぶ」がある。食事は、複数主菜、味噌汁にレンゲを用い、緑茶をストローで飲むなどのタイ様式が維持されていた。<br>アンケート結果では、好きな日本食が「すし」、嫌いなものは「刺身」であった。タイの「握りすし」は、カニカマ、卵焼き、ツナマヨなどの加熱したネタが多く、色鮮やかで日本のものよりサイズが小さい。刺身は好きと嫌いで2極化していた。ヒヤリングでは、抹茶入りの菓子が人気であった。日本食の価格帯は、緑茶や菓子など手軽なものから高級なものまで幅広い。外食・中食をする頻度の高いタイにおいて、TPOに合わせた多種多様な日本食が受容されていた。 <br><br><br><br><br><br><br><br><b><br></b>
著者
橋本 貴美子 石川 諄子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.451-457, 1962

1. 調査に対する反省<BR>今回の調査は始めに述べたように生活改良普及員の方を通して行った調査であるので、調査対象となった家庭は目頃普及員の方々にかなり協力的な家庭が選ばれた。そのため平均より経済的にも知識的にもやや上位の農家が対象となった様である。このことは耕地面積、農機具や家庭器具の持ち方からも察せられる。農業経営の方法も家畜の飼育状態等から分かるように、多角的経営はあまり行われて居らず、従って余暇には相当恵まれた家庭であろうと考えられる。それ故この調査の結果が全部の農家にあてはまるとは考えられない。<BR>次に調査内容として今回は余暇の量よりも質ということで、余暇時間がどれだけあるかは調査しなかったのであるが、やはり余暇の内容が時間的にどれ位の割合で利用されているかを調査すべきであったと思っている。<BR>2. 調査結果のまとめ<BR>余暇の内容は多種・多様であるが、やはり何れの統計にも見られる結果と同様、新聞を読む、ラジオをきく、テレビをみる、休息、雑談等が高率を占めて居り、一般的には農家としての特徴は見られない。しかし農家の中でも農業従事者と農業外の仕事の従事者とでは年齢との関係もあるが、相当余暇利用の仕方に相違が見受けられ、農業従事者は家庭内での余暇利用が多く、農業外の仕事に従事する者は家庭外での余暇利用が多くなっている。<BR>全般的に余暇の内容は健康で、パチンコ、マージャン、競輪、競馬等は極く少数者に楽しまれているのみで、特に余暇のために弊害を起こしているとは考えられない。<BR>これら余暇の中でも社会事業、婦人会活動、P.T.A活動、各種の講習会に参加すること等は或る程度強制的に参加させられる向きもあり、本当に余暇の利用といい得るか否かは疑問である。しかしこのような会合に参加することによって各種の知識を得、生活を改善して余暇を作り出そうとする意欲も生れて来るようになるかもしれない。強制的な面から出発して、自主的な方向へ向けられれば幸であると思う。<BR>余暇の種類は農業外の、しかも若い世代の人に多く、之等の人達が誤った方向へ余暇利用をしないように指導されなければならない。<BR>30代、40代、50代の中年層は家庭生活と直接つながりのある家族の団らんや子供の勉強をみる事、家庭内で新聞を読んだり、ラジオをきいたり、テレビを見たりということが多く、本当に自分の趣味を生かした余暇利用は少ない。<BR>老年者は農家に限らず、一般的にもそのような傾向であろうが、余暇の種類は少ない。何か自分の特技、趣味といったようなものを身につけて、本当に意義ある余暇の過し方ができるように心掛けることが必要であると思う。
著者
村田 温子 渡辺 澄子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.192, 2003

【目的】急激な社会状況の変化の一方で、子どもたちを取り巻く環境は、多くの問題を含んだままであり、解決の方向すら定かでない。とくに学校教育における諸課題は、教育行政を進める上での非常に重要な意思決定を伴うものである。その中で学校制服の問題は以前から多くの課題を抱えたまま今世紀に入っていった。現在の中学生・高校生の制服に対する意識とさらにふだんの服装の対する興味や関心について調査し若干の知見を得たので報告する。 【方法】2001年11月~2002年1月、三重県下の中学、高校生を対象に、ランダムサンプリングにより、中学28校、高校27校にて、クラス単位の自記式集合調査を行った。有効回答数は中学生1,180名、高校生1,395名、計2,575名である。調査内容は、制服に対する賛否とその理由、服装に対する興味関心(服装のセンス、ブランド服の好き嫌い、服の好み他)である。分析方法は自由回答のKJ法分析、単純集計、クロス集計を行った。 【結果】調査校中、高校1校、中学1校のみ自由服であったが、三重県下のほとんどの学校で標準服と呼ばれる制服を指定していた。これらの制服のある学校においては、制服を支持するものが6~7割であり、一方制服のない学校においても、制服のないことを支持するものが、同じく6~7割程度いることが明らかとなった。さらに制服を支持する理由は、楽であり、悩まなくてよいがほとんどであった。次いで、何となくという回答であり、積極的な制服を支持する考えはみられない。非支持の意見には、ダサイ、格好悪いが圧倒的であり、次いで、自由がよい、温度調節できない、動きにくい、個性がない、束縛、厳しすぎ、面倒など多くの意見がみられた。また、服装に対する興味関心は、中学生では57%のものがあると答えており、高校生では74%とより高くなっていく傾向もみられた。