著者
森 大毅 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.55, pp.55-62, 2001-06-01
被引用文献数
2

音声対話システムのための言語モデルとしてsuperwordモデルを提案しており、パープレキシティの点で優れていることがわかっている。本報告では、音声対話システムの応答タイミングの高度な制御を目的として、superwordに基づく話者交替の予測モデルを提案する。話者交替/非交替のキューとなる表現の抽出のため、superword確率から計算されるキューの強度を定義した。キューの強度に従って抽出したsuperwordには、話者交替に関係があると思われる表現が多く含まれていた。また、一部のタスクに対してはキューの強度分布が実際の話者交替/非交替によって異なることから、提案した予測モデルの有効性が示された。The superword model is a data-driven framework for dialogue modeling and its superiority was shown in our previous works. In this report, we propose a superword-based turn-taking prediction model for precise control of responce timing of spoken dialogue systems. First, cue intensity is defined with superword probability in order to extract cue expressions for turn-taking or turn-holding. Extracted superword set is shown to include a lot of relevant expressions to turn-taking. Finally, the effectiveness of the proposed prediction model for some tasks has been revealed by showing the difference of cue distribution according to actual turn-taking / turn-holding.
著者
角田 雅照 大杉 直樹 門田暁人 松本 健一 佐藤慎一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1155-1164, 2005-05-15
被引用文献数
12

ソフトウェア開発における工数予測を目的として,過去のソフトウェア開発プロジェクトにおいて記録された多種類のソフトウェアメトリクス値を入力データとし,協調フィルタリングにより予測工数を求める方法を提案する.協調フィルタリングは,未計測の値(欠損値)が大量に含まれているデータを入力とした場合でも予測が行えるという特長があるが,ソフトウェア工数予測に適用する方法はこれまで提案されていない.提案方法では,まず,入力となるメトリクス値を正規化し,値域を揃える.次に,正規化したメトリクス値を用いて,予測対象(開発中)のプロジェクトと,過去に行われたプロジェクトとの類似度を計算する.最後に,類似度の高い(予測対象プロジェクトと類似した)プロジェクトの工数を類似度で加重平均した値を,予測対象プロジェクトの工数とする.ケーススタディとして,株式会社NTTデータにおいて1 081件のソフトウェアプロジェクトから計測された14種類のメトリクス(約60%の欠損値を含む)を用いて試験工数を予測した.その結果,提案方法は従来方法(欠損値処理法を用いたステップワイズ重回帰分析)よりも高い精度を示し,予測試験工数の相対誤差の平均値(1プロジェクトあたり)が22.11から0.79に改善された.To predict software development effort, this paper proposes an effort prediction method based on the Collaborative Filtering (CF) which uses as input various software metrics recorded in past software development projects. The CF has an advantage that it can conduct a prediction using "defective" input data containing a large amount of missing values. There are, however, no researches which propose a method for applying the CF to Software effort prediction. Our proposal consists of three steps. In the first step, we normalize values of metrics to equalize their value range. In the next step, we compute the similarity between target (current) project and past (completed) project using normalized values. In the last step, we estimate the effort of target project by computing the weighted sum of efforts of high-similarity projects (that are similar to the target project) using the similarity of each project as a weight. In a case study to evaluate our method, we predicted the test process effort using 1,081 software projects including 14 metrics whose missing value rate is 60%, which have been recorded at NTT DATA Corporation. As a result, the accuracy of our method showed better performance than conventional methods (stepwise multiple regression models); and, the average accuracy per project was improved from 22.11 to 0.79.
著者
桜井 裕 佐藤理史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.1470-1480, 2002-05-15
被引用文献数
18

