著者
細川 利典 平岡 敏洋 太田 光保
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1736-1744, 1999-04-15
参考文献数
21

順序回路に対するATPGを困難にする構造として平衡再収斂構造を定義し 平衡再収斂構造の段数を削減するアプローチと 経路数を削減するアプローチについて 故障検出効率が十分に上がらない(83?95%)実際の無閉路順序回路を用いて スキャン化率と故障検出効率の解析を行った. その結果 平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチが より少ないスキャン化率で十分に高い故障検出効率(99%以上)を達成できるという点で効果的であることが分かった. また平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチは従来故障検出効率の向上に効果的であると知られている順序深度を削減するアプローチよりも効果的であることが分かった.We define a balanced reconvergence structure that makes ATPG for sequential circuits difficult. We compared an approach that reduces the number of paths of balanced reconvergence structures (path reduction approach) with an approach that reduces the depth of balanced reconvergence structures (depth reduction approach) for practical acyclic sequential circuits the fault efficiencies of which are not enough high. Experimental results show that the path reduction approach is more effective than the depth reduction approach because fewer scan flip-flops are required to achieve a high fault efficiency (99%). The results also show that the path reduction approach is more effective than a conventional sequential depth reduction approach.
著者
柳瀬 隆史 仲尾 由雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.29, pp.151-158, 2000-03-21

本稿では、メールマガジンサービスから配信されるニュース情報を対象にして、注目ニュースを自動抽出する手法を提案する。同時期に複数のメールマガジンから配信された記事内容を分析した結果、多くの記事で報じられた話題には注目に値するものが多く、同一話題を扱った記事の多くは記事見出しの比較で判定可能なことが分かった。そこで、見出しの類似性に基づいて配信記事群をグループ化し、各グループ中の記事数などをもとに話題性が高いと思われるグループを選別する実験を試みた。グループ化の結果により抽出した注目ニュースと週刊メールマガジンの掲載記事との比較などにより、各グループに含まれる記事数を適切に制御すれば、話題性の高い情報を含んだ注目ニュースを効率的に抽出できる見込みが得られた。In this paper, we propose a method of automatic extraction of noteworthy topics using news articles delivered by e-mail newsletter services. At first we manually analyzed a set of articles delivered in a week by several e-mail newsletter services, and found that most of the topics reported in many different articles are noteworthy ones and it is possible to judge the semantic identity of articles with comparison of their headlines. Then we made an experiment of automatic extraction of noteworthy topics. In the experiment we classifyed delivered articles into groups based on the similarity of their headlines, and choose some groups based on the number of articles in each group.
著者
手塚 宏史 堀 敦史 O-CarrollFrancis 石川 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.18, pp.25-30, 1998-03-05
参考文献数
20
被引用文献数
8

我々はPentium Pro 200MHzのPC64台をMyrinetギガビットネットワークによって接続したPCクラスタシステム"RWC PC Cluster II"を構築し,その上にマルチユーザの並列プログラミング環境SCoreを開発している.PCC2上の通信ライブラリPMは通常のメッセージ転送だけでなくリモートメモリライトによるゼロコピーデータ転送をサポートしており,約119Mバイト/秒(Kバイトデータ)のメッセージ転送バンド幅と約109Mバイト/秒(同8Kパイト)のリモートメモリライトバンド幅,および約7.5マイクロ秒(同8バイト)の通信レイテンシを持っている.また,PMのこれらの機能を用いたMPI/PMはPCC2上で約104Mバイト(同1Mバイト)のデータ転送バンド幅と約11マイクロ秒(同8バイト)の通信レイテンシを得ている.MPI/PMを用いたNASパラレルベンチマークの結果によって,PCC2の高い性能とスケーラビリティが実証された.We have built a PC cluster "RWC PC Cluster II" consisting 64 Pentium Pro 200MHz PCs connected by a Myrinet giga-bit network, and have been developing a multi-user parallel programming environment SCore on it. A communication library PM on PCC2 supports a message passing and a remote memory write using zero-copy data transfer. PM achieves 119M bytes/s (8K byte data) message passing bandwidth, 109M bytes/s (8K byte data) remote memory write bandwidth and 7.5 micro second communication latency. MPI/PM that uses these PM facilities achieves 104M bytes/s (1M byte data) data transfer bandwidth and 11 micro second communication latency on PCC2. The NAS parallel benchmark results using MPI/PM have shown PCC2's high performance and scalability.
著者
高橋 友一 島 則之 岸野 文郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.1-8, 1990-11-15
被引用文献数
21

