著者
白井 利明 伊藤 淳 伊藤 真紀
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.212-217, 2011-03-18 (Released:2011-04-19)
参考文献数
8

人工膝関節全置換術 (TKA) 後の歩行能力の獲得時期と手術時年齢,性別,BMI,罹患関節 (片側・両側),手術アプローチ,日本整形外科学会変形性膝関節症治療判定基準 (以下JOA score) を調査し,歩行能力の回復に影響する予測因子を検討した.当院でTKAを施行した67 例 (男性7 例,女性60 例),88 膝を対象とした.原因疾患は変形性膝関節症80 膝,特発性骨壊死症8 膝であった.術後歩行能力の獲得時期として平行棒歩行,T字杖歩行,手すりによる階段昇降が可能となるまでの期間を調査した.平行棒歩行が可能となった時期は平均5.7 日,T字杖歩行16.1 日,階段昇降23.0 日であった.術後の歩行能力に影響した予測因子は罹患関節(片側・両側),手術時年齢,術前JOA score,手術アプローチであった.
著者
加藤 太郎 板東 杏太 有明 陽佑 勝田 若奈 近藤 夕騎 小笠原 悠 西田 大輔 髙橋 祐二 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20022, (Released:2020-11-30)
参考文献数
18

目的:脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)に対する短期集中リハビリテーション治療(SCD短期集中リハビリテーション)の効果が,先行研究により示されている.しかし,SCD短期集中リハビリテーションの効果検証は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)の総得点により報告されており,SARAの下位項目による詳細な検証はなされていない.本研究は,歩行可能なSCD患者の運動失調に対するSCD短期集中リハビリテーションの効果を,SARAの総得点と下位項目得点から検証することを目的とした.方法:対象は,SARAの歩行項目3点以下に該当し,4週間のSCD集中リハビリテーション治療プログラム(SCD集中リハビリテーション)に参加したSCD患者23名(男15名,女8名)とした.評価項目はSARAとし,SCD集中リハビリテーション実施前後に評価を実施した.対象者のSCD集中リハビリテーション実施前後のSARAの総得点および各下位項目得点を,後方視的に解析した.統計はWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討し,有意水準は5%とした.結果:SCD集中リハビリテーション実施前後において,総得点および下位項目得点のうち,歩行,立位,踵-すね試験に有意な点数の改善を認めた(p<0.05).一方,下位項目得点で座位,言語障害,指追い試験,鼻-指試験,手の回内・回外運動は有意な点数の改善を認めなかった.結論:本研究の結果は,SCD集中リハビリテーションはSCD患者のSARAにおける総得点と,特に体幹と下肢の運動失調を有意に改善させることを示した.
著者
小山 哲男 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20031, (Released:2020-10-22)
参考文献数
18
被引用文献数
2

目的:中枢神経系疾患(脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患)は,リハビリテーション科の診療対象として患者数が多い.脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患はすべて脳疾患の範疇であるが,そのリハビリテーション診療はそれぞれ異なる.今回,計量テキスト分析を用いて年次学術集会の抄録を解析し,これらのリハビリテーション診療の特徴を調査した.対象および方法:第56回日本リハビリテーション医学会学術集会(2019年)の公募演題1,424題を解析対象とした.脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患の疾患群別にコーディングを行った.類似度の指標であるJaccard係数に基づき,それぞれの疾患群について関連語抽出を行った.結果:脳卒中群402題について,関連語の上位10個は「麻痺,回復期,入院,発症,病棟,機能,FIM,障害,改善,退院」(係数0.36~0.23)であった.頭部外傷群36題について,関連語の上位10個は「外傷,交通,高次,事故,転落,脳,就労,脳症,血腫,機関」であった(係数0.15~0.08).神経変性疾患群96題について,関連語の上位10個は「認知,MMSE,高齢,介護,在宅,施設,骨折,障害,Yahr,疾患」(係数0.18~0.09)であった.考察:年次学会抄録集を計量テキスト分析により解析することで,それぞれの疾患群のリハビリテーション診療の体系化が可能であった.
著者
渡邉 修
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.110-116, 2020-02-18 (Released:2020-03-25)
参考文献数
13