本論文では,与えられた用語に対して,その用語を説明する文章(用語説明)をワールドワイドウェブから収集し,それらを編集してユーザに提示するシステムを提案する.本システムは,(1)用語説明の収集,(2)編集,の2つのモジュールから構成される.{}「用語説明の収集」では,まず,サーチエンジンなどを用いて,入力された用語の説明が記述されている可能性が高いウェブページを収集する.次に,収集したウェブページから,用語の説明が記述されている段落を抽出する.最後に,抽出した段落内を解析し,その用語を定義する文(用語定義文)が存在するかどうかを判定し,存在した段落のみを用語説明として出力する.この判定においては,13種類の用語定義文それぞれに対して設定した文型パターンを用いる.{}「編集」では,収集した用語説明を語義ごとにグループ化し,それぞれのグループに対して,最適な用語説明と上位語を決定する.最後に,これらをまとめて,結果を語義ごとに出力する.本システムにおいて,用語定義文の判定精度は87%,グループ化の精度は81%であり,ほぼ実用レベルに達していると考えることができる.This paper proposes a term explainer that offers us a virtual dictionary, which uses the World Wide Web as information source. Thesystem consists of two modules: explanation collector and explanation editor. For a given term, the first module collects related webpages by using search engines, and extracts paragraphs thatcontain the term explanations. Sentence patterns of thirteen kinds ofdefinition sentences enable automatic detection of definitionsentences and automatic extraction of term explanations. The secondmodule classifies the extracted explanations into groups according tothe meaning, and determines the best explanation and the best broaderterm for every group. Finally, the system generates the result inHTML. In an experiment, the system achieved 87% accuracy indetection of definition sentences and 81% accuracy in classificationof explanations into groups.
著者
林 敏浩 水野 貴規 富永 浩之 垂水 浩幸 山崎敏範
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.42, pp.9-16, 2008-05-10
被引用文献数
3

ネットワークを利用した e-learning は自由な時間,場所で学習することが可能である.しかし,学習教材作成者の負担が大きく,十分な質,量を用意することが難しい.我々は,この問題に対して,学生が自主的に学習教材を作成し,共有する「投稿型自主学習素材共有システム」を開発した.本稿では,システムが扱う具体的な学習の対象を情報処理技術者資格の対策学習として運用テストを行った.システムの機能として提供する問題演習は,知識確認を効率的に行うことができ,解答履歴の閲覧と併せて効果的な学習環境を提供することができた.しかし,このような e-learning 環境を提供しても必ずしも積極的な利用に至らないことが分かった.E-Learning which uses information networks provides learning environments in free time and place. However, teachers who must make learning materials cannot prepare sufficient quality of e-learning contents, because making them becomes heavy task to the teachers. In our research, we develop "Self Study Material Contribution and Sharing System" that students can create study materials and share them independently. In this paper, we targeted a concrete study to the information technology engineer certifying examination, and did the implementation test. We found that our system provided an effective learning environment with efficient problem ma neuver and confirmation of answer history. However, we also found that students did not always use our system positively even if our system provides such effective learning environment.
著者
宮川 明子 清木 康 宮原 隆行 北川 高嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-10, 2000-02-15
被引用文献数
2

画像データなどのメディアデータを対象としたデータベースシステムの実現において,検索者が求めるメディアデータを適切かつ高速に抽出することは重要である.本論文では,意味の数学モデルを拡張した意味的画像連想検索を対象とした高速化アルゴリズムの実現方式を提案する.意味の数学モデルは,文脈あるいは状況に応じて動的に変化するデータ間の意味的な関係を計算するモデルである.本論文で提案するアルゴリズムは,指定された時間内の限られた計算回数で有効な検索結果を得ることを目的としたものである.このアルゴリズムによる意味的画像検索の実験を行い,実験の結果よりその有効性を明らかにした.In the database system design for multimedia database, it is important to develop a correct and fast retrieval method for media data(e.g. image, music). This paper proposes a fast algorithm and its implementation method for semantic associative image search based on our mathematical model of meaning. This model has been designed for computing semantic relation between data items dynamically accoding to context and situation. The objective of this algorithm is to obtain the available and correct retrieval results within the given limited time in the semantic associative search. This paper also shows some experimental results of semantic image search to clarify the feasibility and effectiveness of the proposed algorithm."
著者
首藤幸司 西尾 信彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.116, pp.79-84, 2006-11-10

