著者
谷野 正木
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
綜合獸醫學雑誌 (ISSN:2186019X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.117-120, 1944-06-20 (Released:2011-03-18)
参考文献数
2
著者
藤 将大 有田 汐紗 太田 貴子 冨永 博英 平川 篤 杉山 伸樹
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.e304-e308, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
18

14歳10カ月齢,去勢済雄のイングリッシュ・コッカー・スパニエルが,嘔吐と四肢の振戦を主訴に夜間救急動物病院を受診した.来院時は起立不能及び意識は傾眠状態で,稟告及び吐物の内容によりイチョウ種子である銀杏による中毒を疑い,入院管理下での治療を開始した.ビタミンB6製剤の投与や対症療法を行い,治療開始9時間後には意識状態の改善並びに自力での歩行が可能になるまで回復した.治療開始11時間後に退院とし,受診11カ月後現在までに症状の再燃は認められず,良好に経過している.
著者
小嶋 大亮 小嶋 恭子 太田 和美 小嶋 佳彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.733-737, 2021-11-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
10

4年間の糖尿病及び皮膚脆弱症候群の既往歴を持つ14歳齢,不妊済の日本猫が突然の食欲・元気の消失を主訴に来院した.対症療法を行ったが,初診から1カ月後に猫は死亡し,病理解剖を行った.解剖時,皮膚の萎縮に加え,体幹部の皮下脂肪組織に多数の乳白色結節を認めた.また膵臓と右副腎に腫瘤を認めた.病理組織検査において,皮膚では化膿性肉芽腫性脂肪織炎及び表皮の菲薄化,真皮の疎な膠原線維及び毛包・皮脂腺の萎縮による萎縮性皮膚症を認めた.膵臓と副腎では膵腺癌と副腎皮質腺腫を認めた.本例では,化膿性肉芽腫性脂肪織炎と萎縮性皮膚症がそれぞれ,膵腺癌と副腎皮質腺腫と関与していることが疑われた.
著者
山下 和人 安達 洋平 久代 季子 Mohammed Ahmed UMAR 都築 圭子 前原 誠也 瀬野 貴弘 泉澤 康晴
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.715-720, 2004-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

犬臨床例にプロポフォール (P) とフェンタニル (F) を併用した全静脈麻酔 (PF-TIVA) を応用した. 麻酔前投薬としてプロピオニールプロマジン0.05mg/kg, ドロペリドール0.25mg/kg, ミダゾラム0.3mg/kg, またはメデトミジン5μg/kgを静脈内投与 (IV) し, Pで麻酔導入した. Fを2μg/kgIV後に0.2μg/kg/分で持続IVし, PのIV投与速度を調節して外科麻酔を維持した. 麻酔維持に要したP投与速度はメデトミジンの麻酔前投薬で0.2~0.3mg/kg/分, その他で0.3~0.4mg/kg/分であった. PF-TIVAでは呼吸抑制が強く調節呼吸の必要性が高かったが, 循環抑制は少なく, 外科手術も円滑に進行し, 麻酔回復も穏やかであった. PF-TIVAは犬の全身麻酔法として有用と考えられた.
著者
藏前 哲郎 石川 真悟 林 淳 津曲 圭太 乙丸 孝之介 帆保 誠二
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.31-36, 2020-01-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
15

本研究では,臨床的に重症慢性肺炎と診断された黒毛和種牛50頭から鼻咽頭スワブ(Swab)及び気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取し,細菌分離とともに,その薬剤感受性を調査した.Swab及びBALFからはおもにMycoplasma bovis 及びPasteurella multocida が分離されたが,同一牛において両検体から同一細菌種が分離された割合は比較的低かった.また,BALFから分離されたM. bovis 及びP. multocida は,おもにフルオロキノロン系抗菌薬に感受性であったが,Swabから分離された同2菌種の同系抗菌薬に対する薬剤感受性は低かった.以上より,重症慢性肺炎罹患牛の鼻咽頭領域及び気管支肺胞領域からは,おもにM. bovis 及びP. multocida が分離されるが,同一供試牛から分離された同一菌種の細菌であっても,薬剤感受性が異なる可能性があることから,重症慢性肺炎罹患牛においてSwabによる肺炎原因菌の推定には慎重を要すると思われた.
著者
川手 憲俊
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.79-84, 2001-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
49
被引用文献数
4 3
著者
西貝 正彦 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.712-714, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

