著者
村田 浩一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.846-849, 1987-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
35
被引用文献数
2 2

神戸市近郊で保護された傷病野生動物, ならびに動物園内で保護もしくは捕獲されたネコとドブネズミについて, ラテックス凝集反応によるトキソプラズマ (Tp) 抗体保有調査を行った.調査対象である野生哺乳類4種19個体, 鳥類20種77個体, 爬虫類1種2個体のうち, Tp抗体価32倍以上を示したものは哺乳類で37%(7/19個体), 鳥類で3%(2/77個体), 爬虫類で0%(0/2個体) であった.動物園内で保護もしくは捕獲されたネコ17個体とドブネズミ15個体のTp抗体価はいずれも16倍以下であった.
著者
大関 好明 本田 充 首藤 健一 信永 利馬
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.616-621, 1991-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

ヒキガエル中毒は多くの臨床家が経験しているものと推察されるが, その実態は明らかでない. かかる観点から今回, 犬におけるヒキガエルによる実験的中毒を試みた.供試犬は臨床上健康と思われた9頭で, 捕獲した野生のヒキガエルを摂食および噛齧させ, のち経時的に観察した.摂食犬は, ヒキガエルの大小や犬の体重等に関わりなく摂食約60分後に2頭, 10時間-12時間の間には全例に嘔吐が認められ, のちにNo.7を除き次第に正常に復した.いっぽう, 生体を噛齧した2頭はその直後に流挺, 頭振等のジギタリス様中毒症状を呈し, のちに次第に正常に復した. 一部供試犬の摂食前, 後の血液学的変動は, ほぼ生理学的変動の範囲内の変化であった. さらに剖検による炎症の程度は個体により異なったが, 小腸炎が全剖検犬の88.8%(8頭/9頭) に認められた.
著者
森岡 義成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.172-173, 1960

出産後寒さに向ったため, 室温は15~20℃を保たしめ, 直ちに父親ヒョウと母親ライオンを別離し, まったく秘密裏に仔レオポンを母親ライオンに一任し, 遂に38日目父親ヒョウと親仔水いらずの同居を決行し発表にいたったので, その間の苦労, 心配は言外のものであった. 以上のごとく昭和35年1月10日現在までは頗る健康 (もちろん12月20日に雌の風邪気味はあったが) であり, 将来への生長の希望を明るいものにしてくれているが, 1年経って見ないとまだまだ心配はつきない. これからの努力によって生長し, 3年以上経過した暁は雄のタテガミ発生にも希望はもてるし, F<SUB>2</SUB>を誕生さすことによって動物遺伝学をくつがえして見たいという野望にももえている次第であります.
著者
成田 雅子 信本 聖子 竹田 博 森山 友恵 森田 美範 中岡 祐司
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.535-539, 2011-07-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
13
被引用文献数
6 12

北海道帯広市のばんえい競馬場で2004年12月から翌年3月,191頭の重種馬(在厩馬の約3割)に発熱と食欲不振の症状がみられた.発症馬21頭中14頭の発症時と回復時の組血清で牛コロナウイルスに対する中和抗体価の有意な上昇が認められ,発症馬の糞便から馬コロナウイルスNC99株の遺伝子ときわめて相同性の高い遺伝子が検出された.一方発症馬の鼻汁と糞便からコロナウイルス以外の既知病原体と遺伝子は検出されず,発症馬21頭の血清学的検査で馬ヘルペスウイルス1型,馬インフルエンザウイルス,ゲタウイルス,馬ロタウイルス,馬鼻炎Aウイルス,馬アデノウイルス,馬動脈炎ウイルス,腺疫,馬パラチフスに対する有意な抗体価の上昇は認められなかった.以上のことから今回集団発生した疾病は馬コロナウイルスの感染により起こされたことが疑われた.
著者
幡谷 正明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.2-6, 1962-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
著者
中尾 聡子 奥村 尚子 荒木 美穂 青木 雄也 岩垣 つぐみ 上江洲 浩一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.e237-e242, 2023 (Released:2023-09-28)
参考文献数
10