我々は,個人の日常行動において,個人の未来の行動を高確度に予測するシステムの実現を目指している.そこで本稿では,まず個人の各行動を特徴付けるコンテキストを複数種のセンサ情報から高確度に抽出する手法を提案する.ここでは,センサ種や行動範囲を限定しないコンテキスト抽出を可能にするため,センサフュージョン[1] を利用する.加えて,システムの情報分析だけでなく個人の意図を取り入れるユーザ参加型のコンテキスト抽出手法として設計する.また,現在のユーザのコンテキストから未来の行動を予測するために,過去のユーザの日常行動を形式化する手法を提案する.上述の2 つの手法により,個人行動の未来予測機構を実現する.Our goal is realization of a system that predicts future personal states reliably based on trivial personal movement. In this paper, we first propose an extraction technique for highly reliable contexts using multiple sensor data. We introduce a concept of sensor fusion in order to capacitate context extraction, unrestricted by user state or sensor type. Additionally, we design this as a user participatory technique that employs user intention in combination with system calculation. Second, in order to predict future personal states by current user context, we propose a technique to develop a certain pattern for trivial personal movement using in past multiple sensor data. With these two techniques, we will implement personal state prediction system.
著者
村井 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.114-115, 2004-02-15
被引用文献数
1

地球温暖化やエルニーニョといった地球規模の環境変動への関心は近年ますます高まり,それら現象の解明・予測が急務とされている.その鍵を握るのが,本特集で取り上げる「地球シミュレータ」である.観測困難・実験困難な現象を解明するにはコンピュータを用いた数値シミュレーションが有用かつ不可欠であるが,地球規模の現象のシミュレーションを行うのに必要な性能と,1996年当時のスーパーコンピュータの性能の間には巨大なギャップが存在した.このギャップを埋めるべく,1,000倍の性能を持つ世界最高速のスーパーコンピュータ-地球シミュレータ(ES: Earth Simulator)が開発されたのである.5年の歳月を掛け完成したESは,当時世界最高速であった米国のスーパーコンピュータASCI Whiteの5倍近い性能を達成した.この事実は米国に非常に大きな衝撃を与え,米Tennessee大のJack Dongarra教授は,かつて世界初の人工衛星打ち上げをソ連のスプートニクに先んじられたことになぞらえて,ESの出現を「コンピュートニク」と呼んだ.2002年3月の運用開始以後,多くの研究者がESを利用し,さまざまな有用な成果が続々と上がってきている.以下は,ESやESを利用した業績に対して国内外から贈られた賞である.・TOP500 ・Gordon Bell賞 ・米タイム誌「2002年最高の発明品」 ・照明普及賞 ・日本産業技術大賞内閣総理大臣賞 ・日経BP技術賞 ・21世紀の偉業賞 本特集では,ESという最も優れた「道具」の解説を行うとともに,その道具を使うことによって可能となった研究を紹介することをねらいとする.以下では,各記事に先立ち,開発の経緯とシステムの概要について簡単に述べておく.
著者
木村 昌弘 斉藤 和己 上田 修功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.155-162, 2004-08-04
参考文献数
12

Web上で日々流通する大量の情報に基づいて,米国同時多発テロのようなある種の例外的な社会現象を検出する問題を考察する.本稿では特に,あるカテゴリーに属する文書群の時系列データに基づいて,その中でアウトブレークしたトピック(ホットトピック)と,その存在期間を抽出する手法を提案する.社会ニュースの実データおよび,国際ニュースの実データを用いた実験により,提案法の有効性を検証する.
著者
荒木 哲郎 池原 悟 土橋 潤也 堂元一頼
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.61, pp.9-16, 1993-07-09
被引用文献数
2