GnRH投与が凍結胚移植の受胎率に及ぼす効果を明らかにする目的で黒毛和種受胚牛80頭を無作為にA,B群に区分し,発情後6日にGnRH群40頭にはGnRH類似体(酢酸フェルチレリン)100μg,対照群40頭には生理食塩液2ml を筋肉内に注射し,発情後7日に胚移植を行った.発情後14日に両群の各10頭について卵巣の状態と血液中プロジェステロン(P4)濃度を調べた.胚移植後40~50日に妊娠診断を行った.その結果,誘起黄体の形成がGnRH群の90%(9/10頭)にみられたが,対照群ではまったくみられなかった.血中P4濃度の平均±標準偏差はGnRH群が4.57 ±1.55,対照群が3.72±2.39ng/ml,受胎率はGnRH群が50.0%,対照群が40.0%であり,有意差は認められなかった.これらのことから,凍結胚移植前日にGnRH類似体を投与することにより新たに黄体が形成されることが認められたが,血中P4 濃度上昇効果及び受胎率向上効果はみられなかった.
著者
小沼 守 近藤 広孝 石川 愛 小野 貞治 上木 万里子 石田 智子 渋谷 久 佐藤 常男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.717-719, 2009-09-20 (Released:2016-09-03)
参考文献数
6

6歳齢,体重1.28kg,去勢雄の雑種ウサギ(Oryctolagus cuniculus)が,多飲多尿を主訴に来院した.飲水量は正常の約6倍の760ml/頭/日,尿量も正常の1.5倍の530ml/頭/日,尿比重は1.001と低比重尿が確認された.除外診断後,修正水制限試験により部分的中枢性尿崩症が疑われ,点鼻型合成バソプレシン誘導体による治療(1滴,24hr)を行ったところ,尿比重が中央値1.020,飲水量が中央値346ml/頭/日,尿量が中央値200ml/頭/日と改善した.よって本症例を部分的中枢性尿崩症と診断した.
著者
村田 大紀 三浦 直樹 松元 光春 三好 宣彰 藤木 誠 三角 一浩
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.703-707, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
7

調教中に転倒し,後肢の腰フラ様蹌踉(よろめき)を伴う混跛を呈した馬の症例に対して画像検査を実施した.脊髄造影検査では,第6頸椎と第7 頸椎の間(C6-C7)において造影剤の拡散が背側方向から障害されている所見が得られた.剖検時に行った頸椎及び胸椎(T)のコンピューター断層撮影(CT)検査では,C6-T2におけるすべての左側前後関節突起間隙に開大の所見が確認された.また,第1胸椎(T1)の左側前関節突起の変形と骨折片も確認された.さらに,C6-C7 において背側から軟部組織と思われる領域が脊髄を圧迫している所見が得られた.脊髄の病理組織学的検査では,C6-C7 における左側の側索から背索にかけて脊髄症の所見が得られた.以上より本症例は,転倒による頸胸弯曲部の外傷性椎骨骨折及び骨変化による椎骨列の異常に伴い軟部組織が脊柱管へと押し出された結果,圧迫性脊髄症を呈したと考えられた.
著者
鈴木 輝康 深沢 平 山崎 峻 岩根 善郎 坪 幾男 高久 久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.612-616, 1970-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
3

Some of the pigs introduced into the Shibaura Abattoir, Tokyo, from Nagano Prefecture on July 17, 1969, presented many irregularly round nodules of miliary or egg size scattered on the surface of peritoneal organs, including diaphragm, liver, gallbladder, omentum, colon, prostate, and ureteral muscle. Histopathologically, these nodules were composed of tissue similar to the testicular one, but contained no spermatids. It was demonstrated that hormone had been secreted from them.The cause of formation of these nodules was studied and proved to be the transplantation of such free testicular tissue as appearing after the performance of non-sanguineous castration by the ball masher method of Miyazawa.
著者
渡辺 昇蔵
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.293-299, 1958-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
59
被引用文献数
2 4
著者
金子 一幸 川上 静夫 三好 正一 虻川 孝秀 山中 栄 望月 誠 吉原 進平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.183-186, 1998-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