2022年10月に3頭の肉用繁殖雌牛が起立不能,流涎,第一胃運動停止,排便停止及び低体温を呈して死亡した.ボツリヌス毒素検査の結果,発症牛の消化管内容物と畜舎内のカラスの糞の培養液からD型ボツリヌス毒素とD/Cモザイク毒素遺伝子が検出された.病理組織学的検査では,発症牛の第一胃と心臓に壊死性血管炎が認められた.疫学調査,臨床所見及びボツリヌス毒素検査の結果から,本症例はD/Cモザイク毒素遺伝子を産生するClostridium botulinum による牛ボツリヌス症と診断された.発症牛はカラスの糞に含まれるボツリヌス菌の芽胞を摂取して発症したと考えられた.当該農場では発症予防としてボツリヌスワクチンの接種と防鳥ネットの設置を実施した.本症の発生予防には農場の清掃と消毒に加えて野生動物の侵入防止対策が重要である.
著者
田川 道人 新坊 弦也 富張 瑞樹 渡邉 謙一 古林 与志安
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e202-e207, 2023 (Released:2023-08-25)
参考文献数
25

症例は8歳4カ月のバーニーズ・マウンテンドッグ,去勢雄であり,肺腫瘤の精査を目的に帯広畜産大学動物医療センターを紹介受診した.切除組織の病理学的検査にて肺原発の組織球性肉腫と診断し,第36病日よりロムスチンによる術後抗がん剤治療を行った.ロムスチン5回目投与時に右兼部に5cm大の皮下腫瘤を認め,細胞診にて組織球性肉腫の転移病変と診断した.ドキソルビシンを使用したが効果はみられず病変は11cm大まで増大した.第172病日よりリン酸トセラニブの投与を開始したところ転移病変は急速に退縮し1.5cm大まで縮小した.しかし第301病日に転移病変の再増大と胸水貯留を認め,ビンクリスチンを投与するも反応なく第318病日に斃死した.一時的ではあったものの,リン酸トセラニブの劇的な効果がみられた稀な症例と思われた.
著者
塚野 健志
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.670-673, 2014-09-20 (Released:2014-10-20)
参考文献数
18

脱水症を伴わない重度の代謝性アシドーシスに陥った黒毛和種子牛下痢症例に対して,重炭酸ナトリウム液の静脈内投与に加え,断乳処置の併用が代謝性アシドーシス及び糞便スコアの改善に有効であるかを検討した.初診時より24時間の断乳処置を行った群(処置群)では,24時間後で静脈血pH,重炭酸イオン(HCO3-)濃度が有意(P<0.01)に増加,アニオンギャップ(AG)濃度が有意(P<0.01)に減少,糞便スコアは有意(P<0.05)に減少した.初診時より代用乳の哺乳を継続した群(対照群)では,24時間後でpHの有意な増加を認めたが,HCO3-濃度,AG濃度,糞便スコアに有意な差は認められなかった.診療回数は処置群で有意(P<0.05)に短縮した.断乳処置の併用は代謝性アシドーシス及び糞便性状を改善させる傾向にあると考えられた.
著者
草場 祥雄 平川 篤 草場 晴奈 草場 治雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.695-699, 2019-11-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
9

漏斗胸は幼齢猫にまれに発生し,胸骨及び肋軟骨の先天的奇形により胸郭形態が異常なため,呼吸困難,発咳,発育不良などの症状を呈する.その症状改善には,外科的矯正術が必要とされる.今回われわれは,本疾患の7~22週齢の幼猫5症例において,小動物整形外科用骨プレートを用いて胸郭の矯正術を行った.すなわち,全例において,半楕円形に湾曲させた骨プレートを最陥没部の胸骨とその左右肋軟骨に非吸収糸で結紮固定した.結果,全例において,手術直後から胸郭形態の正常化と症状の消失が得られ,その後の追跡期間(8~48カ月,中央値15カ月)においても再発は認められなかった.また,術前術後の解剖学的重症度と臨床重症度スコアによる評価結果からも,本術式は猫の漏斗胸の矯正に有用であると思われた.
著者
小山田 隆 江坂 幸敏 工藤 上 吉川 尭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.574-578, 1996-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
28
被引用文献数
3