2重マルコフモデルを用いた日本語誤字の誤り訂正法を、マルコフモデルを適用する位置に着目して分類すると、検出された誤り音節または、漢字かな文字に限定してマルコフモデルを一回適用する方法(局所法)と、誤り音節または漢字かな文字を含む文字列全体に適用する方法(全域法)があり、前者は後者に比べて少ない処哩時間で行える特徴がある。これまでに局所法については、文節並びに単語境界で検出された音節、漢字かな文字の誤りを訂正する問題に対して、誤り位置に応じて順方向、中間、逆方向タイプの2重マルコフモデルを適用する方法の有効性が報告されている[9]。本論文では、全域法の誤り訂正能力を定量的に評価し、局所法との比較を行う。全域法においては、三つのマルコフ連鎖確率がそれぞれ中心的な役割を果たすことに着目して、これらのマルコフ連鎖確率を単独に用いて誤り訂正を行う三つのタイプの局所法について、文節境界における誤り文字の位置(文節の先頭誤り、2番目及び3番目以降)に関する誤り訂正の評価を行い、全域法と局所法の比較を行う。新聞記事77日分の統計データを用いて、順方向、逆方向並びに中間タイプの2重マルコフ連鎖確率を求め、日本語音節文及び漢字かな交じり文の2000箇所の誤りに対して、局所法と全域法による誤り訂正実験を行った。その結果、()全域法では、順方向タイプの2重マルコフモデルが、常に他のタイプよりも優っていること、また ()全域法は局所法よりも優っていることなどがわかった。This paper investigates two methods to correct erroneous syllables and kanji-kana characters located at the boundaries of "bunsetsu" using three types of 2nd-order Markov model, called as forward, backward and middle type respectively. One is called the local method which is to correct erroneous characters using Markov model only once. The other is the global method which is to correct erroneous syllables and kanji-kana characters by applying Markov model to all the string of syllables and of kannji-kana characters. According to the experiment using 70 issues of a daily Japanese newspaper, the following results was obtained. 1. In the case of global method, the method to correct erroneous syllables and kanji-kana characters using Markov model of foward type is always superior to that of the other types. 2. The capability of error correction using the global method is always superior to that of the local method.
著者
川添 一郎 牧 隆史 田中 規久雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.52, pp.97-104, 1995-05-26
被引用文献数
3

法律条文は、一見多種多様な形態を持つと思われるが、目的的に運用される一種の制限言語と考えることができ、その構造的特性に着目した操作を行うことで、ある特定の典型構造に変換することが可能となるのである。本研究では、いわゆる「標準構造」を基に、自然言語を用いた法律条文の検索参照システム作成の為の基礎的研究を行う。特に、意味内容の操作面での問題を具体的に検証することにより、より現実的な対処法を目指す。そして、この対処法と「標準構造」との組み合わせを用いた、システム構築例を提示する。It is generally thought that "Legal Provisions" have various surface forms. However, this system of provisions can be understood as a subset of natural language system. Because of this characteristic, it is possible to transfer those provisions into almost one form which has a specific structure. In this study, we depend on this characteristic - the so-called "Standard Structure". And we do basic research for constructing a reference system of "Legal Provisions" through their natural language form. We verify the treatment of each provision in order that we can establish the proper method. Lastly, we propose an example of such a system by using this method and the concept of "Standard Structure".
著者
田中 規久雄 川添 一郎 成田 一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.79, pp.79-86, 1993-09-16
被引用文献数
9

法律条文(法文)の構造的特徴に着目し、法知識ベースをはじめとする、機械処理に適するモデルの構築をめざす。本研究では、「要件・効果論」が法律条文の基本的認知構造であるとし、法律条文を、「要件・効果」をあらわす典型的な表面表現(「標準構造」と呼ぶ)に変換することによって形式化する。さらにその意味構造については、「法文概念構造(gal Provision Concept Tree Structure [LP?CTS])」を想定して解析することにより、法律条文の形式的な知識の記述や操作を可能にする。The purpose of this paper is to construct a model which is suitable for computer processing of legal provisions (law sentences). In this study we suppose the principle of "legal condition-effect" to be the fundamental cognitive structure of legal provisions. We can formalize provisions by translating them to the typical surface expression (we call it "the standard structure") which reflects the "legal condition-effect". We also propose "Legal Provision Concept Tree Structure (LP-CTS)" for the analysis of the semantic structure of legal provisions. This model will be applicable to the description and operation of legal knowledge.
著者
稲吉 宏明 翻訳:稲吉宏明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1106-1109, 2001-11-15

本コラムは[通常のACM SIGGRAPH 誌中の "visfiles" コラムで取り上げている]情報可視化(visualization)についてではなく,機械知能についてである.Ray Kurzweilの SIGGRAPH 2000でのこのテーマに関する基調講演はとても好評で,彼はその翌日,議論を続けるために再招待されたほどである.このことからも分かるように本テーマについては,多くの人が興味を持っているようである.
著者
後藤 真孝 橋口 博樹 西村 拓一 岡 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.14, pp.25-32, 2002-02-15
被引用文献数
14