自動車運転は障害者の社会参加にとってきわめて有用な手段であるが,重大な社会的責任を伴うことから,リハビリテーション科医は,その安全性を見極める必要がある.自動車運転に際し,全身状態が安定していること,服薬状況を確認し,ついで,①視覚系では,視力が保たれ,視野欠損,半側空間無視がないこと,②感覚・運動系では運転操作能力があること,③認知系では,注意,遂行機能,記憶機能,情報処理速度,メタ認知能力が保持されていることを確認する.
著者
正門 由久
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.428-433, 2016-06-18 (Released:2016-07-21)
参考文献数
6

臨床神経生理学は,ヒトの中枢神経系,末梢神経系の機能をさまざまな方法で診断,評価し,治療に役立てる学問であり,この分野の発展は目覚ましい.脳波・筋電図ばかりではなく,誘発電位,機能画像なども近年それに含められており,中枢神経系・末梢神経系の区分を超えた学問へと発展し,リハビリテーション(以下,リハ)医学の関連分野の1つとして,診断,評価,治療などさまざまな臨床場面で“役に立つ”学問である.さらには神経生理を用いることは患者の病態生理,治療手段の客観的評価に有用であり,また生体の信号や機能画像を治療手段に用いることも可能である. リハ医学・医療の分野でさらに用いられることが望まれる.
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.781-806, 2008-12-18 (Released:2009-10-02)
被引用文献数
1 1

キーノートレクチャー:高次脳機能障害患者への実践的リハビリテーションアプローチ…本田 哲三 781感情失禁と依存退行性が著明であった脳外傷一例…山里 道彦 784社会的行動障害に対するリハビリテーションチームアプローチ…浦上 裕子 789偽性てんかん発作を生じた高次脳機能障害の1 例…岡崎 哲也,白石純一郎,牧野健一郎,蜂須賀研二,岩井 泰俊 793高次脳機能障害相談窓口を経て受診した慢性期頭部外傷例に対する支援…原 寛美 796相方との画像/神経心理学的検査所見の比較解釈に難渋した外傷性脳損傷後高次脳機能障害一卵性双生児の1 例…大賀 優,吉永 勝訓 800
著者
渡邊 進
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.799-807, 2009-12-18 (Released:2010-01-01)
参考文献数
23
被引用文献数
5 7

Currently, there are more than 53,000 beds in kaifukuki rehabilitation wards throughout Japan. The development of kaifukuki rehabilitation wards is proceeding smoothly in terms of quantity. It is suggested that, with this development, the activities of daily living of patients will significantly improve, leading to an increase in the likelihood of patients returning home when a large unit of daily rehabilitation training is provided via one of these kaifukuki rehabilitation wards. The tasks remaining to be completed for the optimal realization of the kaifukuki rehabilitation wards are to reduce the disparity in the number of beds among prefectures, to realize a mature team approach to the rehabilitation program, to encourage full-time ward physicians of the rehabilitation department to exercise leadership, to enhance subacute medical services, to enhance human resources such as nurses and rehabilitation specialists and to improve the education and training system for the staff. Other major tasks remaining are to strengthen the cooperation between kaifukuki rehabilitation wards and acute hospitals, by which such rehabilitation wards will become capable of actively accepting patients from an early stage, and to establish cooperation between kaifukuki rehabilitation wards and the home care system.
著者
根本 明宜
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese journal of rehabilitation medicine = リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.267-271, 2019

<p>脳血管障害のリハビリテーションは,急性期での早期からの開始,回復期リハビリテーション病棟での十分な量と生活を意識した訓練,社会復帰しての生活期のリハビリテーションと場を変えて行われる.下肢装具は,運動学習のために難易度を調整する道具として,また麻痺による機能障害を代償する道具として重要である.医療保険で給付される治療用装具,生活のために障害者総合支援法で支給される更生用装具があるが,医療施設の連携の中で適切な装具を供給することが必要である.地域連携パスはあるが,装具に関する連携は不十分である.ロボット技術の応用の効果が報告されているが,普及のためには診療報酬での加点など制度の充実が求められる.</p>
著者
大本 将之 志波 直人
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-30, 2017-01-28 (Released:2017-03-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