1992年7月~1995年12月に青森県東部地域で集められた18種の淡水魚総計44, 724尾について, 日本顎口虫の幼虫寄生を検索した.ドジョウ, ナマズ, ウキゴリ, ヤマメおよびウグイの5魚種から, 第3後期幼虫計322虫体を検出した.幼虫が検出された魚種はいずれも人への感染源になり得ると思われ, 特にヤマメを含むサケ科ならびにウグイを含むコイ科魚類は, 北日本で発生している人の日本顎口虫症の感染源として重視すべきものと考えられた.
著者
内田 明彦 川上 泰 加藤 茂 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-119, 1999-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

1995~1997年に神奈川および静岡県内の河川に生息, あるいは養殖されるアユ, アマゴ, イワナ, ニジマスなどについて横川吸虫メタセルカリアの感染状況を調査した. 神奈川県内の河川から採取したアユの感染率は73.7~87.1%で, 1匹当たりのメタセルカリア数は12~348個体であった. 早川, 酒勾川で採取されたウグイは濃厚に感染 (87.0~100%) し, 1匹当たりのメタセルカリア数は27~1, 247個体であった. 早川, 藤木川産ニジマスには感染がみられなかった. 静岡県内 (狩野川本流とその支流) ではアユ (感染率80%, 寄生数25~428), ウグイ (93.8~100%, 36~1, 257), オイカワ (46.6~56.7%, 16~269), カワムツ (76.3%, 24~198) およびタカハヤ (100%, 49~165) の5種に感染がみられたが, ニゴイ, イワナ, ニジマス, アマゴからは検出されなかった. 井戸水飼育の養殖アユ212匹中3匹 (1.4%), 河川水利用の養殖アユでは223匹中142匹 (63.7%) からメタセルカリアが検出され, 感染率および1匹当たりのメタセルカリア数は晩秋に向けて増加した. しかし, 養殖ニジマス, イワナ, アマゴからはメタセルカリアは検出されなかった. 各種魚類から得られたメタセルカリアを猫に感染して得た成虫は, 形態変異がみられたが, すべて横川吸虫と同定された.
著者
井上 舞 杉浦 勝明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.e128-e133, 2022 (Released:2022-06-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

犬や猫の死亡時年齢や死亡原因を把握することは,健康診断の設定や健康増進の対策を立てるうえで有用な情報となりうる.著者らは全国の40病院の協力を得て,2020年4月1日~2021年8月31日までの間に死亡した2,133頭の犬及び猫の死亡状況についてのデータを基にコホート生命表を作成したところ,犬の平均寿命は13.6歳,猫の平均寿命は12.3歳であった.犬の死亡原因は腫瘍が18.4%と最も多く,循環器疾患が次いで17.4%,続いて泌尿器疾患が15.2%であり,猫での死亡原因は多い順に泌尿器疾患が29.4%,腫瘍が20.3%,循環器疾患が11.8%であった.死亡原因として多い疾患の影響を除いた平均寿命を算出した所,犬の腫瘍では0.6歳,循環器疾患では0.5歳,猫の泌尿器疾患では1.6歳,腫瘍では1.0歳平均寿命が延びると推計された.このような研究をもとに優先順位をつけて疾患対策を行うことで効率的な健康増進が可能になると考えられる.
著者
菊池 建機
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.327-332, 1968-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
23
著者
青木 大 三品 美夏 川野 紗穂 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.433-438, 2021-07-20 (Released:2021-08-20)
参考文献数
11

犬の移行上皮癌に対して膀胱全摘出術を実施した64症例について,品種,性別,病理検査結果,治療方法,並びに予後調査を行った.本調査では発症年齢は10.7±2.2歳,雌雄差は雌40症例(62.5%),雄24症例(37.5%)と従来の報告に類似したものであった.品種は雑種,シェットランド・シープドック,ビーグルが好発品種であることが示唆された.予後については膀胱全摘出術64症例の生存期間は5~3,089日,生存期間中央値は205日であった.生存期間についての調査比較では,膀胱壁への浸潤度による差において,粘膜固有層,筋層,並びに漿膜までの浸潤の3群間において有意差を認めた.今回の回顧的調査から,犬の移行上皮癌に対しての膀胱全摘出術は半年以上の生存が期待でき,治療において有用な治療方法の一つになることが示唆された.
著者
成嶋 理恵 笛吹 達史 小川 孝 嶋崎 智章
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.630-633, 2010-08-20 (Released:2016-09-07)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