本稿では,共通利用の自由,学術利用の自由が確保されたRWC 研究用音楽データベースの,制作方針と構成について述べる.他の研究分野では,以前から共通データベースの必要性・意義が認識されて,多様なデータベースを構築する努力がなされてきたが,音楽情報処理の分野では,従来,共通楽曲データベースは存在していなかった.そこで我々は既に,「ポピュラー音楽データベース」(100 曲)と「著作権切れ音楽データベース」(15 曲)の二つを構築してきた.本稿では,さらに,「クラシック音楽データベース」(50 曲)と「ジャズ音楽データベース」(50 曲)の二つを構築したことを報告する.本データベースにより,音楽情報処理の研究分野がさらに発展していくことを期待したい.This paper describes the design policy and overview of RWC music database that gives researchers freedom of common use and research use.Various commonly available databases have been built in other research ?elds because of the importance and signi ?cance of those databases.In the ?eld of musical information processing, however,there has not been any commonly available music database.We have therefore built two databases,"Popular Music Database "(100 pieces)and "Royalty-Free Music Database "(15 pieces).This paper reports that we built two more databases,"Classical Music Database "(50 pieces)and "Jazz Music Database "(50 pieces).We hope that these databases will encourage further advance in musical information processing research.
著者
松岡 司 植田 健治 早野 勝之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.2377-2386, 1999-05-15
被引用文献数
9

3次元表現の利用が拡大するにつれて 現実の3次元形状から幾何的に正確かつ位相構造を再現したソリッドモデルを平易な手段により生成することの重要性が高まっている. 3次元形状から面モデルを生成する前の中間データとして 3次元測定器などで測定した点群データを一般に用いる. しかし 測定器の性質により 多くの場合点群密度のばらつきが発生するため いかなる点群データからも幾何的再現性と位相的再現性を両立したモデルを生成することは非常に困難であった. そこで我々は これら幾何 位相両面にわたる再現性の問題を2ステップのアルゴリズムにより解決した 構造化されていない点群からのポリゴンメッシュの再構成手法を提案する.As using 3D models in computer environments is getting popular, the needs of an easy method which can construct geometrically exact shape and topological structure of solid models from actual 3D objects is increased. To construct 3D models from actual 3D objects, we generally use a set of points data taken from various 3D scanner devices. However, it is very difficult to construct exact shape of solid models from these points data because of the nonuniform density property of scanner devices. Therefore, we propose a new polygon mesh reconstruction method from unorganized points set which can solve geometric and topologic fidelity problems with our two-step algorithm.
著者
北 研二 山口 直宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.99, pp.127-134, 1998-11-05
被引用文献数
1

World Wide Web (WWW)上には、膨大なテキスト情報が蓄積されており、同一の内容を複数の言語で提供しているページも数多く存在する。これらのWWW上の対訳ページを利用し、対訳コーパスを自動的あるいは半自動的に構築することができれば、コーパス作成に要する人的資源、時間、費用などを大幅に削減することができる。我々は、WWWから日本語と英語の対訳データを自動収集する実験的なシステムを構築した。本稿では、このシステムの概要について紹介する。The World Wide Web provides almost unlimited accesses to the textual documents and it also contains parallel pages in many languages. In this paper, we focus on the problem of automatically compiling multilingual translations from the Web. As a first step towards Web-based automatic multilingual corpus creation, we developed an experimental system for compiling Japanese and English translation pairs from the actual Web page documents. In this paper, we describe the system architecture as well as some experimental results.
著者
鈴木 則久 小方 一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.1345-1353, 1985-11-15

高機能ワークステーションは人工知能, プログラム作製, CADなどに使われる. 最近の一つの傾向として全システムが単一言語で記述してある. LISPマシン, Smalltalkマシン, Prologマシンなどがこれである. このように全システムを単一言語で記述すると開かれたシステムとなり, ユーザが簡単にカスタム化できるCADシステムなどが可能となる. しかし, このように全システムを単一言語で記述するためには言語がオペレーティング・システムを記述する機能を持っていなければならない. コルーチン, プロセスとか, 実行環境をデータとして扱ってデバッガを作る機能である. これらを言語に取り入れる手段として実行環境を複雑に扱わざるをえない. InterLispではスパゲッティ・スタック, LispMachineLispではスタック・グループを導入した. 一方Smalltalk-80では実行環境をオブジェクトとして扱っている. これは強力であるが実行速度には問題があった. 筆者たちは, 高速実行のときは線型スタックに実行環境を作り, 複雑な制御をするときはヒープに実行環境をとる, 多態実行環境というデータ構造を考案し, Smalltalk-80の高度柔軟性を保ちながら, 高速に実行できるシステム「菊32V」を開発した. これは現在, 32ビットのインタプリタとしては世最高速である.
著者
近藤 進介 垂水 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DBS,データベースシステム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.143-148, 2007-01-25
参考文献数
12

