著者
横山 宏美 金本 勇
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.165-167, 1997-03-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
3

離乳時から嚥下困難を呈した雄のパピヨン種5ヵ月齢, 体重1.1kgに対して, X線透視像ビデオ撮影検査を行った. 輪状咽頭筋の弛緩が悪く, 咽頭の収縮と輪状咽頭筋の弛緩に協調性が認められなかったことから, 輪状咽頭筋の機能障害と診断した. この症例に対し, 輪状咽頭筋切開術を実施したところ, 良好な経過をたどった.
著者
緒方 篤哉 清水 浩 佐敷 諭 山口 明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.231-234, 1999-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

起立困難あるいは不能を呈した乳牛 (27例) にオゾン自家血液療法を実施したところ, 臨床的に明らかな鎮痛効果を示すとともに起立行動が容易となり, 血清GOTおよびCPK活性は短期間で有意に下降し, 27例中17例 (63%) が治癒した.
著者
伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.701-708, 2013-10-20 (Released:2013-11-20)
参考文献数
59
著者
小林 沙織 佐々木 淳 御領 政信 内田 直宏 井口 愛子 山﨑 真大 佐藤 れえ子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.215-221, 2019-04-20 (Released:2019-05-20)
参考文献数
17

常染色体優性猫多発性囊胞腎(feline autosomal dominant polycystic kidney disease:fADPKD)は,人ADPKDと類似した病態をとる.肝囊胞を有するfADPKDの猫3例の臨床病理学的検討を行った.肝臓の病理組織学的検査及び肝囊胞液の分析を実施した.3例は,すべてペルシャ種の雄であった.2例の肝臓に限局性で多房状の肝囊胞を認め,1例に大きな単胞性肝囊胞を認めた.大部分の肝囊胞は肝葉辺縁部に位置していたが,組織学的に,微小な肝囊胞が肝実質内にも認められた.肝囊胞は,一層の低立方状細胞で内張りされていた.肝囊胞液は,血清と比べ,K+及びBUN濃度は高く,Na+,Cl-,Cre濃度は類似していた.いずれの症例とも,肝機能低下を示唆する血液検査所見は認められなかった.
著者
田中 茂喜 佐々木 崇文 石黒 奈央 浦野 孝太郎 小山 秀一 木村 勇介 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.162-166, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失していた.このような房室伝導系病変が,インパルスの房室伝導を遮断したものとみなされた.
著者
佐川 真由美 金子 武生 赤川 志郎 小野 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.871-874, 1995-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
4 8

給餌後の血漿クレアチニン (Cre) 値の増加の割合と摂食フード中のCre含有量とは高い相関性を有し, 高Cre含有フード給餌猫では血漿Cre値が摂食前値に復するまで約24時間を要した.猫の血漿Cre値の評価に当たっては, 給餌の影響を考慮する必要があると考えられた.
著者
濱口 芳浩 平井 良夫 谷山 敦 合澤 正哲
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.407-410, 1998-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8

実のついたモロヘイヤを黒毛和種繁殖母牛に給与したところ, 食欲不振, 下痢などの症状を呈して2日後に3頭が死亡し, 剖検では心外膜下の点状出血ならびに心内膜下出血が認あられた. 病理組織学的には心内膜に著明な出血, 脾臓に出血およびヘモジデリン沈着, 肝臓にうっ血が認あられた. モロヘイヤの実および死亡牛心臓の塩基性抽出液 (Stas-Otto法) から薄層クロマトグラフ法でストロファンチジンが検出され, モロヘイヤの実のエタノール抽出液を腹腔内投与されたマウス3匹中2匹が死亡した.
著者
芝崎 繁樹 唐牛 靖吾
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.351-354, 1982-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7

犬の取り扱いについては, 従来より針金による方法が用いられているが, 腕1本を頼りとした非常に危険をともなう作業である. 今回著者らは, 野犬の捕獲および大型犬の取り扱いに対して, 吹き矢麻酔の応用を行ったところ, 有効な結果が得られたので報告する.
著者
渡辺 樹 中島 弘美 門田 耕一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.269-274, 2005-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22

