著者
石田 喜美
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.15-22, 2013-03-31

Recently, the media environment has transformed considerably; instead of "mass media," formation of public opinion is now influenced by "social media." Thus, we must consider instituting new media literacy education to correspond with the new media environment. From our perspective, the most important feature of any media literacy education should be its ethical aspects. First, we considered how ethical aspects are positioned in the discussion of media literacy and found the term "practical moral knowledge" to be worth our attention. Next, to apply practical moral knowledge to new media literacy, we investigated Our Space, finding it necessary to focus on the ethical strategies we use in our everyday lives-both online and offline. From the results, we concluded that introducing new media literacy is important for shifting the existing paradigm within Japanese language education.
著者
長岡 由記
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.18-26, 2021-03-30 (Released:2022-03-30)
参考文献数
22

本研究では、国語科におけるローマ字学習の今日的な意義を整理した上でその課題について明らかにし、課題解決の糸口を示すことを目的として検討を行った。まず、国語科におけるローマ字学習の意義の変化について、学習指導要領の変遷を辿りながら整理した。次に、英語教育やコンピュータの入力の視点から指摘されているローマ字学習の課題を取り上げ、①訓令式を中心に指導すること②複数のローマ字表記の扱い③国語科と外国語科(英語科)との連携のあり方④国語科におけるローマ字入力学習の範囲という4点において課題があることを明らかにした。最後に、国語科におけるローマ字学習の指導内容を明確化した上で英語科との連携をはかることや、ローマ字綴りの理解と関連させたローマ字入力法の指導法の開拓の必要性などについて言及した。
著者
永田 麻詠
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.39-47, 2020-09-30 (Released:2020-10-23)
参考文献数
42

性的にマイノリティとされる子どもが「言葉の暴力」にさらされているという問題から、国語科教育としてどのように「言語環境の整備」に取り組むことが多様な性への対応となりうるのか、「言語感覚」と社会言語学の知見を手がかりに検討を行った。その結果、(1)多様な性に対する意識変容を目標として、言語感覚の育成をめざす(2)多様な性への対応として言語感覚を育てることにより、すべての子どものエンパワメントをめざす(3)アウティングやカミングアウトの強制を避けるために、文学的教材を用いて実践を構想する(4)性をめぐることばに対する具体的な違和感を検出することで、多様な性に対する社会的な価値観を批判的に検討できるような学習展開を具体化するの4点を、多様な性への対応としての言語感覚を育成する手がかりとした。
著者
冨安 慎吾
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.23-31, 2017-03-30 (Released:2017-09-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では、自己調整学習者の発達を支援する方法について、特に学習観の形成を支援する視点から検討を行った。その際、事例として漢字学習を取り上げた。漢字学習観は、漢字学習方略・漢字学習動機・漢字観によって構成される。特に漢字学習方略は学習者の漢字学習に直接的に関係する。しかし、学習者は漢字学習に際して適切な漢字学習方略を選択するとは限らない。このことから、漢字学習観の形成を支援するためには、漢字学習方略を含む漢字学習観をメタ認知させることが重要ではないかと考えられた。そこで、漢字学習方略をパターンランゲージというメディアを用いて記述し、それを用いたワークを実施した。その結果、ワークの中で漢字学習方略と漢字学習動機・漢字観のメタ認知が行われることが確認できた。
著者
塚田 泰彦
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.8-9, 1999-03-31 (Released:2017-07-10)

文学・語学領域の文化遺産を価値の体系として系統的に指導する教室から、学習者ひとりひとりの言語学習を能力や行為の発生・展開過程として実現していく教室へと転換する。その場合、学習者の学びの焦点を「知識・技能としての学力」にあわせるのではなく「意欲・態度の実現による充足感」にあわせる。その方法として、テクスト概念や談話(ディスコース)概念を導入することでこれまでの作品中心主義の教室を解体して、学習者の「テクスト表現過程」が中心化され意義づけられる学習を追究する。