従来のサーバ・クライアント通信方式の他に近年P2P通信方式の利用者が増えてきている。また、P2P通信の特性はファイル共有に活かされている。しかし、P2Pファイル共有においてリソースを提供しないフリーライダーや不公平性が問題視されている。そこでインセンティブという概念で解決しようとする動きがあるが、完全に解決されている例はほとんど無く、解決されていても別の問題が発生している場合もある。また、インセンティブを与えられる条件としては回線の帯域によるものがほとんどである。しかしシステム全体のことを考えれば回線の帯域以外にもユーザの様々な行動でシステムに貢献することができる。この行動が反映されるように、本研究ではファイル共有システムにおける新たなインセンティブモデルとしてポイント制インセンティブを提案し、その有用性をシミュレータによって確認することを目的とする。
著者
大西 真晶 井上 真杉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MBL, [モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会研究報告] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-8, 2011-05-26

広域大規模災害発生の瞬間と直後に通信網が平常時に近い形で健全であることは,被害状況の把握,二次被害の低減に有用であることは明白である.しかし、大規模災害のダメージは網の広域各所に予測不可能に分散して現れる為,これに対応可能な迂回路網を多数持つネットワーク構造を取り込んだ設計を行わなければ健全を保つことは困難である。筆者らは小さな回路を多数連結した物理リンク構造を持ち構成機器が同種の基地局のみで構成された広域にまたがるメッシュアクセス網を大規模災害に耐えるアクセス網と成り得ると考えている.そこで本研究では、非常に広域な無線メッシュ網に使用可能な分散局所的な経路情報の同期のみによる分散ネットワーク構成法として無線メッシュ網上へのドロネーオーバレイネットワークの分散構成手法について検討する.ドロネーオーバレイネットワークではドロネーグラフのトポロジを模すことでジオメトリックルーティングの完全な経路到達性を目指しており、また位置情報の補助を用いた分散的な構成手法が可能である.
著者
守屋 慎次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.p398-405, 1978-05-15
被引用文献数
1

Decision tables as control structures for programming languages have been used for many years. In regard to the conversion of decision tables to computer programs, formalization has been quite well investigated. However, most of the previous works left out the important issue of general formalization of decision tables. This paper formalizes mixed entry decision tables based on Boolean algebra, some of the notions informally used in the decision table literature are systematized, and several fundamental properties of mixed entry decision tables are also investigated.
著者
高野 陸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.53, pp.3-10, 1993-06-18

マルチメディア通信の実現に向けて将来ビジョンと技術課題を述べる。まず、メディア符号化とネットワーク性能との関係を示し、高圧縮符号化技術とメディア構造化技術が、経済化の観点から重要であることを述べる。構造化の例として、ISDNカラオケ、キャッチビジョンについて説明する。次に、シームレス化技術が人間の生産活動支援の観点から重要であることを述べる。例として、クリアボード、多視線一致撮像表示システム、音像定位通信システムについて説明する。最後に、マルチメディア通信により変革がもたらされることが期待される実作業として、協調作業、遠隔モニタリング、情報提供サービスについて考察する。This paper discusses future vision and technology toward multimedia communication. First, the relation between media coding and network is shown. High efficiency coding techniques and structure techniques are important for economical multimedia communication systems. As the examples of systems using structured media, the Karaoke system through ISDN and the event driven visual communication system are shown. Next, seamless multimedia communication systems such as the ClearBoard, the multiple-eye-contact teleconference system and the stereophonic sound image localization system are shown. Finally, cooperative work, monitoring and information providing are discussed as the fields innovated by the multimedia communication systems.