食肉検査時に発見された豚の子宮腫瘍16例を病理解剖学的, 病理組織学的および免疫組織化学的に検査した.腫瘍を認めた豚はすべて2~4歳の繁殖豚で, 単発性が9例, 多発性が7例で, ほとんどが子宮角に存在していた.腫瘍細胞は束状および渦巻状配列を示し, 交錯していた.核は楕円形から長楕円形で, 両端が鈍であった.免疫染色では全症例の腫瘍細胞が, α-平滑筋アクチンとデスミンに対し陽性反応を示し, 15症例中13症例がビメンチンに陽性であった.これらの成績から検索した子宮腫瘍はすべて平滑筋由来と考えられた.一般に腫瘍細胞の核分裂像は目立たなかったが, 強拡大で10視野あたり4~5個みられる症例が1例あった.増殖細胞核抗原陽性細胞は, 0~85%とさまざまであった.他臓器への転移がなく, 核分裂像も少ないことから, すべての症例を良性腫瘍と診断した.
著者
小川 高 岩田 涼子 小川 ひとみ
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.e1-e4, 2023 (Released:2023-01-11)
参考文献数
10

猫の口腔内悪性神経鞘腫に対してカルボプラチン混和リドカインゼリーの局所注射とオルソボルテージ照射の併用療法を実施した.局所注射に起因する有害症状は認められず,腫瘍は顕著に縮小した.治療開始時からPEGチューブ栄養管理を行い,全身状態の改善を行った.今回用いた併用療法はオルソボルテージ照射単独治療と比較して効果的である可能性があるが,症例の集積による検討が必要である.
著者
狩野 安正
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.414-417, 1992-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

患犬は, 発症翌日に来院した.前日の朝から食欲・元気なく, 流涎・腹痛・吐き気を主訴としていた.初診から6時間後に嘔吐が出現し, 沈鬱状態の進行がみられ7時間半を経過して瘋痒感が出現し, 右後肢で右肩甲関節後方を瘋くような動作を示した.8時間後に熱発と意識の混濁がみられた.13時間後に心機能の低下がみられ, 血液検査所見ではCPK, LDH, GOT, ALP, PCV, WBC (好中球) の著しい増加とβ-グロブリンの減少が認められた.嘔吐は断続的にみられ白色泡状から瀕死期には黒褐色水様となった.初診から21時間後に死亡したので, 病理組織学的検査, 細菌学的検査ならびにウイルス学的検査を行った.延髄に核内封入体をともなった非化膿性脳炎像が認められ, 肺からオーエスキー病 (AD) ウイルスが分離された.以上のことから, 本症例をADと診断した.
著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
壁谷 英則 藤田 雅弘 森田 幸雄 横山 栄二 依田 清江 山内 昭 村田 浩一 丸山 総一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.70-74, 2008-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

全国23都道府県のペットのグリーンイグアナについてSalmonella, PastemllaおよびStaphylococcusの保菌状況を検討した.Salmonellaは, 98頭中17頭 (17.3%) の糞便から分離された. 分離株49株中47株は, 生物群IVのS. enterica subsp. houtenaeであり, わが国のイグアナが原因と思われる乳児サルモネラ症の原因となった血清型45: g, Z51:-が3株, 生物群IのS. enterica subsp.entericaも2株分離された. 陽性個体17頭由来の17株中9株 (52.9%) はstreptomycin耐性株であり, また, すべての株は上皮細胞侵入因子 (invA) およびエンテロトキシン (stn) 両遺伝子を保有していた.P. multocidaは89頭中3頭 (3.4%) から, また, S. aureusは18頭 (20.2%) の口腔からそれぞれ分離された.
著者
牧野 壯一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.897-901, 2001-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
5
著者
入江 充洋 鵤 満 伊藤 良一 三好 拓馬 栗谷川 優子 藤木 範之 チェンバーズ ジェームズ 内田 和幸
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.503-507, 2021-08-20 (Released:2021-09-20)
参考文献数
10

トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であった.
著者
伊藤 哲郎 茅沼 秀樹 斑目 広郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.e14-e17, 2022 (Released:2022-01-15)
参考文献数
7

16歳齢,去勢雄の雑種猫が食欲不振,体重減少を主訴として来院し,頸部腹側に2cm大の皮下腫瘤が触知された.血液検査において総カルシウム及びイオン化カルシウムの高値を認めた.症例のintact上皮小体ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は基準範囲内であったが,実験的に高カルシウム血症を誘発した健常猫において報告されたintact PTHと比較すると高い値であり,血清イオン化カルシウム濃度に対応したPTH抑制調節の破綻が推測された.画像検査により頸部腫瘤は腫大した上皮小体であることが疑われた.外科切除した腫瘤は病理組織検査において上皮小体腺腫と診断された.術後に総カルシウム値及びイオン化カルシウム値は速やかに正常化し,2年間の観察期間に再発は認められなかった.