図表 写真を含むマルチメディアデータベースの検索には テキスト情報による検索に加え画像の内容に言及した内容検索が必要に態ろ著者名といったテキスト情報のほかに「誰々の絵で 富士山が真ん中にあった絵」のように画像のイメージに関する内容検索を行うには 画像データのインデックス情報と書籍による問い合わせ内容を照合することが必要である本論文では 二次元の図形画を対象に 画像に含まれる特徴的な対象の近似多角形の頂点座標を画像インデックスとし 言語による問い合わせに含まれる位直関係を検索キーとする内容検索法を提案する.まず 定性的な関係である位置関係の持つ漠然さの表現方法について述べる次に 頂点座標を用いた位直関係のルール表現とルールを用いた頂点座標と問い合わせに含まれる位置関係の照合方法について述べる.最後に 言語による問い合わせに含まれる位置関係を検索キーとして画像の内容検索を行う画像データベース検索システムSPAエ狸 および浮世絵画像と文書画像データベースの検索結果について述べる.
著者
槙本 裕司 鶴田 浩史 齋藤彰一 上原 哲太郎 松尾 啓志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.6, pp.3-10, 2009-01-21
被引用文献数
2

ゼロデイ攻撃や未知の攻撃から計算機を守る手法として侵入防止システムの研究が多く行われている.既存の侵入防止システムはシステムコール呼び出し時に得られる情報のみに基づいているため,実行時の状態遷移の把握が十分ではなく,true negative あるいは正常な実行であるかのように偽装した攻撃による耐性が十分であるか疑わしい.本研究では,ライブラリ関数呼び出しごとにコールスタックを調べることで,プログラムの実行状態を詳細に把握する手法を提案する.また,ライブラリ関数の呼び出しと終了を把握することで,ライブラリ関数が呼び出されている時のみシステムコールの発行を許可する.提案システムを Linux 上に実装し評価を行った.Some intrusion prevention system has been studied to prevent a zero-day attack and an unknown attack. The existing systems don't hold enough program execution statuses; because the systems use only system call's past record. In this paper, we propose a novel intrusion prevention system, named Belem, by monitoring both a system call and a library function call. Belem checks a call stack before a library function is executing. We implemented Belem on Linux, and evaluated it.
著者
金澤 靖 金谷健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.23, pp.1-8, 2001-03-08
被引用文献数
6

我々は従来より画像の特徴点の位置の不確定性を共分散行列によって表現し,それに基づいた最適化推定の手法を開発してきた.本稿では,まず従来から提案されている画像の濃淡値から共分散行列を計算する方法を統一的に定式化し,それが本当に特徴点の位置の精度を反映しているのかどうかを可変テンプレートマッチングによるサブ画素補正を行うことにより,実験的に検証する.そして,このような共分散行列を用いた場合に射影変換行列および基礎行列の最適計算の精度が向上するかどうかを調べる.これらの結果を画像間の対応づけのための半自動的システムへ応用する.We have explored various statistical optimization techniques based on covariance matrices that characterize the uncertainty of the positions of feature points in the images. We first describe how to compute the covariance matrix of a feature point from the gray levels by integrating existing methods. Then, we experimentally examine if thus computed covarinace matrices really reflect the accuracy of the feature positions. For this purpose, we observe the correlation between the feature covariance and the amount of subpixel correction resulting from variable template matching, using real images. We also test if the accuracy of computing the homography and the fundamental matrices from two images can be really improved by statistical optimization based on the covariance matrices. Finally, we apply our results to semi-automatic systems for matching two images.
著者
宮狭 和大 坂内祐一 鈴木 雄士 玉木 秀和 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.134-147, 2007-01-15
被引用文献数
1