卵巣に嚢腫卵胞を有するホルスタイン種乳牛78頭を発情周期および直腸検査所見から3群に区分し, 各群別の処置により空胎期間の短縮を試みた. 初診日の発情徴候が良好で, 嚢腫卵胞と正常卵胞 (NF) が共存していた39頭 (NF共存群) には無処置で人工授精のみを行った. 初診日に発情徴候がみられず, 嚢腫卵胞と黄体 (CL) が共存していた16頭 (CL共存群) にはジノプロスト (25mg) を投与し, 投与後7日以内に発情が誘起された例には人工授精を行った. 嚢腫卵胞のみが認められた23頭 (卵胞嚢腫群) には, 酢酸フェルチレリン (200μg) 投与後14日にジノプロスト (25mg) を投与し, 発情誘起例に人工授精を行った. NF共存群, CL共存群および卵胞嚢腫群の初診から初回授精までの日数 (平均±SD) は, それぞれ0, 9.3±14.であった. また, 各群の初回授精受胎率は43.6, 43.8, 34.8%であり, 受胎に要した授精回数は1.9±1.1.
著者
坂口 裕亮 田中 宏 北村 雅彦 松本 有紀 中垣 佳浩 松倉 将史 川辺 朋美 中山 正成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e193-e196, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

CT検査により脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認めた椎間板ヘルニアのミニチュアダックスフンド2症例に遭遇した.2症例ともに脊髄造影検査を実施したところ,神経徴候が悪化した.片側椎弓切除術にて,椎間板物質の摘出を試みたが,周囲組織と癒着しており摘出は困難であった.このことから,CT検査で認められた石灰化した椎間板物質は,脊柱管内で時間経過を経たものと考えられ,脊柱管内を大きく占拠する椎間板物質に長い経過で圧迫されている脊髄に対し,造影剤を注入することで脊髄障害を悪化させた可能性が考えられた.以上より,CT検査によって脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認める症例に対し,脊髄造影検査を実施する際には悪化の可能性を考慮する必要があり,また,手術法やその適応など十分検討が必要であると考えられる.
著者
斑目 広郎 広瀬 学 広瀬 みさき 佐藤 加奈子 森 恵 山田 一孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e183-e186, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

16歳齢,避妊雌猫が肛門左側にできた潰瘍化した皮膚腫瘤を主訴に個人動物病院に来院した.切除腫瘤の病理組織学的検査を実施し,肛門囊腺癌と診断後,第82病日に死亡した.死後CT後に病理解剖を実施し,局所再発と全身多発転移を伴う両側性肛門囊腺癌と診断した.
著者
斉藤 咲弥香 永井 淸亮 黒岩 武信 遠藤 なつ美 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.e165-e173, 2022 (Released:2022-08-18)
参考文献数
30

牛の発情・排卵同期化に複数のホルモン剤を用いる方法は経費と労力を要する.プロジェステロン(P4)1.55gを含有するP4単味腟内徐放剤(PRID−E)をホルスタイン種経産乳牛3頭に排卵後2日(D2群:排卵日を0日),別の3頭に排卵後15日(D15群)からそれぞれ20日間処置し,発情・排卵の同期化について検討した.その結果,排卵が両群の全頭において抜去後3~4日に起こった.卵胞発育波数はD2群が2~3波,D15群が3~4波であった.排卵卵胞の優位日数は両群各2頭では7日,残る両群各1頭では13~14日,最大直径は5頭では14.1~17.9mm,残るD2群の1頭では20.5mmであった.発情徴候は全頭において抜去翌日に最も明瞭となった.排卵後2日及び15日からPRID−Eの20日間処置を行うと当該徐放剤抜去後3〜4日に排卵を同期化できることが明らかになった.
著者
乙丸 孝之介 岩本 悠紀 洪 惠英 永井 克尚 窪田 力 山内 清哉 野地 智法
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.344-347, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
18