微小重力により,宇宙飛行士の筋骨格系は著しい廃用性変化をきたす.火星探査では狭い宇宙船内での運動が必要となるが,従来の宇宙飛行士用の訓練装置は大型で使用が困難である.ハイブリッドトレーニング装置は,運動時に動作を妨げる拮抗筋を電気刺激して得られる筋収縮を運動抵抗とし,小型で自身の体内で運動抵抗を発生させることから,このような制約が大きい環境下での使用が可能である.2009年,国際宇宙ステーション利用研究に採択され,本装置を1名の宇宙飛行士の非利き腕に装着し,週3回4週間,計12回のトレーニングを行い,廃用予防改善効果を検証した.同時に5年間の産学協同研究により,下肢用トレーニング装置が市販された.
著者
牧田 茂
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.947-951, 2017-12-18 (Released:2018-01-10)
参考文献数
13

心不全患者においては,労作時の過度な換気増大は,息切れとなって症状にあらわれる.これは,換気血流不均衡から生じる死腔の増大と慢性的な肺静脈圧の増加による肺血管障害,気管支の過反応による気道抵抗上昇から生じる.運動生理学的には分時換気量(VE)を増加させている要因は死腔換気量(VD)であり,心不全での呼吸パターンの変化と換気血流不均衡増加の主たる原因となる.運動中の肺毛細管圧の上昇や肺胞壁・間質の浮腫などは肺コンプライアンスの低下を招き,一回換気量増加を妨げる.そこで,VEを増加させるために呼吸数が増加する,いわゆる浅く速い呼吸となって,解剖学的死腔に起因するVDが増加する.運動中の心拍出量の増加が少ないことは,換気血流不均衡によるVDを増加させ,あわせて心不全での運動中のVDを増すこととなり,その結果二酸化炭素排泄量に対するVEが増加する.
著者
佐原 亘 菅本 一臣
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.750-753, 2016
被引用文献数
1

<p> 肩は上肢の基盤ともいえる部位であり,肩甲上腕関節と肩甲帯から構成される.肩甲上腕関節は体の中で最も広い可動域をもつ関節であり,その肩甲上腕関節が機能を十分発揮するためには肩甲帯が機能的に働くことが必要不可欠である.肩甲帯は通常の関節のように関節包や靱帯によって支えられておらず,肩甲骨に付着する筋群によって複雑にコントロールされている.そのため肩甲帯がどのように動いているのか,その仕組みを知ることは肩や上肢のリハビリテーションを考えるうえで非常に重要である.本稿では肩甲帯の解剖とその運動の仕組みについて解説する.</p>
著者
島田 洋一 本郷 道生 畠山 和利 渡邉 基起
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.914-921, 2016-12-18 (Released:2017-02-14)
参考文献数
34

ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,骨粗鬆症,加齢に伴う筋力低下や,変形性脊椎症,そして変形性膝関節症などが原因で生じるが,これらの疾患の多くが腰椎疾患と密接に関連する.腰椎疾患ではさまざまな運動療法が提唱されている.腰部脊柱管狭窄症では,動作に伴う症状の増悪に注意しながらのストレッチングや全身の調整運動を行う.慢性腰痛症に対する筋力増強やストレッチングなどの運動療法は有効な保存療法として推奨されている.骨粗鬆症を伴う脊柱後弯患者では,背筋力増強および脊柱可動性を改善する運動が有効である.運動療法には自宅での運動と,施設で実施する運動とでは内容が異なるが,ロコモを伴う高齢者に対しては,安全で継続性があり,かつ効果のある運動療法を考慮して処方する必要がある.
著者
五島 史行
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.116-121, 2019-02-18 (Released:2019-04-03)
参考文献数
20

前庭機能障害患者に対するリハビリテーション治療は一側性前庭障害症例において,中等度~強度の根拠があり,中等度の一側性前庭障害症例については中等度の根拠がある.また,良性発作性頭位めまい症症例については,確定診断に基づいた特有の理学療法治療法は,一般の運動療法に基づいた前庭リハビリテーションよりも,より効果を示すというエビデンスがある.しかしながら,本邦では本治療はあまり普及していない.外来において迷路性失調に対するリハビリテーション治療を行いその有効性について検討したので概説する.
著者
望月 仁志 宇川 義一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.88-93, 2019-02-18 (Released:2019-04-03)
参考文献数
7