実物体に基づいた遠隔コラボレーションでは,遠隔の実空間の間に存在する空間構造の差異を考慮する必要がある.特に既存システムではそれぞれの空間にシンタックスの異なる実物体を配置し,作業対象としてコラボレーションするものが存在しなかった.そこで本研究では,物体の表面に柔軟に貼り付けることができる「シール」の性質に着目し,これを複合現実感(MR)技術と組み合わせた手段として,仮想のシールを遠隔のそれぞれの実物体に基づいて貼り付けることで,実物体の間に存在するシンタックスの違いを吸収してユーザによる作業のセマンティックスを共有する手法を提案する.そして,実物体に対するポインティング機能を有したプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った結果,シンタックスの異なる実物体間で,作業の情報をその意味を損なわずに共有できることが確認された.In remote collaboration based on real objects, the difference of the space structure between the remote real spaces should be considered. In conventional method it is difficult for users to collaborate based on the real objects which differ in syntax each other. To address this issue, we focus attention on a sticker or a sheet which can be attached on a physical object according to its surface. And as a method which Mixed Reality (MR) technology is combined with it, we propose an information sharing method of semantics which each remote user interacts with a real object, by using virtual sheet which can be attached to each real object according to its surface and can absorb the difference in syntax between these real objects. Then we implemented a prototype system which has pointing function and conducted experimentation. As a result it proved that it is possible to share the information of the interactions without losing the meaning between the real objects which differ in syntax each other.
著者
大塚 博紀 吉岡 真治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.35, pp.9-14, 2009-03-18

Web 文書の特徴はリンクによりお互いの文書の関係が示されている点にあり、この情報は PageRank に代表される Web 空間の解析手法に用いられている。しかし、これらの解析では、サイト内、サイト外といった分類は考慮されているものの、ページの中でのアンカーテキストの役割には、注目していない。本研究では、このアンカーテキストの役割の違いに注目し、適切に分類することで、リンク構造解析や Web ページ上でのユーザーの行動解析に役立てる事を目標としている。本稿では、人手による役割分析の結果に基づいたアンカーテキストの自動分類システムを提案する。また、その有効性を検証するために、実際に人手の分類とシステムの出力を比較した結果について報告する。A Link Structure among Web documents represents the relationship among these documents. Web structure analysis methods such as PageRank use this information. However, most of these methods pay little attention to the type of link (e.g., most of the methods use simple classification such as link to the same site or not). In this research, we proposed a method to classification criteria of anchor texts based on the role analysis of the text in Web documents for better link structure analysis and the users' behavior analysis on the Web page. In this paper, we propose an automatic classification method based on the result of manually classification experiment. In order to evaluate this method, we compare the result of automatic classification results with manually classified ones.
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.
著者
岩下 武史 美舩健 島崎 眞昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.1-10, 2007-05-15
被引用文献数
5

マルチグリッド法において,スムージング,補間・制約演算を陽的に行わない新しい方法:陰的マルチグリッド法を提案する.同手法では,マルチグリッド法における各レベルの方程式を統合化し,1つの大きな連立一次方程式として主に前処理付きクリロフ部分空間反復法により解く.その結果,従来のマルチグリッド解法の応用範囲を広げ,様々な前処理手法との併用が可能となる.同手法の基礎概念,実装法を記述し,その有効性について電磁界解析における反復法の性質との類似性から説明する.さらに,差分解析による数値解析において,同手法がコースグリッドコレクションの効果を有し,グリッドサイズによらない収束性を実現していることを示す.This paper proposes a new multigrid method, which is called "Implicit correction multigrid method". In this method, linear systems of equations on all levels in a multigrid method are integrated into one large linear system of equations. When this integrated linear system is solved by using preconditioned iterative solvers, an effect of coarse grid correction is expected to be implicitly involved. Since any preconditioning techniques are used for the integrated linear system, the proposed method can extend application areas of conventional multigrid solvers. This paper describes the basic concept and the implementation way of the implicit correction multigrid method. Furthermore, we explain the effect of the proposed method by introducing a special characteristic of an iterative method observed in an electromagnetic field analysis. Finally, numerical tests based on a finite difference analysis confirm that the proposed method involves an effect of coarse grid correction and attains a convergence rate independent from the grid-size.
著者
熊木 健二 中川 郁夫 永見 健一 長谷川 輝之 阿野 茂浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.1616-1626, 2007-04-15
被引用文献数
4