本研究は,黒毛和種子牛に対するベータ(β)カロテンの経口投与による糞便中の免疫グロブリン(Ig)A濃度へ及ぼす影響について検討を行った.2週齢の黒毛和種子牛22頭をランダムに2群に分け,11頭の子牛には,2週齢から4週齢まで,1日当たり20mgのβカロテンを経口投与した(投与群).一方,11頭の子牛にはβカロテンの投与は行わなかった(対照群).すべての子牛は,2週齢及び4週齢(投与2週間後)で血液及び直腸便を採取された.投与群の血清βカロテン濃度は,投与2週後において対照群と比較し有意に高値であった.また,投与2週間後において投与群の糞便中IgA濃度は,対照群と比較し有意に高値であった.これらの結果から,黒毛和種子牛に対するβカロテンの投与は子牛の消化管内におけるIgA産生を増加させる可能性がうかがえた.
著者
甫立 京子 宮重 俊一 東山 由美 谷口 稔明 宮崎 茂 宮本 亨 甫立 孝一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.371-376, 2004-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
30
被引用文献数
4 4

黒毛和種去勢牛でビタミンA給与を全期間 (I期とII期) 制限した制限区 (4頭) と, 1期のみ制限した対照区 (3頭) の栄養と内分泌状態を検討した.血漿ビタミンA濃度は配合飼料摂取量および血清アルブミン濃度と正の相関があり (P<0.01), ビタミンA濃度が20IU/dl以下になると配合飼料摂取量は急激に低下し, と畜前のアルブミン濃度 (2.6vs3.7g/dl) とアルブミン/グロブリン比 (0.61 vs 1.12) は制限区が対照区より有意に低かった (P<0.01).と畜前に飼料摂取量が低下した制限区の牛は蛋白質とエネルギー不足の状態であり, 最も不足していた牛で全身筋肉水腫が発生した.この時レプチン濃度に差はなかったが, トリヨードサイロニン濃度は低下し, 成長ホルモン濃度は上昇する低栄養状態の特徴を示した.筋肉水腫発生の原因のひとつは, ビタミンA欠乏により血清アルブミン濃度が減少し, 血液の膠質浸透圧が低下することによると考えられる.
著者
大野 真美子 杉田 智子 石川 智恵子 住吉 俊亮 堀北 哲也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.181-185, 2021-03-20 (Released:2021-04-20)
参考文献数
16

本研究では,生存子牛の肋骨骨折の発生状況及び分娩状況との関係を調査した.神奈川県内酪農家13戸の子牛101頭(自然分娩68頭,介助分娩33頭)を対象とし,胸部触診による肋骨骨折の評価及び分娩状況の聞き取り調査を実施した.また,肋骨骨折を認めた7頭の胸部CT検査を行った.肋骨骨折の発生率は全体で6.9%であった.肋骨骨折の発生率は介助分娩が自然分娩より高かった.また,肋骨骨折した子牛は出生後に異常を示す割合が高かった.CT検査により8.9±4.4本/頭の骨折を確認し,左右ともに第4~7肋骨の骨折が多い傾向にあった.本研究より,肋骨骨折は介助分娩時の不適切な牽引などが原因と考えられた.また,分娩を介助する畜主への適切な介助方法に関する情報提供が必要である.
著者
阿部 竜大 安藤 達哉
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.e130-e134, 2023 (Released:2023-06-07)
参考文献数
20

乳牛における子宮捻転の病態と母体予後との関係を明らかにするため,乳牛139例の子宮捻転を対象に調査を行った.子宮捻転の病態を産次数,捻転度数及び捻転方向に分類し,各々の母体予後を比較すると同時に,捻転整復方法の違いによる母体の予後との関係も比較した.この結果,未経産牛と比較して経産牛で死亡率が高い傾向が明らかとなり,死亡牛の方が治癒牛と比較して有意に産次数が高かった.さらに捻転度数が360°以上で有意に死亡率は高くなり,捻転方向や整復方法では死亡率に有意差は認められなかった.