猫内在性レトロウイルス(RD114ウイルス)はすべての猫の体細胞と生殖細胞内に内在化していることから,猫由来培養細胞を用いて製造される猫用混合生ワクチンに混入することが懸念される. 最近,Miyazawaらはいくつかの猫用弱毒生ワクチンにRD114ウイルスが混入していることを報告した[Journal of Virology]. そこで,国内既承認ワクチンにおけるその混入状況をLacZ マーカーレスキュー法によって調査した結果,供試ワクチン(4製剤,計30製品)の30%から感染性RD114ウイルスが検出された. 今回の報告はわれわれがワクチン中に感染性RD114ウイルスが存在することを実証したものである. これまでRD114ウイルスの猫に対する病原性およびRD114ウイルスの混入する当該ワクチンの接種による副作用については,いまだ明確ではない. また,同一のワクチンが製造販売されている欧米においても特段の規制措置は講じられていないことから,われわれは,現段階ではこれらのワクチンに対して緊急的な措置を講じる必要はないと結論付け,今後とも有用情報収集に努めることとした.
著者
加藤 敏英 遠藤 洋 酒井 淳一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.852-858, 2013-12-20 (Released:2014-01-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

2004~2012年度にかけて,山形県内の臨床的に健康な1~11カ月齢の肥育牛合計1,098頭の鼻汁を採取し,牛肺炎起因菌の分離同定を実施するとともに分離菌株の薬剤感受性を調べた.その結果,Mannheimia haemolytica(Mh)が225頭(20.5%)225株,Pasteurella multocida(Pm)が835頭(76.0%)835株,Mycoplasma bovis(Mb)が412頭(37.5%)412株及びUreaplasma diversum(Ud)が270頭(24.6%)270株,それぞれ分離された.これらの菌種がまったく分離されなかったのは108頭(9.8%)であった.全調査期間を通じ,MhとPmはエンロフロキサシン(ERFX)とフロルフェニコールに高感受性(MIC50; ≦0.031-0.5mg/l,MIC90; ≦0.031-2mg/l)を示した.また,MbとUdはERFXに高感受性(MIC50; 0.2-0.78mg/l,MIC90;0.25-3.13mg/l)を示したが,一部のMbはマクロライド系に対し著しい低感受性(MICレンジ; TS 1-100mg/l≦,TMS 2-128mg/l≦)を示した.
著者
田村 悠 魚住 大介
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-148, 2018-03-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
14

症例はシーズー,去勢雄,12歳齢で,急性の嘔吐と腹囲膨満を主訴に来院した.腹部X線検査にて胃拡張が疑われたため,経皮的減圧を行った.胃からは約1l のガスと液体が抜去された.その後,状態は安定したため経過観察とした.6日後の再診時には一般状態に問題はなく,食欲及び排便も正常であった.しかし,その1カ月後に再度腹囲膨満を呈し,腹部X線検査にて胃拡張捻転症候群が疑われた.一般状態は良好だったため,再度経皮的減圧を行い一晩様子を観察したが,改善が認められなかったため,開腹手術を行った.胃は捻転し,脾臓及び小腸の変位が認められた.腹腔内臓器を整復した後,ベルトループ胃腹壁固定術を実施した.胃拡張捻転症候群は小型犬では報告は少ないが,本症例においては雪の多食が発症に関与した可能性が考えられた.
著者
三宅 陽一 金田 義宏 原 茂雄 藤井 義雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.267-271, 1988-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

犬, 猫の避妊手術に起因する弊害を知る目的で, 当家畜病院で過去9年 (猫の場合は8年) の間に卵巣割去術, もしくは卵巣子宮全摘出術を受けた雌犬95頭, 雌猫162頭の畜主にアンケート調査を行った.その結果, 手術後に子宮蓄膿症候群を発症したものは犬, 猫ともに0%, 乳房 (腺) 腫瘍の発症はそれぞれ1.6%, 2.0%と低かった.しかし, 手術後に体重が手術前に比べて1.5倍以上になったものは10.9%(犬), 6.7%(猫) にみられた. また, 脱毛や皮膚病, 尿失禁や尿閉の発症が, 犬・猫ともに少なからず認められた. さらに, 不可能であるにもかかわらず, 産子を得たいとする畜主 (犬で19.4%, 猫で9.4%) が少なくないことが注目された.