運動失調とは,運動麻痺はないもしくは軽症で,動作や姿勢保持などの協調運動の障害である.末梢感覚器(関節位置覚,視覚,平衡覚)から中枢神経系への求心路,その情報を処理する小脳・大脳基底核,そして小脳などからの情報を受けて制御情報を送る大脳運動野から末梢・筋までの遠心路のどのレベルでも,運動制御はされていることになる.これらのどの部分に障害が生じても,臨床的な運動失調は生じる.今回は,臨床的に重要な小脳失調,感覚失調,前庭性失調について,それぞれの臨床的特徴とその機序について概説した.
著者
都築 暢之 石塚 京子 飯島 昌一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.407-414, 2016-05-18 (Released:2016-06-13)
参考文献数
21

An 83-year-old woman presented with dropped head syndrome (DHS), that had been progressing during the previous 6 months. She had no history of neuromuscular diseases and, on examination, no neuromuscular abnormalities were observed except for isolated weakness of the neck extensors, mainly of the semispinalis cervicis. On the paravertebral sites of the T1-T5 spine on both sides, a total of eight points with marked tenderness were noted, four on each side. These eight points coincided with the anatomically narrow spaces through which the posterior rami emerged from their deep exits in the spine (i.e., the intervertebral foramina) to the superficial paravertebral sites, where they bifurcated into the lateral and medial branches, the latter innervating the semispinalis cervicis. Repeated local corticosteroid injections once a week on these eight tender points, with 3.3 mg Decadron (dexamethasone sodium phosphate) mixed with 20 mL of 0.5% xylocaine divided among the eight tender points, improved DHS in 3 months. This case suggests that the anatomically narrow pathway of the medial branches of the posterior rami at the upper thoracic spine could induce inflammations of the passing nerves, resulting in neck extensor weakness.
著者
大畑 光司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-53, 2016-01-18 (Released:2016-02-10)
参考文献数
36

歩行分析は本当に臨床に役立つのだろうか.たしかに,大掛かりな三次元運動解析のような工学的手法は正確な運動学的情報を与えてくれる手段である.しかし,歩行分析を臨床に生かすという観点においては,正確な情報よりむしろ,得られた情報をどのように解釈するかに意義がある.その意味で,歩行分析では運動障害の本質をあらわす特徴量を明確にすることが求められる.活動制限としての歩行障害では歩行速度,機能障害としての歩行障害では,片麻痺患者の非対称性,パーキンソン病患者の運動狭小化,失調患者の変動係数(coefficient of variation)などが障害の重症度と関連する特徴量となる.そのうえで,それぞれの特徴量を変化させる介入手段を明確にすることが必要となる.
著者
東本 有司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.965-968, 2017-12-18 (Released:2018-01-10)
参考文献数
8

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の罹患者は年々増加しており,肺の生活習慣病といわれている.労作時呼吸困難はCOPDの主要な症状の1つで,このために日常生活に支障をきたすことが多い.COPDにおける呼吸困難の機序はまだ十分に解明されていないが,低酸素血症以外にも,肺の動的過膨張やうつ・不安症状なども関連していることがわかっている.呼吸困難に対する薬物治療としては気管支拡張薬の吸入薬が第一選択であるが,症状改善が十分でないことが多く,呼吸リハビリテーション,栄養指導,心理的サポート,社会的サポートなどの包括的な介入が必要である.
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.753-786, 2009-12-18 (Released:2010-01-01)

宇宙飛行士のリハビリテーションの現状と未来…大島 博,向井 千秋,里宇 明元 753宇宙環境で有効な骨格筋維持装置開発の研究—ハイブリッドトレーニング法によるWearable device の開発研究—…志波 直人,松瀬 博夫,吉光 一浩,田川 善彦 758微小重力や長期臥床による骨粗鬆症への挑戦…松本 俊夫,木戸 里佳 764平衡機能障害に挑む—宇宙酔いと重力適応—…野村 泰之 767循環調節障害に挑む…岩崎 賢一 774ヒューマノイドロボットを用いて様々な負荷環境における姿勢調節メカニズムを探求する…玄 相昊 778