- 著者
-
岡田 みゆき
大橋 裕子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.10, pp.673-679, 2020 (Released:2020-10-28)
- 参考文献数
- 13
恋人と良好な人間関係が築けると, 二人にとって幸福であるが, 恋人との関係が過度な依存状態に陥ると, 自分も相手も苦しめてしまう. 恋人と適応的な依存関係を築くことが青年期の重要な課題である. そして, 恋人との依存性に影響を及ぼす要因として, 親子関係が考えられる. そこで, 本研究では, 大学生の恋人への依存の実態を明らかにするとともに, 親子関係が恋人との依存性に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする. 596名の大学生を対象に恋人との依存性と親子関係に関するアンケート調査を行った. 因子分析の結果, 大学生は恋人との依存性を「信頼」, 「分離不安」, 「独立」, 「期待」, 「従属」の5因子に分けて捉えていた. 平均値が高かったのは「期待」と「信頼」であった. 親子関係から二人の関係性の違いを重回帰分析により検討した. 男子学生においては, 親子関係が依存している場合, 「従属」「分離不安」「信頼」「期待」に影響していた. 女子学生においては, 親子関係が依存している場合, 「信頼」と「期待」に影響を及ぼしていた. 親に依存する男子学生は適応的依存関係を恋人と築く場合と, 不適応的な依存関係を恋人と築く場合の二パターンがあると考えられる.