近年,キャリアは,既存ネットワークを統合する傾向にある.これらのネットワークを統合するコアルータでは,インターネットトラヒックや企業系トラヒック等,様々なアプリケーションを扱う必要があり,大容量化が必須である.これらのトラヒックを制御する手法の1 つにMPLS TE(Multi-Protocol Label Switching Traffic Engineering)技術があり,多くのキャリアで使用されている.MPLS ネットワークのルータ間に複数のリンクが存在するECMP(Equal Cost Multi Path)環境において,自動計算を用いて予約帯域0 のMPLS TE LSP(Label Switched Path)を確立する場合,各リンクを通過するMPLS TE LSP の本数を均等にできない.そのため,本論文では,ECMP 環境において,予約帯域0 のMPLS TE LSP を効率的に確立する新たな経路選定手法を提案する.また,実ネットワークを考慮した環境で,従来の経路選定手法と提案する経路選定手法の比較を行う.提案する手法が,決定的アルゴリズムで,既存のMPLS TE LSP の本数を考慮して,MPLS TE LSP を均等に確立することが可能であった.そのため,キャリアの実運用およびネットワーク設計に対して,非常に有益な手法であることが分かった.Recently some carriers try to build a converged network as NGN (Next Generation Network) and need to control high-capacity traffic which includes some kinds of applications such as voice, video and data. MPLS TE (Multi-Protocol Label Switching Traffic Engineering) was introduced as one of the methods to control this traffic in some carrier's network. Currently, we face the problem which 0-bandwidth MPLS TE LSPs (Label Switched Path) are established by using some specific links in case parallel links exist between routers in ECMP (Equal Cost Multi Path) environment. This paper focuses on a path selection algorithm taking into account a load balancing of control plane when 0-bandwidth MPLS TE LSPs are established and proposes a new path selection algorithm to solve this problem. Finally, we confirm that 0-bandwidth MPLS TE LSPs are established equally taking into account the number of existing MPLS TE LSPs in case parallel links exist between routers in ECMP environment.
著者
水野 貴弘 小俣 昌樹 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.99, no.69, pp.79-83, 1999-08-20

本論文では,仮想空間内における両手操作でのさいころ作成実験と,その実験結果について述べる.さいころ作成実験は,片手でスペースポールを持ったキューブの回転と,もう片方の手にマウスを与え,さいころの目を入れるとした課題である.この課題状況で,3種類の異なる大きさのキューブと,各手が持つディバイスを交換させた.その結果,操作時間や操作中の被験者行動に違いがあった.それらを分析すると,ターゲットの大きさによって操作のしやすさが逆転することを得た.効率的な作業のための手の割り当ては,何をするかのタスクに関係するという先行研究での知見に,新たにタスク難度という尺度を必要とすることを本論文で導出した
著者
茂出木 敏雄 千葉 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.89-96, 2007-05-10

筆者らは、音源に携帯電話を向けるだけで情報が抽出できる音楽電子透かし技術の開発を進めている。そのためには、ヒトの聴感特性が鋭敏な音域を改変せざるを得ず、埋め込みノイズをいかにして抑圧するかが課題であった。これまで、筆者らは2チャンネル・ステレオ再生を応用して、データを埋め込んだL側スピーカで発生するノイズをR側スピーカで相殺する手法を提案してきた。しかし、音源から離れた位置で抽出することが難しいといった運用上の問題を抱えていた。本橋では、R側の雑音抑圧信号をL側に多重化し、更に視聴者に音脈分凝を誘導することにより埋め込みノイズを低減させ、モノラル再生で運用を可能にした改良手法について提案する。
著者
久光 徹 丹羽 芳樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.109, pp.113-118, 1997-11-20
被引用文献数
5

新聞記事には平均10行に1個以上の割合で括弧表現,すなわち二つの文字列A,Bが括弧により対応付けられた表現"A (B)"が現れる.このような括弧表現の一部は,"欧州連合(EU)"や"朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)"等の言い替えの括弧表現,"日立製作所(会社人事)"等の固有名詞を含む括弧表現であり,これらが特定できれば多数の重要語や固有名詞を獲得できる.本報告では,共起の強さを計る統計指標とエントロピーを字種情報などに基づく単純なルールを組み合わせ,上記の有用な括弧表現を簡便かつ高精度に獲得できることを示す.共起の強さを計る指標として,自己相互情報量,χ^2検定,Yate補正したχ^2検定,頻度,尤度比,Dice係数,改良Dice係数の7種類を比較し,それぞれの効果を調べた.One year worth newspaper articles contain about 300,000 parenthetical expressions. Some of them contain important unregistered words (terms) such as abbreviations, organization names, and company names. The detection of such expressions is therefore an effective way of lexical knowledge acquisition. The proposed method identifies useful parenthetical expressions by combining entropy criteria, a statistical measure to evaluate collocational strength, and a small number of simple rules. In order to select a proper statistical measure, we conducted a comparative evaluation of seven statistical measures: mutual information, χ^2-test, χ^2-test with Yate's correction, frequency, log-likelihood, Dice coefficient, and modified Dice coefficient.
著者
鎌田 清一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. AVM,[オーディオビジュアル複合情報処理] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-6, 1999-10-08
参考文献数
33

G.ペアノは,1890年『平面領域内の全ての点を通過するような曲線』を発見し,その存在を明らかにした.現在,単位線分を単位超立方体全体へ移すこのような連続曲線は,空間充填曲線,あるいはペアノ曲線と呼ばれている.この曲線の応用研究は,画像処理,情報検索,計算機ホログラム,リモートセンシングなど様々な分野に及ぶ.空間充填曲線の中で応用研究の最も多い曲線は,ヒルベルト曲線である.ヒルベルト曲線に沿った画像走査により画像の1次元データが得られるが,この周波数スペクトルを見ると,ラスタ走査より低域にエネルギーがより集中することが確認される.この近傍保存性の良さから画像圧縮に利用した研究が数多くなされている.本論文では,まず空間充填曲線についての定義といくつかの例を紹介し,次にその画像圧縮の応用研究について幾つかを概観する.
著者
森口 繁一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.341-342, 1999-03-15
著者
大庭有二 三上 憲一 斎藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.100, pp.37-44, 1993-11-11
被引用文献数
2

会議システムにおける映像の役割を明かにする目的で、実テレビ会議のシーンの分析と心理的要因を検討した。実テレビ会議のシーン分析ではシーンの分類と各シーンのカテゴリ分けをすることにより、テレビ会議における映像利用に影響を及ぼす因子をまとめた。さらに因子間の利用頻度の高低を示すことにより、ある程度の映像利用の序列が推定可能になった。また、心理的要因を検討する実験としては()映像を要求する動機、()被験者に依頼するタスクの違いから生じる心理的な条件付けの差が映像の利用頻度に与える影響、の2項目を中心に調べた。映像を要求する動機は少なくとも()音声で不足する情報の理解と()不安感の除去等の心理的要因の2種類があることを示した。タスクの違いによる実験からは()外因的要因と()タスクの解釈の個人差として生じる内因的要因が映像利用の頻度に影響することを示した。また,本実験の条件下では「被験者の映像の直視を静止画に置換えることができるとすると、全映像の約0.1%が有効に働く」事を示した。To clarify the role of images in conferencing systems, actual teleconferences scenes are analyzed and psychological factors are investigated. In the analysis of teleconferencing scenes, types of scenes are defined and each scene is categorized, and on the basis of such information, factors which influence the usage of certain scenes in teleconferencing are determined. Moreover, by examining which factors occur the most and which occur the least, it becomes possible to estimate how often certain images will be used. Experiments were also performed to investigate psychological factors concentrating on two major items: 1) the motivation for requesting a certain images, and 2) the influence on image frequency due to differences in applied psychological conditions generated from different tasks given to test subjects. Motivation for requesting a certain image was found to be of at least two types: 1) to obtain information which cannot be satisfactorily understood by voice alone, and 2) to eliminate an uncomfortable feeling. in the experiments involving different tasks, it was shown that the frequency of using certain images was affected by 1) external factors, and 2) internals factors arising from individual differences in interpreting the tasks. In addition, it was shown under the conditions of this experiment, that if it is made possible for a test subject to switch his ore her observed image to a still image, only about 0.1% of all such images were found to be effective.
著者
佐々木 道史 曽我 和哉 市川 尚 窪田 諭 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.120, pp.23-29, 2008-11-25
被引用文献数
1

近年,学校教育現場には広く協同学習を取り入れる事例が増えているが,単に手法のみを導入してもグループ内に有意な相互作用は生起しがたい点が課題として挙げられる.本研究では,高等学校の授業において協同学習を行う際のグループ編成に着目し,相互依存関係に配慮した効果的なグループ編成を支援するための情報システムの在り方について考察する.Recently, application cases of cooperative learning on educational sites have increased. However they have been pointed out difficulty of effective interaction in learning group. In order to conduct effective cooperative learning on a class of high school, this paper describes a grand design and its prototype of support information system to organize learning groups taking interdependence relationship into consideration.